テレワーク時代の、「程よい田舎暮らし」を考察する、ほどいなかシリーズ。
実際に「ほどいなか」に移住した経験をもとに、連載します。
住まいを選ぶ
- 程よい田舎に住む、という選択
- 程よい田舎へ移住する、理想と現実と金勘定
- 山派?海派?失敗しない、候補地選びのコツ
- マンション?戸建て?程よい田舎の、不動産屋が言わない、家選びのコツ
- 賃貸か持ち家か、程よい田舎では、どっちが得?
- 程よい田舎は、災害にも強い?災害大国日本の、リスクマネジメント
- 二千万円もお得?リタイアしたら、田舎で暮らす、メリットとは
- 都心でも、盛土?東京の造成地の、驚くべき実態
- 住居費と通勤時間を、経済的視点で計算すると…
暮らしは?
- 程よい田舎では、車は必需品?それとも不必要?
- 地産地消も楽しめる?程よい田舎の買い物術
- 地域格差をなくす?程よい田舎の、オンラインショッピング事情
- レストランはある?程よい田舎の外食事情
- 遠隔連携医療で変わる?程よい田舎の、医療の今と未来
- 学力、いじめ問題、健康…程よい田舎は、教育のユートピアか?
- 古くて新しい子供の遊び方「プレーパーク」とは
- 意外と便利?田舎での車なし・自転車生活
仕事は?
青梅・西多摩地区への移住
自然豊かな「程よい田舎=ほどいなか」では、教育・子供の遊びも、選択肢が広がります。
最近注目されるのが「プレーパーク」。従来の公園とは違い、お仕着せの遊具ではなく、子供に自主性にまかせて遊ぶ、新しい公園・遊びのあり方です。
西多摩エリアを拠点に活動する「(特非)子どもと文化のNPO 子ども劇場西多摩」の試みを参考に、古くて新しい子供の遊び方を考えてみます。
目次
子供の遊び方から考える、移住先とは?
「自然の遊び方」を知らない世代が、親になった
任天堂が、初代ファミコンを発売したのが1983年、もう38年ほど経ちます。良くも悪くも、この時代を境に「子供の遊び方」が大きく変わった、のではないでしょうか?
コンピューターゲームは面白い。仮想体験とはいえ、有意義なものも数多くあります。eスポーツのプロゲーマーように、職業として生計を立てることすらあります。
一方で、仮想体験は「仮想」でしかないのも事実。
コンピューターで再現できるのは、主に視覚と聴覚。5感のうち触覚・味覚・嗅覚は体験できません。また、視覚や聴覚であっても、現実空間での情報量にくらべ、圧倒的に少ないでしょう。
コンピューターゲームも良いけれど、野山や川で遊び、学ぶことも多い筈。それはコミュニケーション能力だったり、危機管理能力であったり。
森の中で生まれた霊長類たる人間は、自然の中での触れ合い(関係性)こそが学習。自然の中で自由に遊ばせることが、子供の教育にとって大切といえます。
実際、自然体験が多い子供ほど自己肯定感が高い、という調査結果が…
「自然体験が多い」子供は「自己肯定感が高い・やや高い」が67%に対し、「自然体験が少ない」子供は33%。倍以上違い、これほどまでに、如実に関係があることに驚かせます。
自然の中で遊ばないと、自分に自信が持てないまま、成長する可能性が高いのですね。
ところが、今の親世代自体が、生まれた時からファミコンのある環境です。自分自身が、自然の中で遊ぶことを知らない。特に都市部で育った人たちは、機会がほとんどなかったのでは?
プレーパークという試み
昭和40年代くらいまで、子供はそこらの「原っぱ」で遊んでいました。材木置場や遊休地、畑や河原など、他人の土地でも勝手に入って、遊んでいたわけです。
筆者も子供の頃、材木置場に登ったり、造園業の庭石で秘密基地を造ったり。今考えると、長閑というか、危ないですよね。
でも、現在ではそうもいきません。権利意識も高くなり、また、事故の責任問題などを考えると、子供とはいえ、好き勝手に遊べないわけです。
そのような中、「プレーパーク」という試みが、徐々に始まります。
従来の公園と違い、整備しすぎた空間ではなく、子供の想像力を活かす遊び場です。
都市部では、自然の中で遊ぶ、といっても毎日、野山の中で遊ぶのは現実的ではない。そこで、旧来の公園を活かし、なるべく子供の自主性を活かす遊び場を造る試みです。
つまり、プレーパークとは、なんのことはない「子供の冒険場」です。
また、プレーパークでは、地域のNPO法人などの協力で、スタッフに相談できるのも魅力。
責任の所在は親にあるにせよ、「自然の遊び方」が苦手なお父さん・お母さんでも、安心ですよね。
ヨーロッパでは、古くからプレーパークがあります。日本では世田谷や武蔵野市など、教育水準の高いエリアから、徐々に広がり始めています。
でも、都市近郊の公園よりも、自然豊かな場所のほうが、よりプレーパークとして最適ですよね?
そこで、程よい田舎のプレーパークです。
程よい田舎とは、都市生活もそこそこ充実し、都心への通勤も可能、ライフスタイルをさほど替えなくとも暮らせる田舎です。
何度か通って気に入れば、住んでしまえば良いかも。
いや、冗談ではなく、伸び伸び遊ぶ子供を見ていると、程よい田舎は、子育てに良い環境だと気が付きますよ。
予め、プレーパークで「公園デビュー」すれば、地域コミュニティにも溶け込みやすいですしね。
青梅・森もり♪あそぶプロジェクト
里山のキャンプ場が、プレーパークに!
ちょっと、堅苦しい話が続きました…
ここからは、プレーパークの魅力を紹介!
自然豊かなプレーパークの成功例、青梅市で行われている「森もり♪あそぶ プレーパーク」をリポートします。
主催は(特非)子どもと文化のNPO 子ども劇場西多摩、西西多摩エリアで主に子どもと(大人が)一緒に活動を作り続けているNPO法人です。最近では、「子供食堂」的な活動なども行っています。
「森もり」は、青梅市の里山にある、「風の子太陽の子広場」で開催。沢の源流部にある、丘陵に囲まれたキャンプ場です。
キャンプ場手前まで車で入れますが、市の施設で、いわゆるオートキャンプ場ではありません。
近隣の青梅の森は、雑木林の里山。春や秋などは、美しい森が広がります。
また、永山丘陵もすぐ近く。冬の空気の澄んだ日ならば、都心方向から、日の出が望めるスポットも。
このような自然に囲まれたキャンプ場で行われるプレーパーク、魅力的だと思いませんか?
遊び方は、子供に任せる
「森もり」は、基本、毎月第3日曜日に開催。まずは受付。予約は不要で、飛び入り参加もOKです。
よほどの事がないかぎり、スタッフは口出ししたり、遊びの制限はしません。その代わり、遊びは自己責任です。
この日は、幼児から小学校高学年くらいまで、親子で参加していました。
斜面を活かした滑り台。遊び方は自由だし、滑り方の説明など一切しない方針。
結構な斜面で、意外と登るのが難しい?
ヘッドスライドで落ちてしまいました!上手く滑れないで泣いちゃう子もいるけれど、それも良い体験でしょう。
お絵かきコーナー。家で落書きすると叱られるから、ここで発散?
子供の絵は、上手く描こうと思わないから、ピカソもビックリな抽象画がお得意です。
昔子供だった人も、描き始めます。子供に独占させるのは、もったいない?
山の斜面の木に吊った、ハンモック。高学年の子は、ブランコ代わりにしちゃいます。
大きく振ると、地上から3mくらいあり結構な高度感、オトナだと逆に怖いかも。
木陰で、お寝んね。
森といえば、やっぱり虫取りでしょう。
保護色のカマキリ、捕まえられるかな?
こんなところにも、居るんだ。
大漁ですね。
コマ回し、ベーゴマは、どちらかというと、オトナが熱中。人が遊んでいると、闘争心に火が付くんですよね。
川の源流部だから、池もあります。水遊びも出来ますよ。一応、池で鯉を飼っているので、釣ったらだめですが。
ロープ渡りです。ママ、こわいよ、こわいよ?
オレが見本を披露する、とスタッフが意気込むも、ギャラリーは無し。時は過ぎ去り、子供は、他の遊びに見中です。
ジブリとかに出てきそうな、シチュエーション?
付近は花も咲きますが、希少植物もあるので、見るだけにしましょう。
焚き火で遊ぶ、食べる
広場の中心部で、焚き火が始まりました。
予め主催者が、焚き火の許可を取っているので、気軽に楽しめます。
昼食やおやつが必要な方は、水筒、お昼(おにぎりやお弁当)や、焼きたいものなどを、持参ください。
2022年2月から、焚き火行為が禁止となりました。お昼持参の方は調理済みのものをご用意ください。
冷凍のたいやきに、ウインナー。
ご飯を炊く人も。「峠の釜めし」の再利用、これだと、美味しく炊けるそうです。
結構、強い炎。
「わんぱくでもいい、たくましく育ってほしい」の丸大ハムのコマーシャルを思い出すかも?1970年代の話で、昭和の人しか判らなくて、スミマセン。
アルミホイルに包んで焼いた、サツマイモ。ホクホク美味い。
ここまで凝った造る参加者も。物欲しそうな顔をしていたら、ご馳走してくれました(笑)
料理は面倒、という向きには、お湯を貰ってカップラーメンでも充分楽しいです。
「森もり」は、帰るのも自由です。時間が出来たら足を運びましょう。
大人も子供も、プレーパークで遊びなれたら、今度は自分たちだけで挑戦するのも良いでしょう。なんといっても、野山が近くにあるのだから。
なお、2023年度より、青梅市・新田山公園での開催となりました。
市街地に残る雑木林を活かした、自然豊かな公園です。
インフォメーション
森もり♪あそぶ プレーパーク について
●開催場所
青梅市・新田山公園 ログハウス裏側付近
住所… 東京都青梅市新町7-33
●開催日時
毎月第3日曜日
2024年の予定 4月21日、5月19日、6月16日
※開催時間:10:00〜15:00
日時の変更等は、主催者Facebookにて告知します。
●料金
無料
●主催者
(特非)子どもと文化のNPO 子ども劇場西多摩
コミュニティアート事業部 あそぶあーと
森もり♪あそぶWebサイト
2022年2月から、焚き火行為が禁止となりました。お昼持参の方は調理済みのものをご用意ください。
問い合わせ先
●(特非)子どもと文化のNPO 子ども劇場西多摩
Webサイト… https://asobuart.jimdofree.com
住所… 東京都青梅市勝沼3-78 KTホール2F
電話… 0428-24-8981
テレワーク時代の、「程よい田舎暮らし」を考察する、ほどいなかシリーズ。
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