二俣尾駅からか辛垣城へ、野生ラン咲く、初夏の青梅丘陵

標高約400mの低山が連なる、青梅丘陵。
駅から直接歩ける、手軽なトレッキングコースです。
戦国時代の山城・辛垣城跡に思いをはせる山旅です。
初夏は野生ラン・クモキリソウをはじめ、貴重な野草も咲きます。

かつての山城を訪ねる、里山歩き

二俣尾駅から、名郷峠へ

鎌倉時代から室町時代後期に、現在の青梅付近を統治した三田氏。
小田原・北条氏の侵略に備え、青梅丘陵に辛垣(からかい)城を構えました。

即清寺から辛垣城を望む
即清寺から辛垣山方面

山城だけあり、周囲の集落からも、辛垣山はでもよく見えます。

青梅丘陵ハイキングコースをたどり、山城跡へ訪ねます。

二俣尾駅のホーム
JR二俣尾駅

起点はJR青梅線・二俣尾駅。新宿方面からの場合、青梅駅で奥多摩方面の列車に乗り換えます。

JR青梅線・二俣尾駅・北口
二俣尾駅北口

小さな無人駅ですが、出入り口は2ヶ所あり、北口へ降ります。
なお、公衆トイレは、南口出入口付近にあります。
かつては「二又尾」ともよばれ、青梅街道・奥多摩方面と、秩父方面への分岐路でした。

二俣尾駅から、名郷峠方面の道

南東へ30mほど進み、左折します。
なお、200mほど直線すると、辛垣城の城主・三田氏の菩提寺・海禅寺があります。

桜で有名な海禅寺ですが、5月下旬〜6月上旬ならば、境内にセッコクも咲きます。
是非、寄り道して参拝すると良いでしょう。

青梅丘陵・名郷峠・登山口

左折してから、200mほど進むと登山口。草に覆われた道を歩きます。

青梅丘陵の、ヒメレンゲ

沢沿いの道に、ヒメレンゲの花。

二俣尾〜名郷峠の登山道

二俣尾駅から青梅丘陵へのコースはややマイナーですが、よく整備されています。

青梅丘陵の、ユキノシタ

梅雨時期は、ユキノシタがいたる所に咲いています。

青梅丘陵の、アワフキムシ

アワフキムシの泡でしょうか、森床には白い泡も見かけます。

青梅丘陵の、アジサイ

アジサイの花も風に揺れます。

青梅丘陵の苔と葉っぱ

苔の上からの、可愛い葉っぱ。

二俣尾〜名郷峠・登山道の分岐の道標

しばらく登ると分岐点に到着します。左の「名郷峠」方面へ。

二俣尾〜名郷峠・登山道の木橋

枯れた沢を渡ります。

二俣尾〜名郷峠・登山道の森

杉林を登ります。この付近、シダが美しいですね。

青梅丘陵・名郷峠

程なく、名郷峠に到着。

青梅丘陵・名郷峠の、祠と鳥居

標高387mの名郷峠は、かつて北小曾木と二俣尾を結ぶ峠道。小さな鳥居と祠があり、今なお地元の方に親しまれているようです。

名郷峠から、辛垣城跡へ

名郷峠から西へ道を取り辛垣城跡へ向かいます。

青梅丘陵・辛垣城・登り口

100mほど進むと、「辛垣城跡登り口」の道標が現れ、右折します。

青梅丘陵・辛垣城登山道

急登の登山道。

青梅丘陵の、コナスビの花

コナスビの花でしょうか、キツい坂ですが癒やされます。

青梅丘陵・辛垣城の、堀切

登り詰めると、岩に囲まれた道に。敵の侵入を防ぐため谷を造った「堀切」でしょうか?

青梅丘陵・辛垣城跡

谷を抜けると、平らな城跡に到着。

青梅丘陵・辛垣城跡の、説明板

城跡の案内板。抜粋すると…
「辛垣城跡は、大正時代まで行われた石灰石の採掘で、遺構ははっきりしない」
とのこと、ちょっと残念ですね。

青梅丘陵・辛垣城跡の岩

辛垣城は、室町時代後期までこの地を治めた三田氏の山城です。
戦国時代の1561年、三田氏(三田綱秀)は、上杉謙信の「小田原城の戦い」にも加担。
小田原城の城主・北条氏と対立します。

小田原城は落城せず、上杉氏は撤兵。その後北条氏は多摩地方まで勢力を拡大し、辛垣城へ侵攻します。
北条氏により、1563年頃に辛垣城は落城(辛垣の戦い)。三田氏終焉の地となりました。

青梅丘陵・辛垣城跡の、苔むす倒木

城跡の苔むす倒木。兵どもが夢の跡。

青梅丘陵・辛垣城跡〜辛垣山の登山道

城跡西側から「辛垣山」へ。痩せた尾根を歩きます。

青梅丘陵・辛垣山・山頂の看板

程なく、標高456mの辛垣山に到着。

青梅丘陵・辛垣山・山頂の森

展望はありませんが、訪れる人も少ない静かな山頂です。

辛垣城から、青梅駅へ

青梅丘陵・名郷峠〜三方山の、登山道

辛垣山から名郷峠へ戻り、青梅丘陵を東へ進みます。峠からは木の根の張る急登です。

青梅丘陵から、奥多摩方面の展望

途中、見晴らしの効くポイントもあります。遠く、大岳山などが見えました。

青梅丘陵・ニガナの花

道端には、ニガナの花も。

青梅丘陵・三方山の分岐・道標

細かいアップダウンを繰り返し、三方山の分岐へ到着。
「携帯通信可ポイント」標識があります。

青梅丘陵・三方山。山頂
三方山頂上

分岐からほんの少し登れば、標高454mの三方山山頂。頂上には、二等三角点が設置されています。
余談ですが、東京都には、一等三角点が19ヶ所、二等三角点は26ヶ所ありますが…
沖ノ島やベヨネース列岩などにもあり、全ての地点へ行った民間人は、おそらくいないかと。
国土地理院の人も命がけの測量でしょうね。

青梅丘陵の、ニガイチゴ

この付近、梅雨時期はニガイチゴの実が目に付きます。
名から察せられるよう、やや苦い野イチゴです。もっとも、不味くて食べられないほどでもありません。

青梅丘陵・登山道

道は下り基調、少しずつ、里山の風情になりつつ。

青梅丘陵・石神前駅方面の道標

石神前駅への道を分けます。

青梅丘陵の、登山道の急登

低山ですが、意外とアップダウンもあります。

青梅丘陵の森

青葉も眩しい梅雨の山。

青梅丘陵・矢倉台の、東屋
矢倉台

標高383mの矢倉台に到着。東屋というか、ログハウス風の立派な休憩所があります。

青梅丘陵・矢倉台の、説明板

辛垣城の城主・三田氏の物見やぐらがあった場所です。

青梅丘陵・矢倉台から、奥多摩の展望

奥多摩の山々も望める、絶好の休憩所です。

青梅丘陵の森

矢倉台から、青梅駅方面へ。アップダウンも少なく、歩きやすい道となります。
近所の人の散歩コースでもある青梅丘陵、東へ行くほど、歩く人も多いです。

青梅丘陵の、ネジバナ

梅雨時期はネジバナも見頃。摩訶不思議な野生ランです。

青梅丘陵・武州青梅金比羅神社
武州青梅金比羅神社

第三、第二、第一休憩所と双六のように進むと、右手に武州青梅金比羅神社に到着。
2023年現在、拝殿は工事中です。
北斗七星権現を祀る、妙見信仰の神社ですが… 長年、放置され朽ちた神社を、地元有志が手入れをしています。
工事はクラウドファンディングも活用、とのことです。

青梅・永山丘陵・登山口
永山丘陵登山口

神社から少しで、永山丘陵登山口へ到着。街に近いのにヘアピンカーブの道を下ります。

青梅駅付近の、跨線橋と、カフェ・夏への扉

青梅線の跨線橋を渡ります。写真右の建物は、青梅の名物カフェ夏への扉

カレーの美味いカフェで、手作りケーキもイケます。
陸橋から1つ目の三叉路を右折すれば、JR青梅線・青梅駅まで数分で到着します。

クモキリソウ
クモキリソウ

青梅丘陵は、クモキリソウの自生地。絶滅危惧Ⅰ類に指定された、野生ランです。
6月中旬に訪れましたが、見頃は過ぎていました。

クモキリソウ

盗掘の被害が多発し、自生地の詳しい情報はご勘弁を。

秋の青梅丘陵も、貴重な花が咲きますよ!

インフォメーション

登山マップ

合計距離: 8821 m
Download file: omekyuryo-2023-06.gpx

JR青梅線・二俣尾駅 …〈40分〉… 名郷峠 …〈30分〉… 辛垣山…〈1時間〉…三方山 …〈1時間〉… 矢倉台…〈50分〉… 永山丘陵登山口 …〈15分〉…JR青梅線・青梅駅
ー計4時間15分ー

コースの状況など

  • 二俣尾駅〜名郷峠までは、整備されているも、歩く人も少ないコース。
  • 低山だが、意外と長い行程。歩き通すなら、登山装備が必須。
  • 途中、石神前駅、裏宿へ下るエスケープルートあり。
  • トイレは、二俣尾駅南口、矢倉台の手前、永山公園、青梅駅前にある。
  • 携帯電話の通じない区間あり。
  • 二俣尾駅・南口より、青梅街道を南東方向・約500mに、セブン-イレブンあり。

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