羽村市・羽加美の、一峰院
室町時代創建の禅寺です。
境内には、多摩川段丘の湧き水。
鐘撞き堂を兼ねる「鐘楼門」も、見どころです。
目次
多摩川段丘の古刹、一峰院を訪ねる小旅
チューリップ畑にほど近い、一峰院
東京都羽村市、根がらみ前水田。多摩川・河川敷からほど近い水田です。
休耕期を活かし、東京最大級のチューリップとして有名です。
夏は、蓮の花も見事です。
9月中旬には穂も実り、新米の旬も近いでしょうか。
今回訪ねる一峰院は、水田の北西に位置します。
有形文化財の鐘楼門
立派な赤松の参道を進み、山門へ。
山門は鐘撞き堂を兼ねた、鐘楼門(しょうろうもん)。建築年代は江戸時代後期、1819年とされます。
切妻造り茅葺き屋根の、重厚な山門です。
鐘楼門は、全国に400ヶ所程度と貴重な建造物。羽村市の有形文化財に指定されています。
かつては、玉川上水の出水を知らせていたとか。今ならば、洪水警報みたいな感じでしょうか?
西多摩では、ツツジで有名な青梅市薬王寺にも、鐘楼門があります。併せて訪れるのも良いでしょう。
境内には、多摩川段丘のハケも
本堂は1766年に建設。本尊の十一面観音が祀らます。
一峰院は、室町時代(1424年)に創建された、臨済宗建長寺派の禅寺。三田将定が開基しました。
三田氏は、鎌倉時代末期から戦国時代にかけ、西多摩を支配した豪族です。
戦国時代に後北条氏の侵略により滅亡。終焉の城跡が青梅西部にあります。
三田将定もその一族とされ、この付近に住んでいたとされますが、生没年などは不明です。
三田氏は、平将門の後裔と名乗っていました。もっとも確証もなく、かなりの眉唾モノ。
絶大な人気の将門にあやかった、と考えるのが妥当ですが… それも含め歴史であり、一峰院もまた、「将門由来の寺」なのでしょう。
境内奥の池。小さな端が架かります。
断崖から、湧き水が流れます。夏の渇水期ですが、中々の水量です。
一峰院の境内は、多摩川の段丘地帯。水田(氾濫平野)と台地の境目にお寺です。
その段丘から、水が湧きます。
「羽村」の由来は諸説ありますが…
河岸段丘地の「ハケ」がハケ村となり羽村となったという説と、武蔵野台地の西端、中世における三田氏領の東端にあったため、「ハシ」がハシ村となり、羽村となったという説があります。
羽村市Webサイトより引用
「ハケ」由来説、「三田氏領のハシ」由来説が有力です。
境内には湧き水(ハケ)、三田氏由来の一峰院。どちらに転んでも、羽村らしい寺院といえます。
初秋の境内は、花に彩られます。
境内の、大乗妙典一字石塔。
「一字石塔」とは、数え切れないほどの小石に、お経の一文字ずつ書いた写経の一種です。その小石を土埋めた供養塔です。
付近には、中里介山ゆかりの禅林寺もあります。こちらも湧き水のあるハケの寺。
のどかな郊外の羽村、多摩川段丘・ハケの寺の小旅も良いですね。
インフォメーション
アクセス
JR青梅線・羽村駅西口より、徒歩25分
または、羽村駅西口より、羽村市コミュニティバス「羽村西コース」にて「一峰院」バス停下車、徒歩1分
●一峰院
住所… 東京都羽村市羽加美4-12-30
電話… 042-554-2128