【中央線グリーン車増設・12両化】青梅線は減便?それとも便利に?【2023/4月更新】

2024年度以後、中央線・青梅線の快速列車が、既存の10両から12両編成となります。
グリーン車を2両増設し、普通車にもトイレを設置。
便利になるのは間違いありませんが、一方、青梅市民には懸念も。
現時点で判っていること、そして青梅線の将来を大胆予測します!

中央線・青梅線12両化とは?

グリーン車でゆったり通勤?

2024年度末に予定されている、中央線快速・青梅線快速列車の12両化。
当初は、2023年度を予定していましたが、世界的な半導体不足の影響で、時期が遅れる見込みです。

変革のスピードアップのための投資計画~2022 年度設備投資計画~(PDF)

現在の10両に加えて、2階建てグリーン車を2両、増結します。
グリーン料金はかかりますが、ゆったり都内を往復出来るのは、朗報です。

中央線12両化の列車編成
12両編成のうち、4・5号車が2階建てグリーン車

グリーン車は自由席で、必ず座れるとは限りません。
しかし、今まではほぼ座れなかった、新宿駅からの夕方の下り列車などでも、着席チャンスが広がると予想されます。
乗車時間が長い、青梅線沿線住民としては、嬉しいですね。

12両編成の対象となるのは、中央線快速列車の東京〜大月駅間、青梅線の立川〜青梅駅間で、中央線に直通する全ての列車です。
青梅線内のみで往復する列車は、10両編成が基本となるようです。
また、五日市線や八高線は、対象とはなりません。
現在、朝の通勤時間帯に、五日市線・八高線の中央線直通列車がありますが、2022年3月で運転終了します。

また、グリーン車にはトイレが設置されます。
これも長距離乗車では、メリットですよね。
併せて、普通車にもトイレが設置されます。
普通車の方は、バリアフリー対応となります。

東青梅駅の、ホームの長さが足りない

12両化を実現するのは、意外と大変です。
大半の駅のホームは、10両編成に対応する長さしかありません。
2両分、ホームを40m延長せねば、なりません。

一番、工事が困難なのは、東青梅駅
立川側は、ホームのすぐ前が、踏切。
青梅側は、単線となるポイントがあり、その先は踏切です。

東青梅駅西側
青梅側からの、東青梅駅。
上下線が合流して、単線となる。

また、青梅線は東青梅駅から西側は単線。
東青梅駅の西側で、上下線を合流させているのです。
両端とも、ホームを伸ばしにくい駅なのですね。

東青梅駅は、単線になる

東青梅駅の、苦肉の先

現状では、両端ともホームを伸ばせない東青梅駅。
JRが考えた苦肉の策は、東青梅駅を単線化するアイデイアです。
駅の西側で単線としていたのを、駅の東側で単線にするのです。

東青梅駅・単線化(棒線化)イメージイラスト
東青梅駅・単線化イメージ

下り線を潰して、ポイントが無くなることにより、現在の上り線だけにしホームが延長できます。

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上のアニメーションは、東青梅駅西側を俯瞰したものです。
白い部分がホームとなる予想です。

東青梅駅、12両化ポイント工事
立川方面から、東青梅駅を望む

上の写真は、東青梅駅の立川寄りです。
赤く囲った部分に、単線化するためのポイントが既に敷設されています。
正式な発表はありませんが、東青梅駅の単線化は、決定事項なのでしょう。

【2023年5月追記】
東青梅駅の単線化が、正式発表となりました。

2023/3ダイヤ改正は青梅線・グリーン車化の布石? 東青梅駅は単線にも併せてお読みください。

単線となった場合の、懸念点

  1. 上下線が同じ番線から発車するので、乗り間違えしやすくなる
  2. ホームの片面に、上下線の乗客が並び、混雑する
  3. 単線化により、列車本数が減る

1番目の懸念点は、案内放送や案内表示を充実させることにより、ある程度防げるでしょう。
2番目は、上下線の乗車位置をずらすなどすれば、東青梅駅の乗降客数ならば、対応可能でしょう。
最大の懸念点は、東青梅駅で上下線のすれ違いが不可能となり、現在の列車本数を確保出来ない事でしょう。
果たして、列車本数は減るのでしょうか?

河辺駅・青梅駅の改良工事で、列車本数は確保できる

中央線・青梅線・グリーン車増設12両編成化・河辺駅ホーム増設工事(2022年6月)
河辺駅ホーム増設工事(2022年6月)

結論から先に…
物理的には、現在の列車本数は、確保できます
というのも、東青梅駅・両隣の、河辺駅、青梅駅のホームを増設することが、決定しているから。

青梅線12両化、青梅駅・東青梅駅・河辺駅の線路配置イメージ
東青梅駅は単線に、青梅・河辺駅はホーム増設へ

特に青梅駅では、奥多摩方面への列車が発着します。
ホームが増える事により、柔軟な運行が可能となるのでしょう。
青梅市役所では、東青梅駅単線化によって、列車の運行が現状通り可能かどうか、JR東日本・八王子支社に問い合わせをしました。
青梅駅等での改良工事により、技術的には現在の列車本数は確保できるとの回答でした。
また、当面は列車本数を維持する予定。
青梅市民としては、「とりあえず」ひと安心ですね。

河辺駅を青梅駅の、代わりにするのか?

しかし、長い目でみると、どうでしょうか?
立川方面からの列車は、基本、河辺駅終着とし、奥多摩方面の発着列車を、河辺駅始発とすることが可能となります。
今まで青梅駅が担っていた、乗換駅の機能を、河辺駅とする運用にしてしまうわけです。
それは河辺〜青梅駅間の列車本数が、激減することを意味します。

これは、東青梅・青梅駅の利用状況次第でしょうか?
需要のある路線の減便は、むやみにはしません。

駅名1990年1999年2009年2019年備考
立川114,800人126,791人158,068人166,636人JRのみ
昭島18,450人22,123人25,963人26,016人
拝島15,882人26,653人28,351人29,946人JRのみ
羽村15,564人13,716人14,095人13,687人
小作14,219人16,822人17,525人16,111人
河辺12,323人13,934人13,460人13,417人
東青梅6,644人6,634人6,864人6,493人
青梅8,586人8,027人7,336人6,349人
日向和田707人1,047人978人
御嶽986人678人622人
白丸66人93人79人
奥多摩1,622人1,500人913人866人
青梅線内 駅別乗車人数(1日平均)

上の表は、青梅線内の駅の1日平均の乗車人数です。
青梅駅を境に、ひと桁減っています。
青梅駅以西で一番栄えている奥多摩駅も、2019年には866人と、激減しました。
白丸駅にいたっては、百人にも満たない状況。
東京の過疎地といっても、過言ではありません。

青梅駅を、乗換駅としている理由は、ここから西は、乗車人数があまりにも違いすぎるからです。
この状況が大きく変わらない限り、奥多摩方面行きの列車は、青梅駅始発が中心でしょう。

河辺駅止まりの列車は、増えるのか?

現在でも、河辺駅始発・終着の列車は、各平日6本、休日2本。
朝のラッシュ時を中心に、始発列車を設定しています。
東青梅・青梅駅の乗車人数は1日に6千人強、河辺駅の半分程度です。

現在も河辺駅始発の列車はありますが、全て終着列車の折返し運転です。
ホームが増えることによって、始発列車の運用がしやすくなるでしょう。
よって、河辺駅始発の本数が増える可能性はあります

青梅市民、特に東青梅・青梅駅利用者にとっての関心事は、河辺駅止まりが増え、河辺〜青梅駅間の列車本数が減る可能性、でしょうか?

1990年1999年2009年2019年備考
秋川4,901人6,814人7,362人6,499人
武蔵五日市5,356人4,975人4,698人4,164人終着駅
五日市線 駅別乗車人数(1日平均)

上の表は、五日市線の駅での、1日あたりの乗車人数です。
あきる野市の代表駅・秋川駅で、東青梅・青梅駅とほぼ同乗車人数です。
JRにしてみれば、青梅線・河辺〜青梅駅間は、五日市線と同程度の輸送力で構わないはずです。
現在の青梅線・河辺〜青梅駅間が優遇されているのか、五日市線は冷遇されているのかは分かりませんが…
河辺駅での折返し運転がしやすくなれば、将来、この状況が変わるかもしれませんね。

青梅線
青梅駅発・東京方面行き
←←うち・立川止まり五日市線
秋川駅発・拝島方面行き
106本52本52本

現在、青梅線の東京方面行きの列車は、106本(2021年)。
参考までに、五日市線・秋川駅発・拝島(東京)方面行きは、52本。
平日・昼間は1時間に2本程度の本数です。

本数が違い一律には言えませんが、青梅線では、立川行きの列車は、全て河辺駅発としても輸送能力に不足はない、筈です。

青梅線の将来を、大胆予測

データから紐解く、青梅線の将来

以上のデータなどから、青梅線の将来を予測します。
これは、当サイトの勝手な予測であり、JR東日本や、自治体の見解ではありません。
自分が鉄道会社の経営者ならばこうする、という、妄想です。

  1. 2024年の中央・青梅線の12両化時点では、列車本数は変更しない
  2. しかし、近い将来、基本「青梅〜東京直通」「河辺〜立川」の2本立てとなる
  3. 日中は1時間あたり、東京直通3本・立川〜河辺間を2本程度、結果として、河辺〜青梅駅間は、減便
  4. 五日市線・八高線東京直通列車は、廃止
  5. 青梅〜奥多摩間は、更なる減便でワンマン運行となる

根拠を説明しましょう。
まず、1番目。
河辺駅・青梅駅の工事は、12両化で本数を減らさないため、というのが大義名分です。
12両化して、すぐに減便するのは、反感を買うでしょう。
少なくとも2〜3年は、現状維持すると予想します。

2023年3月のダイヤ改正では、12両化での運用を視野に入れています。通勤時間帯の青梅〜河辺間は、列車を詰め込めなかったのか、少し減便しましたが、ほぼ現状維持といって良いでしょう。

2番、3番目については…
そうは言っても、河辺〜青梅駅間は、乗客が少ないのも事実。

直通運転を増やす理由は、グリーン車で増益を図る狙いがあります。
東京〜青梅間のグリーン料金は、平日1,000円、ホリデー800円(事前料金)。
新宿までなら平日780円、ホリデー580円。
グリーン車は、短距離では乗らないでしょう、大抵は。
プラス580〜1,000円出して乗るのだから。

ちなみに、青梅・東青梅駅から乗降する人の1割が、グリーン車に乗るとすると…
それだけで、一日あたり、200万円程度、年間で7億円ほどの売り上げとなるでしょう。
2019年度の青梅線の売り上げ(旅客運輸収益)は90億円弱、経営的には、魅力的な金額です。

コンスタントに直通列車を走らせれば、グリーン車での増益となります。
中央線快速は、1時間に1〜2本、立川止まりの列車があります。
ダイヤを上手くやり繰りし、中央線直通を増やすと予想します。

五日市線・八高線の東京直通列車は?

4番目の、五日市線・八高線の東京直通列車について。
現在、平日朝2本、休日1本のみ、五日市線・八高線の東京直通列車が運行されています。
拝島駅で、五日市線6両と、八高線4両を連結しての運行。
12両編成化すると、五日市線各駅のホームの長さが、足りなくなりますが…
2022年3月のダイヤ改正で、五日市線・八高線の中央線直通運転は廃止。
詳しくは、下記の記事をご覧ください。

廃止の理由は、八高線をワンマン運転するから。
12両編成かとは別の理由で、あっさり廃止ですね。同じく赤字路線の五日市線も、どこかのタイミングでワンマン化されるのでしょうか?

青梅〜奥多摩間は、減便は避けられない?

5番目に、青梅〜奥多摩駅間の減便について。
東京都の人口予測では、2030年には、奥多摩町の人口が現在の約3分の2の3,500人程度と見込んでいます。

単純に乗客が3分の2になるとすれば、1時間に1本程度の運行となるでしょう。
本数だけではなく、短い2両編成でのワンマン運行をするでしょう。
極論ですが、青梅〜奥多摩間の所要時間は32分程度、1時間に1本程度なら、1編成だけでピストンすれば事足りるわけです。

減便を防ぐには?

現在の状況をもとに、青梅線の将来をシミュレーションしてみました。
やや、悲観的な予測となりました。
乗降客から推測すると、数年後、河辺駅始発・終点の列車が増える可能性は、高いと思います。
それを防ぐには、河辺駅以西の青梅線を活性化する以外ありません。
沿線人口を増やし、観光を活性化するなどの施策が必要でしょう。

特に、奥多摩町の人口の減少が、気になります。
2020年には、ついに5千人を割り込み、20年前の3分の2以下となりました。
とはいえ、明るい話題がないわけではありません。
テレワークなどの普及により、田舎暮らしが定着する兆しもあります。
知恵を絞って、新しい方策を打ち出すことが肝心ですよね!

平日は、特急より高い? 快速のグリーン料金

ところで、快速・特快・通勤快速(普通列車)のグリーン料金は、幾らくらいでしょうか?

平日・快速
グリーン車事前料金
休日・快速
グリーン車事前料金
特急指定席
チケットレス料金
新宿〜立川・八王子・青梅780円580円660円
東京〜立川・八王子780円580円660円
東京〜青梅1,000円800円920円

2022年7月現在で、特急列車(あずさ・おうめ)の指定席料金と比較してみましょう。
グリーン料金は、平日と休日では異なります。
休日は、少し安くなりますが… 平日だと、なんと特急より高い!
途中で特急に抜かされることもあるのに、不思議な料金形態ですね。

中央線快速にグリーン車が導入されれば、おそらく「特急おうめ」は廃止となるでしょう。
通勤で今まで愛用している方は、ちょっと残念な結果となりそうですね。

平日・東京〜青梅間をグリーン車で移動すると、乗車券940円を加えて1,940円。
庶民としては、中々、悩みますね。

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