【ほどいなかへ移住】 程よい田舎へ移住する、理想と現実と金勘定

テレワーク時代の、「程よい田舎暮らし」を考察する、ほどいなかシリーズ
実際に「ほどいなか」に移住した経験をもとに、連載します。

住まいを選ぶ

暮らしは?

仕事は?

青梅・西多摩地区への移住


前回、都心へ無理なくアクセスできる範囲を、把握しました。
都心まで1時間半は、意外と選択肢があります。
その中から、バランスの良い移住先とは?
東京都・青梅市を例に、理想と現実、そして損得勘定を、具体的に考えてみました。

ライフスタイルで考える、移住先

日常生活に、趣味が組み込める

「ほどいなか」の良いところは、なんといっても自然環境の良さです。
家の裏が山だったり、家の近くが海だったり。
アウトドア系が趣味の方ならば、絶対にオススメです。

チャリンコサーファー
チャリンコサーファー(湘南)

自然が近いと、日常の生活に趣味が組み込めます。
サーフィンが趣味なら、隙間時間に自転車で海へ。
江ノ島当たりを歩くと、ウエットスーツで海に向かうサーファーがいますよね。
フラッと気ままにサーフィンして、そのまま家にもどり、シャワーでも浴びるのでしょう。
ちなみに上の写真は、寒〜い真冬に撮ったもの。
ホントに、好きなんですね、海。

青梅の朝焼け
朝の散歩で見た朝焼け(青梅)

山歩きが好きならば、朝の散歩に雑木林を歩るけます。
実際、筆者の住む青梅では、近くの里山に朝行くと、犬の散歩の人とすれ違います。
毎日でも、同じ道を歩くと、様々な発見があります。
花が咲いた、霜柱が出来た、朝露を纏った蜘蛛の糸が綺麗だったり。
川の近くでは、釣り糸を垂れる人も多いです。
川の岸辺で、クレソンを摘むオバサンも結構います。

住環境の良さも、趣味に繋がります。
「ほどいなか」は、土地が広く家庭菜園に勤しめます。
インドア派だって、狭い家よりも大きな家の方が、住心地が良いでしょう。
都会では難しい、大画面のホームシアターだって、可能です。

というように、自分の趣味や、ライフスタイルに合った場所に移住すると、幸福度が一気に高まります。
ただ、田舎に引っ越すのは不安ですよね。
不便で、町も寂れかけて、生活水準も低くなるのでは、と。
いくら、環境が良くとも、失うものも大きいのでは、本末転倒です。

筆者は、今年の初め、都心から青梅市に移住しました。
都心と比べ、インフラや生活が、どの様に違うのかを、青梅市を例に、検証してみましょう。

東京都・青梅市の場合

朝の吉野梅郷(青梅市)

山が近く川も綺麗な、歴史ある町

筆者は青梅在住。
身びいきがあるので、若干割り引いてください(笑)

やはり、何と言っても、自然の豊かさと利便性の良い町です。
御岳山、吉野梅郷といった有名観光地も、実は青梅市内。
多摩川も、青梅あたりまで遡れば、かなり綺麗です。

町の中心部から、山までの距離も近いです。
例えば御岳山まで、直線距離で10kmありません。
裾野までなら、車ならすぐ、何なら自転車でも楽勝(電動アシストなら)。
駅から歩けるハイキングコースも、数多くあります。
山や川が好きな人に、うってつけの町です!

ショッピングも、小作、河辺、東青梅付近ならば、ひと通り揃っています。
車があれば便利ですが、とりあえず無くても生活できるレベル。
実際、筆者は、自家用車なしで生活していますから。

飲食店は、都心に比べると、やはり少ないですね。
夜は、結構早く閉める店も多いですし。
でも、総じて美味くて値段も良心的、レベルは高いです。
理由は謎ですが、地元の地縁で、仕入れが近所の農家とか、なんですかね?

元々、青梅街道の宿場町、山岳信仰の盛んだったこともあり、歴史のある町でもあります。
好みの問題ですが…
丘陵を切り開いての新興住宅地よりも、何かと楽しいと思います。
歴史に興味があったり、史跡巡りの好きな人にも、オススメできます。
ここまでは、やや主観的な話。
客観的に、「ほどいなか」は、どのような状況でしょうか?

数字で見る、青梅市

東京都青梅市
人口… 133,824人(2020年4月1日現在)
人口密度… 1,295人/km2
公示価格… 10万6279円/m2(2020年)
1住宅当たりの延べ面積… 88㎡(2013年)

東京都心への所要時間… 青梅〜新宿駅 約55分(日中)
列車本数… 通勤時間帯・8本 日中・5本程度(1時間あたり)

医師数… 334人(2016年)人口409人にひとり
財政力指数… 0.88(2019年)

客観的なデータも、見てみましょう。

人口密度は、東京都区内に比べると、ひと桁違います(23区の人口密度は15,428人/km²)
山があるから、なのですが、ゆったり度が違い過ぎます。
夜は幹線道路から外れると、怖いくらい静かですよ。

公示価格、土地の値段も安いです。
例えば東京都・北区(72万3545円/m2)と比べると、約7分の1。
もちろん、家賃はそこまで差は出ませんが、半分くらいのイメージでしょうか。
住居費が安いので、家も広めです。
東京都・北区(59㎡)と比べると、約1.5倍広い家に住んでいます。
これは、単身世帯が少ないのも反映されていますが、住環境はやはり良いでしょう。

JR青梅線と桜
JR青梅線


都心への利便性を、所要時間列車本数でみましょう。
新宿まで55分、約1時間で、直通列車もあります。
ただし、通勤時間帯は、1時間20分位かかります。

列車本数は、通勤時間帯で8本、7分に1本程度。
ちなみに中央線快速・吉祥寺駅の午前8時台は、24本なので、比べると随分少ないですね。
でも、市内の駅ならば、ほぼ座れます。
日中は、12分に1本程度、吉祥寺は6分に1本程度なので、半分程度まで差は縮まります。
まあ、我慢できる範囲では?

地元で賄えないショッピングなどは、列車で約30分の立川で、ほぼ満足できるでしょう。
感覚的には、埼玉の人が池袋で買い物するのに近い感じです。

福祉・医療などは、どうでしょうか?
医師数は、344人。人口409人にひとり(2016年)、医者が居る勘定になります。
東京23区の、人口381人にひとり、と比べ93%ですが、決して低い水準ではありません。

財政力指数は、地方自治体の財政状況を計る数値です。
ざっくりいうと、税金でどの程度、財政を賄えるかです。
一概にはいえませんが、財政力指数が高ければ、行政サービスも充実します。
青梅市は0.88、自力では88%しか賄えず、あとは国からの援助で財政を支えています。

と、書くととても悪い数値に聴こえますが、東京23区でこれよりも良いのは、港区と渋谷区だけ。
青梅の0.88は、千代田区と同じです。
少なくとも現状は、意外と健全な、財政状況です。
もっとも、多摩地区は武蔵野市(1.51)を始め、優良な自治体が多く、決して褒められた数値でもありませんが…

と、数字で「ほどいなか」の現状をみましたが、いかがでしょうか?
心配するほど、不便ではありません!
また、今はインターネット通販や、ネットスーパーも充実してきました。
都心並みの生活水準は、維持できますよ。

通勤時間を、時給換算すると?

いかがでしょうか?
「ほどいなか」の場合、医療や行政サービスに、不安はありません。
都心へのアクセスも、列車本数も多くはありませんが、不便な程ではない。
むしろ、ほぼ座れる(青梅〜河辺駅当たりならば)メリットも大きいです。

となると、一番の違いは、都心へのアクセス時間ですね。
特に通勤時間。

別の視点で検証します。
大雑把な計算ですが…
通勤時間のコストって、どれくらいでしょうか?

比較の条件
  1. 通勤時間が、片道45分長い
  2. 家賃が、7万円安くなる→ 更新料も含め、年間90万程度
  3. 年間休日が125日→ 出勤日が240日・月平均20日)

東京都区内のベッドタウンより、30〜1時間程度通勤時間が余計に掛かります。
間を取って、45分で計算します。
家賃は物件にも依りますが、青梅のマンションは駅前の2LDKで月8万円程度、都心の15万円から7万円程度、低く抑えられます。
勤務先は完全週休2日制、全額通勤手当が支給される想定です。
(ちなみに、青梅〜新宿間の1ヶ月通勤定期券は21,660円、大抵の勤務先で上限に達しないでしょう)

  1. 毎日、通勤する場合
    年間360時間、通勤時間が増えます。
    15日間、ずっと列車に多く乗る計算となります(ちょっとゾッとするかも)
    90万円を得るために360時間列車に乗るので、
    時給換算で2,500円となります。
  2. 2日に1度、通勤するテレワーク
    週に2〜3日くらい出勤するイメージ。
    年間180時間、通勤時間が増えるので
    時給換算で5,000円となります。
  3. 週に1回、通勤するテレワーク
    年間52日、急な用事もあるから、年間60日で計算してみると…
    年間90時間通勤時間が増え、
    時給換算10,000円となります。

数字で可視化すると、面白いですね。
2日に一度のテレワークで、「ほどいなか」に住むと、時給5,000円分の価値があります。
時給5,000円って、年収1,000万に相当しますよ!

そもそも、日本の給与所得者の平均年収が441万円、中央値だと360万円程度です。
大半の人は、毎日通勤でも「ほどいなか」暮らしは、お得なんです。

もちろん、お金の問題だけでありませんが…
通勤時間が長ければ疲労がたまり、健康面・精神面での影響もあるでしょう。
でも、「テレワーク・時々出勤」ならば、充分検討に値しますよね!

オレは年収2,000万円でペイ出来ないぜ、というイヤミな方は、セカンドハウスで「ほどいなか」に住んでください。
次回は、筆者が移住する際検討した、他の「ほどいなか」を紹介します。

テレワーク時代の、「程よい田舎暮らし」を考察する、ほどいなかシリーズ
実際に「ほどいなか」に移住した経験をもとに、連載します。

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