「なんとかアルプス」なる山々が、各地にあります。
青梅中央アルプスも、そのひとつ。
アルプスといっても、里山ですが…
その「裏銀座」なる稜線を、歩いてみました。
目次
青梅にある、アルプスと銀座は、里山だった
全国にある、なんとかアルプス
![](https://i0.wp.com/ometsu.net/wp-content/uploads/2020/11/DSC0607-2020-11.jpg?resize=728%2C486&ssl=1)
アルプスといえば、ヨーロッパの大山脈。
モンブラン、マッターホルン、アイガーなど、4千メートル級の山々が連なります。
そのアルプスに見立て、イギリス人、ウィリアム・ゴーランドが、信州の山を「日本アルプス」と名付けました。
明治の日本人は、西洋かぶれだったのでしょうか。
以後、飛騨山脈は北アルプス、木曽山脈は中央アルプス、赤石山脈は南アルプスと呼ぶことが定着します。
それに便乗し、各地に「アルプス」が、数多く誕生します。
鎌倉アルプス、沼津アルプス、大和アルプス…
本家アルプスとは似ても似つかない山が、アルプスを名乗り始めます。
地方の町の商店街の、「なんとか銀座」みたいに。
というか、シャレみたいなノリ、なのかもしれません。
誰が名付けたのか、青梅にもアルプスがあります。
青梅丘陵から、成木・黒沢にかけての稜線が、「青梅中央アルプス・裏銀座」なのだとか。
ちなみに「裏銀座」は、北アルプスで、やや玄人好みのコース。
その名を拝借したと、思われます。
そもそも、中央でもないし、国土地理院の地図にも載っていない、ルートも含まれるし…
ツッコミどころ満載です(笑)
裏とは言え、「銀座」などとよく名付けてものです。
成木から、稜線へ
青梅中央アルプスには、いくつか登山口がありますが…
今回は、「お試し」ということで、2時間程度で抜けれそうな、コースを選びました。
![青梅中央アルプス・裏銀座の成木登山口](https://i0.wp.com/ometsu.net/wp-content/uploads/2020/11/DSC0311-2020-11.jpg?resize=728%2C486&ssl=1)
東青梅からバスに揺れること20分、「青梅第七中学校前」で下車します。
少し、東青梅寄りに戻り、「成木長生病院」の看板がある道を左折。
![青梅市・成木の田園](https://i0.wp.com/ometsu.net/wp-content/uploads/2020/11/DSC0319-2020-11.jpg?resize=728%2C486&ssl=1)
田畑の広がる道を往くと、病院の右手に、登山道があります。
![青梅中央アルプス・裏銀座の成木登山道](https://i0.wp.com/ometsu.net/wp-content/uploads/2020/11/DSC0320-2020-11.jpg?resize=728%2C486&ssl=1)
しばらくは、杉林を登ります。
さほど、歩かれているとは思えない道ですが、思いのほか明瞭。
![青梅中央アルプス・裏銀座の成木登山道の雑木林](https://i0.wp.com/ometsu.net/wp-content/uploads/2020/11/DSC0328-2020-11.jpg?resize=728%2C486&ssl=1)
杉林にまじり、雑木林も現れます。
![青梅中央アルプス・裏銀座の成木登山道の岩](https://i0.wp.com/ometsu.net/wp-content/uploads/2020/11/DSC0354-2020-11-1.jpg?resize=728%2C486&ssl=1)
左手に、岩が現れます。
右に巻く道があり、危険ではありません。
![青梅中央アルプス・裏銀座の成木登山道の雑木林](https://i0.wp.com/ometsu.net/wp-content/uploads/2020/11/DSC0424-2020-11.jpg?resize=728%2C486&ssl=1)
中々、美しい雑木林が登場。
一面、落ち葉の絨毯で、里山ならではの良さが味わえます。
![青梅中央アルプス・裏銀座の成木登山道のキノコ](https://i0.wp.com/ometsu.net/wp-content/uploads/2020/11/DSC0406-2020-11.jpg?resize=728%2C486&ssl=1)
![青梅中央アルプス・裏銀座の成木登山道のキノコ](https://i0.wp.com/ometsu.net/wp-content/uploads/2020/11/DSC0394-2020-11-1.jpg?resize=728%2C486&ssl=1)
倒木に、無数のキノコ。
道はやがてつづら折りとなり、それなりに高度を稼ぎます。
稜線を歩き、旧吹上トンネルへ
![青梅中央アルプス・裏銀座の稜線](https://i0.wp.com/ometsu.net/wp-content/uploads/2020/11/DSC0451-2020-11.jpg?resize=728%2C486&ssl=1)
登りつめると、指倉峠に到着です。
南へ行けば、黒沢方面に下れます。
今回は、東に道をとります。
![青梅中央アルプス・裏銀座の木「カネヤ」](https://i0.wp.com/ometsu.net/wp-content/uploads/2020/11/DSC0461-2020-11-1.jpg?resize=728%2C486&ssl=1)
杉に、目印が…
所有者は、カネヤさん?
江戸時代以来の屋号でしょうか、カッコいい。
![青梅中央アルプス・裏銀座の345m峰](https://i0.wp.com/ometsu.net/wp-content/uploads/2020/11/DSC0515-2020-11-1.jpg?resize=728%2C486&ssl=1)
細かいアップダウンを繰り返し、345m峰に到着。
「第一高点」との、標識もあります。
これは、測量用の基準点です。
![青梅中央アルプス・裏銀座の345m峰の第一高点(公共基準点)](https://i0.wp.com/ometsu.net/wp-content/uploads/2020/11/DSC0514-2020-11.jpg?resize=728%2C486&ssl=1)
国土地理院、つまり国が管理する三角点とは別に、地方公共団体が管理する「公共基準点」があります。
舗装道路などで、注意すると見つかりますが、山中にもあるのですね。
市が整備するのは、さぞ、大変でしょう。
![青梅中央アルプス・裏銀座の345m峰から、大岳山の展望](https://i0.wp.com/ometsu.net/wp-content/uploads/2020/11/DSC0577-2020-11.jpg?resize=728%2C486&ssl=1)
第一高点から、大岳山が望まれます。
低いけれど展望もあり、良い山ですね。
![青梅中央アルプス・裏銀座の345m峰の雑木林](https://i0.wp.com/ometsu.net/wp-content/uploads/2020/11/DSC0584-2020-11.jpg?resize=728%2C486&ssl=1)
渋いながらも、色づく木々。
真っ赤なモミジも良いけれど、この秋の色もまた、味わい深いです。
![](https://i0.wp.com/ometsu.net/wp-content/uploads/2020/11/DSC0587-2020-11.jpg?resize=728%2C486&ssl=1)
345m峰からは、やや急な道を下ります。
鬱蒼とした、森の中を歩きます。
345m峰から数分で、もうひとつ小さなピークを踏みます。
ここから先は、国土地理院の地図にもルートが描かれていません。
果たして、道はあるのか…
![青梅中央アルプス・裏銀座の登山道](https://i0.wp.com/ometsu.net/wp-content/uploads/2020/11/DSC0590-2020-11.jpg?resize=728%2C486&ssl=1)
かなり、明瞭なトレースがありました!
逆に、ここから里へ直接下る道は、地図に載っていますが、かなり不明瞭なようです。
![青梅中央アルプス・裏銀座の雑木林](https://i0.wp.com/ometsu.net/wp-content/uploads/2020/11/DSC0594-2020-11.jpg?resize=728%2C486&ssl=1)
気持ちの良い、雑木林も。
奥武蔵方面なども、チラリと見えます。
ルートは明瞭ですが、なにせ地図に載っていない道です。
スマホアプリのGPS地形図で、現在位置を確認しつつ、歩きます。
![](https://i0.wp.com/ometsu.net/wp-content/uploads/2020/11/DSC0614-2020-11.jpg?resize=728%2C486&ssl=1)
やがて下りとなり、T字路にぶつかります。
T字路、といっても、登山道ですが。
旧々・吹上隧道用に、造られた道です。
現在の吹上トンネルは、1993年に開通した三代目。
二代目は1953年開通で、今は歩行者・自転車用となりましたが、現役。
一代目は、なんと1904年、明治時代のトンネルです。
この道は、その昔のトンネルへ、通じているのです。
![青梅市・成木の、旧・吹上隧道](https://i0.wp.com/ometsu.net/wp-content/uploads/2020/11/DSC0623-2020-11.jpg?resize=728%2C486&ssl=1)
T字路を少し左へ往くと、吹上隧道の入り口があります。
中は入れないよう、扉で覆われています。
世界初の普及自動車・T形フォードが発売されたのは、1908年。
その4年前に開通したトンネル、人と馬の通行を想定していたのでしょう。
道路用としては、東京で初めてのトンネルです。
成木地区で産出される、石灰を運ぶために建設されました。
国土地理院の地図には記載されていませんが、吹上峠から青梅丘陵へ続く道もあります。
![旧吹上隧道の道](https://i0.wp.com/ometsu.net/wp-content/uploads/2020/11/DSC0643-2020-11.jpg?resize=728%2C486&ssl=1)
馬車が行き来した往年の道を偲びつつ、歩きます。
下り切ると、二代目・吹上トンネルの道に出ます。
![青梅市の、二代目・吹上トンネルへの道](https://i0.wp.com/ometsu.net/wp-content/uploads/2020/11/DSC0648-2020-11.jpg?resize=728%2C486&ssl=1)
![青梅市の、二代目の旧・吹上トンネルの看板](https://i0.wp.com/ometsu.net/wp-content/uploads/2020/11/DSC0650-2020-11.jpg?resize=728%2C486&ssl=1)
今は、自動車は通れませんが、人間は通行可能。
![青梅市の、二代目の旧・吹上トンネル](https://i0.wp.com/ometsu.net/wp-content/uploads/2020/11/DSC0655-2020-11.jpg?resize=728%2C486&ssl=1)
二代目の旧・吹上トンネルは、照明もあり安全です。
トンネルを抜け、少し歩くとバス停があります。
本数が少なく、タイミングによっては駅まで、歩いても良いでしょう。
東青梅駅まで、徒歩で1時間強です。
インフォメーション
アクセス
JR青梅線・東青梅駅より、都営バス「成木循環」にて「青梅第七中学校」バス停下車
都営バス
https://www.kotsu.metro.tokyo.jp/bus/
登山地図
![](https://i0.wp.com/ometsu.net/wp-content/uploads/2020/11/1b6abd9ebb9a716c8ebb5a39f46c256e.jpg?resize=728%2C689&ssl=1)
青梅第七中学校前バス停 …〈40分〉… 指倉峠 …〈25分〉… 345m峰・第一高点 …〈35分〉 … 吹上隧道の道 …〈1時間10分〉… 東青梅駅
ー計2時間50分ー
コースの状況など
- マイナーなコースで、道標はほとんどない。
地図を読むスキルが必要。 - 一部、国土地理院の地図にない道を歩く。
スマホの、GPS地図アプリなどで現在位置を確認すると良い。 - コースは比較的明瞭。
- 途中、水場はない。