宮ノ平から梅雨の青梅丘陵|アジサイ・野生ラン咲く森から谷地への山旅

都心からアクセスしやすい青梅丘陵を、梅雨の日に散策。
静かな森に希少な野生ラン・クモキリソウなど、野草が咲きます。
宮ノ平駅から歩き始め谷地へ下る、豊かな自然に出会える山旅です。

駅から歩ける青梅丘陵で、花の山旅

宮ノ平駅から、青梅丘陵ハイキングコースへ

東京都青梅市郊外の青梅丘陵。標高400m程度の山が連なるハイキングコースが整備されています。
青梅丘陵から、市が保全する「青梅の森」を抜け、木道のある北谷津口まで散策しました。

起点はJR青梅線・宮ノ平駅。都心方面からは青梅駅で乗り換え、ひとつ目の駅です。

JR青梅線・宮ノ平駅

イラスト入りの駅名標。青梅線・青梅以西は、各駅のシンボルマークが入ったデザインです。

青梅街道側の出口に下車。トイレ・待合室も完備、身支度も万全です。
青梅街道の東寄りには、和菓子も美味しい雑貨屋「コジマ商店」もあります。

宮ノ平駅付近の、青梅丘陵ハイキングコース・アプローチ道

駅から線路沿いを150mほど西へ進み、右折。

宮ノ平トンネル
宮ノ平トンネル

青梅線を跨ぐ跨線橋を渡ります。橋からレンガ造りのトンネルが見えます。1914年(大正3年)に開通した宮ノ平トンネルです。

宮ノ平駅付近、石灰採石場跡地付近の道

跨線橋から約100進み、三叉路を左折します。
この付近、やや殺風景ですが… かつて石灰採石場があり、宮ノ平駅から引込線もありました。

1962年頃に地図では、谷間を利用して工場もあったようですね。

宮ノ平駅付近・青梅丘陵ハイキングコース入口

三叉路から100mほど進み、左折すると「青梅丘陵ハイキングコース」の看板が現れます。

宮ノ平駅付近・青梅丘陵ハイキングコース入口の道

林道から、登山道に取り付きます。

宮ノ平駅付近・青梅丘陵ハイキングコースの道

採石場沿いの道から、尾根を巻くような登山道を進みます。

宮ノ平駅付近・青梅丘陵ハイキングコース、尾根の取り付き

標高320m付近、尾根に取り付く道へUターン気味に登ります。

宮ノ平駅付近・青梅丘陵ハイキングコースへの尾根道

ほんの少し登れば、尾根を右折。道標が立っているものの、やや判りにくい表記かも…

宮ノ平駅付近・青梅丘陵ハイキングコースへの登り

やや急登の道となるも、稜線までの標高差は約50mです。

宮ノ平駅付近・青梅丘陵ハイキングコース合流点

「青梅丘陵ハイキングコース」に到着。

宮ノ平駅付近・青梅丘陵ハイキングコースの道

道幅も広く、トレランの人も多いコースです。

永山丘陵から、叢雨橋へ

宮ノ平駅付近・青梅丘陵ハイキングコースの山道

ハイキングコースを右折、東へ進みます。人気のコースですが、梅雨時期は意外と空いています。

青梅丘陵ハイキングコースの、矢倉台・東屋

矢倉台に到着。東屋もあります。

青梅丘陵ハイキングコースの、矢倉台の展望

東屋で休むのも良いですが… 南側に少し下ると、見晴らしの良いベンチがあります。
ハイキングコースから外れた「秘密の場所」?

青梅丘陵ハイキングコースの、矢倉台の、スカイツリーの展望

スカイツリーも見えますが、梅雨時期らしくやや霞んでいます。

青梅丘陵ハイキングコースの、矢倉台付近の夜景

視界の良い冬などは、夜景・日の出スポット。初日の出も見られますよ!

青梅丘陵ハイキングコースの、矢倉台付近の森
青梅丘陵ハイキングコースの、矢倉台付近の森

この付近は広葉樹も多く、新緑・紅葉も美しいです!

青梅丘陵ハイキングコースの道

矢倉台から東へ進みます。やや急坂を下れば、なだらかな道となります。まさに稜線漫歩。

青梅丘陵ハイキングコースの森

目に青葉。

青梅丘陵ハイキングコースの傾斜地の眺め

見晴らしの良い傾斜地を抜けます。

青梅丘陵ハイキングコースのノイバラ
ノイバラ

青梅丘陵の初夏に咲く花たち。ノイバラは漢字だと「野茨」。茨の道の草花でしょうか?

青梅丘陵ハイキングコースのジシバリ
ジシバリ

 ジシバリ(イワニガナ)も、そこかしこに。漢字だと「地縛り」です。
由来は、茎が地面を這う様が、「地面を縛りいて」いるように見えるから。
史前帰化植物で、繁殖力が強いのが特徴です。

青梅丘陵ハイキングコースのクモキリソウ
クモキリソウ

東京・西多摩では準絶滅危惧の、クモキリソウも見事です。

青梅丘陵ハイキングコースのクモキリソウ

野生ランの一種で、緑色のためか目立ちません。
よく見ると、花の上部に蕊柱(ずいちゅう)があります。
ラン科の植物に見られる、雄しべと雌しべが合体した器官です。

青梅丘陵ハイキングコースのクモキリソウ

多くのランは芽を出て光合成できるまで、地中の外生菌根から栄養(炭素源)を吸収し、育ちます。
大きくなると自分で光合成する種と、長い期間、外生菌根に頼る種があります。
栽培の難しいクモキリソウは、外生菌根からの栄養に依存するタイプと思われます。

青梅丘陵ハイキングコースの道

道は緩やかに下ります。

青梅丘陵ハイキングコースの道標

味のある道標。柱はコンクリート製のようですが、もはや自然と一体化しています。

青梅丘陵ハイキングコースの、ニガイチゴの実

ニガイチゴの実。名前からして苦そうで実際、美味くない…

青梅丘陵ハイキングコースの叢雨橋

第三休憩所を通過し、叢雨橋(むらさめばし)を渡ります。
風流な名前ですが… 青梅ゆかりの寂蓮法師の和歌が由来といわれます。

村雨の 露もまだひぬ まきの葉に 霧たちのぼる秋の夕暮

百人一首にも選ばれた一句です。

青梅丘陵ハイキングコースの叢雨橋の支柱

「村雨(むらさめ)」とは、にわか雨や霧の情景。山麓の青梅では、よく見られます。
句では秋の情景ですが… 実際のところ秋から冬にかけて、青梅は晴れの日が多い。むしろ、梅雨時期のほうが、叢雨チックな光景に出会えます。

叢雨橋から「青梅の森」へ

青梅丘陵ハイキングコースの道

叢雨橋から、ハイキングコースを東へ辿ります。

青梅丘陵ハイキングコースの、アジサイ

アジサイも咲く快適な道です。

青梅丘陵ハイキングコースの、鬱蒼とした森

鬱蒼とした森も。

青梅丘陵ハイキングコース、青梅の森方面の道標

第2休憩所付近で左折し、「青梅の森」方面へ。

青梅丘陵ハイキングコース、青梅の森方面のアジサイ

この付近、アジサイが見事です。

青梅丘陵ハイキングコース、青梅の森方面のアジサイの道

アジサイ咲く道を漫歩。

青梅丘陵ハイキングコース「展望
広場」

「展望広場」に到着。

都心方面の展望に優れ、夜景、日の出スポットとしても人気があります。

青梅丘陵ハイキングコース、青梅の森入口

「青梅の森」入口に到着。

青梅の森の、特別緑地保全地区・表示

「青梅の森」は市が管理する特別緑地保全地区です。
昭和40年代に大規模宅地開発が計画されるも、業者が倒産。40年ほど放置されましたが、青梅市が土地を購入し、保全しています。

青梅の森の、登山道

「マツボックリ展望台」を経て、「北谷津口」方面へ下ります。

青梅の森、北谷津・上流部

谷へ下ると、森に囲まれた湿地に到着。北谷津の上流部です。

青梅の森、北谷津の木道

整備の行き届いた木道を歩きます。都内の、駅から歩ける森ですが、まるで尾瀬みたい?

青梅の森、北谷津・ムササビ広場
ムササビ広場

ムササビ広場に到着。ここまでは車で入れるためか、意外と近所の人が散策しています。

青梅の森、北谷津のネコノメソウ

終わりかけのネコノメソウも咲いています。

青梅の森、北谷津の、ホタルブクロ

ホタルブクロの花。初夏の森の可憐な花です。

青梅の森、北谷津の、ムラサキカタバミ

ムラサキカタバミの花。江戸時代末期に観賞用として持ち込まれた、帰化植物です。
綺麗ですが「要注意外来生物」に指定され、好ましくないのも事実でしょうか。

青梅の森、北谷津、クマ出没注意の警告板

この付近、クマも出没。入山する際はご注意を。

青梅の森、北谷津付近の道

ムササビ広場から東へ、長閑な道を辿ります。

青梅の森、北谷津付近の成木街道

成木街道(都道28号)を右折し、JR青梅線・東青梅駅へ。
東青梅からは、新宿・東京への直通列車もあります。グリーン車を奮発するのも良いでしょう。

インフォメーション

マップ

合計距離: 6787 m
Download file: 202506-ome-hill.gpx

JR青梅線・宮ノ平駅 …〈50分〉… ハイキングコース稜線 …〈30分〉…矢倉台…〈50分〉… 青梅の森入口 …〈40分〉…ムササビ広場 …〈30分〉… JR青梅線・東青梅駅
ー計3時間20分ー

コースの状況など

  • 宮ノ平駅から稜線までは、整備されているも、歩く人も少ないコース。
  • 低山だが、そこそこ長い行程。歩き通すなら、登山装備が必須。
  • 途中、裏宿へ下るエスケープルートあり。
  • トイレは、宮ノ平駅南口、矢倉台の手前、永山公園、東青梅駅前にある。
  • 携帯電話の通じない区間あり。
  • 宮ノ平駅訃音、青梅街道を東方向に、雑貨屋「コジマ商店」あり。

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