上成木・表参道から登る、高水三山

奥多摩登山の、人気コースといわれる、高水三山。
なんといっても、駅から直接登れる、利便性の良さが人気の秘密です。
しかし、上成木から、表参道を登るのが、本来のルート。
今は人も少ないこの道を、歩いてみました。

クラシックルートで往く、高水山

表参道から登る、高水三山

奥多摩の入門コース、高水三山。
700m級の三山を結ぶ、日帰りながらも変化に富んだ人気の登山コースです。
軍畑駅から御嶽駅を結ぶ、ルートが一般的。
入山も下山も直接駅で、アプローチが楽、人気があるのも頷けます。

でも…
高水山の表参道は、青梅市・上成木から頂上の常福院へ至ります。
都内とはいえ、バスの便も少ない上成木は、軍畑駅からのルートの喧騒がウソみたいな静けさ。
登山道はきちんと整備され、不安はありません。
今回は、表参道から高水三山を縦走し、御嶽駅へ下るルートを紹介します。

東青梅駅から、上成木へ

青梅市、上成木バス停

表参道の上成木へは、東青梅駅から、都バスでアプローチします。
約10km・45分の道のり。
日に数本しかなく、ちゃんと都バスWebサイトで発車時刻を調べないと、無駄足となります。
終点の、上成木バス停で下車。
このバス停は、都バス最高地点なのだとか。

青梅市・上成木の、白糸の滝
白糸の滝

せっかくなので登山の前に、徒歩5分ほどの、白糸の滝へ寄り道。
道の傍から眺められる、気軽な滝です。
引き返し、常福院・本坊へと向かいます。

青梅市・上成木の常福院・本坊近くの地蔵
常福院・本坊の地蔵

本坊は、住職さんの住まい。
快諾頂き、お庭を見学します。

青梅市・上成木の常福院・本坊の弘法大師
常福院・本坊の弘法大師

真言宗のお寺で、庭には弘法大師像。
多摩八十八ヶ所の、49番礼所でもあります。
本坊を参拝したら、いよいよ表参道を登ります。

表参道を登り、常福院・不動堂へ

高水山・表参道の登山口
高水山・表参道登山口

バス停近くの「成木の家」横が表参道の登山口です。
道標に従い、進みます。


途中、林道を分け、登山道へ。

青梅市・上成木の、蔵

道を歩くと、立派な蔵が。
上成木は、江戸時代から石灰の産地として栄えました。
漆喰の原料は石灰、蔵の漆喰が、かつての栄光を偲ばせます。

高水山・表参道の鳥居

林道を分け、登山道を進みます。
程なく、大きな鳥居をくぐり、本格的な上り道となります。

高水山・表参道の展望

杉林を登り、振り返ると、対岸の山が望めます。

登山口から15分程度登り、林道を横切ります。
ここからしばらくは、急登。

高水三山・表参道の急登

歴史ある登山道らしい、太い杉林。

高水三山・表参道の森

杉だけではなく、広葉樹林も。

高水三山・表参道の道標

「何合目」の道標も、数多くあります。
合目の道標は、2パターンがゴチャゴチャで混乱します。
辻褄が合わず、あまりアテにしないほうが良いかも。

高水三山・表参道の登山道

やがて道は、なだらかな上りへと変わります。

高水三山・表参道の苔
高水三山・表参道の森

ゆるやかになったせいか、辺りを見渡す余裕も。
苔も森も美しい!

高水三山・表参道の水場
表参道の水場

さらに進むと、水場が現れます。
まろやかな水で、美味い!
冬場は枯れることもあり、期待しすぎないほうが吉かも。

高水三山・表参道の道

この辺りまで登ると、軍畑からの道も近く、行き交う人の声も聞こえます。

高水三山・軍畑登山道と表参道の、合流点の道標

水場からひと登りし、林道を横切ると、軍畑からの道と合流します。

高水山・常福院の山門
常福院・山門

石段を登ると、程なく山門へ。

高水山・常福院の山門と紅葉

山門とモミジ。
紅葉時は、さぞ絵になるでしょう。

高水山・常福院の、不動堂
常福院・不動堂

山門をくぐると、正面に不動堂があります。
常福院は度重なる山火事に見舞われ、歴史の全容は不明。
今の不動堂は、1822年に再建されました。
ヘリコプターも重機もない時代に、標高700mを超える山中に、よくぞ建てたなと。

高水山・常福院では、毎年4月に、古式獅子舞が披露されます。貴重な伝統芸能です。ぜひ、一度、ご覧下さい!

高水山・常福院の鐘撞堂
鐘撞堂

なお、不動堂の裏には、トイレがあります。

常福院から、高水三山を縦走

常福院を参拝した後、高水山のピークへと向かいます。

高水山の頂上道標

寺から数分で、759mの高水山山頂。
展望の効かない、森の中にあります。

高水山の石の殿舎

祠でしょうか、石で造られた殿舎もあります。

高水三山のキノコ
高水三山の雑木林

高水山から、岩苔石山(いわたけいしやま)へ縦走します。
雑木林あり、杉の植林ありと、変化に富んだ道です。
湿った森なのかキノコも多いです。
これから向かう山名を、彷彿させますね。
細かいアップダウンを繰り返し、高度を稼ぎます。

高水山から、都心方面
高水山から、都心を望む

標高793mの岩茸石山に、到着。
今回の、最高地点です。
都心方面の展望が、見事。
西武ドーム、スカイツリーも、バッチリ見えます。
大休止をする人も多く、休日は混雑していることも多々あります。

岩茸石山からの下り

展望を満喫したら、惣岳山(そうがくさん)へ向かいます。
いきなり、急な下り道、慎重に歩きます。

高水三山・縦走路の林
高水三山の縦走路

やがて道は緩やかとなり、いくつかのピークを巻き、鞍部に到着します。

高水三山の岩場

鞍部からは、岩場の急登。
気をつければ危なくはありませんが、慎重に。

高水三山・惣岳山の山頂
惣岳山の山頂

岩場を登りきり、少し歩くと…
青渭神社奥社の社殿がある、惣岳山の山頂に到着です。
社殿は網で囲われ、なんだか窮屈そう…
展望は効かず、静かな山頂を後にします。

高水三山・惣岳山の、青渭ノ井戸
青渭ノ井戸

惣岳山から急登を下り、御嶽駅へ向かいます。
下り始めまもなくすると、小さな祠の青渭ノ井戸が現れます。

高水三山・惣岳山の、青渭ノ井戸

中を覗くと、水が溜まっていますが…
飲まないほうが良さそう、というか、濁った水で飲む気は起きません…

しめつりの御神木

さらに下ると、しめつりの御神木に到着。
しめ縄が張られ、巨木に圧倒されます。
厳かな霊山の趣き、です。

惣岳山

滑りやすい赤土の急登を下り、巨大な送電線に出ます。
ここからは、しばらく緩やかな下り。
沢井駅方面への下り道を分け、御嶽駅へ向かいます。
ちなみに沢井側へ下ると、登山ガイドが切り盛りしている、沢井マントカフェにも寄れます。
急な坂道を下りきれば、慈恩寺に到着、無事下山しました。

御嶽駅付近の踏切

踏切を渡り、右へ下れば、御嶽駅です。

表参道は、休日にも関わらず、筆者以外は歩いていませんでした。
静かな山歩きをするには、もってこいです。
バスの便が少ないのがネックですが、良いコースでした。

インフォメーション

アクセス

JR青梅線・東青梅駅北口より、都営バス「上成木」行にて、終点下車
※平日・休日とも、午前中は7時台、10時台の2本のみ・事前に都営バスWebサイトにて、要確認

登山地図

高水三山・登山地図
電⼦地形図(国⼟地理院)を加⼯して作成

上成木バス停  …〈1時間〉… 林道出合 …〈40分〉… 常福院・不動尊 …〈10分〉… 高水山
〈50分〉… 岩苔石山 …〈40分〉… 惣岳山 …〈1時間20分〉… JR御嶽駅
ー計4時間40分ー

コースの状況など

  • 表参道は、標高差約460m。
  • 表参道上部に湧き水がある。冬場は枯れる可能性有り。
  • 春や秋がベストシーズン。夏は熱中症対策、積雪時は北斜面の登りで、それなりの装備が必要。
  • トイレは、上成木バス停、常福院・不動堂裏にある。
  • 岩苔石山からの下り、惣岳山登りの岩場は慎重に。

問い合わせ先

奥多摩ビジターセンター
コースの状況などが、把握できる
https://www.ces-net.jp/okutamavc/

都営バス
https://www.kotsu.metro.tokyo.jp

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