【ほどいなかへ移住】マンション?戸建て?程よい田舎の、不動産屋が言わない、家選びのコツ

テレワーク時代の、「程よい田舎暮らし」を考察する、ほどいなかシリーズ
実際に「ほどいなか」に移住した経験をもとに、連載します。

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青梅・西多摩地区への移住

前回は、山の近く、海の近く、利便性の良い場所と、具体的な町を挙げ、住むのに相応しい「ほどいなか=程よい田舎」を検証してみました。
他にも良い町はたくさんありますが、では実際に移住となると、まずは家が必要になります。

大まかに分類すると、マンション(集合住宅)か戸建てか、持ち家か賃貸かで、4パターンに分けられます。
基本的に、都心でも田舎でも、そもメリット・デメリットに大きな違いはありません。
でも、「ほどいなか」ゆえの、注意点や落とし穴もあります。
今回は、マンションと戸建てのどちらが良いか、そして「ほどいなか」での実情を探ってみます。

気軽なマンションか、一国一城の戸建てか?

マンションのメリット

都心でも田舎でも、マンションのメリットはさして変わりません。
まず、メリットは…

  1. 立地が良い物件が多い
    駅からすぐ、みたいな物件は、ほぼマンションに限られます。
    利便性の良さを最優先するなら、マンションですね。
  2. 防犯・安全性が高い
    外からの侵入がしにくいマンションは、防犯面で優れています。
    管理人が在中する、防犯カメラが設置されている、法的に消防点検が厳格など、システマチックな安全性が高いとは、やはりマンション。
  3. 断熱性が高い
    外との断面が少ないマンションは、断熱性に優れています。
    光熱費が少なくてすみます。
    山に近い地方ならば、冬の暖房代はバカになりません。
  4. 共有施設の充実
    これは別に、豪華なロビーがあるとか、そういう話ではありません。
    一番のメリットは、ゴミ置き場があること。
    「ほどいなか」は、ゴミの出し方が、微妙にうるさかったりします。
    ご近所の目が厳しい(笑)
    あとは、マンションは、宅配ロッカーがあること、ですかね。
  5. 住居費が安い
    同じ広さ、利便性の家ならば、やはり戸建てより安いでしょう。

上記のメリットは、すべてのマンションに当てはまりませんが…
一言でいいえば、安くて気軽なのです。

マンションのデメリット

  1. 隣近所への配慮と、騒音
    壁ひとつ隔てて隣人が住んでいるので、漏れた音は聞こえます。
    また、自分が騒音源にならないよう、注意も必要。
    楽器の演奏などをする方は、要注意です。
  2. 管理費が掛かる
    分譲マンションの場合は、管理費、修繕積立金がかかります。
    マンションの広さやグレードにもよりますが、月2〜3万円程度。
    ローンを払い終えても、それなりにランニングコストが掛かります。
  3. 駐車場代が必要
    田舎暮らしでは、車を持つ人が圧倒的。
    マンションの場合、駐車場代が発生します。複数台ある家庭は、結構よい金額になるかも。
    また、家から駐車場まで、距離もあります。

戸建てのメリット

マンションのメリット・デメリットの裏返しになりますが…

  1. なんといっても、家が独立している
    マンションと違い、住戸が独立しているメリットは大きいです。
    隣近所の騒音は少ないし、ペットも自由に飼えます。
    ライフスタイルに合わせた生活が、より楽しめるでしょう。
    持ち家ならば、リフォームも自由。
  2. 駐車場代がかからない
    「ほどいなか」の、特に郊外の家は、駐車場付きがデフォルト。
    特に最近の建て売り住宅では、2台停められる家も多いです。
    中には、3台分のスペースのある家もあります。
    オトナの数だけ車がある、なんて普通ですから。
  3. 庭がある
    園芸や家庭菜園を楽しむ人には、一戸建てでしょう。
    ただし、ど田舎と違い、「ほどいなか」の場合、広い庭の家は少ないです。
    建て売りなどは、建ぺい率ギリギリで建てますから。
    過度の期待は禁物。
  4. 広い家が多い
    「ほどいなか」の一戸建ては、広い家が多いです。
    建て売り住宅でも、100㎡以上はザラ。
    マンションで、この広さは滅多にありません。

戸建てのデメリット

反対にデメリットは…

  1. 近所付き合いが、濃厚
    これを、デメリットと捉えるべきなのかは、ともかく。
    都心と違い、人間関係が濃密な社会です。
    煩わしい人は、マンションの方が絶対良いです。
  2. 家の管理が煩雑
    これは、持ち家の場合ですが。
    マンションは、修繕積立金は掛かりますが、一応、クオリティーは保たれます。
    戸建の場合、管理をしなくとも自由ですが、しなければ、当然、老朽化は早くなります。
    管理が面倒ならば、戸建ては、賃貸がオススメです。
  3. 断熱性が低い
    夏は屋根からの直射日光、冬は地面からの冷え込み。
    山間の町の寒さは、侮ってはいけない。
    断熱材の性能はあがりましたが、それでも、暑さ寒さに敏感です。

「ほどいなか」の住宅事情

「ほどいなか」は、マンションが少ない!

マンションと戸建ての比較、田舎だからといって、やはり、さほど変わりませんね。
一番の違いは、物件の数です。
都心に比べ、マンションは少なく、戸建てが多い。
どのくらい違うのか、みてみましょう。

リクルートの住宅情報サイトSUUMOに掲載されている、物件数をチェックしてみました。
(2020年6月23日現在)

板橋区青梅市
新築マンション1,0350
中古マンション1,08959
新築戸建て628203
中古戸建て20282
合計2,954344
新築・中古住宅の販売戸数

東京のベッドタウン板橋区と、青梅市を比較してみました。
新築マンションは板橋区では、8物件・1,035戸が販売中、または販売予定となっています。
対して、青梅市は、そもそも新築マンションは、販売していません。
「ほどいなか」は、数年来、新築マンションの竣工がない、というのもザラです。

板橋区の人口は、青梅市の4倍以上。
そのままだと、フェアではありませんね。
板橋区の人口が青梅市と同じと仮定して、物件数を調整してみます。

板橋区(補正)青梅市
新築マンション235.30
中古マンション247.659
新築戸建て142.8203
中古戸建て45.982
合計671.6344
新築・中古住宅の販売戸数(板橋区の人口を補正)

「ほどいなか」は、新築マンションだけではなく、中古マンションの供給数も少ないです。
板橋区に比べ、四分の一以下。
既存マンションの絶対数が、少ないのでしょう。

しかし、戸建て住宅に注目すると…
青梅市の方が新築・中古とも多くなります。
新築で1.4倍、中古で1.8倍。
土地に余裕があり、また地価が安く、手の届く価格で戸建て住宅が供給されているのでしょう。
都心では高嶺(高値)の花の新築戸建ても、「ほどいなか」なら、5LDKで二千万円台で手に入るのだから、人気があるのも頷けます。

住宅全体の供給量は、やはり都心のほうが多いです。
ちょうど、新築マンション分、青梅市の方が少ないイメージです。
もっとも今後、テレワークでライフスタイルが変わると、田舎にも新築マンションが多く供給される可能性は、充分あります。

そもそも、ほとんどマンションのない所もある

JR五日市線の終点、武蔵五日市駅。
新宿まで1時間少々、通勤時間帯は、東京駅直通列車もあります。
決して不便な場所ではありませんが、駅周辺にはマンションがありません。

マンションレビューは、竣工した分譲マンションを、ほぼ隈なく掲載するサイト。
こちらで、武蔵五日市周辺のマンションを検索すると、わずか3棟しかヒットしません。
うち、2棟は木造建て、1棟が3階建・14戸の鉄筋コンクリート造です。
一般的なイメージの「マンション」は、武蔵五日市駅周辺には、ほとんどありません。

建築地域制限の問題なのか、それとも、需要の問題?
理由はともかく、住みやすそうな環境にも関わらず、マンションのない地域もあります。
戸建てか、マンションか、の選択すらない地域もあるのです。
五日市の名誉のため、書きますが…
賃貸のアパートは、それなりにあります。
メゾネット風の2階建てなどもあり、住心地は良さそうです。

「ほどいなか」のマンション選びは、苦労する?

以上のように、程よい田舎には、マンションが少ないのが、実情です。
マンション派の人で、「ほどいなか」に住みたい方も多いでしょう。

では、マンションを買ったり借りたりするのは、難しいのでしょうか?
ほとんどマンションのない地域はともかく、ある程度竣工している所ならば、さほど大変ではありません!
供給も少ないですが、需要も少ないのでしょう。
(資産としては流動性が低い、ともいえます)
ただ、良い物件は、早めに買い手が付きます。
駅からすぐのマンションで、適正価格の物件などですね。
もっとも、それは都心でも同様ですが、小まめにチェックすると、やはり良いでしょう。

今後、テレワークが浸透し「ほどいなか」に移り住む人が増えると、どうでしょうか?
マンションの良さを知っている都心の人が、田舎にもそれを求め始めることは、充分考えられます。
もしかすると、需要と供給のバランスが、崩れるかもしれませんね。

賃貸か、持ち家か?新築か、中古か?

というように「ほどいなか」の家選び、都心や郊外とも、勝手が違います。
物件の絶対数が少ない「ほどいなか」の家探しは、柔軟な考えで進めたほうが良いです。

マイホームの永遠の課題「賃貸と持ち家、どっちが得」ですが、程よい田舎では、両面作戦で進めたほうが良いと思います。
また、持ち家ならば、新築と中古のどちらが良いかも、考えねばなりません。
次回は、引き続き「ほどいなか」の家選びをついて、考察してみます。

テレワーク時代の、「程よい田舎暮らし」を考察する、ほどいなかシリーズ
実際に「ほどいなか」に移住した経験をもとに、連載します。

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