【ほどいなかに住もう】その6…程よい田舎は、災害にも強い?災害大国日本の、リスクマネジメント

前回は、「ほどいなか」=程よい田舎での家選びについて、賃貸、持ち家のメリット・デメリットを考察してみました。
今回は、災害リスクの少ない家選びについて、考えてみます。

●ほどいなかの、災害リスク

様々な災害リスク

災害大国の日本。
世界有数の地震国であり、火山国です。
加えて、海に囲まれた地形は、台風の被害も甚大です。

風光明媚な場所は、自然災害が多いでしょう。
美しい裾野の富士山は、火山活動の結果ですし、白砂の海岸も津波のリスクがあります。
渓谷美は、土砂災害があります。
自然豊かな「ほどいなか」は、リスクが高い場所も、多いのでしょうか?

日本に住む限り、多かれ少なかれ、地震や台風の被害から、逃れません。
しかし、リスクの高い場所があることもまた、事実です。
やはり、移住先を選ぶ際、なるべくリスクの少ない所を選びたいですよね。
また、リスクが分かった上で、その場所に住むのと、そうでない事の差も大きいです。
イザというときの備え、運悪く災害に巻き込まれても、早めの対処で被害を軽くできる可能性もあります。
主な自然災害を、挙げてみましょう。

地震

4つのプレートの境界線の日本では、全国的に地震の被害から、逃れられません。
安全と思われていた地域でも、想定外の地震が起こる事も多いです。
損害保険は、地域によって保険料が違います。
当然、リスクの高い地域は、保険料が高くなります。
福島県は、東京などに比べ、三分の一程度。
「安全」なはずの場所ですが、それでも、東日本大震災では、甚大な被害が出ました。

出典:文部科学省・地震調査研究推進本部Webサイト

台風・大雨

四方海に囲まれた日本は、強い勢力の台風が、上陸します。
また、梅雨前線や秋雨前線の活発化で、長時間の雨に晒されます。
洪水による被害、土砂災害などを、引き起こす可能性があります。

2019年・台風19号で流された、御岳渓谷の橋

火山

日本には、111もの火山があります。
最悪の場合、文明を滅ぼす威力を持った、巨大カルデラ火山もあります。
四国には火山がありませんが、7300年前、鹿児島沖50kmの海底火山・鬼界カルデラが爆発した時、四国の縄文人は絶滅。
この日本に、絶対に安全な場所は、ありません。

出典:気象庁Webサイト

●リスクの低い、家の見つけ方

地震は、地盤が大切

移住先を選ぶ際、予め、地震での揺れやすさを把握します。
地震は、地盤によって揺れ方が変わります。
地質の良い場所は、同じ震度でも揺れにくくなります。
朝日新聞の揺れやすい地盤 災害大国 迫る危機で、揺れやすさ(表層地盤増幅率)を住所で検索できます。

表層地盤増幅率は、数値が高いほど、揺れやすくなります。
一応の目安として、1.5を超えると注意が必要です。
2.0を超えると、相当地盤が弱く、要警戒。
東京の場合、地域でかなり違います。
たとえば…

  • 江戸川区船堀1丁目… 2.41
    海面よりも低い、海に近い住宅地。江戸川も近くに流れる。
  • 荒川区西日暮里1丁目… 2.37
    東京の下町。荒川近く。
  • 豊島区池袋1丁目… 1.64
    武蔵野台地の繁華街。
  • 杉並区荻窪1丁目… 1.48
    東京郊外、武蔵野台地の住宅地。
  • 立川市曙町1丁目… 1.23
    多摩川中流の町。武蔵野台地で比較的平ら。
  • 青梅市東青梅1丁目… 0.85
    関東平野の西端の町。山地が近い台地。
  • 奥多摩町氷川100… 0.57
    多摩川上流の町。平野がほとんどない山間。

西高東低、ならぬ西低東高です。
やはり、海の近くの埋め立て地は揺れやすく、台地は比較的揺れにくい傾向ですね。
大名屋敷が、台地にあったのも頷けます。
山間部(奥多摩町)は、台地よりさらに揺れにくいですね。

山間部は、土砂災害リスクはあり別の意味で注意は必要ですが、地盤に関しては優等生です。
また、川の流域も揺れやすい傾向です。
関東の場合、特に大河が並行している、荒川・江戸川流域は、中流でもあまり地盤を良くないです。

表層地盤増幅率が2倍になると、震度が0.5上がる(たとえば震度6→震度6強)といわれています。
東京沿岸部と西部では、同じ地震でも、震度1程度変わることとなります。
強い地震の場合、この差は大きいでしょう。

東日本大震災でも壮絶な被害となりましたが、地震による津波も大きなリスクです。
想定される地域は、国土交通省の重ねるハザードマップで確認できます。
また、海岸線のある自治体では、津波のハザードマップを公開しています。
海辺の町へ移住する方は、要チェックです。

水害・土砂災害

台風や大雨のリスクですが…
大きな河川の近くは、やはりリスクが高いでしょう。
国土交通省の重ねるハザードマップで確認できます。
また、自治体でも、ハザードマップを公開しています。

マンションの洪水リスクは、住宅情報サイトのライフルホームズでも検索できます。
また、仲介する不動産会社に、資料を請求しましょう。

河川の氾濫ですが…
同じ川でも左岸と右岸とで、堤防の高さが違う場合があります。
たとえば、荒川の下流部などは、都心側は高く、江戸川区側は低いのですね。
当然、低い方へ水は溢れ、洪水となります。
これは、お上は公には言わないけれど、都心を守るためでしょう。
造った当初は、江戸川区側は田畑が多く人も少ないから、ある程度の犠牲は厭わない、とも邪険できます…
急速に住宅地となった地域は、このようなリスクがあるかどうか、リサーチしたほうが良いでしょう。

土砂災害も、国土交通省の重ねるハザードマップや、自治体のハザードマップで確認しましょう。
山間の建物もそうですが、川近くの崖に建てたマンションなどは、土砂災害のリスクがあります。
中には、こんな所に造るのか、という傾斜地のマンションもあります。
エントランスが5階くらいで、1階の人はエレベーターで下るようなマンションもあります。

土砂災害や地すべりのリスクのある場所は、不動産の契約時に業者は説明義務があります。
誠意のない不動産業者の場合、セールスの時は、言わないこともあります。
契約時の「重要事項説明」には盛り込まれています。
疑問点があれば、納得のいくまで、しつこく質問したほうが良いですよ。

火山のリスク

巨大火山噴火は、ひとつの文明をいとも簡単に、滅ぼしてしまいます。
例えば、ベスビオス火山の爆発で、火砕流に埋まってしまったポンペイなどは都市が消滅しました。
日本でも、仮に、九州の鬼界カルデラで大規模な噴火が起これば、関東にも大量の火山灰が降り、おそらく日本の半分以上は、壊滅状態となるでしょう。
ただ、そこまで心配していては、住む所が無くなりますよね。

災害は、規模が大きければ頻度は少なくなり、小さければ頻繁に起こります。
火山のリスクに関しては、とりあえずは、火山の中に住まないことでしょう。
火山の中に住む人なんているの、と思うかもしれませんが、箱根や阿蘇などでは、普通に町があります。
伊豆大島なども、島全体が火山ですよね。

火山近くの町では、ハザードマップが作成されています。
火砕流や火砕サージ(高熱の爆風)、火災泥流などがシミュレーションされています。
それらを参考にし、リスクを把握しましょう。

●リスクをどの程度、容認するのか?

リスクがあるから、ダメなのか?

筆者の住む、東京都・青梅市には、多摩川沿いに多数のマンションが建てられています。
多摩川の土手の急傾斜に、清水寺のように建てられたマンションもあります。
当然、土砂災害警戒地域に、指定されています。

そのような場所に住むべきではない、のかもしれません。
ただ、災害がなければ、ベランダから多摩川が一望できる、素晴らしいロケーション。
それなりに対策を取って、建築許可が降り、施工されているのだから、土砂災害に合う確率は低いのでしょう。

要は、そのリスクを容認できるのか、ということです。
リスクと引き換えに、何かしらのメリットがあるのなら、それを受け入れるのは、その人の人生観です。
家族がいる場合は、自分だけの問題ではないのが思案のしどころですが…

海辺の町に暮らす人も、同じですね。
海が近くにあり、海が好きでそこに暮らすのなら、津波のリスクを知りつつ住むのなら、他人が干渉する話ではありません。
でも、リスクを知らずに、それを背負って生きるのは、虚しいですよね。

山に近い、台地が安全?

なんか、人生論めいてきましたが…
そうはいっても、安全な場所に住みたいですよね、やっぱり。
これまでの話しをまとめてみると…

  • 水の近くはNG
    洪水や、津波のリスクがある。
  • なだらかな地形が良い
    土砂災害や地すべりがない。
  • 地盤が良い場所を選ぶ
    下町より台地、それも、山間部に近い場所がベター
  • 火山が近くにない

つまり、山に近い台地に住むのが安全ということになります。
東京近郊ならば、関東平野の端っこで、川から離れている場所、が良いでしょう。
もちろん、個々の状況を調べて移住すべきですが、傾向としては、このような結論となります。

ポジショントークを、するつもりはありませんが…
そのような場所を選べば、都心に住むよりも、災害リスクは少ないでしょう。
特に、湾岸や下町に住んでいる方は、かなり安全になります。
つまり、「ほどいなか」への移住は、災害という観点からも、有意義なのです。

次回は、「ほどいなか」の交通事情、自家用車について、考えてみます。