青梅市北部の吹上峠。石灰を運ぶ道として、江戸時代より交通の要所でした。
吹上峠から西へ地図にない道を辿り、青梅丘陵まで縦走。
歩く人も僅かな静寂の森を、歩いてみました。
目次
歩く人もまばらな、静かな森の稜線を歩く旅
JR東青梅駅から吹上トンネルへ
起点は、JR青梅線・東青梅駅。成木街道を北上し、「黒沢二丁目」交差点へ向かいます。
歩くと50分程度、約3kmの道のり。
体力を温存したいならば、東青梅駅南口より、都営バス「成木循環(梅74系統)」に乗り、「柳川」バス停で下車します。なお、バスは1時間に1本程度、時間によっては歩く方が早く到着します。
「黒沢二丁目」交差点から、成木街道(都道53号線)を西へ。
1kmほど進むと、「新吹上トンネル」前に到着します。
トンネル右側の旧道を進みます。この旧道は、歩行者・自転車のみ通行可能です。
200mほど歩くと、旧吹上トンネルの入口。1953年の竣工、新トンネルが1993年に開通するまでは、自動車も通っていました。
トンネル入口上部には「吹上隧道」のプレートが。風格はありますが、最近は「隧道」なんて死語かも?
今でも都道として整備され、照明もあります。
長さ246mと、歩行者用のトンネルとしては、結構長いですね。
トンネルを出て150mほど進むと、進行方向左側に、吹上峠へ向かう登山道があります。登山口は目立たず、ご注意を。進行方向右手のガードレール末端が目印です。
意外としっかりした道が続きます。
この付近、路面の所々にワイヤーが横切っています。特に暗い時にはご注意ください。
しばらく進むと、小さな橋があります。ここで左折します。
少し寄り道して… 直進すると、明治時代に造られた旧・吹上隧道。都内では、最初の自動車道路といわれますが、立ち入り禁止で、入口は厳重に閉ざされています。
整備すれば、観光名所になるのでしょうが、金銭的に難しいのでしょうね。
吹上峠から、青梅丘陵へ
小さな橋から緩やかに回り込むように進むと、吹上峠付近に到着。
吹上峠は、江戸時代より、成木地区から産出される石灰を運ぶために利用されていました。
江戸時代後期には、峠を掘り下げ、切り通しとなりました。
峠を越えれば、ほぼ平坦な青梅街道をゆけば、江戸の町に到着します。そもそも、青梅街道は、成木の石灰輸送のために、建設されました。
青梅街道の歴史は、上記の関連記事をどうぞ。
また、吹上峠から東側にも登山ルートがあります。詳しくは上記をどうぞ。
右手(南側)に、青梅丘陵方面への登山道があります。
取り付きはかなりの急登。踏み跡はしっかりとしていますが、手強い坂道です。
ここからは、しばらくは地図(国土地理院)では記されない道。スマホのGPS登山アプリなどで、現在地を確認することをオススメします。
所々に、目印の赤テープもあります。
急登を登り詰めると、小さなピークに到着。ここから南へ下ります。
しばらくは、緩やかな稜線を歩きます。
秋ならば、至るところにコウヤボウキの花が。
標高314mの基準点ピークに到着。ここへの登り付近から、地図上に道が記されます。
中々立派な2級基準点。
低山ながら、あたりは深い山の趣きです。
主に針葉樹林帯ながらも、広葉樹の木も。
この付近、国土地理院上の地図では、山腹をトラバースしますが… 地図から外れ、急な尾根道を登ると、標高390mピークに到着します。
ピークには「三方山」方面の小さな標識があり、左折します。
気を付けないと見落とすので、ご注意を!
しばらく急な坂道を下ります。右からの道と合流すると、なだらかになります。
林床に、照葉樹の茂る道を往きます。
道はしっかりあるものの、狭い道。
送電線の下を通ります。
送電線から150mほど歩くと、栗平林道に出ます。
林道を横切ると、2本の登山道があります。今回は、左の巻き道を進みます。
100mほど進むと、青梅丘陵・主稜線に到着。ここからは整備された道となります。
青梅丘陵を漫歩し、青梅駅へ
指導標に従い、青梅丘陵を東へ進み、青梅駅方面へ。整備された道は、まさに漫歩気分です。
歩きやすい道を進みます。
とはいえ、木の根の張る箇所もあり、注意しつつ歩きます。
406mの鷹ノ巣山に到着。ベンチの近くに、ひっそりと基準点が。
木漏れ日を踏みしめ、先を急ぎます。
日向和田駅方面へ道を分け、青梅駅方面へ。
東屋のある矢倉台に到着。ゆっくり休憩するのも良いですね。
道ばたには、アキノキリンソウも。
整備された、心地よい道が続きます。
遠く山並みも望めます。
第四休憩所に到着。
眼下には、蛇行する多摩川も。
なにげに可愛い道標。
叢雨橋(むらさめばし)を渡ります。
百人一首・寂蓮法師の歌が由来の、雅な名前です。
村雨(むらさめ)の 露もまだひぬ 槇(まき)の葉に
霧立ちのぼる 秋の夕暮れ
この近くで詠んだ歌とも云われ、霧こそたちのぼりませんでしたが… 秋の夕暮れに相応しい橋です。
青梅市内の金剛寺、梅岩寺の住職を務めた寂蓮法師。
両寺とも桜の名所として知られています。梅岩寺は青梅駅からもほど近く、帰りに寄り道すると良いでしょう。
木間から青梅駅が見えれば、先は長くありません。JR青梅線の始発駅、座って帰れます。
インフォメーション
マップ
JR青梅線・東青梅駅 …〈50分〉… 黒沢二丁目交差点 …〈25分〉…吹上隧道 …〈20分〉… 吹上峠付近…〈35分〉… 314m基準点ピーク …〈40分〉…標高390mピーク …〈20分〉… 栗平林道…〈15分〉…矢倉台…〈50分〉… 永山丘陵登山口 …〈15分〉… JR青梅線・青梅駅
ー計4時間30分ー
コースの状況など
- 吹上隧道〜青梅丘陵間は、歩く人も少なく道も不明瞭な、中級者向けのコース
- スマホの登山地図アプリ等のGPSで、現在位置を要確認
- 一部、急登があり、できればトレッキングポールがあると良い
- トイレは、JR東青梅駅前(北口・南口)、矢倉台の手前、永山公園、JR青梅駅前にある
- 成木街道沿いのファミリーマート、セブン-イレブン、青梅駅前にセブン-イレブンあり