歴史って、普段はあまり、意識しませんよね。
古刹や古墳など訪れた時、時たま想い巡らせても、日常の生活では、引き出しへしまい込んでしまう。
でも、街角のラーメン屋さんで、その引き出しを、ちょっぴり開きました。
その店の名は三玉屋、青梅の老舗ラーメン店です。
昔ながらのラーメンを、昔、宿場町だった処で、食べてみませんか?
目次
激動の昭和を駆け巡り、今ここにある、ラーメン屋さん
おじいちゃんの、おじいちゃんの、秘伝の麺
![青梅のラーメン店、三玉屋](https://i0.wp.com/ometsu.net/wp-content/uploads/2020/06/DSC6418.jpg?resize=728%2C486&ssl=1)
青梅市・住江町の老舗ラーメン店、三玉屋。
今時の、プレハブ住宅風の外観は、素っ気無いとも言えます。
よもや、90年近くの歴史あるラーメン店だとは、想像し得ないでしょう。
![青梅のラーメン店、三玉屋の張り紙](https://i0.wp.com/ometsu.net/wp-content/uploads/2020/06/DSC6345-1.jpg?resize=728%2C486&ssl=1)
店内へ入ると、壁には張り紙が。
そこには、誇らしげな文章が踊っていました。
「当店は1930年代、先々代が人力車ひきを廃業した後、中国の人から麺作りを教えてもらい創業しました 店主」
1930年代、昭和初期といえば…
世界恐慌、ナチスの台頭、満州事変、二・二六事件。
川端康成の「雪国」、志賀直哉の「暗夜行路」、宮沢賢治の「雨ニモマケズ」。
大半の人にとって、歴史の教科書で見聞きした時代であり、古典になりつつある近代文学が書かれた時代です。
店を切り盛りしているのは、年配の男性。
テレビのレポーターみたいに、馴れ馴れしく「おじいちゃん」と、お呼びするのは憚れますが…
先々代が創業したお店ならば、いわば、
「おじいちゃんの、そのまた、おじいちゃんのお店」
ということになります。
令和生まれならば、4代前の時代ですね。
チャーシューならぬ、チャシウメン
メニューは、上記の写真の通りです。
ちなみに、価格は税込みです。
![青梅のラーメン店・三玉屋のチャシウメン](https://i0.wp.com/ometsu.net/wp-content/uploads/2020/06/DSC6354-2.jpg?resize=728%2C486&ssl=1)
今回は、チャシウメンを戴きました。
チャーシューではなく、チャシウ。
辞書で「叉焼」を引くと ”Chā shāo” なので、発音的には「チャシウ」のほうが近いのかもしれません。
新宿・中村屋の「カリー」みたいな感じですかね。
![青梅のラーメン店・三玉屋のチャシウメン](https://i0.wp.com/ometsu.net/wp-content/uploads/2020/06/DSC6361.jpg?resize=728%2C486&ssl=1)
チャシウは5枚、それもかなりの厚切りです。
![青梅のラーメン店・三玉屋のチャシウメン](https://i0.wp.com/ometsu.net/wp-content/uploads/2020/06/DSC6378.jpg?resize=728%2C486&ssl=1)
赤身の綺麗なチャシウは、スモークで焼き上げたジューシーな仕上がり。
トロトロの脂がウリの、昨今のそれではなく、肉の旨味が直球ストレートな味わいです。
炭で燻したとのこと、とても香ばしく、これは逸品です!
![青梅のラーメン店・三玉屋のチャシウメンの麺](https://i0.wp.com/ometsu.net/wp-content/uploads/2020/06/DSC6370.jpg?resize=728%2C486&ssl=1)
麺は、やや縮れ気味の、手打ち。
モチモチとした、柔らかい麺です。
御嶽駅前の東峯園もそうでしたが、今風の、柔らかさを拒否するようなコシではなく、柔らかくもコシのある麺です。
好みもあるでしょうが、どことなく優しい喉越しは、好感が持てます。
![](https://i0.wp.com/ometsu.net/wp-content/uploads/2020/06/DSC6396.jpg?resize=728%2C486&ssl=1)
メンマは、やや細かく刻んでいました。
麺と一緒に頬張る、感覚。
ちょっとユニークですが、これもまた良いな、と思います。
スープは、かなり塩気のある、醤油味です。
脂分の少ない、スッキリとしたシンプルながら、力強い味わいでした。
総じて、昔懐かしきラーメン、です。
ラーメンは、ここ十数年でレベルが、高くなりましたが…
それと伍して美味しい「懐かしき」ラーメンでした。
お店には、常連と思しき、先客がいました。
注文をし、世間話をしつつ、チャシウメンを待ちます。
筆者が初めて、このお店へ来たことを知った常連さんは…
「ここの手打ち麺、本当に美味いんですよ」
と、自慢げに話します、まるで自分の店みたいに。
その後、「ごゆっくり」と、これまた、店の人みたいな言葉を残し、出ました。
このお店、お客さんに愛されているんだな。
90年の間、どれだけの人に胃袋を、幸せにしたのでしょうか。
昔風のラーメンを啜りながら、今ここに、もうひとり幸せになった人がいることに、気が付きました。
インフォメーション
アクセス・営業案内
JR青梅線・青梅駅より、徒歩5分
●三玉屋
営業時間… 11:30〜(変動あり)
定休日… 不定休
住所… 東京都青梅市住江町54
電話… 0428-21-0478