青梅市、御岳山・奥の院。
貴重な野草と展望が楽しめる山です。
都心からのアクセスも良く、ケーブルカーでラクラク登山。
春は準絶滅危惧種のイワウチワも、ひっそりと咲きます。
目次
花を求めて、御岳山・奥の院へ
歴史ある、武蔵御嶽神社・奥の院
![東京都・青梅市、御岳山の、武蔵御嶽神社](https://i0.wp.com/ometsu.net/wp-content/uploads/2022/08/DSC1049-2022-08.jpg?resize=728%2C486&ssl=1)
御岳山頂の武蔵御嶽神社。創建は崇神天皇の御代とも伝わる、歴史ある神社です。
![東京都・青梅市、御岳山の、武蔵御嶽神社の、おいぬ様](https://i0.wp.com/ometsu.net/wp-content/uploads/2023/01/DSC7252-2023-01.jpg?w=728&ssl=1)
武蔵御嶽神社は、おいぬ様(ニホンオオカミ)を祀る神社。
伝説では…
東征の際、日本武尊(やまとたけるのみこと)は、御岳山で白い狼に助けられます。
田畑を荒らす害獣を退治する狼は、農民にとっては頼もしい存在。
江戸時代、農村を中心に武蔵御嶽神社の狼信仰が、急速に広がります。
![東京都・青梅市、御岳山の、武蔵御嶽神社の、奥の院・遥拝所](https://i0.wp.com/ometsu.net/wp-content/uploads/2023/01/DSC7314-2023-01.jpg?w=728&ssl=1)
奥の院は、日本武尊を祀る男具那社が鎮座。今なお、山岳信仰を色濃く残る霊山です。
山頂・神社の遥拝所から、ひときわ高い奥の院が望まれます。
二等辺三角形のような形で、急登の道を登る、ちょっぴりスリリングな山です。
御岳平から、天狗の腰掛けへ
![東京都・青梅市、御岳山ケーブルカー](https://i0.wp.com/ometsu.net/wp-content/uploads/2023/04/DSC3652-2023-04-1.jpg?resize=728%2C486&ssl=1)
JR青梅線・御嶽駅からバスとケーブルカーを乗り継ぎ、山頂駅へ。
![東京都・青梅市、御岳山の、御岳平の、ソメイヨシノ](https://i0.wp.com/ometsu.net/wp-content/uploads/2023/04/DSC3665-2023-04.jpg?resize=728%2C486&ssl=1)
ケーブルカーを降りれば、標高831mの御岳平。
都心より2週間ほど遅いソメイヨシノも、花を咲かせます。
![東京都・青梅市、御岳山の、御岳平からの、日の出山](https://i0.wp.com/ometsu.net/wp-content/uploads/2023/04/DSC3669-2023-04.jpg?resize=728%2C486&ssl=1)
日の出山(写真・右)を背景に、春の彩りも美しい森!
今回は、富士峰園地を経由して、御岳山方面へ向かいます。
![東京都・青梅市、御岳山の、カタクリ](https://i0.wp.com/ometsu.net/wp-content/uploads/2023/04/DSC3707-2023-04.jpg?resize=728%2C486&ssl=1)
レンゲショウマで有名な富士峰園地ですが、春はカタクリの花が咲き乱れます。
富士峰園地・レンゲショウマの詳細は上記をどうぞ。
![東京都・青梅市、御岳山から、奥の院を望む](https://i0.wp.com/ometsu.net/wp-content/uploads/2023/04/DSC3690-2023-04.jpg?resize=728%2C486&ssl=1)
大塚山方面への分岐から、東の道を進み、御嶽神社方面へ。
木々の間から、奥の院が望まれます。あのトンガリ山に登るのだから、急登覚悟ですね。
![東京都・青梅市、御岳山の、神代ケヤキ](https://i0.wp.com/ometsu.net/wp-content/uploads/2023/04/DSC3740-2023-04.jpg?resize=728%2C486&ssl=1)
ビジターセンター付近で参道と合流し、御嶽神社方面へ。
途中、国天然記念物の神代ケヤキの下を通ります。幹囲8.2m、樹高約30mの巨木です。
![東京都・青梅市、御岳山の、ニッコウネコノメ](https://i0.wp.com/ometsu.net/wp-content/uploads/2023/04/DSC3711-2023-04.jpg?resize=728%2C486&ssl=1)
ニッコウネコノメも咲いています。
![東京都・青梅市、御岳山の、御岳平の、カテンソウ](https://i0.wp.com/ometsu.net/wp-content/uploads/2023/04/DSC3725-2023-04.jpg?resize=728%2C486&ssl=1)
沿道の斜面にはカテンソウ。漢字だと「花点草」と書くくらい小さな花です。
![東京都・青梅市、御岳山の、武蔵御嶽神社の、鳥居と随神門](https://i0.wp.com/ometsu.net/wp-content/uploads/2023/01/DSC7198-2023-01.jpg?w=728&ssl=1)
茶店街を抜け、鳥居をくぐり、随身門へ。
![東京都・青梅市、御岳山の、大岳山分岐](https://i0.wp.com/ometsu.net/wp-content/uploads/2023/04/DSC3742-2023-04.jpg?resize=728%2C486&ssl=1)
随身門から少し石段を登ると、分岐点。道標に従い「大岳山」方面へ進みます。
時間があれば、御嶽神社を参拝するのも良いでしょう。詳しくは上記をどうぞ。
![東京都・青梅市、御岳山の、長谷川恒男・慰霊碑](https://i0.wp.com/ometsu.net/wp-content/uploads/2023/04/DSC4176-2023-04.jpg?resize=728%2C486&ssl=1)
ほぼ平坦な道をしばらく歩くと、長尾平分岐に到着。
アルプス三大北壁・冬期単独初登攀の、世界的クライマー・長谷川恒男さんの記念碑があります。
享年43歳、雪崩に巻き込まれ、山で亡くなった長谷川さん。そういえば、植村直己さんも43歳で亡くななり、登山家にとって「魔の年齢」なのでしょうか?
![東京都・青梅市、御岳山の、天狗の腰掛け](https://i0.wp.com/ometsu.net/wp-content/uploads/2023/04/DSC4125-2023-04.jpg?resize=728%2C486&ssl=1)
長尾平から大岳山方面へ250mほど進むと、「天狗の腰掛け」に到着します。
まさに天狗が腰掛けられるような枝ぶりの杉。推定樹齢350年、赤穂浪士よりも前なのだとか!
天狗の腰掛けから、奥の院へ
![東京都・青梅市、御岳山の、奥の院・分岐の道標](https://i0.wp.com/ometsu.net/wp-content/uploads/2023/04/DSC3755-2023-04.jpg?resize=728%2C486&ssl=1)
天狗の腰掛けから、指導標に従い「奥の院」方面へ。
斜面を巻くように登り始め、やがて尾根道となります。御岳山付近ではかなりの急登です。
![東京都・青梅市、御岳山の、奥の院・登山道](https://i0.wp.com/ometsu.net/wp-content/uploads/2023/04/DSC3768-2023-04.jpg?resize=728%2C486&ssl=1)
根の張る道を、転ばぬように足を運びます。
![東京都・青梅市、御岳山の、奥の院・登山道の、御神木のナンバー](https://i0.wp.com/ometsu.net/wp-content/uploads/2023/04/DSC3779-2023-04.jpg?resize=728%2C486&ssl=1)
管理用でしょうか、御神木にはナンバープレート。
![東京都・青梅市、御岳山の、奥の院・橘姫命の碑](https://i0.wp.com/ometsu.net/wp-content/uploads/2023/04/DSC3780-2023-04.jpg?resize=728%2C486&ssl=1)
「橘姫命」の碑が現れます。日本武尊の妃・弟橘媛(おとたちばなひめ)を祀ります。
日本武尊の東征時、浦賀水道(東京湾)を渡る際、海が荒れました。海神の怒りをしずめるため、弟橘媛は海に身を投じます。
ちなみに、千葉・袖ヶ浦は、弟橘媛の袖が流れ着いた伝説が由来です。
![東京都・青梅市、御岳山の、奥の院から、日の出山の展望](https://i0.wp.com/ometsu.net/wp-content/uploads/2023/04/DSC3800-2023-04.jpg?resize=728%2C486&ssl=1)
途中、展望が開け、日の出山が望めます。晴れれば、東京湾も見渡せます。
最愛の妻・弟橘媛が身代わりとなり沈んだ海。何を想い、日本武尊は海を眺めたのでしょうか?
![東京都・青梅市、御岳山の、奥の院・登山道の、鎖場](https://i0.wp.com/ometsu.net/wp-content/uploads/2023/04/DSC3792-2023-04.jpg?resize=728%2C486&ssl=1)
奥の院の登りには、鎖場も。さほど危険ではありませんが、注意して歩きます。
![東京都・青梅市、御岳山の、奥の院の、カタクリ](https://i0.wp.com/ometsu.net/wp-content/uploads/2023/04/DSC3789-2023-04.jpg?resize=728%2C486&ssl=1)
急登を和ませるカタクリ。
![東京都・青梅市、御岳山の、奥の院の、男具那社](https://i0.wp.com/ometsu.net/wp-content/uploads/2023/04/DSC3910-2023-04.jpg?resize=728%2C486&ssl=1)
急登を登り切ると、男具那社(おぐなしゃ)に到着。日本武尊を祀る神社です。男具那社への石段を登り、左へ進みと、奥の院・頂上。
修行の場として、山伏が駆け巡った、山岳信仰の頂です。
![東京都・青梅市、御岳山の、奥の院・山頂の祠](https://i0.wp.com/ometsu.net/wp-content/uploads/2023/04/DSC3836-2023-04.jpg?resize=728%2C486&ssl=1)
山頂には祠があり、木々の間から大岳山も見えます。
サッポロビールの黒星が供えられていますが… 北極星を頼りに、開拓へ向かった北海道のシンボルです。
北極星の神=海の安全を見守る妙見信仰と、海に死した弟橘媛が結びついた神社も各地に点在します。 その意味も込め、黒星をお供えしているでしょうか?
奥の院の希少植物、イワウチワ
![東京都・青梅市、御岳山の、奥の院の、イワウチワの群生](https://i0.wp.com/ometsu.net/wp-content/uploads/2023/04/DSC3904-2023-04.jpg?resize=728%2C486&ssl=1)
御岳山には、準絶滅危惧種のイワウチワが自生しています。
![東京都・青梅市、御岳山の、奥の院の、イワウチワ](https://i0.wp.com/ometsu.net/wp-content/uploads/2023/04/DSC3847-2023-04.jpg?resize=728%2C486&ssl=1)
日当たりの良い岩場に咲くイワウチワは、奥の院周辺にもひっそりと咲きます。
盗掘の恐れもあり、自生地の詳細はご容赦を。
![東京都・青梅市、御岳山の、奥の院の、イワウチワ](https://i0.wp.com/ometsu.net/wp-content/uploads/2023/04/DSC3880-2023-04.jpg?resize=728%2C486&ssl=1)
イワウチワは、直径3cmほどの薄紫色の花。日本の固有種で、涼しい所に咲きます。
スミレの沿道を往き、御岳山ケーブルカーへ下山
![東京都・青梅市、御岳山の、奥の院〜奥の院口・登山道](https://i0.wp.com/ometsu.net/wp-content/uploads/2023/04/DSC3939-2023-04.jpg?resize=728%2C486&ssl=1)
奥の院から男具那社へ下り、ロックガーデン方面へ下ります。
かなりの急坂で、ストックがあると安心です。
![東京都・青梅市、御岳山の、奥の院の、猿の腰掛](https://i0.wp.com/ometsu.net/wp-content/uploads/2023/04/DSC3935-2023-04.jpg?resize=728%2C486&ssl=1)
巨大な猿の腰掛。直径30cmくらい、ホントに座れそうな大きさです。
![東京都・青梅市、御岳山の、奥の院の、シロバナナガバノスミレサイシン](https://i0.wp.com/ometsu.net/wp-content/uploads/2023/04/DSC3979-2023-04.jpg?resize=728%2C486&ssl=1)
道端にはスミレの花も。
![東京都・青梅市、御岳山の、奥の院の、フモトスミレ](https://i0.wp.com/ometsu.net/wp-content/uploads/2023/04/DSC3822-2023-04.jpg?resize=728%2C486&ssl=1)
小さな白いスミレは、フモトスミレでしょうか。
![東京都・青梅市、御岳山の、奥の院の、新緑とヤマザクラ](https://i0.wp.com/ometsu.net/wp-content/uploads/2023/04/DSC3959-2023-04.jpg?resize=728%2C486&ssl=1)
春うらら、春笑う、春の御岳山。
![東京都・青梅市、御岳山の、奥の院口便所](https://i0.wp.com/ometsu.net/wp-content/uploads/2023/04/DSC3975-2023-04.jpg?resize=728%2C486&ssl=1)
坂を下りきると、「奥の院口」。御岳山〜ロックガーデン・大岳山を結ぶ登山道に出ます。
キレイなトイレもあります。
左折し、北西方向の御岳山ケーブルカー山頂駅へ。
![東京都・青梅市、御岳山の、登山道](https://i0.wp.com/ometsu.net/wp-content/uploads/2023/04/DSC4025-2023-04.jpg?resize=728%2C486&ssl=1)
手入れの良い巻き道を漫歩します。
![東京都・青梅市、御岳山の、タチツボスミレ](https://i0.wp.com/ometsu.net/wp-content/uploads/2023/04/DSC4054-2023-04.jpg?resize=728%2C486&ssl=1)
岩に染み入る、タチツボスミレ。
![東京都・青梅市、御岳山の、エイザンスミレ](https://i0.wp.com/ometsu.net/wp-content/uploads/2023/04/DSC4163-2023-04.jpg?resize=728%2C486&ssl=1)
エイザンスミレも咲いています。
![東京都・青梅市、御岳山の、フデリンドウ](https://i0.wp.com/ometsu.net/wp-content/uploads/2023/04/DSC4066-2023-04.jpg?resize=728%2C486&ssl=1)
山の斜面に咲く、フデリンドウ。小さな命の力強さよ。
![東京都・青梅市、御岳山の、ミヤマキケマン](https://i0.wp.com/ometsu.net/wp-content/uploads/2023/04/DSC4045-2023-04.jpg?resize=728%2C486&ssl=1)
独特の形が美しい、ミヤマキケマン。ケシ科の植物でアルカロイドを含む毒草です。
![東京都・青梅市、御岳山の、ハシリドコロ](https://i0.wp.com/ometsu.net/wp-content/uploads/2023/04/DSC3985-2023-04.jpg?resize=728%2C486&ssl=1)
同じくアルカロイドを含むハシリドコロ。フキノトウと間違え、中毒事故が絶えない植物です。
意外にも美味しいとのこと、美しい悪女といった感じでしょうか?
![東京都・青梅市、御岳山の、ホソバテンナンショウ](https://i0.wp.com/ometsu.net/wp-content/uploads/2023/04/DSC4085-2023-04.jpg?resize=728%2C486&ssl=1)
こちらも毒草のホソバテンナンショウ。サトイモの仲間です。
![東京都・青梅市、御岳山の、新緑](https://i0.wp.com/ometsu.net/wp-content/uploads/2023/04/DSC4095-2023-04.jpg?resize=728%2C486&ssl=1)
新緑が目に染みます。
![東京都・青梅市、御岳山からの、日の出山の展望と、ヤマザクラ](https://i0.wp.com/ometsu.net/wp-content/uploads/2023/04/DSC4031-2023-04.jpg?resize=728%2C486&ssl=1)
ヤマザクラの彩りが、山を染めます。
![東京都・青梅市、御岳山からの、奥の院と、新緑](https://i0.wp.com/ometsu.net/wp-content/uploads/2023/04/DSC4119-2023-04.jpg?resize=728%2C486&ssl=1)
振り返ると、先ほど登った奥の院が。
御嶽神社の下を通り、御岳集落へ。
お腹が減ったら、茶店で舌鼓を打つのも良いでしょう。
ちょっと寄り道となりますが、日の出山方面の南山荘のジュースも絶品です。
![東京都・青梅市、武蔵御嶽神社の参道の鳥居と桜](https://i0.wp.com/ometsu.net/wp-content/uploads/2023/04/DSC4206-2023-04.jpg?resize=728%2C486&ssl=1)
赤い鳥居を過ぎれば、まもなくケーブルカー山頂駅です。
御岳山周辺には、他にもイワウチワの自生地があります。
レンゲショウマの季節も花が充実です。
インフォメーション
マップ
ケーブルカー御岳山駅 …〈40分〉… 天狗の腰掛け …〈40分〉… 奥の院…〈20分〉 … 奥の院口 …〈1時間〉… ケーブルカー御岳山駅
ー計2時間40分ー
●アプローチ
JR青梅線・御嶽駅より、西東京バス「ケーブルカー下」行・終点下車、御岳登山鉄道(ケーブルカー)へ乗り換え
コースの状況など
- 奥の院への道は急坂。下りはストックがあると楽。
- トイレは、ケーブルカー駅、御岳平園地、ビジターセンター、御嶽神社、長尾平、奥の院口にあり。
- イワウチワの開花は、例年4月上旬〜下旬。