東京の最高峰、雲取山。 富士山も望める大パノラマ。東京とは思えない星空と、都心方面の夜景。 10月下旬から11月中旬にかけては、紅葉も見頃です。 比較的、登りやすい鴨沢から入山し、頂上付近で一泊、翌日は三峯神社へ下りました。
目次
絶景を求め、東京最高峰・雲取山へ
鴨沢から、平将門ゆかりの道を登る
JR青梅線・奥多摩駅から、バスで30分少々、「鴨沢」バス停に到着します。 雲取山のメジャールート、鴨沢登山口です。
奥多摩駅近くに、朝6時から食事のできるお店が、2021年オープン、腹ごしらえも出来ます。
また、2020年には、奥多摩駅前にきよかわゲストハウスがオープン。
前日夜の列車で行って宿泊、朝1番のバスで、余裕のある山登りができます。
登山口には、鬼滅の刃の幟も… 雲取山は、炭治郎の生まれ故郷。丹波山村では、バスのアナウンスも、竈門禰豆子役の声優・鬼頭明里さんが担当する、熱の入れようです。
綺麗なトイレや屋根付きの待合スペースもあり、身支度も万全。 待合スペース横の階段を上り、登山を開始します。
登り始めると早速、奥多摩の山々の展望、ゴキゲンなプロローグです。
30分ほど登ると、村営駐車場。なんと無料ですが、シーズン休日は大混雑。満車で、停まれないこともあります。
駐車場から北西方向へ少し行くと、左手に登山口があります。有名ルートなのに、意外と目立たせないですね。
登山口近くの案内板。
これから登る鴨沢登山道は、地元・丹波山村によると、平将門の逃走路、とのことです。
平将門は、平安時代の関東地方の武将。庶民の味方的なヒーローですが、新皇と名乗り、朝廷と敵対した人物。いわばクーデターを起こしたわけで、各地を逃亡することになります。
多摩・秩父にも立ち寄ったとされ、各地に伝承が残されています。
さて、案内板には…
ここに経った将門は、四方の見晴らしの素晴らしいのは気に入り、ここで見張りをたてて食事のし度を始めた。
などと書かれていますが、のんきで優雅な逃亡です(笑)
この案内板が10ヶ所ほどあり、コンプリートするのも面白いかも…
しばらく、山の中腹を巻くように登ります。広葉樹も多く、新緑・紅葉のシーズンは気持ち良い道。
時々現れる、平将門の案内板ですが…
- 茶煮場… 喉が乾いて、お茶を飲んだ
- 水呂岩… 湯を沸かし、風呂に入った
など、風呂で寛ぐ優雅な逃亡劇。やはり、大物はひと味違う…
バス停から、標高差700mほど登り、緩やかとなると、堂所へ到着。
名前の由来は、
「風呂で疲れをとり、七ツ石山を目指す。すると、見晴らしがよく平らな場所が… 兜・鎧・胴まで脱ぎ、休憩。胴を脱いだところから、堂所となった」
とのこと。風呂上がりの、そんな無防備で敵に襲われたら、どうするの… 危機管理意識ゼロですが、大丈夫?
せっかくだから、地元・丹波山温泉の成分で、「平将門入浴剤」とか造れば、売れるかもしれません。
堂所から、ブナ坂へ
堂所から、尾根道を往きます。歩き始めは、広葉樹林の緩やかな道です。
次第に急登となります。
秋の季節は、七ツ石尾根の紅葉も眩しいが、疲れを癒やしてくれます。
七ツ石小屋方面への分岐に、到着。左が雲取山方面です。
右は少々回り道ですが、七ツ石小屋があります。飲み物などを買うのならば、こちらを通るのも良いでしょう。
また、平将門の案内板は七ツ石山頂付近にもあり、コンプリートしたい方は、右へどうぞ。
今回は、左の近道をとります。七ツ石山斜面のトラバース道(迂回路)で、桟橋もあります。
雨の日や、道が凍結している時などは、注意しましょう。
何か所か、沢の源頭を周り込みます。
やがて、雲取山からの伸びる石尾根の、ブナ坂に出ます。
平将門の案内板も、ここが最後。要約すると…
将門一行は、ここから秩父側へ逃亡。食料もなく、99人のお妃が自害。その血を染めた川を「大血川」と呼ぶようになった。
さらに、多摩川沿いに下り、青梅の金剛寺に寄り、
「願いがかなうなら、梅は咲き誇れ、叶わないなら枯れよ」
と詠い、「青梅」の由来となった。
その後、故郷茨城・岩井で追い詰められ、敗死した。
99人ものお妃を、連れていたのですかっ。風呂はどうしたのかな?… 伝説にツッコむのは、野暮ですが、野球なら11チームでトーナメント戦ができる陣営(笑)
青梅由来となった金剛寺は、しだれ桜の名所。
また青梅には、平将門が創建したとされる、天寧寺も。登山の帰りに寄り道するのも良いですね。
ブナ坂から、雲取山へ
ブナ坂から、小雲取山を経路し、雲取山山頂へ向かいます。
カラマツの美しい尾根を、歩きます。
夏は一面、黄色い花を咲かせる、マルバダケブキ。綿毛も美しいですね。
ブナ坂から、1時間程度歩き、町営・奥多摩小屋跡に到着。
2019年に老朽化のため、閉鎖しました。
解体工事が進められ、今はもう、その姿はありません。
解体作業をしている方によると…
「資材をまとめて、ヘリで運ぶのですよ」
山の上での作業、お疲れさまです。
村営の山小屋でしたが、修復費用が捻出できず、60年間の歴史に幕を閉じました。小屋近くのテント場も閉鎖しましたが、水場(稜線から5分ほど下る)は使用できます。
奥多摩小屋跡から、小雲取山方面へ。
途中、富田新道の分岐があります。
奥多摩小屋跡〜小雲取山は、標高差150mほど。疲れが溜まっていると、ちょっと辛い登りです。
小雲取山を越えると、雲取山荘への巻道分岐。
道は、緩やかとなります。
展望の良い尾根を登ります。奥秩父の飛龍山も見えます。
この日は、次第に霧が… 降水確率0%でしたが、雹(ひょう)が降ってきました。山の天気は分かりませんね。
雲取山直下の急登は、長くはありません。
山頂の避難小屋が見えれば、あとわずかです。
避難小屋から、北へ進むと、雲取山山頂。
富士山の展望も素晴らしい、東京の最高峰です!
長い行程、山で一泊して、翌日、三峯神社へ下ります。
後編をご覧ください。
雲取山の宿泊施設
雲取山は、健脚ならば日帰りの可能ですが…
一般的には、一泊二日が良いでしょう。
宿泊可能な場所は…
- 雲取山荘… 予約制
1泊2食付き 8,500円(大人)
素泊まり5,800円(大人)
※金曜・土曜・日曜・祭日・祭日前日は、個室料が1部屋4,000円
※基本的に2名以上は個室利用、1名の場合は相部屋(男女別・間仕切り有)
※個室は1室4名まで、5名以上の場合は2部屋利用。
※2021年より1泊2食付き… 9,500円(大人)素泊まり6,800円(大人)
- 雲取山荘 テント場… 現地にて受付
1人… 1,500円 - 雲取山避難小屋
東京都の施設
緊急時の宿泊者を優先・無料 - 七ツ石小屋… 予約制
素泊まり… 4,000円
※原則として、ひと月前〜前日15:00まで予約可能 - 七ツ石小屋 テント場… 予約制
1人… 1,000円
食事付きは、雲取山荘一択となります。
山頂から、三峯方面へ30分ほど下ります。
昭和初期から営業していますが、近年改築し、綺麗な小屋です。
現在、三代目が小屋番。
先代、先々代が名物小屋番で、そういう意味では、プレッシャーありそうですね。
夕食は18時頃、朝食は夏季が5時頃、冬季が6時頃です。
朝食の時間が微妙ですが、東面が開けていて、小屋前から、日の出が観られます。
山頂で日の出を観るならば、夕食のみとしたほうが良さそうです。
食事は、夕食はハンバーグとポテトサラダなど、朝食は鮭と生卵などが多いです。山小屋としては、オーソドックスな内容です。
七ツ石小屋は、素泊まり専門で、アットホームで良い小屋。
雲取山頂まで3時間ほどかかりますが、鴨沢登山口から登る場合、初日の行程が短いのが魅力です。
丹波山村が経営し、若い夫婦が小屋番の、良い評判の小屋です。
避難小屋は、基本、緊急時の利用を想定した施設です。また、水場がないのが難点ですね。
山頂の好立地ということもあり、休日は混む場合も多いです。当然、寝具もないのでシュラフが必要です。
テント場は、雲取山荘と七ツ石小屋にあります。どちらもさほど広くありませんが、樹林帯のため、比較的風の影響の少ない快適なテント場です。
せっかく、雲取山に泊まったら、夜空を眺めましょう。東京なのに、満天の星!
後編は、夜景と日の出を観たのち、雲取山山頂から、三峯神社まで縦走します。
インフォメーション
登山地図
【鴨沢〜雲取山】
鴨沢 …〈40分〉… 登山口 …〈2時間〉… 堂所 …〈1時間〉… 七ツ石小屋分岐 …〈50分〉… ブナ坂 …〈50分〉… 奥多摩小屋跡 …〈40分〉… 小雲取山 …〈30分〉… 雲取山
ー計6時間30分ー
【雲取山〜三峯神社バス停】
雲取山 …〈30分〉… 雲取山荘 …〈40分〉… 大ダワ …〈1時間20分〉… 白岩小屋跡 …〈1時間〉… お清平 …〈30分〉… 霧藻ヶ峰 …〈1時間10分〉… 奥社分岐 …〈30分〉… 三峯神社バス停
ー計5時間40分ー
●鴨沢へのアプローチ
JR青梅線・奥多摩駅より、西東京バス「鴨沢西」「お祭」行にて「鴨沢」バス停下車
または、西東京バス「留浦」行終点下車、徒歩12分
●帰路
西武バス「三峯神社」バス停より、「西武秩父駅」行に乗車・終点下車。
コースの状況など
- 鴨沢〜雲取山は、標高差約1,480m。登り6時間以上で、1泊2日の行程が標準的。
- 登山の装備が必須。春や秋でも頂上付近は氷点下となる場合もある。
雨具、防寒具、非常食は必須。 - 5月から11月のシーズンがベター。積雪時は冬山となり、アイゼンなどそれなりの装備が必須。
夏は熱中症対策が必要。 - 鴨沢〜ブナ坂、雲取山荘〜三峯は、山の斜面を通る道が多々ある。滑落に注意。
- トイレは、鴨沢、小袖駐車場、七ツ石小屋、雲取山避難小屋付近、雲取山荘、霧藻ヶ峰休憩所付近、三峯神社バス停にある。
- 水場は、七ツ石小屋、奥多摩小屋跡近く、雲取山荘にある。
- 奥多摩小屋は解体し、緊急時の宿泊も出来ない。
白岩小屋は半壊状態で、緊急時でも、ややリスクがる。
霧藻ヶ峰休憩所は、宿泊不可。 - 三峯神社から歩く逆コースは、バスの始発が遅い。また、雲取山荘までアップダウンが多い。
問い合わせ先
●奥多摩ビジターセンター
https://www.ces-net.jp/okutamavc
※コースの状況などが、把握できる
※避難小屋の管理等
●雲取山荘
Webサイト… http://kumotorisansou.com
住所… 埼玉県秩父市野坂町2-13-34
電話… 0494-23-3338
FAX… 0494-23-0582
1泊2食付き 8,500円(大人)
素泊まり5,800円(大人)
※金曜・土曜・日曜・祭日・祭日前日は、個室料が1部屋4,000円
※基本的に2名以上は個室利用、1名の場合は相部屋(男女別・間仕切り有)
※個室は1室4名まで、5名以上の場合は2部屋利用。
※2021年より1泊2食付き… 9,500円(大人)素泊まり6,800円(大人)
予約は、メール(kumotori@beige.ocn.ne.jp)・電話・FAXにて可能
●七ツ石小屋
Webサイト… https://nanatsuishigoya.com
住所… 山梨県北都留郡丹波山村5427
電話… 090-8815-1597
素泊まり… 4,000円
※予約は、電話にて原則として、ひと月前〜前日15:00まで予約可能