【ほどいなかに住もう】その13…学力、いじめ問題、健康…程よい田舎は、教育のユートピアか?

都会と違って、ノビノビ育てられる?
義務教育はともかく、高校や大学が少なく、学力が心配?
一般的には、程よい田舎=「ほどいなか」の教育事情は、こんな感じでしょうか?
果たして本当にそうなのか、検証してみましょう。

●ほどいなかの学校は、ノビノビしている?

いじめや暴力、不登校は、どこの都道府県が少ない?

自然豊かな田舎ならば、子供はノビノビ育つのでしょうか?
そして、ノビノビした結果、温厚で優しく、問題の少ない子供となるのでしょうか?
そんな子どもたちばかりなら、いじめや校内暴力、不登校も少ない良い学校となるでしょう。
都道府県別に、生徒千人あたりの、いじめ件数、学校内での暴力件数、不登校人数を計算してみました。

都道府県いじめ件数
小中高、
特別支援校
暴力件数
小中高、
特別支援校
不登校
小・中学校
全国平均を
1とした場合の
倍率
1愛媛県17.40.619.750.45倍
2福井県18.7117.790.46倍
3佐賀県9.72.221.150.51倍
4群馬県24.61.918.940.58倍
5石川県13.73.120.720.59倍
6熊本県28.21.422.500.62倍
7長崎県24.23.518.760.67倍
8鹿児島県39.90.922.380.68倍
9福島県34.7320.490.74倍
10福岡県20.3328.880.75倍
11北海道40.81.823.590.76倍
12秋田県46.22.219.400.77倍
13埼玉県24.94.922.560.82倍
14富山県12.87.120.080.82倍
15東京都41.92.524.430.83倍
16兵庫県28.8426.220.84倍
17山口県29.14.922.620.85倍
18三重県16.56.522.910.85倍
19栃木県22.85.424.680.86倍
20香川県27.95.821.580.88倍
21愛知県32.15.223.450.90倍
22長野県403.626.730.91倍
23岡山県18.5629.870.94倍
24徳島県34.66.421.150.96倍
25岩手県62.24.315.940.97倍
26広島県24.37.224.600.98倍
27山形県91.71.115.801.00倍
28奈良県50.3331.031.02倍
29滋賀県41.65.525.401.02倍
30鳥取県32.67.825.831.10倍
31山梨県70.42.927.171.11倍
32宮崎県101.31.716.011.12倍
33和歌山県58.15.823.231.14倍
34静岡県42.3825.031.18倍
35大阪府39.17.431.441.21倍
36大分県92.42.923.541.23倍
37岐阜県37.310.523.831.28倍
38千葉県63.37.125.721.29倍
39神奈川県28.911.526.611.31倍
40茨城県89.36.323.161.41倍
41高知県48.310.529.951.45倍
42島根県37.113.624.401.47倍
43新潟県79.39.718.491.47倍
44沖縄県60.91030.571.52倍
45宮城県77.58.529.241.54倍
46青森県5713.618.381.54倍
47京都府91.78.325.401.58倍

平成30年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について・文部科学省調査
より、独自に集計

いじめ、暴力、不登校の3つを全国平均との倍率を計算します。
1倍なら平均、1倍より少なければ少ないほど、いじめ等が少ない良い環境、と言えます。

総合結果で一番良いのは愛知県、ワーストは京都府
東京は15位、大阪は35位、神奈川は39位です。
自然豊かな青森が46位、沖縄は44位。
田舎だから良いとか、都会だから悪い、ということは、全くありませんね。

いじめの一番多いのは、宮崎県、一番少ない佐賀県の10倍以上
これだけ違うのは佐賀は表面に出ない、いじめが多いのかも…
信憑性の高そうな不登校で比べると、一番多いのは大阪、少ないのは山形で、約2倍
これでも結構、地域差がありますね。

自然豊かな場所なら、素晴らしい情操教育が出来る、というのは、おそらく妄想でしょう。
これは、アウトドアのフィールドに出かければ分かります。
登山道にはゴミが散らばっているし、渓流には釣り針が散乱しています。
豊かな自然であっても、人格者にはなれない
夢のない話ですが、それが現実です。

田舎の学校だって、いじめもあるし、暴力もあるし、不登校だって起こりうる。
学校の教育内容、親のリテラシー、行政や学校の方針…
現在の日本では、人口の大小よりも、他の要因が大きいのでしょう。

学力に地域差はあるのか?

次に、学力を見てみましょう。
中学生の、学力テストの正答率です。

順位都道府県名正答率
1秋田県69.33%
1石川県69.33%
3福井県68.92%
4富山県67.25%
5東京都66.25%
6青森県65.75%
7愛媛県65.58%
8山口県65.42%
9静岡県65.25%
10大分県65.17%
10京都府65.17%
10広島県65.17%
13新潟県65.00%
14茨城県64.83%
15香川県64.58%
16兵庫県64.42%
17群馬県64.17%
17岐阜県64.17%
19三重県64.08%
20福岡県63.83%
20埼玉県63.83%
20神奈川県63.83%
23山梨県63.67%
23長野県63.67%
23長崎県63.67%
26岩手県63.58%
27山形県63.42%
27鳥取県63.42%
27岡山県63.42%
27栃木県63.42%
31千葉県63.25%
32和歌山県63.17%
32高知県63.17%
34愛知県63.00%
34徳島県63.00%
36宮崎県62.83%
37鹿児島県62.75%
38奈良県62.67%
39福島県62.58%
39宮城県62.58%
41沖縄県62.50%
42北海道62.42%
43佐賀県62.33%
44島根県62.25%
44熊本県62.25%
46大阪府62.17%
47滋賀県61.83%

出典:Education Career
2019年度全国学力テスト中学生(全体)正答率ランキング

中学生の学力テストで、比較してみましょう。
同一問題を解いた際の、正解率ですね。
もっとも優秀な秋田と、最下位の滋賀で7.5%も正解率が違います
地域差、結構ありますね。

東京は5位、大阪は46位、神奈川は20位。
いじめ等と同じく、都会か田舎での差ではなく、別の要因ですね。

大学の進学率は、学力とは関係ない

では、大学の進学率は、学力に比例するのでしょうか。

都道府県
京都65.87%62.54%69.09%
東京65.13%60.56%69.51%
兵庫60.90%56.88%64.88%
神奈川60.70%58.43%62.97%
広島60.64%58.75%62.57%
大阪59.64%56.52%62.72%
奈良59.41%55.91%63.08%
愛知58.08%55.70%60.44%
埼玉57.43%55.76%59.22%
福井55.98%52.69%59.22%
山梨55.57%53.90%57.45%
岐阜55.26%52.35%58.25%
千葉55.05%54.03%56.12%
石川54.91%50.38%59.55%
滋賀54.74%52.43%57.24%
福岡53.77%49.63%58.05%
富山52.75%49.11%56.56%
栃木52.33%49.53%55.28%
岡山52.23%49.17%55.42%
徳島52.23%46.26%57.81%
愛媛52.21%48.75%55.98%
静岡52.01%51.56%52.49%
香川51.73%47.40%56.15%
群馬51.20%48.47%54.00%
茨城50.55%48.61%52.58%
三重49.59%46.99%52.22%
宮城49.41%47.42%51.44%
高知49.35%42.40%56.75%
和歌山48.56%44.97%52.36%
長野47.78%42.63%53.16%
大分47.37%41.92%53.20%
新潟46.86%46.42%47.32%
熊本46.53%42.85%50.45%
青森46.21%43.72%48.80%
北海道46.18%46.64%45.71%
島根45.96%42.57%49.74%
福島45.82%42.53%49.36%
秋田45.40%40.66%50.37%
長崎45.39%40.03%50.94%
山形44.57%40.94%48.35%
宮崎44.51%39.79%49.39%
佐賀44.23%39.50%49.53%
岩手43.70%39.87%47.81%
鳥取43.31%38.21%48.39%
鹿児島43.28%37.24%49.35%
山口43.06%36.67%49.25%
沖縄40.19%37.66%42.69%

出典:Education Career
2019年の都道府県別大学進学率

学力と、まったく相関関係がありませんね。
もっとも優秀な秋田の大学進学率、さほど高くありません
というより、かなり低い…
学力最下位の滋賀よりも、9%も低い進学率!
京都1位、東京2位と、要は大学が通いやすい都道府県で進学率が高いのでしょう。
滋賀県は、京都に近いですからね。

ただ、これって優秀な人材を、スポイルしています。
学力ではなく、地の利で進学率が、高くなっているのだから。
こういう言い方はなんだけど…
大して勉強が好きでもないのに、入れる大学が近くにあるから行く、みたいな感じ?
能力のある人が充分な教育を受けられない現状がある、ということです。
日本の将来、憂いてしますよね。

親が金持ちだと、成績が良い?

ストレートなタイトルですが…

親の年収国語A国語B算数A算数B
200万円未満67.3%48.5%69.7%35.6%
200万円~300万円69.6%50.7%72.0%38.9%
300万円~400万円70.6%52.2%73.5%39.8%
400万円~500万円73.2%55.3%76.7%42.7%
500万円~600万円74.7%56.7%78.5%44.9%
600万円~700万円75.5%58.2%79.1%46.5%
700万円~800万円76.7%60.2%81.0%48.2%
800万円~900万円77.8%61.5%82.6%50.4%
900万円~1,000万円79.0%62.4%84.2%52.1%
1,000万円~1,200万円80.5%65.5%85.9%56.3%
1,200万円~1,500万円81.4%66.6%87.1%57.1%
1,500万円以上82.3%66.7%87.4%58.9%


出典:国立大学法人お茶の水女子大学
保護者に対する調査の結果と学力等との関係

上は、親の年収とテストの正解率の関係です。
この調査は、地域差が偏らないよう、5つの小学校の学童を対象として調査しています。

子供の学力と親の収入は、相関関係があるようですね。
親の年収が高ければ高いほど、子供の成績が良いです。
これだけ、見事に並んでいると、反論のしようがない…
先の都道府県別の格差よりも、落差が大きいですね。

教育費を掛ければ、総じて、学力が上がるのです。
または、年収が高い=優秀、だとすれば、その親の子供も優秀となる確率が高いのかも…
まあ、コストをどれだけかけるか、なのでしょう。

何というか、身も蓋もない話ですが…
ドラマや小説で、「貧乏だけれども成績の良い子」みたいな設定がありますが、統計的には低い話なんですね…

子供が健康的なのは都会、それとも田舎?

田舎なら空気も水も綺麗だし、自然の中で遊べば健康的?
では、データを見てみましょう。

12歳の児童の都道府県別健康状態です。
肥満児率は、運動や栄養バランスが良いかの指標。
未処置の虫歯は、病気のケアがキチンと出来ているか、です。
アトピー性皮膚炎はハウスダストなどの環境因子、喘息は、空気が綺麗なのか、ある程度関係あるでしょう。
ブルーがベスト、ピンクがワーストの都道府県です。

都道府県肥満児率未処置の
虫歯のある者
アトピー性
皮膚炎
 喘息 
北 海 道12.41%19.80%5.30%4.30%
青   森13.67%18.70%1.20%1.00%
岩   手13.62%14.90%3.40%1.60%
宮   城14.22%17.00%3.30%3.60%
秋   田13.27%11.80%3.40%2.50%
栃   木13.51%17.30%4.40%3.40%
群   馬10.49%11.40%3.60%3.40%
埼   玉9.91%11.10%2.30%3.10%
千   葉9.44%11.80%3.20%3.00%
東   京7.52%9.10%2.30%2.50%
神 奈 川8.70%10.50%2.90%3.80%
新   潟9.24%6.60%4.10%3.60%
富   山10.96%11.30%2.40%1.80%
石   川9.38%14.30%2.30%1.30%
福   井10.11%18.00%1.60%1.10%
山   梨12.15%16.70%2.90%1.90%
長   野10.79%11.10%3.10%3.60%
岐   阜10.41%11.30%2.80%1.80%
静   岡7.45%10.90%2.20%1.20%
愛   知8.87%8.70%4.70%2.40%
三   重9.90%20.50%3.40%4.00%
滋   賀7.24%12.50%1.90%0.80%
京   都6.17%10.30%2.30%2.90%
大   阪9.28%13.40%2.40%1.70%
兵   庫8.16%12.00%2.40%2.20%
奈   良8.59%15.90%3.30%1.30%
和 歌 山10.17%17.40%1.60%0.90%
鳥   取7.67%12.90%4.70%3.70%
島   根7.67%17.50%5.30%2.50%
岡   山11.03%14.50%2.50%2.60%
広   島10.90%12.00%2.20%1.30%
山   口8.55%14.50%2.40%2.50%
徳   島11.86%14.60%3.20%2.30%
香   川10.24%11.10%3.20%2.00%
愛   媛11.42%12.40%1.30%1.80%
高   知10.73%15.70%2.00%1.30%
福   岡10.85%15.60%1.70%2.30%
佐   賀13.16%14.40%1.80%2.00%
長   崎12.18%14.70%2.40%1.30%
熊   本10.97%16.40%2.60%2.40%
大   分10.60%23.10%1.50%1.80%
宮   崎11.69%19.00%1.20%2.90%
鹿 児 島10.55%18.00%1.10%1.00%
沖   縄13.09%25.10%1.50%2.10%

文部科学省・学校保健統計調査より集計

これは、意外な結果?
肥満は、宮城、青森、岩手と東北勢がワーストです。
東京近郊の都県は、軒並み肥満率が低い結果です。
県によって倍以上、率が違います!
食生活なのか、車を使う頻度の高い田舎のほうが、肥満になりやすいのでしょうか?

虫歯を放置している率は、ワーストが沖縄、続いて大分、三重、北海道と続きます。
ベストは新潟、愛知、東京となります。
こちらも首都圏は、成績が良い傾向です。

アトピーと喘息は、ワーストはどちらも北海道!
空気も水も綺麗な地域なのに、なぜか悪いのです。
アトピーは、寒いと肌がカサつくからですかね…
喘息も、寒さで喉がやられやすい?

アトピーに関しては、北海道・島根が同率ワーストで5.3%、ベストは鹿児島の1.1%。
5倍もの、開きがあります。
東京は良い方から17位で、不でも可でもないけどまあまあ良い感じ。

喘息は北海道の4.3%を筆頭に、三重、神奈川の順で、ワースト3。
ベストは滋賀の0.8%、こちらも5倍以上の開き。

こうして、数字を見ると、「ほどいなか」どころか、田舎へ移住しても、子供の健康は、良くならないようですね。
ことさら貶めるつもりはないけれど、北海道は、肥満率も虫歯放置も悪く、ある意味、子供の健康にとっては最悪です、データ上は。
筆者は、東京の都心から青梅へ引っ越して、喉の調子が良くなりましたが、気のせいなのか…

結局、今の日本では健康は、地域差よりも、いかにセルフケアをするか、生活習慣の問題なのでしょう。
昭和30〜40年代ならば、大気汚染などで空気が汚れていたけれど、今は、それなりに綺麗なのでしょうか。

ほどいなかは、教育的環境の最大公約数?

いじめ問題、学力、健康とデータで教育問題を見てみましたが…
総合的に考えると、結局、都心だから、田舎だから、というよりも、個々の自治体や家庭の教育方針のほうが影響が大きいのでしょう。

学力は、地域性よりも、親の年収に比例します。
実は、都道府県別の順位も、非正規雇用率と、緩やかな相関関係があります。
正社員の比率の高い都道府県は、概して成績が良いのです。
つまり、教育には、それなりのコストが掛かり、それを投入できるかが学力差となるのです。

とすると、住居費が安く、教育にお金をつぎ込める「ほどいなか」が良いですね。
ホントの田舎も良いのですが、学力は上がっても、大学の進学が難しいのです。
最大公約数的に見て、「ほどいなか」に移住するのが、これからの最適解なのです。

また、今は大学自体が、郊外に移転しています。
学校や学部によっては、「ほどいなか」のほうが通いやすいかもしれません。
ただし、車社会なので、肥満には注意して!

次回の「ほどいなか」は、何かと話題のワーケーションについて。
程よい田舎でワーケーションするメリットを、お伝えします!