成木から、旧吹上トンネルへ、「青梅中央アルプス・裏銀座」なる、道を歩く

「なんとかアルプス」なる山々が、各地にあります。
青梅中央アルプスも、そのひとつ。
アルプスといっても、里山ですが…
その「裏銀座」なる稜線を、歩いてみました。

青梅にある、アルプスと銀座は、里山だった

全国にある、なんとかアルプス

コース上の、朽ち落ちた標識

アルプスといえば、ヨーロッパの大山脈。
モンブラン、マッターホルン、アイガーなど、4千メートル級の山々が連なります。
そのアルプスに見立て、イギリス人、ウィリアム・ゴーランドが、信州の山を「日本アルプス」と名付けました。

明治の日本人は、西洋かぶれだったのでしょうか。
以後、飛騨山脈は北アルプス、木曽山脈は中央アルプス、赤石山脈は南アルプスと呼ぶことが定着します。
それに便乗し、各地に「アルプス」が、数多く誕生します。

鎌倉アルプス、沼津アルプス、大和アルプス…
本家アルプスとは似ても似つかない山が、アルプスを名乗り始めます。
地方の町の商店街の、「なんとか銀座」みたいに。
というか、シャレみたいなノリ、なのかもしれません。

誰が名付けたのか、青梅にもアルプスがあります。
青梅丘陵から、成木・黒沢にかけての稜線が、「青梅中央アルプス・裏銀座」なのだとか。
ちなみに「裏銀座」は、北アルプスで、やや玄人好みのコース。
その名を拝借したと、思われます。
そもそも、中央でもないし、国土地理院の地図にも載っていない、ルートも含まれるし…
ツッコミどころ満載です(笑)
裏とは言え、「銀座」などとよく名付けてものです。

成木から、稜線へ

青梅中央アルプスには、いくつか登山口がありますが…
今回は、「お試し」ということで、2時間程度で抜けれそうな、コースを選びました。

青梅中央アルプス・裏銀座の成木登山口

東青梅からバスに揺れること20分、「青梅第七中学校前」で下車します。
少し、東青梅寄りに戻り、「成木長生病院」の看板がある道を左折。

青梅市・成木の田園

田畑の広がる道を往くと、病院の右手に、登山道があります。

青梅中央アルプス・裏銀座の成木登山道

しばらくは、杉林を登ります。
さほど、歩かれているとは思えない道ですが、思いのほか明瞭。

青梅中央アルプス・裏銀座の成木登山道の雑木林

杉林にまじり、雑木林も現れます。

青梅中央アルプス・裏銀座の成木登山道の岩

左手に、岩が現れます。
右に巻く道があり、危険ではありません。

青梅中央アルプス・裏銀座の成木登山道の雑木林

中々、美しい雑木林が登場。
一面、落ち葉の絨毯で、里山ならではの良さが味わえます。

青梅中央アルプス・裏銀座の成木登山道のキノコ
青梅中央アルプス・裏銀座の成木登山道のキノコ

倒木に、無数のキノコ。
道はやがてつづら折りとなり、それなりに高度を稼ぎます。

稜線を歩き、旧吹上トンネルへ

青梅中央アルプス・裏銀座の稜線
指倉峠付近

登りつめると、指倉峠に到着です。
南へ行けば、黒沢方面に下れます。
今回は、東に道をとります。

青梅中央アルプス・裏銀座の木「カネヤ」

杉に、目印が…
所有者は、カネヤさん?
江戸時代以来の屋号でしょうか、カッコいい。

青梅中央アルプス・裏銀座の345m峰

細かいアップダウンを繰り返し、345m峰に到着。
「第一高点」との、標識もあります。
これは、測量用の基準点です。

青梅中央アルプス・裏銀座の345m峰の第一高点(公共基準点)
公共基準点

国土地理院、つまり国が管理する三角点とは別に、地方公共団体が管理する「公共基準点」があります。
舗装道路などで、注意すると見つかりますが、山中にもあるのですね。
市が整備するのは、さぞ、大変でしょう。

青梅中央アルプス・裏銀座の345m峰から、大岳山の展望

第一高点から、大岳山が望まれます。
低いけれど展望もあり、良い山ですね。

青梅中央アルプス・裏銀座の345m峰の雑木林

渋いながらも、色づく木々。
真っ赤なモミジも良いけれど、この秋の色もまた、味わい深いです。

345m峰からは、やや急な道を下ります。
鬱蒼とした、森の中を歩きます。

345m峰から数分で、もうひとつ小さなピークを踏みます。
ここから先は、国土地理院の地図にもルートが描かれていません。
果たして、道はあるのか…

青梅中央アルプス・裏銀座の登山道

かなり、明瞭なトレースがありました!
逆に、ここから里へ直接下る道は、地図に載っていますが、かなり不明瞭なようです。

青梅中央アルプス・裏銀座の雑木林

気持ちの良い、雑木林も。
奥武蔵方面なども、チラリと見えます。
ルートは明瞭ですが、なにせ地図に載っていない道です。
スマホアプリのGPS地形図で、現在位置を確認しつつ、歩きます。

旧々・吹上隧道用の道

やがて下りとなり、T字路にぶつかります。
T字路、といっても、登山道ですが。
旧々・吹上隧道用に、造られた道です。

現在の吹上トンネルは、1993年に開通した三代目。
二代目は1953年開通で、今は歩行者・自転車用となりましたが、現役。
一代目は、なんと1904年、明治時代のトンネルです。
この道は、その昔のトンネルへ、通じているのです。

青梅市・成木の、旧・吹上隧道
旧々・吹上隧道

T字路を少し左へ往くと、吹上隧道の入り口があります。
中は入れないよう、扉で覆われています。

世界初の普及自動車・T形フォードが発売されたのは、1908年。
その4年前に開通したトンネル、人と馬の通行を想定していたのでしょう。
道路用としては、東京で初めてのトンネルです。
成木地区で産出される、石灰を運ぶために建設されました。

国土地理院の地図には記載されていませんが、吹上峠から青梅丘陵へ続く道もあります。

旧吹上隧道の道

馬車が行き来した往年の道を偲びつつ、歩きます。
下り切ると、二代目・吹上トンネルの道に出ます。

青梅市の、二代目・吹上トンネルへの道
二代目・吹上トンネルへの道
青梅市の、二代目の旧・吹上トンネルの看板

今は、自動車は通れませんが、人間は通行可能。

青梅市の、二代目の旧・吹上トンネル
旧・吹上トンネル

二代目の旧・吹上トンネルは、照明もあり安全です。
トンネルを抜け、少し歩くとバス停があります。
本数が少なく、タイミングによっては駅まで、歩いても良いでしょう。
東青梅駅まで、徒歩で1時間強です。

インフォメーション

アクセス

JR青梅線・東青梅駅より、都営バス「成木循環」にて「青梅第七中学校」バス停下車

都営バス
https://www.kotsu.metro.tokyo.jp/bus/

登山地図

電⼦地形図(国⼟地理院)を加⼯して作成

青梅第七中学校前バス停 …〈40分〉… 指倉峠 …〈25分〉… 345m峰・第一高点 …〈35分〉 … 吹上隧道の道 …〈1時間10分〉… 東青梅駅
ー計2時間50分ー

コースの状況など

  • マイナーなコースで、道標はほとんどない。
    地図を読むスキルが必要。
  • 一部、国土地理院の地図にない道を歩く。
    スマホの、GPS地図アプリなどで現在位置を確認すると良い。
  • コースは比較的明瞭。
  • 途中、水場はない。

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