新宿〜青梅間・バスの旅|都バス最長路線と東京23区最高地点

都区内から青梅へ、東京横断バスの旅。
新宿から吉祥寺、花小金井とバスを乗り継ぎます。
花小金井〜青梅間の、都営バス最長路線にも乗車。
練馬で途中下車、23区最高地点や武蔵関公園を散策しました。

3路線を乗り継ぎ、新宿から青梅へ、路線バスの旅

休日限定、新宿〜青梅バスの旅

青梅の森
青梅市の雑木林

東京西部の青梅市。御岳山、多摩川の清流など自然豊かな都市です。
新宿から西へ約50km、中央線直通の列車なら1時間程度。さほど遠くもなく、実際、青梅から都心へ通勤する方も数多くいます。

鉄道なら乗り換えなしの青梅ですが… 果たして、都心からバスを乗り継いで行けるのか?

  • 新宿駅西口〜吉祥寺駅中央口(小田急バス・宿44系統)
  • 吉祥寺駅北口〜花小金井駅(西武バス・吉64系統)
  • 花小金井駅北口〜青梅駅前(都営バス・梅70系統)

調べると、3路線を乗り継げば、青梅へ辿り着きます。

意外と楽勝? そうは問屋が卸さないのが、世の中の常。
新宿〜吉祥寺の小田急バスは、なんと日曜・祝日のみ、1日1往復の運行です。

この路線は元々、新宿〜武蔵境駅での運行でしたが… 2024年3月に廃止。
現在は「休日のみ1便」新宿〜吉祥寺で運行となりました。

御岳渓谷の紅葉
青梅・御岳渓谷

バス路線の開設は、許可手続きが煩雑。いったん廃止すると、手続きが大変です。
そのため、極端に少ない本数で運行し路線を維持。俗に「免許維持路線」と呼ばれます。
新宿〜吉祥寺のバスも、おそらく「免許維持路線」でしょう。

つまり新宿〜青梅のバス旅は、休日のみの特権。
もちろん、他の路線を乗り継いでも青梅まで行けますが… 最小の乗り継ぎで、すべて始発バスでのエレガントなルートで目指したい。
それに、大都会・新宿発の路線が、週に1本の「超ローカルバス」だなんて、面白いではありませんか!

新宿発の、週1便・超ローカルバスで吉祥寺へ

新宿駅西口35番バス乗り場

新宿から青梅へ、いざ行かん。乗り場は小田急ハルク前・新宿駅西口35番です。

小田急バス・新44系統・吉祥寺駅行き

乗り場には、行先表示が「新宿駅西口」が停車中。吉祥寺→新宿のバスがそのまま折り返すようです。
11時26分、定刻で発車。青梅までの長旅、もう少し早い時間帯だと嬉しいのですが… 走っているだけで感謝すべき?

小田急バス・新44系統、新宿駅付近の光景

新宿駅西口から、甲州街道へ向かいます。
免許維持路線らしく、乗客も5人程度とまばら。新宿の雑踏とのギャップが面白い!

小田急バス・新44系統、車内

吉祥寺まで、距離は13.58kmと長いですが、都区内・武蔵野均一区間内で240円とお得。ちなみにJRだと230円、10円高いだけです。

永福町・京王バス車庫

明大前の手前で、井の頭通りへ右折。写真は永福町の京王バス営業所です。
この付近は京王バスの天下で、小田急は肩身が狭そう。停留所も、間借りしているような雰囲気です。
どこか途中下車したい気分ですが、何せ週1便のバス。降りたら、翌週までバスが来ません。

吉祥寺・ハモニカ横丁入口
吉祥寺・ハモニカ横丁

新宿から52分かけて、吉祥寺に到着。JR中央線ならば15分程度、3倍強の所要時間です。

さとうのメンチカツを、並ばずに買う方法

吉祥寺・ハモニカ横丁

ハモニカ横丁でもブラつきましょうか。ハモニカ横丁は、戦後の闇市がルーツ。所狭しと個性的な店が並びます。
多摩地方で規模の大きな「闇市的・横丁」が残るのは… ハモニカと、町田・仲見世商店街くらいでしょうか?

吉祥寺・ハモニカ横丁の、肉のさとう

正午過ぎの到着、腹ぺこな時間です。
かといって、まだまだ先は長く、落ち着いてレストランで食べる時間が勿体ない…
ならば、吉祥寺の定番「さとう」のメンチカツ。ハモニカ横丁の一角にあります。
さとうのメンチは超人気商品で、長蛇の行列ですが… メンチ以外の商品は、別のレジで会計、スンナリ買えます!

吉祥寺・肉のさとう、メンチカツバーガー

というわけで、メンチカツバーガーを購入。さとうのメンチを、吉祥寺の名ベーカリー・リベルテ特製バンズで挟んだ逸品です。価格は税込み650円でした。

吉祥寺・肉のさとう、メンチカツバーガーの中

大きめザクザクなタマネギと、肉汁タップリな国産牛のハーモニー。間違えのない逸品で、人気があるのも頷けます。

東京23区最高地点と、武蔵関公園

西武バス・吉64系統・花小金井駅行

吉祥寺駅北口より、西武バス・花小金井駅行きに乗車。吉祥寺〜花小金井間のバスは、日中は1時間に3本程度の運行です。

西武バス・吉64系統・花小金井駅行の行き先案内表示

今回の旅では一番の「花形路線」。

西武バス・吉64系統・花小金井駅行の車窓

吉祥寺通りを北上し、「関前交番前」交差点で、青梅街道を左折します。

青梅街道・道路標識

これからの道中は、ほぼ青梅街道をたどります。

西武バス・三ツ塚バス停

バスに乗るのが目的な旅ですが… 三ツ塚バス停で下車。

青梅街道・東京23区最高地点

西東京市の境界近くも、ギリギリ練馬区です。
この付近、実は東京23区の最高地点。特に案内板などはなく、ちょっと残念です。

国土地理院の地図では、標高58mとの表記。水準点や三角点ではありませんが、正確な標高でしょう。

青梅街道は江戸時代初期、江戸城建設のため、青梅から石灰を運ぶために敷設。いわば、幕府の最重要インフラです。
最高地点が、青梅街道にあるのは必然。起伏の少ない武蔵野台地とはいえ、水害の影響が少ない尾根に道を通したのでしょう。

青梅街道の歴史は四つの顔を持った青梅街道、江戸・二百余年の歴史をたどるをどうぞ。

西東京市(旧保谷市)公共基準点

国土地理院の水準点ではありませんが… お隣・西東京市(旧保谷市)公共基準点がすぐ近くにありました。標高の表示もないけれど… 測量点ということで、とりあえず記念写真。

練馬区立・武蔵関公園

都区内最高地点・北側を下ると、武蔵関公園。歩いて5分程度、寄り道しましょうか。

練馬区立・武蔵関公園の池とボート

ボートを楽しむ人も。

練馬区立・武蔵関公園の池

武蔵野台地の湧き水と、近くを流れる石神井川からの流水からなる池です。

練馬区立・武蔵関公園の池とイチョウ

池の畔には、「東京都の木」たるイチョウも。秋の黄葉が見事です。

練馬区立・武蔵関公園付近の、古地図
国土地理院・電子国土、今昔マップより引用・加工

明治時代の地図を見ると… 池はなく、田んぼだったようです。

青梅街道へ戻り、バス旅を再開します。
沿線人口も多い青梅街道を、西へと進む路線。田無付近まで、満席で座れませんでした。中々の人気路線です。

花小金井駅の、西武バス・吉64系統

西武新宿線・花小金井駅に到着。途中下車しましたが、乗車時間は吉祥寺から40分程度です。
ちなみに花小金井駅は小平市内。小金井市内の駅ではありません。
駅の所在地もそうですが… そもそも「小平市花小金井」という町名があります!

都バス最長路線で、青梅へ

花小金井駅の、都営バス・梅70系統

いよいよ、都営バス最長路線「梅70」に乗車。ほぼ、青梅街道を忠実に走る路線です。

都営バス・梅70系統の、行き先表示版

花小金井駅〜青梅車庫まで約28kmを、2時間弱で結びます。
競輪選手なら、ずっと早く到着しそう。

小平・青梅街道の電話ボックス

新宿を午前11時台に出発、途中で道草したこともあり、日が傾いてきました。車窓からはどことなく鄙びた風景も。

東大和駅ロータリー

西武拝島線・東大和駅に停車。ここから先、瑞穂町・箱根ヶ崎付近まで鉄道のない地帯を走ります。

青梅街道・芋窪バス停

芋窪バス停。地名の由来は、自然薯が採れたから、とも。

青梅街道・武蔵村山付近の光景

バスは都内で唯一、鉄道駅のない市・武蔵村山を横断します。
この路線は、多摩格差是正のため、1949年に都が開設した路線ですが… 今も完全には解消されたとはいえません。

「多摩格差」の詳細は上記をどうぞ。

武蔵村山・里山民家
武蔵村山市・里山民家

武蔵村山といえば、何といっても、村山貯水池と狭山丘陵。江戸時代の民家を再現した里山民家は「岸」バス停近くです。

時間があれば、立ち寄るのも良いでしょう。
バスは、瑞穂町へと進みます。青梅街道の宿場町「箱根ヶ崎」付近は、歴史ある街並みも残ります。

瑞穂町・円福寺
円福寺

箱根ヶ崎は、八王子と日光を結ぶ、日光脇往還も通ります。江戸時代は交通の要所として、栄えたのでしょう。

戦国時代創建の禅寺円福寺は「箱根ヶ崎」バス停のすぐ近く、秋は紅葉も見事です。

都営バス・梅70系統車内の、降車ボタン

青梅街道と新青梅街道は合流し、青梅市・新町へ。
この付近から多少、乗客が増えます。新町は、江戸時代に開拓された町。駅から遠い割に、青梅街道の沿線人口も多いエリアです。

大井戸公園・まいまいず井戸

武蔵野台地の西端、川も少なく、昔から水には苦労していたとの事。青梅・新町には、らせん状の「まいまいず井戸」も復元され、一見の価値あり。

まいまいず井戸は、「新町天神社前」バス停下車・徒歩4分程度です。
くわしくは青梅の大井戸、羽村のまいまいず井戸、「グルグルな井戸」を巡る小旅をどうぞ。

夕刻の青梅駅
JR青梅駅

東青梅を通り、JR青梅駅へ。すっかり日が暮れてしまいました。
終点は青梅車庫ですが、やや不便な場所。今回は、駅で下車します。
2024年で築100周年を迎える、青梅駅舎も見事です。
ちなみに青梅駅の標高は198m。都区内最高地点から、約140m上ったことになります。

青梅市・梅岩寺
青梅市・梅岩寺

青梅市内で一泊し、翌日市内を散策するのも良いでしょう。
桜が見事な梅岩寺、平将門由来の金剛寺、昭和建築の傑作津雲邸など、駅周辺にも見どころ満載。
駅から歩ける釜の淵公園永山丘陵など、自然豊かなスポットもオススメです。

距離運賃(IC)所要時間
新宿〜吉祥寺13.6km240円52分
吉祥寺〜花小金井9.3km263円37分
花小金井〜青梅27km546円1時間42分
JR新宿〜青梅45.7km824円56分

距離、運賃などをまとめてみました。
参考までにJR中央線・青梅線のスペックを最下段に併記。

バスの場合、途中下車しなければ、新宿駅発11:26→青梅駅着15:12。3時間46分の旅となります。ICカードならば、運賃は合計1,049円です。
バス路線ながら、総距離は49.9kmと JRより4km弱長いだけ。意外と差がありません。

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