【ほどいなかへ移住】賃貸か持ち家か、程よい田舎では、どっちが得?

テレワーク時代の、「程よい田舎暮らし」を考察する、ほどいなかシリーズ
実際に「ほどいなか」に移住した経験をもとに、連載します。

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青梅・西多摩地区への移住

前回は、マンションと戸建てを取り巻く、「ほどいなか」=程よい田舎の住宅環境について考えてみました。
住宅供給量が少なく、特にマンションは物件が都心に比べ、とても少ない現状をお話しました。
今回は、賃貸が良いのか、それとも持ち家が良いのかを考察してみます。

賃貸か、それとも「ほどいなか」だからこそ、持ち家か

賃貸 vs 持ち家は、永遠のテーマ

住宅情報誌や週刊誌の定番ネタ、「賃貸 vs 持ち家」。
もう数十年前から、議論されている、永遠のテーマです。

賃貸のメリットは、ひとことで言えば「リスクの少なさ」。
理由を挙げてみると…

  • 引っ越しが容易
    ライフスタイルに合わせての、住み替えが簡単。
    持ち家の場合、売るのも買うのも、大変。特にローンが残っている場合、自由度がとても低い。
  • 建物の維持管理が楽
    賃貸は、大家さんが建物の管理責任があり、修繕の費用も基本的にかからない。
  • 災害や環境に対するリスク
    持ち家は、洪水や、火事、地震、環境の悪化などのリスクを、引き受ける覚悟が必要。
    無論、保険は掛けるにしろ、すべての損害は保証されません。
    最悪、地震などで建物が崩壊しても、賃貸ならば、経済的な負担は最小限です。
  • 住宅ローンの負担がない
    大抵の人は、住宅ローンで家を買います。
    それも35年などの長期間、返済義務が生じます。
    そんな遠い未来、今と同じ様に返済できるのか、甚だ疑問。

こうして書き連ねると、つくづく、持ち家って「ギャンブル」ですよね。
借金して買う場合は、人生を賭けたギャンブル。
では、持ち家のメリットといえば…

  • ある意味、賃貸よりも簡単に入居できる
    お金があれば、ですが。
    仮に現金で買うのならば、賃貸のように収入証明も要らないし、保証人も不要。
    これは、年金暮らしの人などには、メリットです。
    手続きはややこしいけれど、果物やカップラーメンを買うのと、大差ないです。
    持ち家購入時の審査は、正確には「ローンの審査」なのです。
  • トータルコストは低い、はず
    住宅情報誌の特集で、賃貸が安い、持ち家が断然得、とか、結論を出しているけれど…
    そもそも、あの種の記事はポジショントークが多いし、前提条件が違えば、様々な結果となります。
    ひとつ言えるのは、「原理的」には持ち家の方が得。
    土地を用意して、建物を建て、維持管理する費用は、賃貸でも持ち家でも、同じ様に掛かります。
    賃貸は、大家さんが中間マージンを取る分だけ、高くなります。
  • 資産となる
    家や土地は、資産となります。
    担保にしてお金も借りられるし、売れば利益となる。
    自営業や小企業の社長さんなどもそうですが、今後、リバースモーゲッジ(不動産を担保にし、お金を借り、亡くなったら不動産で精算する)などが普及すれば、身寄りのない高齢者は、持ち家に救われるかもしれません。

「ほどいなか」なら、持ち家のリスクは低い?

賃貸と持ち家のメリットを書きだして比較すると、何となく結論めいたモノが導かれます。

  • 長期間で多額のローンは、リスクであり、経済的損失
    ローンの審査が通るとか、そういう問題ではありません。
    そもそも、長期間のローン自体が、ある意味、リスクです。
    35年先の人生などを担保に、お金を借りる怖さを考えましょう。
    夫婦で組むローンなど、離婚リスクもありますよね。
    35年間、同じ人を愛せる自信なんて、幻想です。
    それに。低利とはいえ、長期間ならば金利もバカになりません。
  • ポートフォリオ(資産運用)のバランスがキモ
    例えば、都区内で3LDKの新築マンションを購入すると、五千万円以上は当たり前。
    資産のバランスが、不動産に偏りすぎてしまいます。
    他の資産(現金や債権など)が充分にあれば、問題ありませんが…

    ポートフォリオのバランスが良ければ、災害があってもある程度、吸収できます。
    要はお金(や、他の資産)があれば、何とかなる、ということです。
    賃貸は、そのようなリスクを「直接的」には負わずに済みますが…
    家賃には、リスク代が間接的に含まれていることを忘れずに。

要は、背伸びしないで、安い物件を買えば、持ち家でもリスクが低いのです。
チビチビ、100円単位で競馬をやる限り、破産しないのと同じです。
競馬や胴元が儲かる仕組みですが、不動産は胴元がないので、やり方を間違えなければ、家賃のマージン分、得する確率が高いのです。

ほどいなかでは、どの程度で家が買える?

青梅市内を例に、どの程度で家が買えるのか、シミュレーションしてみましょう。
駅から1分、つまり駅の真ん前の2LDK(55㎡)、陽当り良好のマンションで1,200万円程度。
築20年強ほどですが、管理は行き届いています。
200万円ほどかけて、リフォームして1400万円を全額ローンで購入するとします。
(自己資金なしのローンは、金利が高くなる場合があるので、オススメしませんが)

返済期間10年の場合
金利0.410%(auじぶん銀行 全期間引下げプラン 変動金利)
当初月々、11.9万円
総返済額1,429万円

返済期間20年の場合
金利1.48%(フラット35 全期間固定金利)
月々、6.8 万円
総返済額1,622万円

返済期間35年の場合
金利1.55%(フラット35 全期間固定金利)
月々、4.4万円
総返済額1,815万円

2020年6月の金利で計算しました。
住宅ローンは、基本的に固定金利の方が安心ですが、10年で返済する場合は、リスクも少ないと思われるので、変動金利の商品で計算。
保証料や事務手数料など、別途費用は配慮していません。

月々の返済ですが、ある程度、見通せる期間の10年で12万円、20年で7万円弱。
それにしても、金利の低さが驚きですね。
10年返済の場合、利息分は29万円ですよ。

ちなみに同程度の家を賃貸で借りると、8万円程度。
持ち家マンションの場合、管理費や修繕積立金、固定資産税が別途年間40万円程度かかりますが、20〜25年程度で、賃貸よりお得となりそうです。

上記の結果をみると、「ほどいなか」では、持ち家のリスクも、かなり小さく抑えることが可能です。
少なくとも、都心で5,000万円以上の新築マンションを買うことに比べれば、相当安全です。
ただし、「ほどいなか」の場合、不動産の資産価値は、あまり期待しないほうが良いでしょう。
もっとも、都心の不動産でも、高騰してまい、今後は下がる可能性も高いので、資産価値は怪しいですが…

持ち家も、賃貸も、並行して検討したほうが良い

不動産の安い「ほどいなか」の場合、持ち家も選択肢に入る場合が多いです。
20代後半の方でも、無理なく買える人もいるのでは?

ただ、その土地が自分にフィットするか自信がない場合は、賃貸がオススメです。
移住先が気に入れば、賃貸に住みながら、持ち家を探すのも良いでしょう。
住んで、その土地の特徴を知って、「永住」するのが理想かもしれません。

もっとも、ちゃんとリサーチすれば、いきなり、家を買うのも悪くありません。
何と言っても、安いですから。
賃貸よりも、快適な設備が大半ですしね。
コツコツ貯金をしている人ならば、キャッシュで買える物件も多いですよ。

一軒家は、中古で買うべきか?

中古一戸建ては、住宅診断を

これは、個人的な見解ですが…
中古一軒家を買うのは、結構、見極めが難しいと思います。

マンションの場合、10年に1回程度、大規模修繕工事を行います。
また、ちゃんとした物件ならば修繕記録もあり、契約時に確認出来ます。
(というより、確認出来ないような中古マンションは、買わないほうが良いです)
中古とはいえ、一定水準の修繕が、なされています。

対して、中古一戸建ての場合は自己管理、ヒドい物件も正直多いです。
内装などは、見れば分かりますが、基礎や構造欠陥などは、素人では判りません。
中古一戸建てを検討する時は、住宅診断(ホームインスペクション)をしたほうが良いでしょう。
仲介不動産会社ではなく、第三者が住宅診断をするサービスもあります。
立地条件などで、どうしても買いたい中古一戸建てがあるのならば、それなりの費用(5〜10万円程度)はかかりますが、行う価値はあるでしょう。

新築一戸建てと、どちらが得?

たとえば、青梅市の郊外、駅から20分・30坪の一戸建てが、3,000万円程度で買えます。
中古一戸建ては、リフォームなどを考えると、新築のほうがお得感があります。
土地を買うつもりで、建物はオマケ程度で考えた方が、良いのかもしれませんね。

次回は、住宅の災害リスクについて、考えてみます。
地震国であり、急峻な山地もあり、海に囲まれた日本。
安全な家探しを考察してみます。

テレワーク時代の、「程よい田舎暮らし」を考察する、ほどいなかシリーズ
実際に「ほどいなか」に移住した経験をもとに、連載します。

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