2021年4月オープンの、「おくたま文庫」。
奥多摩駅から徒歩4分、氷川渓谷沿いの東京最西端のブックカフェです。
美味しいベトナム風サンドイッチと、淹れたてのコーヒーでくつろぎながら、本をめくる贅沢。
お気に入りの本は、購入も可能です。
目次
東京最西端のブックカフェを、旅する
渓谷の岸壁にある、ブックカフェ
おくたま文庫は、2022年3月をもって閉店しました。
JR青梅線の終点・奥多摩駅歩くこと数分の、氷川渓谷。
清流と相まり、新緑や紅葉の美しい佳景です。
その氷川渓谷沿いの老舗旅館・玉翠荘。
川に架かる橋から見ると、渓谷のすぐ際。際というよりも、斜面に建てられていますね。
「おくたま文庫」は、その玉翠荘の片隅で営業しています。
当面、土曜日のみの営業なので、ご注意を。
駅から南東へ進み、多摩川に架かる昭和橋の手前を、左折。細い路地を往くと、玉翠荘があります。
戦後まもない頃にオープンした旅館らしく、クラシックな装い。
中へ入ると、ロビー。昭和生まれとしては、懐かしい雰囲気 。
「おくたま文庫」はどこかな、と思い、旅館の人に訊ねると…
「階段を下ってください」
何と、地下3階にあるようです…
地下だから、真っ暗かと思いきや、窓の外は渓流。
階段を降ると、ありました!
隠れ家というか、秘密基地というか… 指名手配されたら、ここで匿って欲しいような、目立たない場所。訪れるだけでワクワクの、探検気分です。
お店は渓谷が間近に見下ろせる、絶好のロケーションです。
広々とした室内は、心ゆくまで本が読めそう。
部屋の片隅に、ブラウン管のテレビもあるけれど、映るのかしら?
窓の外は、渓谷に架かる氷川橋も間近。手を振れば、気が付きそうです。
最西端のブックカフェにして、最西端の本屋さん?
ブックカフェらしく、店内のいたる所に本が… これだけあれば、指名手配中でも、時効になるまで飽きないです。
大きな本棚がボーンとあるのではなく、小さなブックシェルフがたくさんあります。
なんか、友達の家で、本棚を眺めている気分です。
裏っ側に、ちょっとエッチなお宝本とか、隠してあったり?←発想が貧困すぎる
窓際の小説たち。登山の拠点らしく、湊かなえの「山女日記」も。
壁際のアウトドア書コーナー。植村直己のノンフィクションがあるあたり、目の付け所が、山の本屋さん。
こんな所にも、ひっそりと本が並んでいます。
宝箱の中を探す気分で、本を選べますね。
店内の本は、購入可能。例外もあるとのことですが、基本、文庫本150円、単行本250円。
これはもう、れっきとした本屋さんですね。
東京最西端のブックカフェにして、奥多摩町唯一の本屋さん。
ということは、東京最西端の本屋さんでもあるはず。
今までは、青梅市にある「多摩書房」さんが、東京最西端だったのですが…
その、凄まじい外観で、ちょっと有名な本屋さんですが、久々に記録更新ですね。
多摩書房も味わい深いので、帰りに寄り道すると良いかも。
多摩書房は2023年に閉店しました。
ところで、おくたま文庫の店主さん、平日はネット古本屋の会社に勤務している、のだとか。
「古本って、だぶついたりすると、捨てられてしまうものも、多いのですよ。それで、社長とかけ合い、ブックカフェを開きました」
なるほど、仕入れは、主に勤務先なのですね。でも、並べらた本を見ると、相当、吟味しているのかと。
自然豊かなロケーションに相応しい、アウトドアや環境問題をテーマとした本、農産物やキノコの産地らしく、料理関係の本も取り揃えています。
絵本なども充実し、親子連れでも楽しめます。
なんと、目の前を流れる、多摩川にちなんだ絵本もありましたよ!地元愛強し、です。
主なメニュー
本の話が尽きないので、いったん終わりにして…
カフェのメニューは、サンドイッチ、スイーツ、ドリンクと、中々充実しています。
価格は税込みです。
ホットコーヒーは、奥多摩の自家焙煎珈琲店GottaCoffee(ガタコーヒー)の、特別ブレンド!
ガタコーヒーについてはこちらを。
余談ですが、「GottaCoffee」は、奥多摩駅の2階、電車を眺めながら、コーヒーが飲めます。待ち時間に寄り、ホームに電車が滑り込んだら、席を立てば良い。
COEDOビールは、小江戸・川越が発祥のクラフトビールです。
ベトナム風サンドイッチと、淹れたてのコーヒー
フードメニューのオススメは、バインミー。ベトナム風のサンドイッチです。
ベトナム料理、というと、フォーやベトナム風春巻きを思い浮かべますが、フランス統治下にパンが普及。美味しいフランスパンが、食べられるのです。
バインミーは、そのパンを活かし、今やベトナムを代表する料理のひとつとなりました。
「バインミーは、米粉も入れるのですよ」
と店主さん。パンは、バインミー専門店から取り寄せた、本格的なもの。
パンは、カリッと香ばしい!フランスパンとはいえ、サンドイッチ向きなのか、硬すぎず食べやすいです。
レンコンは穴が美味い、と内田百閒は言ったけれども、フランスパンは気泡が美味い。
具材は、豚肉と野菜。豚肉は塩麹に漬けこんだ、ひと手間かけた味わい深い仕上がり。
野菜はニンジン、きゅうり、大根、そしてパクチーです。
パクチーの香りと豚肉、とても、相性が良いですね。
ちなみに、注文時に、パクチーを入れるかをリクエスト可能、苦手な人も安心です。
お好みで、チリソースも。かけると、グンとエスニック度がアップします。
ドリンクは、ホットコーヒーをチョイス。特製ブレンドだけあって、バランスの良い、香りとコクが味わえます。
穏やかなテイストで、ブラックでも飲みやすく、万人向きのブレンドですね。
玉翠荘は、日帰り温泉も営業。(2021年7月現在は、休止中でしたが)
源泉は奥多摩湖畔の鶴の湯温泉、石神温泉などもそうですが、西多摩では人気の源泉で、各地に運搬しています。
温泉ですが、ブックカフェを利用すると、入浴料800円が600円に。
温泉入って、食事して、本読んで、左党ならばビール飲んだりしたら、帰るのがイヤになりそうです(笑)
古本屋さんって、店主のセンスや理念が、色濃く反映されます。
店主はディレクター(監督)であり、コンダクター(指揮者)であり、キュレーター(学芸員)であり…
ならば、奥多摩でブックカフェを開く人は、果たして、どのような本を選ぶのか?
そして、それは、奥多摩が好きな人ならば、波長が合うのかなと。
山歩きや旅行の帰りに寄り道すれば、思わぬ本と巡り合うかもしれませんよ!
インフォメーション
アクセス・営業案内
おくたま文庫は、2022年3月をもって閉店しました。
JR青梅線・奥多摩駅より、徒歩4分
玉翠荘、地下3階
●古本と喫茶 おくたま文庫
Webサイト… https://www.okutamabunko.com
営業時間… 土曜日 10:30〜17:00
住所… 東京都西多摩郡奥多摩町氷川160 玉翆荘 B3F
… 単品 680円 ドリンクセット 1,000円