テレワーク時代の、「程よい田舎暮らし」を考察する、ほどいなかシリーズ。
実際に「ほどいなか」に移住した経験をもとに、連載します。
住まいを選ぶ
- 程よい田舎に住む、という選択
- 程よい田舎へ移住する、理想と現実と金勘定
- 山派?海派?失敗しない、候補地選びのコツ
- マンション?戸建て?程よい田舎の、不動産屋が言わない、家選びのコツ
- 賃貸か持ち家か、程よい田舎では、どっちが得?
- 程よい田舎は、災害にも強い?災害大国日本の、リスクマネジメント
- 二千万円もお得?リタイアしたら、田舎で暮らす、メリットとは
- 都心でも、盛土?東京の造成地の、驚くべき実態
- 住居費と通勤時間を、経済的視点で計算すると…
暮らしは?
- 程よい田舎では、車は必需品?それとも不必要?
- 地産地消も楽しめる?程よい田舎の買い物術
- 地域格差をなくす?程よい田舎の、オンラインショッピング事情
- レストランはある?程よい田舎の外食事情
- 遠隔連携医療で変わる?程よい田舎の、医療の今と未来
- 学力、いじめ問題、健康…程よい田舎は、教育のユートピアか?
- 古くて新しい子供の遊び方「プレーパーク」とは
- 意外と便利?田舎での車なし・自転車生活
仕事は?
青梅・西多摩地区への移住
コロナ渦で、にわかに注目された、テレワーク(リモートワーク)。
「家で仕事をする」ことが、普通となり始めています。
そんな時代、何処に住むのが良いのか?
都心から、程よい田舎・青梅市に移り住んだ筆者が、実体験を交え、考えてみます。
目次
「ほどいなか」のススメ
都心に住むメリットが、薄くなった?
筆者は、元々、東京都北区に住んでいました。
池袋まで徒歩圏内、大手町まで電車で15分程度、便利な場所です。
都心の会社へ通うのにも、便利な立地です。
数年前、会社を辞め、フリーで仕事をするようになりました。
フリーでも、都心に住むメリットはあります。
得意先との打ち合わせは、都心が多く、何かと便利。
急なトラブルが発生した時も、すぐに駆けつけらます。
でも…
果たして、ここが住処として、最適なのか?
毎日、通うのならともかく、週に1〜2回ならば、都心に住む必然性は低い、と思い始めたのです。
自然豊かで、住居費も安いところに住むのが、良いのでは、と。
これは、フリーでの人だけではなく、会社勤めでもテレワークが可能な方も、同じでしょう。
実際、田舎に住むと、大抵のことは地元で何とかなります。
仕事も、テレワークへの理解が深まりつつある今、移住するには、良いタイミングではないでしょうか?
ちょうど良い、田舎とは?
しかし、「田舎」といっても、千差万別です。
いきなり山に籠もり、「仙人」みたいな生活は無理。
「北の国から」的なライフスタイルに、憧れるのも良いのですが…
都会暮らしに慣れた、軟弱な人間だと、挫折します。
現実問題、どの程度に田舎ならば、さほど不便もなく、暮らせるのでしょうか?
- 都心まで、鉄道で、概ね1時間30分以内の場所
テレワークなどの場合、週に1〜2回程度出勤することもあるでしょう。
都心まで、列車で1時間30分程度までが、現実的。
駅からのアクセスも含めると、ドア・トゥ・ドアで2時間くらいなら、容認できる範囲かと。
毎日だと、キツイですがね。
(もっとも、毎日通っている方も、大勢居るのですが)
できれば、乗り換えなしの直通列車があれば、良いでしょう。
田舎だと、大体座れるので、乗り換えなしならば、満員列車でも都心まで座ったまま行ける!
つり革に掴まり、本も読めず、ロクにスマホも使えない通勤は、人生の無駄です。
座っての通勤ならば、仕事もできるし、本も読める。
疲れていれば、眠るのも良いでしょう。
都心への仕事の面だけでは、ありません。
休日に、コンサートや展覧会へ行くにも、遠すぎると億劫になります。
また、友人と飲んでも、終電が早くて、じっくり話もできないなんて、つまらないですよね。 - 生活面でのインフラ
通販が充実しているとはいえ、日々の買い物に不便な場所は、やはり住みたくない!
スーパー、ドラッグストア、ホームセンター、衣料品店、レストラン、銀行。
これらが一通り揃った場所は、やはり住みやすいです。
銀行は支店がなくとも、ATMがあれば、さほど困りません。
しかし、ど田舎だと、コンビニすら無い場所もあります。
場所によっては、ゆうちょ銀行の口座を作るのが、現実的です。
イザという時、病院がないのも怖いです。
総合病院だけでなく、耳鼻科や眼科などもある町が良いです。
田舎には、専門病院が結構ない場合があるので、ご注意を。 - 車がなくても、とりあえず生活が可能か
郊外の町は、基本、車社会です。
スーパーはもちろん、コンビニや病院までも、ロードサイドが一般的。
でも、出来れば、徒歩圏内に一応、商業施設や病院があると、何かと便利です。
ちょっと、コンビニへ行くのに、いちいち車を出す、といいうのも面倒でしょ。
ちなみに、田舎だからといって、車が必須でもありません。
駅の近くに住めば、車がなくとも充分、暮らせます。 - 学校が遠すぎない
公立小学校・中学校は選べません。
田舎は、児童数減少で、統廃合が進んでいる地域も多いです。
子供がいる場合は、結構大切です。
高校や大学への通いやすさも、要チェックですね。
もっとも、高校や大学も、郊外の広い敷地にマンモス校を造る時代。
子供の通う学校にあわせて、移住先を選ぶのも良いでしょう。 - 災害のリスクが低い場所
やはり、移住するなら、災害の少ない場所を選びたいですね。
山の近くならば、土砂災害、海の近くなら、津波や高潮の被害が少ない場所。
地盤の強さも、考慮しましょう。
地震に対する「揺れやすさ」は、前もって、確認出来ます。
都会と田舎は、微妙に災害のリスクが異なります。 - ネット環境もチェック
今や、インターネット環境は、重要なインフラのひとつ。
特にテレワークをする人は、事前にチェックしたほうが良いです。
たとえば、NTT東日本のフレッツ光の人口カバー率は99%ですが…
この「人口カバー率」というのが曲者で、市町村の中心部で使えればOK、という基準なのですよね。
目星を付けた物件があれば、NTTのサイト(東日本・西日本)でピンポイントで検索出来ます。
光回線が通じていなければ、ケーブルテレビを検討しましょう。
携帯電話は、結構、ひなびた集落でも通じます。
しかし、通信回線の規格が古く、遅いことも多いです。
一応、確認しましょう。 - ライフスタイルや趣味に、フィットするか
町との相性、ですね。
これは、大切です。
せっかく、利便性を犠牲にして移り住むのだから、暮らしが豊かになるところに住みたい。
豊か、っていっても、お金ではなく、心の豊かさ。
大げさな話ではなく、ちょっとしたことでも良いのです。
近くに雑木林があって、四季折々の自然が満喫できる、とか。
海が近く、夕日が眺められる、とか。
もちろん、自分の趣味が満喫できるなら、申し分ないです!
田舎暮らしに限りませんが、お金を使わなくとも、楽しめる人生って、幸せですよね。
チャップリンは、
「勇気と想像力、そして、ほんの少しのお金があれば、生きていける」
と言いました。
そう、想像力を掻き立てる環境が、そこにあれば…
それが本当の幸せに、繋がるのですよね。
と、思いつくまま、書き連ねましたが…
今までのライフスタイルを、極端に変えない場所が、田舎選びのコツでしょうか。
都心より便利ではないけけれど、自然豊か。
でも、生活する上でのポイントは、ちゃんと押さえた町が住みやすいでしょう。
都会でも、ど田舎でもない。
生活インフラと、住環境のバランスの、良い程よい田舎を、「ほどいなか」と呼ぶことにします。
「ほどいなか」で暮らす方法、注意点などを、連載でお届けします。
移住先の候補は?
ターミナル駅までの所要時間で、考えてみた
東京都心からアクセスしやすい「ほどいなか」は、どこでしょうか?
まずは、所要時間から、範囲を絞ってみましょう。
都心のターミナル駅(東京・新宿・池袋・渋谷など)へ、1時間30分未満で通える範囲で考えました。
平日・朝8時30分前後に到着する、普通料金のみで乗車できる列車での想定です。
(2020年6月の運行ダイヤ)
基本、乗り換えをせずに通える路線ですが、乗り換えが楽(乗り換えが1回で、駅での移動が最小限)な路線も含めています。
ちなみに、日中はもっと早いです。
まずは、範囲を絞り、暮らしやすさや、ライフスタイルとの相性で、居住地を探しましょう!
(リストの km は、自動車で都心に出た場合の距離です)
東京多摩・埼玉西部方面
- JR中央線 上野原7:00→新宿8:27 ※高尾で乗り換え(約61km)
- JR青梅線 日向和田6:55→新宿8:23 ※青梅で乗り換え(約58km)
- JR五日市線 武蔵五日市7:05→新宿8:29(約49km)
- JR八高線 東飯能7:06→新宿8:29(約56km)
- 西武池袋・秩父線 正丸7:00→池袋8:27 ※飯能で乗り換え(約75km)
- 東武東上線 男衾7:01→池袋8:30 ※小川町で乗り換え(約71km)
中央線なら上野原、青梅線や五日市線も、自然豊かなエリアまで網羅しています。
どれも、登山口のある駅ですよ!
中央線なら、高尾が自然豊かで便利な町ですが、意外と住居費が高いです。
その点以外は、ある意味理想かも。
高尾周辺ですと、京王線の狭間駅付近は、居住費も抑えられ、マンションも多いですね。
青梅線沿線は、自然の豊かさと利便性のバランスが、素晴らしいです。
筆者が青梅在住だから、身びいきもありますが(笑)
生活の利便性と、東京駅直通列車の数を考慮すると、青梅駅までが現実的です。
不便な印象の八高線ですが、平日の朝は2本だけですが、東京駅直通の列車があります。※2022年3月に直通運転中止
住居費の安さが魅力なので、穴場かも?
西武池袋線は、正丸駅ですか。
ここは、コンビニもなく生活は不便ですが、1時間30分で池袋まで通えるのですね。
列車の本数を考えると、飯能までにしたほうが無難でしょう。
神奈川方面
- 小田急小田原線 新松田7:05→新宿8:30(約74km)
- 小田急江ノ島線 片瀬江ノ島7:05→新宿8:26 ※藤沢で乗り換え(約55km)
- 京王相模原線 橋本7:22→新宿8:28(約47km)
- JR東海道本線 国府津6:56→東京8:25(約75km)
- JR横須賀線 久里浜7:03→東京8:30(約75km)
- 京浜急行久里浜線 三崎口6:46→8:16(約70km)
江ノ島にも住めますよ!
海が好きな人、サーファーなどは、良いですよね。
新松田や橋本は、丹沢が近いです。
京急沿線も、海が近く良いですよね。
三崎口は、マグロで有名な城ヶ島の玄関口です。
国府津は、御殿場線の始発駅でもあります。
もう、富士山の近くなのですよね。
昔は、駅前も長閑でしたが、今は近代的になりました。
山登りの好きな人にもおすすめできる、エリアです。
リストから外れましたが、小田原なども良い街です。
普通列車だと、朝の通勤時間帯で、1時間35分程度です。
急ぐ時は、小田急ロマンスカーや新幹線で、と割り切るならば、アリですね。
埼玉北部・群馬・栃木・茨城方面
- JR高崎線 深谷7:01→上野8:28(約95km)
- JR東北線 小山7:05→上野8:33(約94km)
- JR東武伊勢崎線 羽生6:55→浅草8:24(約69km)
- JR常磐線快速 高浜7:10→上野8:37(約80km)
- つくばエキスプレス つくば7:18→秋葉原8:17(約62km)
埼玉北部・北関東は、時間の割に遠くまで、行けます。
深谷、小山などは、100km弱。
田舎、というより、程よい地方都市です。
小山などは、イザとなれば、新幹線も使えるのが魅力。
常磐線やつくばエキスプレスなら、筑波山や霞ヶ浦が近いですね。
筑波は、地方都市ながら、教育機関の充実した町。
広々とした街並みの、計画都市的な近代さも、持ち合わせています。
千葉方面
- JR総武線快速 八街7:19→東京8:38(約57km)
- JR成田線 久住6:49→東京8:19(約72km)
- JR内房線 君津駅7:04→東京駅8:25 ※蘇我で乗り換え(約57km)
- JR外房線 上総一ノ宮7:00→東京8:25(約86km)
上総一ノ宮でも、通えるのですね!
外房ですよ、外房。海も、綺麗でしょう。
海も魅力ですが、少し内陸に入ると、広大な丘陵地も広がるエリアです。
内房は、アクアラインや東京湾フェリーで、神奈川方面へのアクセスも良いです。
東京湾の工業地帯でもあり、交通インフラも充実し、東京や新宿行きの高速バスも頻繁に走っています。
地図で見ると、こんな感じです。
結構、遠くから通えるものですね。
実際に住みやすいところは?
何となく、「ほどいなか」の範囲が掴めたでしょうか?
結構、遠そうな場所でも、通勤圏内ですよね。
新幹線で「ワープ」すれば、熱海や三島、宇都宮や郡山、高崎や軽井沢、水上や越後湯沢なども候補に上がります。
新幹線通勤が会社負担で可能ならば、選択肢に入りますが、まあ、難しい人が大半でしょう。
この範囲で、住みやすいところは、どこか?
次回は、具体的な町をピックアップして、検証してみます。
テレワーク時代の、「程よい田舎暮らし」を考察する、ほどいなかシリーズ。
実際に「ほどいなか」に移住した経験をもとに、連載します。
住まいを選ぶ
- 程よい田舎に住む、という選択
- 程よい田舎へ移住する、理想と現実と金勘定
- 山派?海派?失敗しない、候補地選びのコツ
- マンション?戸建て?程よい田舎の、不動産屋が言わない、家選びのコツ
- 賃貸か持ち家か、程よい田舎では、どっちが得?
- 程よい田舎は、災害にも強い?災害大国日本の、リスクマネジメント
- 二千万円もお得?リタイアしたら、田舎で暮らす、メリットとは
- 都心でも、盛土?東京の造成地の、驚くべき実態
- 住居費と通勤時間を、経済的視点で計算すると…
暮らしは?
- 程よい田舎では、車は必需品?それとも不必要?
- 地産地消も楽しめる?程よい田舎の買い物術
- 地域格差をなくす?程よい田舎の、オンラインショッピング事情
- レストランはある?程よい田舎の外食事情
- 遠隔連携医療で変わる?程よい田舎の、医療の今と未来
- 学力、いじめ問題、健康…程よい田舎は、教育のユートピアか?
- 古くて新しい子供の遊び方「プレーパーク」とは
- 意外と便利?田舎での車なし・自転車生活
仕事は?
青梅・西多摩地区への移住