奥多摩山域の棒ノ折山。
春は野草が咲き誇る、標高969mの山です。
名栗湖を起点に、白谷沢を登り山頂へ。
黒山を経て、東京の桃源郷、青梅市・上成木へ下りました。
目次
花の名山・棒ノ折山へ、春の山旅
名栗湖から、白谷沢へ
花の名山と知られる、棒ノ折山。東京と埼玉にまたがる、標高969mの山です。
今回は、白谷沢コースを登り山頂を踏み、ちょっとマイナーな青梅市・上成木へ。
西武池袋線・飯能駅から名栗方面へのバスに乗車、「ノーラ名栗・さわらびの湯」バス停で下車。
「ノーラ名栗・さわらびの湯」を経由しない便もあり、その場合「河又名栗湖入口」バス停で下車します。
「ノーラ名栗・さわらびの湯」バス停付近には、トイレや売店もあります。
「武州世直し一揆」壁画のある道を西へ。武州世直し一揆は、慶応2年(1866年)に名栗を発端に関東一円で起きました。幕府の直轄地・武蔵国での一揆は、徳川家にとっても大きな衝撃だったとか。
「さわらびの湯」バス停から、10分少々歩くと、名栗湖(有馬ダム)に到着。
堤防を歩き、対岸へ渡ります。
桜も見事な、春の名栗湖。
堤防から1kmほどで、白谷沢登山口に到着。ここから、登山道となります。
登りはじめはや急登ですが、次第になだらかにとなります。
しばらく登ると、左手に藤懸ノ滝が現れます。滝壺まで下れますが、やや不安定で自己責任となります。
沢沿いの道を歩きます。
登山道・右手に、天狗の滝。中々、優雅な滝ですね。
天狗の滝を脇を登ると、ゴルジェに突入します。
「ゴルジェ」はフランス語で「峡谷」のいう意味。日本では、岸壁に挟まった狭い渓谷、みたいなニュアンスです。
鎖場も登場。雨の後などは、注意して!
振り返ると、谷間から空が見えます。なんともえいない、高揚感。
ゴルジェを通り抜けると、そこは花の楽園です。
宇宙人みたいな、チャルメルソウがお出迎え。
沢の岩には、可憐なハナネコノメが咲き誇ります。
ハナネコノメは、直径5mm程度の小さな花。見落とすには勿体ない美しさです。
ニッコウネコノメも登場。
ツルネコノメソウも、びっしり。ネコノメソウの仲間が多いですね!
沢も源流に近づきます。
スミレもひっそりと。
しばらく登ると林道に出ます。
林道脇にはベンチがあり、格好の休憩場所。水場もあります。
ゴンジリ峠を経て、棒ノ折山へ
林道を渡り、急な道を登ります。少し登ると緩やかとなり、山の斜面を巻きます。
道脇の斜面には、アズマイチゲやカタクリの花。最盛期は、見事でしょうね。
岩茸石に到着。右折し、ゴンジリ峠へ向かいます。
急登が続きますが、雑木林越しに遠く山並みも望む道を往きます。
尾根上の峰なのに、なぜか峠と名付けられ… まあ、細かいツッコミはしないで、棒ノ折・山頂へ向かいます。
しばらくは緩やかな雑木林を漫歩し、頂上直下は急登となります。
登り切れば、標高969mの棒ノ折山に登頂です。
ベンチや東屋もあり、休日は昼食の登山客で賑わいます。
東方面が開け、天気が良ければ、遠く谷川岳も。
山頂のカヤトと雑木林。開放感のある、好い光景です。
棒ノ折山から、青梅・上成木へ
山頂から、青梅・上成木へ下ります。ゴンジリ峠まで引き返し、「小沢峠」方面へ向かいます。
今までと打って変わり、静かな道です。
ゴンジリ峠から下り、登り返すと黒岳に到着。
三角点もある黒岳。「山火事注意」の看板は、2005年に飯能市と合併した「名栗村」と記されていました。
黒岳で、高水三山への道を分け、小沢峠方面へ下ります。
ここからは、更に歩く人も少ないマイナールートです。
黒岳付近からの大岳山。
途中、岩のある痩せ尾根を通ります。
杉林となり、馬乗馬場に到着。「まのりばんば」と読みます。
手作りの道標に地名の由来も記され、鎌倉武士・畠山重忠・ゆかりの地とのこと。
馬乗馬場を過ぎ、少し下ると、林道・常磐線に出ます。青梅・上成木へ通ずる林道で、オフロードバイクで走る人もいます。
林道を横断し、再び杉林を歩きます。
道は東京・埼玉の都県境。埼玉県的には、飯能南アルプスと呼ぶそうです。
東京都民は、「青梅北アルプス」とでも呼べば良い?
そういえば、青梅中央アルプスという、大仰な名前の里山もあります。
歩く人も少ないけれど、ベンチなども整備されています。
しばらく下ると、石の祠が現れます。人里もそう遠くない感じですね。
人通りは少ないですが、所々に指導標も。
やがて、道幅の広くなります。小沢峠への道を分け、上成木へ下ります。
小沢峠経由でも下れますが… 急坂のため、こだわりが無ければ、こちらを下るのがオススメ。
下りきると舗装道路に出ます。少し下り、都道53号線を左折し、上成木の集落へ向かいます。
春は桃源郷のような、上成木。
都営バス・上成木バス停に到着。標高約315メートル「都バス最高地点」です。
バス停近くの成木川。春は錦絵のようです。
上成木からのバスは、本数が少ないのが難点です。
平日・休日ともに、午後は18時台、20時台の2本のみ。人数が多ければ、タクシーを呼ぶのも手です。
単独行などで、早めに着いたならば、松の木通り経由で「坂下」バス停まで歩くと良いでしょう。約5kmの道のりで、途中トンネルもありますが、歩道も整備されています。
バス停近くに、サイクリスト用の施設、成木の家があります。休日は、カフェがオープンすることもあります。
インフォメーション
マップ
ノーラ名栗・さわらびの湯バス停 …〈30分〉… 白谷沢登山口 …〈30分〉… 藤懸の滝…〈40分〉 … 林道 …〈20分〉… 岩茸石 …〈40分〉… ゴンジリ峠…〈30分〉 … 棒ノ折山 …〈40分〉… 黒山 …〈20分〉… 林道・常磐線…〈1時間30分〉 … 登山口…〈20分〉 …上成木バス停
ー計6時間ー
アクセス
西武池袋線・飯能駅より、国際興業バス「湯の沢」「名郷」「名栗車庫」行きにて「ノーラ名栗・さわらびの湯バス停」バス停下車、徒歩30分で白谷沢登山口
帰路は、都営バス「上成木」バス停より、JR青梅線・東青梅駅へ。
コースの状況など
- 登りは沢沿いの道。比較的、よく整備されているが、雨で増水するリスクが高い。
- 北斜面の白谷沢は、冬場は凍結しやすく、初心者は入山しないほうが良い。
- 上成木側は歩く人も少ない。紙の地図に加え、スマホの登山地図アプリがあると良い。
- 上成木からのバスは少ない。