青梅宿の老舗・三玉屋の、手打ち「チャシウ」ラーメンは、まほろばの味

歴史って、普段はあまり、意識しませんよね。
古刹や古墳など訪れた時、時たま想い巡らせても、日常の生活では、引き出しへしまい込んでしまう。
でも、街角のラーメン屋さんで、その引き出しを、ちょっぴり開きました。
その店の名は三玉屋、青梅の老舗ラーメン店です。
昔ながらのラーメンを、昔、宿場町だった処で、食べてみませんか?

激動の昭和を駆け巡り、今ここにある、ラーメン屋さん

おじいちゃんの、おじいちゃんの、秘伝の麺

青梅のラーメン店、三玉屋
青梅のラーメン店・三玉屋

青梅市・住江町の老舗ラーメン店、三玉屋。
今時の、プレハブ住宅風の外観は、素っ気無いとも言えます。
よもや、90年近くの歴史あるラーメン店だとは、想像し得ないでしょう。

青梅のラーメン店、三玉屋の張り紙

店内へ入ると、壁には張り紙が。
そこには、誇らしげな文章が踊っていました。

「当店は1930年代、先々代が人力車ひきを廃業した後、中国の人から麺作りを教えてもらい創業しました 店主」

1930年代、昭和初期といえば…
世界恐慌、ナチスの台頭、満州事変、二・二六事件。
川端康成の「雪国」、志賀直哉の「暗夜行路」、宮沢賢治の「雨ニモマケズ」。
大半の人にとって、歴史の教科書で見聞きした時代であり、古典になりつつある近代文学が書かれた時代です。

店を切り盛りしているのは、年配の男性。
テレビのレポーターみたいに、馴れ馴れしく「おじいちゃん」と、お呼びするのは憚れますが…
先々代が創業したお店ならば、いわば、
「おじいちゃんの、そのまた、おじいちゃんのお店」
ということになります。
令和生まれならば、4代前の時代ですね。

チャーシューならぬ、チャシウメン

メニューは、上記の写真の通りです。
ちなみに、価格は税込みです。

青梅のラーメン店・三玉屋のチャシウメン
チャシウメン

今回は、チャシウメンを戴きました。
チャーシューではなく、チャシウ。
辞書で「叉焼」を引くと ”Chā shāo” なので、発音的には「チャシウ」のほうが近いのかもしれません。
新宿・中村屋の「カリー」みたいな感じですかね。

青梅のラーメン店・三玉屋のチャシウメン
チャシウが5枚も!

チャシウは5枚、それもかなりの厚切りです。

青梅のラーメン店・三玉屋のチャシウメン

赤身の綺麗なチャシウは、スモークで焼き上げたジューシーな仕上がり。
トロトロの脂がウリの、昨今のそれではなく、肉の旨味が直球ストレートな味わいです。
炭で燻したとのこと、とても香ばしく、これは逸品です!

青梅のラーメン店・三玉屋のチャシウメンの麺

麺は、やや縮れ気味の、手打ち。
モチモチとした、柔らかい麺です。
御嶽駅前の東峯園もそうでしたが、今風の、柔らかさを拒否するようなコシではなく、柔らかくもコシのある麺です。
好みもあるでしょうが、どことなく優しい喉越しは、好感が持てます。

メンマ

メンマは、やや細かく刻んでいました。
麺と一緒に頬張る、感覚。
ちょっとユニークですが、これもまた良いな、と思います。

スープは、かなり塩気のある、醤油味です。
脂分の少ない、スッキリとしたシンプルながら、力強い味わいでした。

総じて、昔懐かしきラーメン、です。
ラーメンは、ここ十数年でレベルが、高くなりましたが…
それと伍して美味しい「懐かしき」ラーメンでした。

お店には、常連と思しき、先客がいました。
注文をし、世間話をしつつ、チャシウメンを待ちます。
筆者が初めて、このお店へ来たことを知った常連さんは…

「ここの手打ち麺、本当に美味いんですよ」
と、自慢げに話します、まるで自分の店みたいに。
その後、「ごゆっくり」と、これまた、店の人みたいな言葉を残し、出ました。

このお店、お客さんに愛されているんだな。
90年の間、どれだけの人に胃袋を、幸せにしたのでしょうか。
昔風のラーメンを啜りながら、今ここに、もうひとり幸せになった人がいることに、気が付きました。

インフォメーション

アクセス・営業案内

JR青梅線・青梅駅より、徒歩5分

●三玉屋
営業時間… 11:30〜(変動あり)
定休日… 不定休
住所… 東京都青梅市住江町54
電話… 0428-21-0478

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