テレワーク時代の、「程よい田舎暮らし」を考察する、ほどいなかシリーズ。
実際に「ほどいなか」に移住した経験をもとに、連載します。
住まいを選ぶ
- 程よい田舎に住む、という選択
- 程よい田舎へ移住する、理想と現実と金勘定
- 山派?海派?失敗しない、候補地選びのコツ
- マンション?戸建て?程よい田舎の、不動産屋が言わない、家選びのコツ
- 賃貸か持ち家か、程よい田舎では、どっちが得?
- 程よい田舎は、災害にも強い?災害大国日本の、リスクマネジメント
- 二千万円もお得?リタイアしたら、田舎で暮らす、メリットとは
- 都心でも、盛土?東京の造成地の、驚くべき実態
- 住居費と通勤時間を、経済的視点で計算すると…
暮らしは?
- 程よい田舎では、車は必需品?それとも不必要?
- 地産地消も楽しめる?程よい田舎の買い物術
- 地域格差をなくす?程よい田舎の、オンラインショッピング事情
- レストランはある?程よい田舎の外食事情
- 遠隔連携医療で変わる?程よい田舎の、医療の今と未来
- 学力、いじめ問題、健康…程よい田舎は、教育のユートピアか?
- 古くて新しい子供の遊び方「プレーパーク」とは
- 意外と便利?田舎での車なし・自転車生活
仕事は?
青梅・西多摩地区への移住
コロナ禍で、いきなり脚光を浴びた、テレワーク。
オフィスに縛られず、仕事をするスタイルですが、問題は日本の住宅事情でしょうか。
程よい田舎=「ほどいなか」では、住居費が安く比較的環境は良いのですが…
それでも急な来客や気分転換で、家以外でも仕事がしたくなるでしょう。
では「家」以外では、どこで仕事するのが良いでしょうか?
目次
ファミレス? カフェ? 図書館? ほどいなかの、テレワーク事情
ノマドワークって、胡散臭い?
2010年代前半、「ノマドワーク」なる働き方が、話題になりました。
ノートパソコンの高性能化と、公衆Wi-Fiなどの通信インフラの整備。
テクノロジーの進歩で、「場所を選ばない」働き方がノマドワークです。
ただ、どこか胡散臭かったのも事実。
スタバでマックブックを広げドヤ顔をする「意識高い系」、みたいなイメージで語られました。
その背景として…
そもそも、わざわざなぜ「外で仕事」をしなければならないのか、というギモンがあったのでしょう。
当時は、テレワーク(在宅勤務)も一般的ではなく、個人事業主ならば、家で仕事をすれば良いのでしょう。
要は、「仕事をする自分」を自己顕示したかった、という印象だったのです。
コロナは、パンドラの箱を開けた
時代は移り変わり、総務省がテレワークを後押しをし始めます。
働き方改革の一環というより、東京オリンピック対策。
実は、働き方改革は厚生労働省のプロジェクト、総務省としては独自の草案を打ち出した、いかにも縦割り行政的な話です。
話が、脱線しました。
東京オリンピック時の、交通渋滞などの対策として、テレワークを浸透させる試みは、あまり成功しませんでした。
そりゃそうですよね、たかだか2週間程度のオリンピックのために、テレワークに投資する企業など、そう多くありません。
しかし、コロナウイルス感染症で、話は急展開。
緊急事態宣言で、一気にテレワークが一般的となりました。
内閣府の調査(PDF)では、34.5%の人が何らかの形で、テレワークを経験。
また、テレワーク経験者の86%は、今後もテレワークを利用したい、との結果です。
つまり、テレワークのほうが、メリットのほうが大きい、と判断する人が多いのです。
仕事はオフィスでなければできない、というのは、どうやら幻想のようです。
もちろん、製造の現場や医療など、テレワークが難しい業種もありますが…
コロナは、パンドラの箱を開けてしまったのです。
胡散臭かった「ノマドワーク」の観念が、受け入れられ始めた、とも言えます。
テレワークは、家が基本だけど
以前、テレワークに、書斎は必要?程よい田舎の仕事術という記事を書きました。
テレワークには書斎、少なくとも、きちんとしたデスクはあったほうが良い、と。
そして、そのスペースを確保するには、程よい田舎=「ほどいなか」に住めば可能です。
そうは言っても、来客があったりすると落ち着きません。
完全な書斎があれば別ですが、リビングのデスクで仕事をしている人など、特に。
たとえば、子供のお誕生日パーティーの横で、シコシコ仕事なんて出来ませんし。
また、気分転換で外に行きたい、というのもあります。
通勤は苦痛でも、だから家に籠もりっぱなし、というのも、意外と疲れます。
では、どこで仕事をすれば良いのでしょうか?
集中するなら、図書館
仕事をするスペース、といえば、コワーキングスペース・テレワークスペースなどを思い浮かべるかもしれませんが…
まだまだ少なく、特に住宅地には皆無です。
しかし、日本には、公共図書館があります。
図書館には、観覧スペースや自習室が完備されています。
もちろん、無料。
昔ほどではありませんが、夏休みなどは、学生が勉強しています。
静かな館内は、仕事をするのにうってつけです。
最近の図書館は大抵、Wi-Fiが完備されています。
利用方法は、図書館によって違います。
中には、利用者登録を申請しないと、SSID(アクセスポイントの識別名)が使えないこともあります。
電源が使える図書館も、結構あります。
元々、勉強をするための施設、机や椅子はとても良好です。
最近の図書館は、雑誌や新聞コーナーはくつろげる椅子、学芸書のコーナーはじっくり読むための椅子と、ゾーニングされています。
仕事に疲れたら、ソファーで休む、なんてのも可能です。
また、当たり前ですが、資料が豊富なのが図書館の良いところ。
今どきの図書館は、ネットでも蔵書検索が出来るので、便利です。
もちろん、図書館自体にも、検索用のPCがありますし。
意外と便利なのは、「この本、図書館にあります」というブラウザのプラグイン。
これをchromeに組み込むと、アマゾンのページで、図書館に蔵書があるか、確認できます。
アマゾンの洗練された検索スキームで、タダで本を読めるわけです(笑)
と、良いことずくめの図書館ですが…
図書館の難点は、学生が多く、夏休みなどは座席が確保しにくいこと。
これは、結構、図書館によって差があります。
また、原則、飲食は禁止です。
最近は、飲食可能なスペースもある図書館もありますが、まだまだ少数でしょう。
食べ物はともかく、飲み物も一切禁止なのは、結構辛い。
ペットボトルも禁止の図書館も、多いです。
蔵書が汚されたり、水濡れする可能性があるからでしょう。
ペットボトルなら蓋があるからと思いきや、結露で本がビショビショになるトラブルも結構あるそうな。
その代わり、といってはナンですが、図書館には冷水機があります。
トイレのついでにでも、水分補給をしつつ、仕事をするしかありませんね。
コーヒー片手に仕事、という人には向きません。
ファミレスは穴場?
図書館は良いけれど、飲食できないし…
そういう人は、ファミレスです。
入店すれば、強制的に飲食せざるを得ません。
長居して良いのか、はともかく。
ファミレスの良いところは、ドリンクバーがあることでしょう。
なんせ、好きなだけ、コーヒーやお茶、ソフトドリンクが飲めるのは、魅力です。
Wi-Fiは、チェーンごとに方針が違います。
例外はありますが、大体こんな感じ。
フリーWi-Fi | 利用制限 | |
---|---|---|
ガスト | ◯ | 60分×1日3回 |
バーミヤン | ◯ | 60分×1日3回 |
ジョナサン | ◯ | 60分×1日3回 |
デニーズ | ◯ | 60分×1日3回 |
サイゼリヤ | – | – |
びっくりドンキー | ◯ | 無制限 |
COCO’S | 東京・神奈川・千葉・埼玉の一部店舗 | 無制限 |
ロイヤルホスト | – | – |
ビッグボーイ | – | – |
ジョイフル | ◯ | 無制限 |
ステーキのどん フォルクス | ◯ | 無制限 |
大手では、すかいらーく系(ガストやジョナサン、バーミヤン)・デニーズはWi-Fi完備、サイゼリヤ・ロイヤルホストは使えません。
ファミレスの良いところは、店員さんにあまり干渉されないこと。
だからといって、むやみに長居するのは、マナー違反ですが。
上のWi-Fi利用状況では「無制限」となっているお店でも、3時間接続すると、一旦、解除となる仕様が多いです。
つまり、最大でも3時間以上は勘弁してくれ、みたいな暗黙の了解なのでしょう。
また、テーブルが広いのは魅力。
カフェと比べて、圧倒的に広いです。
難点は、椅子が仕事向きでは無いこと。
椅子がクッションが効きすぎで、高さも少々低い。
また、ボックス席の場合は、椅子が全動かせない場合も。
とはいえ、長時間、仕事をするのには不向きですが、食後などに小一時間ほど仕事をするには、良いのでは。
元相、ノマド御用達の、カフェは?
ノマドワーカー御用達のスタバを始め、カフェチェーン店は、その殆どがWi-Fi完備です。
元々、外回りの営業などが休憩し、需要が高ったのか、早くからWi-Fiが使えました。
対抗上、個人経営の喫茶店やカフェも、Wi-Fi利用可能なお店が多いです。
カフェチェーンは、価格帯によって、座席の造りが結構違います。
ドトールなどの比較的安いチェーンは狭め、コメダなどは広めのテーブルです。
狭めのテーブルの場合、食事メニューをオーダーすると、ノートパソコンを置けなかったりします。
どちらにしろ、ステーキを食べることを前提としたファミレスに比べれば、狭いでしょう。
大抵は、椅子も、褒められたものではありません。
ファミレスもそうですが、飲食店はいかに回転率を上げるかが、収益を左右します。
良い椅子を置く理由がない、のです。
もっとも、コメダ珈琲に代表されるレトロ系珈琲チェーンや、スターバックス、エクセルシオールなどの中価格帯のお店は、中々良い椅子のお店もあります。
ファミレスがWi-Fiを完備した今、「わざわざ」カフェチェーンへ行って、仕事をするメリットは何でしょうか?
美味しいコーヒーが飲みたい、とか、雰囲気が良いから、みたいな、直接、仕事は結びつかない理由だけかなと。
ネガティブなことを書いてしまいましたが、気分転換は大切な要素。
人間、理屈だけではないですから。
家や会社では得られない居場所を求めるのならば、良いですよね。
無理やり、まとめると…
どこで仕事をするか、まとめてみます。
やや、無理やりですが…
コスパ | 静寂性 | 飲食 | 仕事のしやすさ | 長居しやすいか | |
---|---|---|---|---|---|
コワーキングスペース | ×〜△ | ◎ | ◯ | ◎ | ◎ |
図書館 | ◎ | ◎ | × | ◯ | ◎ |
ファミレス | △ | △ | ◎ | △ | △ |
カフェ | △ | ◯ | ◎ | △ 〜 ◯ | △ 〜 ◯ |
ファーストフード | ◯ | × | ◎ | △ | △ |
自宅 | ◎ | ? | ◯ | ? | ◎ |
会社のオフィス | ◎ | △ | △ | ? | 長居を 強いられる? |
「仕事にしやすさ」は、椅子やテーブルの良し悪しなど、仕事に向いた環境かどうか、です。
「静寂性」「仕事のしやすさ」さえ整備すれば、自宅は最強ですね。
図書館は飲食が出来ないことを除けば、かなり良いのでは?
会社のオフィスは、筆者の主観です(笑)
【2021年1月補足】
自治体などでも、テレワーク環境を推進し始めました。
市民センターなどを活用する取り組みです。
詳しくは、こちらの記事を御覧ください。
フリーWi-Fiは、安全か?
認証の方法にも依りますが、Wi-Fiに対し、あまり安全性を期待しないほうが良いでしょう。
悪意を持った人間ならば、盗聴される危険性があります。
しかし、インターネットそのものが、他者の整備した回線を経由して通信しています。
また、その経路はユーザーの意思とは関係なく決められます。
だから、安全性に関しては、SSLなどの秘匿性の高い方法で、通信したほうが良いのです。
仮に、盗聴されたとしても、解読できなけば安全、というわけです。
ブラウザならば、”https”から始まるサイトならば、SSLです。
まともなショッピングサイトやネットバンキングなどは、今どきSSLです。
まあ、外でネットバンキングなど使わないでしょうが…
また、大手のクラウドサービスも、安全です。
Wi-Fiの安全性も大切ですが、それ以上に気を付けるべきことは、「画面の覗き見」です。
外で仕事をすれば、その可能性があります。