新築マンションの少ない、青梅・西多摩エリア。
そのような中、青梅市内で実に8年ぶりの新築マンションが分譲されました。
中古を含め、西多摩のマンション事情の実態を、中立的・地元目線で考えてみました。
目次
マンションの値段は、都心と郊外でどれくらい差があるのか
2,700万円台からの新築マンション
青梅市内で分譲された新築マンション・サンクレイドル小作。
JR青梅線・小作駅東口徒歩5分の、14階建ての高層マンションです。
2024年竣工予定、前回は2016年で実に8年ぶりの新築マンションです。
2022年7月には、モデルルームも公開されました。
当記事は広告料等、一切の利益供与はなし。自由な立場で、忖度(そんたく)なしで書きます。
モデルルーム内は撮影不可のことで、写真はありません。
一番安い住戸は、2LDK・2,798万円から、ファミリー向けの住戸が中心。これは戦略的な価格です。億ションも珍しくない都区内と比べれば、信じられないほど安いです。
専有部の設備は、新築マンションの標準的な水準。床暖房、浴室乾燥機、ウオークインクローゼットなど、過不足ありません。
窓はペアガラスで、結露しにくいのも良いですね。
共有部も、オートロック、宅配ボックスなど、マンションならではの設備も整っています。
駐輪場は各戸2台分を確保して、ポイントが高いですね。敷地内駐車場は47台。出し入れが面倒で維持費の掛かる機械式駐車場が中心なのは、ちょっと残念です。
ちなみに、モデルルームで対応いただいた営業さんは、宅地建物取引士の資格はなし。
これだと、契約時の担当(重要事項説明など)は別の方となります。
筆者が以前、中古マンションの仲介をお願いした不動産会社では、営業担当は全員、宅建の資格登録者。新卒採用でも学生時代にレクチャーを受け、試験に望むのだとか。
このような方針の会社は、やっぱり信頼できますよね。
苦言を呈してしまいましたが…
ともあれ、このエリアでは珍しい新築分譲マンションです。駅からも近く設備も必要十分。気になる方は、モデルルームへ足を運んでください。
都心への所要時間で、どのくらい価格が違うのか?
さて、都区内や郊外エリアと比べ、どの程度の価格差があるのでしょうか?
最寄り駅からの徒歩時間が同じで、家の広さ(専有面積)の近い物件と比較しました。
設備や規模、日当たりなどの違いがあり、あくまで参考程度でどうぞ。特に聖蹟桜ヶ丘の物件は眺望の良いタワーマンションの18階なので、多少、割高でしょう。
サンクレイドル 小作 | 京王線 聖蹟桜ヶ丘 | 東武東上線 池袋本町 | |
---|---|---|---|
最寄り駅からの 徒歩時間 | 徒歩5分 | 徒歩5分 | 徒歩5分 |
ターミナル駅への 所要時間(日中) | 新宿まで 47分 | 新宿まで 30分 | 池袋まで 3分 |
専有面積 | 54.84㎡ | 54.93㎡ | 53.69㎡ |
間取り | 2LDK | 2LDK | 2LDK |
坪単価 | 184.6万円 | 285.8万円 | 369.9万円 |
販売価格 | 3,068万円 | 4,758万円 | 6,018万円 |
総戸数 | 91戸 | 520戸 | 88戸 |
入居予定 | 2024年1月下旬 | 2022年10月中旬 | 2023年3月下旬 |
備考 | 5階・東向き | タワーマンション・18階 | 4階・南向き |
大雑把ですが、青梅のマンションは、郊外の6割、都区内の半分程度が価格。
都区内だと世帯年収が相当多くないと買えませんが、青梅ならば平均的なサラリーでも手が届く感じです。特にテレワークなどで、毎日通勤しない方などは、検討に値しますね。
都区内に通勤する方は、長い通勤時間をどう捉えるか、でしょう。
小作駅は中々微妙で、上り列車のピーク時は座れない可能性もあります。ひとつ西の河辺駅だと始発列車もあり、着席チャンスは高いのですが。
郊外に中古マンションが多い理由
安い中古か、それとも新築マンションか
次に中古マンションと価格を比較しましょう。築13年のマンションと比較してみます。
新築・中古ともJR小作駅から、徒歩数分の好立地です。
この程度の築年数の分譲マンションの場合、浴室乾燥機、オートロック、宅配ボックスもあります。設備面では、新築とさして変わりません。
もちろん、耐震基準なども問題ありません。
サンクレイドル 小作(新築) | 中古マンション (築13年) | |
---|---|---|
最寄り駅 | JR青梅線 小作駅 徒歩5分 | JR青梅線 小作駅 徒歩2分 |
専有面積 | 54.84㎡ | 56.66㎡ |
間取り | 2LDK | 2LDK |
坪単価 | 184.6万円 | 132.8万円 |
販売価格 | 3,068万円 | 2,280万円 |
備考 | 5階・東向き | 1階・南向き |
2LDKで約800万円程、中古が安いですね。中古物件は1階なので割安でしょうが、それなりに違います。
また、中古と新築の場合、諸費用の内訳や金額が、若干違いますが…
価格を覆すような違いはありません。
ここ3年ほどで青梅市内の中古マンションもジワジワ高くなっています。物件でコンディションが違い、タイミングで価格が上下しますが、中古も視野に入れると良いでしょうね。
青梅の中古マンションに、築20〜30年が多い理由
上のグラフは、青梅市内と首都圏のマンション販売戸数を比較したグラフです。
青の棒グラフが青梅市内(左の数値)、オレンジの折れ線が首都圏の販売戸数(右の数値)です。
2001年あたりからから少なくり、2010年代から、ガクンと減っていますね。
青梅市内のピークは、1991年の714戸。首都圏のピークは2000年の95,635戸です。
不思議なのは、青梅がピークだった1991年は、首都圏全体ではもっとも販売戸数が少なく26,422戸。なぜでしょうか?
1990年前後のバブル期は、マンションの価格も金利も、高かったのです。
時代ごとの、首都圏での平均的なマンションの月々返済額と、青梅市内のマンション販売数を重ねると…
返済負担の大きな1991年をピークに、青梅でマンションが大量に販売されました。
バブル期は月々30万円とか、凄い返済額です!
これだと、地価の安い青梅にマンションが建てられるわけですね。
21世紀に入ると低金利で手頃な返済額となり、都心回帰が進みます。
その後、2009年に青梅市郊外で大規模マンションの販売があり、一時的に盛り上がりますが…
2010年代は、青梅でのマンション販売は、ほぼ無くなりました。
グラフの返済額は、首都圏のマンションの平均販売価格を元利均等返済・固定金利で計算。旧公庫融資基準金利・フラット35などを参考に、頭金なし・ボーナス払いなし・35年返済で算出しています。
ちなみに1991年の首都圏マンションの平均販売額は5,900万円、金利は5.5%程度です。今では信じられない金利ですね!
マンションの平均価格は1990年に6,123万円、この記録は2021年まで破られませんでした。
ここ数年は、マンション価格は高騰していますが、低金利が続いています。もし、金利が上がれば郊外のマンションがまた、脚光を浴びる可能性はありますね。
新築も良いけれど、中古も視野に入れましょう
バブル期〜2000年前後に建てられたマンションは、郊外の青梅ではかなり安く買えます。
おおよそ、新築の半分程度でしょうか。
管理が行き届いた物件ならば、かなりお得でしょう。バブル期のマンションは、質の高い物件も多いですし。また、浮いたお金でリフォームするのも良いですね。
青梅・西多摩エリアでマンションをお探しの方は…
新築ならではの良さはありますが、中古マンションも視野に入れることをオススメします。