住みたい街ランキングで考察する、郊外・田舎への、移住の条件とは?

テレワーク時代の、「程よい田舎暮らし」を考察する、ほどいなかシリーズ
実際に「ほどいなか」に移住した経験をもとに、連載します。

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青梅・西多摩地区への移住

コロナ渦で注目される、ほどいなか移住。
「住みたい街」賃貸住宅・首都圏ランキングで、本厚木が1位となりました。
しかし、郊外の街でも人気・不人気が別れる結果に。
その理由を、考察してみました。

郊外への居住が注目される中、人気移住先に求められる条件とは?

コロナ渦で、郊外への移住が注目された

毎年発表される「住みたい街」ランキング。
2021年の「住みたい街」は…

2020年2019年駅名(主な路線)
1位↑4位本厚木 (小田急小田原線)
2位↑5位大宮(JR京浜東北・根岸線ほか)
3位2位葛西 (東京メトロ東西線)
4位↑7位八王子(JR中央線ほか)
5位1位池袋(JR山手線ほか)
6位↑14位千葉(JR総武線ほか)
7位↑11位蕨 (JR京浜東北・根岸線)
8位↑17位三鷹(JR中央線ほか)
9位↑16位柏(JR常磐線ほか)
10位3位川崎 (JR東海道本線ほか)
11位↑13位高円寺 (JR中央線ほか)
12位↑20位西川口 (JR京浜東北・根岸線)
13位↑21位船橋 (JR総武線ほか)
14位↑22位町田 (小田急小田原線ほか)
15位8位荻窪 (JR中央線ほか)
16位6位三軒茶屋 (東急田園都市線ほか)
17位↑32位川口 (JR京浜東北・根岸線)
18位9位吉祥寺 (JR中央線ほか)
19位18位新小岩 (JR総武線ほか)
20位19位小岩 (JR総武線)
「借りて住みたい街」ランキング・首都圏版(賃貸)
不動産・住宅情報サイト ライフルホームズより引用

調査は、住宅情報サイトLIFULL HOME’Sでの、賃貸住宅への問い合わせランキング。
赤字は、前年より上昇した順位です。

実際の問い合わせ数に基づいているので、実体に近いでしょう。
わざわざ、住宅情報サイトで調べた人の集計、ですからね。
対象期間は、2020年中、コロナ禍が始まった年です。
また、順位は駅ごとの集計です。

1位は、小田急線の本厚木。
新宿から急行で1時間弱、近郊というより郊外、程よい田舎=ほどいなか、ですね。
他の順位を見ても、近郊・郊外が軒並み順位を上げ、都区内は下がる傾向です。

ランキング入りした郊外は?

さて、2020年の「住みたい街」のランキングで登場した郊外は、どこでしょうか?
50位までに登場した郊外31駅を、抜粋してみます。
「郊外」の定義は難しいですが、ここでは東京23区、横浜・川崎の中心部を除外しました。
まあ、都区内でも、練馬・板橋や世田谷などの住宅地は、「郊外」かもしれませんが…

順位駅名所要時間順位駅名所要時間
1位本厚木57分30位武蔵小杉15分
2位大宮26分31位八潮19分
4位八王子43分32位橋本53分
6位千葉39分33位市川19分
7位23分35位国分寺28分
8位三鷹23分36位本八幡26分
9位37分37位志木22分
12位西川口20分38位西船橋29分
13位船橋26分40位辻堂58分
14位町田39分41位木更津73分
17位川口17分42位松戸28分
18位吉祥寺20分43位戸塚42分
21位津田沼31分44位和光市15分
25位浦安24分45位草加26分
26位立川34分46位五井52分
27位平塚63分
「借りて住みたい街」ランキング・首都圏版(賃貸)
不動産・住宅情報サイト ライフルホームズより引用・集計加筆

表の「時間」は、平日・通勤時間帯のターミナル駅(新宿・東京・池袋・渋谷・大手町など)までの、おおよその所要時間です。
これは、設定で多少前後するので、参考程度として見てください。
赤字の駅は、通勤時間帯に、始発列車があります。

また、住宅情報サイト上での集計ですから、当然、物件数の多い駅が、多くなるでしょう。
元々、家が多い=人口の多い場所が有利となる、と考えられます。

人気のある街は、買い物が便利?

立川の歩道の芸術

上位4駅は、いずれも大型商業施設もある、利便性の良い駅です。
田舎に住みたい、といえど、近所で買い物が完結する利便性が重要視されています。

都市型の街だけが、人気なのではありません。
41位の木更津、46位の五井(市原市)は、いずれも千葉県の地方都市。
木更津は先年141位、五井は86位と大躍進です。

このふたつの共通点は、大型ショッピングモールがあること。
木更津は、都心からも来店客のあるアウトレットモール、五井には千葉県最大規模のショッピングモール・アリオ市原があります。
また、木更津市は、地方都市ではめずらしく、昼間人口(通勤・通学者)の多い街。
市内へ通う人が定住する機運が高い、のかもしれません。

ランキングされた街は、比較的大型のショッピングモールがある傾向があります。
郊外でのんびり暮らしたいけれど、買い物などの利便性も捨てがたい、と読み取れます。

時間より、楽々通勤?始発駅が人気

青梅線・鳩ノ巣駅の列車

ランキングをの街から、都心までの距離は千差万別。
1位の厚木は1時間弱で遠めですが、2位の大宮は池袋まで26分。
都区内へ通う人ばかりではなく、一概には言えませんが…
通勤時間の重要度が、低くなったのでしょうか。

ランキングの31駅中21駅に始発列車(通勤時間帯・6〜8時台の上り列車)があります。
上位4駅にいたっては、すべて始発駅。
月に数回とか、週に2〜3回通勤するパターンだと、所要時間よりも、座って通勤するニーズが高いのです。
通勤時間の長短よりも、楽に通え、車内での時間を有効活用を重視する人が、増えたのでしょう。

余談ですが、浦安などは、車庫基地もないのに、始発駅です。
朝6時台の、やや早い時間帯のみだけ始発列車があり、混雑率の高い東西線の時差通勤促進対策、なのです。

意外と便利な、西多摩移住も検討しよう

青梅線・五日市線沿線が、人気のない理由は?

青梅駅の鉄道とホーム

当サイトは、青梅・西多摩の地域サイト。
言い換えれば、青梅線・五日市線沿線がメインの地域です。
当地区はランキングに登場していません。
理由を、あれこれ考察してみました。

  1. 路線が短く、終点が行き止まりだから
  2. 知名度が低い

まず、「路線が行き止まり」について。
今、住んでいる場所よりも田舎へ移住、引っ越しを考える人は、どのような理由で、場所を選ぶのでしょうか?

ひとつは、今、住んでいる沿線からチョイスする事が、多いでしょう。
たとえば、中央線沿線の荻窪に住んでいるならば、立川や八王子などです。
まったく知らない地域よりも、沿線ならば多少は土地勘もあるし、親近感もある。
今までの友人とのコミュニケーションも、取れやすいですよね。
また、近所の不動産屋さんに相談すれば、沿線の物件を紹介されることも多いです。
新築マンションの折り込みチラシも、入りますしね。

もうひとつ、これは結構見落としがちですが…
家を探すとき、実家へ行きやすい場所を選ぶ人が、多いですよ。

静岡県・御殿場に実家のある友人は、相模原市の郊外へ引っ越しました。
なるほど、東名高速を使うと、1時間ちょっとで実家へ行けるのでしょうね。
また、意外と無意識で、生まれ故郷寄りを選ぶ人も多いです。

例えば、実家が東北や新潟の人って、埼玉を選びがちです。
実際、帰郷にも便利なのですが、心理的な側面も大きいのかなと。

すると、青梅線・五日市線沿線は、候補に上がりにくいのでしょう。
これは、「知名度が低い」とも関連します。
元々、沿線人口の少なく、行き止まりの路線。
例えば青梅市の先の、奥多摩町は人口5千人。
そこから奥は山となり、人間よりカモシカの方が多いです。
実家が有る人、あまりいないのですね。

移住先選びには、固定観念は禁物?

青梅市・永山丘陵の朝焼け
青梅の朝焼け

さて、青梅・西多摩地区の地域サイトとしては、その誤解?を解いてみたいと思います。
特に、中央線沿線に住んでいる方が、移住先を探しているならば…
西多摩を視野に入れたほうが、良いですよ!

  1. 青梅線は、中央線と直通運転している
    知っているようで、意外と知られていないのが、青梅線が中央線に乗り入れしていること。
    日中は1時間に2〜3本と、まずまずの頻度で、直通列車があります。
    中央線沿線の方が、自然に近い場所に住みたい場合は、高尾近辺と並んで、良い選択ですよ!

    中央線と直通運転しているから、新宿、東京駅も乗り換えなしで行けます。
    通勤はもちろん、新幹線や高速バスもダイレクトに乗れ、帰省するのも、結構便利です。
    なんだかんだ、中央線は、都心の「おいしい所」通ります。

    青梅、河辺、武蔵五日市の各駅は、東京駅直通の始発列車もあります。
    そもそも、青梅線内は混雑率も低く、例えば青梅市内の駅ならば、始発駅でなくともほぼ座れるのが魅力です。

    加えて、3年後には、中央線直通列車には、グリーン車が増結。
    リクライニングシートで、ゆったり通勤も可能となります。
  2. 圏央道で、車の移動も便利
    西多摩地区には、圏央道のインターチェンジが、3ヶ所あります。
    (インターありすぎ、という意見もあるくらい)
    東関東、常磐、東北、関越、中央、東名と、東京起点の主要ハイウェイは、すべて接続
    新東名や新湘南バイパスにも接続して、中京・関西はもちろん、実は鎌倉なども行きやすいのですよ。
    また、成田空港も都心を通らずに、行けます。

    圏央道が良いのは、都心の渋滞を避けて移動できること。
    圏央道自体は、あまり渋滞しないので、東北や日本海側が実家、という人も、車での帰省は快適なのでは?

    余談ですが…
    自動車道路網が行き届いた西多摩は、巨大物流倉庫がインター近くに多いのも特徴。
    さすが、物流のプロは、よく分かっているのですよね。
  3. 商業施設は充実している?
    商業施設の充実度も、格段、良くもないけれど、悪くもないイメージ。
    日の出町には、都内では2番めに広いイオンモールも、ありますし。
    特記すべきは、巨大ホームセンター。
    ジョイフル本田、カインズと都内では最大規模で、都区内から引っ越すと腰を抜かす規模です。

    百貨店やちょっとマニアックなモノ系は、立川・八王子や吉祥寺まで足を運ぶ感じです。
    特に吉祥寺は、独特の文化の香りがあって、これは他では真似できない街です。
    「はれの日のショッピング」は、お出かけモードで楽しむのも良いでしょう。

    青梅街道、五日市街道と、歴史ある宿場町が多いので、地元商店街も味があります。
    レストラン、というか飯屋などは、大正時代創業の蕎麦屋とか、昭和初期からの老舗ラーメン店さかのぼると江戸時代がルーツの製麺店みたいな、さすがと思わせる店も。
    新興住宅地とは、ひと味違った良さがあります。
日の出イオンモール
日の出・イオンモール

身びいきするわけでは、ありませんが…
自然の豊かさと利便性のバランスの良さが光るのが、青梅を始めとした西多摩地域。
山や川など、身近に自然があります。
山に近い地形は、空気に潤いもあり、移住先の候補にすると良いですよ。

筆者が、青梅へ引っ越した実体験での感想は、こちらを。

テレワーク時代の、「程よい田舎暮らし」を考察する、ほどいなかシリーズ
実際に「ほどいなか」に移住した経験をもとに、連載します。

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青梅・西多摩地区への移住

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