2023年3月の、JR東日本のダイヤ改正。中央線・青梅線のダイヤも大きく変わります。青梅〜奥多摩間はワンマン運転、ホリデー快速は青梅止まり。反面、中央線直通列車は大幅増発。
悲喜こもごもなダイヤ改正を、地元目線で考察します。
目次
立川〜青梅間は便利に、青梅〜奥多摩間は不便に
中央線・青梅線ダイヤ改正で、どう変わる?
2022年12月に発表された、JR東日本のダイヤ改正(PDF)。2023年3月から、青梅線の運行が大きく変わります。
- 青梅線・青梅〜奥多摩間は、4両編成のワンマン運転
- 青梅〜東京間の直通運転・大幅増発
- 中央線快速の通勤時間帯は、早朝帯重視へ
- 武蔵五日市〜立川間の直通運転・増発
- ホリデー快速おくたま号は、青梅止まり
- ホリデー快速あきかわ号は廃止
青梅〜奥多摩間はワンマン化で、完全分離
やはり、一番のトピックは、青梅線のワンマン運転化。いつかはなると思われた、青梅〜奥多摩間がついにワンマン運転となります。
それに伴い、青梅駅を境に、運転系統を完全分離します。奥多摩〜立川、奥多摩〜東京などの直通運転は廃止されます。
2022年夏頃から、ワンマン運転に向け、車両を改造。 安全確認用のカメラなどを付け、着々と準備していました。
青梅より、西の利用者はかなり不便となります。
ゆくゆくは東京直通運転がなくなるのは、想定内ですが…
立川からの直通運転までなくなるのは、かなり痛いです。ともあれ、青梅以西へ行くには、必ず青梅駅で乗り換えすることとなります。
ホリデー快速おくたま号は青梅止まり、あきかわ号は廃止
新宿〜奥多摩・直通運転の、ホリデー快速おおくたま号。 休日・朝夕に運転し、登山客に人気のある列車です。ダイヤ改正後は、青梅駅までの運行となり、青梅駅で臨時列車に乗り換えることになります。
青梅行なのに「おくたま号」かよと、ツッコミたくなりますが… それはともかく、青梅止まりならば、青梅特快とさして変わらないですよね。
青梅線内での停車駅が少なく、ちょっとだけ早いだけ…
新宿から乗り換えずに御嶽駅・奥多摩駅まで行ける、最大のメリットが失われます。
これは、実質的な廃止ですよね。
新宿〜武蔵五日市駅まで直通の、ホリデー快速あきかわ号は廃止。「おくたま号」に乗車し、拝島駅で普通列車に乗り換えることとなります。これも残念ですね。
2022年3月で、五日市線の中央線直通・一般列車は廃止されました。
唯一残っていた「ホリデー快速」も廃止され、都心との直通運転が全廃となります。
ホリデー快速おくたま号の詳細は、上記をご覧ください。
中央線直通の、青梅線列車は、大幅増発
暗いニュースの中、嬉しいダイヤ改正も。青梅から東京行の直通列車は大幅に増えます。
平日・日中の青梅線・立川〜青梅間は、1時間に5本。内、概ね3本程度が中央線直通。 それが概ね4本が、直通列車となります。
平日は上り18 本・下り17 本、土休日は上り 21 本・下り19本の増発。立川〜青梅間からの利用者は、かなり便利になりますね!
2024年度中に、中央線快速・青梅線の列車にグリーン車を2両増結する予定です。 グリーン車は、主に長距離客が利用、青梅線や中央線・立川以西が メインターゲットでしょう。
直通運転を増やすのは、その布石、と推測されます。
立川〜武蔵五日市直通列車も微増
五日市線は、立川発着が多少増えます。
上りは土休日1本、下りは平日2本・土休日3本と微増ですが、多少便利になります。
ダイヤ改正は、中央線快速・青梅線12両化の布石?
河辺駅・青梅駅に新設ホーム、供用開始
青梅駅・河辺駅は、ホームを増設。2023年ダイヤ改正後より、供用開始します。
青梅駅は北側にホームを新設、3本の線路を利用します。
地下通路でつながるようですね。新設ホームには、エレベーターらしきモノも確認されます。
折しも2023年3月より、バリアフリー加算運賃となり、ある意味、当然でしょうか?
河辺駅もホームを増設し、2023年3月から、供用開始します。
階段は「青梅縞」の藍色”Ome Blue”。JRも中々、味な事します。
線路も新設したのか、砂利もキレイですね。
河辺駅は、新たに3番線ホームが出来ます。
ところで、なぜ、河辺駅のホームを増設するのでしょうか?
2024年度中に、中央線快速・青梅線は、グリーン車を増結し、10両→12両編成になります。
中央線快速・青梅線の12両化の詳細は、下記をどうぞ。
12両化すれば、当然、ホームを長くしないと停車できません。
ところが、東青梅駅は、駅の両端に踏切があります。ホームが伸ばせないのですね。
ホームを伸ばすため、ポイントを潰し、駅を単線にします。結構、大胆ですね。
元々、東青梅〜青梅駅間は単線、東青梅駅で上下線の待ち合わせをしていましたが…
単線だと、駅の立川寄りですれ違うダイヤにする必要があります。
そのため、東青梅の隣駅の河辺にホームを増設し、スムーズな運行をするのでしょう。
今度のダイヤ改正で、東青梅駅を単線運用し、工事を進めます。
東青梅駅単線化工事の詳細は、上記リンクをどうぞ。
ホリデー快速の改変も、12両化への布石なのか?
12両化となると、ホリデー快速の青梅駅止まりは、必然なのでしょう。
現在のホリデー快速は、10両編成。
途中の拝島駅で分割し、6両が青梅・奥多摩方面行、4両が武蔵五日市行となります。
12両編成化すると、4+8両編成となります。
奥多摩駅のホームは、6両編成までしか停まれません。
8両側は物理的に無理、4両側は、ワンマン運転対応の車両を使わざるを得ません。
「JRの中の人」でないので、ホントのところは判りませんが…
青梅〜奥多摩間用の数少ないワンマン用車両を、都心から運行するのも、難しいのかなと。
利用者としては、なんとかやり繰りして、先頭4両だけでも直通運転してもらいたいですがね。
中央線直通・増発は、JRの戦略?
中央線直通の青梅線が増える理由を、推察すると…
やはり、2024年度のグリーン車増結が関係と考えられます。
グリーン車の利用者は、やはり長距離客でしょう。
駅名 | 乗降客数 |
---|---|
西立川 | 9,464 |
東中神 | 11,164 |
中神 | 18,210 |
昭島 | 39,142 |
拝島 | 45,748 |
牛浜 | 6,578 |
福生 | 24,272 |
羽村 | 20,250 |
小作 | 23,800 |
駅名 | 乗降客数 |
---|---|
河辺 | 20,604 |
東青梅 | 10,304 |
青梅 | 9,764 |
熊川 | データなし |
東秋留 | 6,956 |
秋川 | 10,088 |
武蔵引田 | 4,860 |
武蔵増戸 | 3,750 |
武蔵五日市 | 6,268 |
合計 | 271,222 |
上表は、2022年に公表された、青梅線・西立川〜青梅と、五日市線の乗降客数です。
駅名 | 乗降客数 |
---|---|
日野 | 39,120 |
豊田 | 53,230 |
八王子 | 117,520 |
駅名 | 乗降客数 |
---|---|
西八王子 | 48,756 |
高尾 | 40,898 |
合計 | 299,524 |
こちらは、中央線快速の、立川以西の、日野〜高尾間の乗降客数です。
新宿から概ね、30分以上乗車する、グリーン車のターゲット客ですね。
比較すると…
青梅・五日市線が27万人強、中央線が30万人弱と、意外と拮抗。
青梅線は、ひとつの駅の客は少なくとも、数が多いので、全体としてはボリュームがあります。
JRとしては、新宿〜八王子・高尾間は、京王線と競合し、サービス強化したいところでしょう。
しかし、数字だけみれば、中央線快速の4割程度は、青梅線直通にしても、良いですよね。
また、立川〜青梅間は約32分に対し、立川〜高尾は約17分程度。青梅線のほうが、より長距離客が多く、グリーン車の需要は高いはずです。
JRとしては、青梅線直通運転を増やし、グリーン料金での増入を目論んでいるのでしょう。
利用者としても嬉しい直通運転ですが、JRとしても美味しい話なのかなと。
インフォメーション
参考資料
●JR東日本 ニュースリリース 八王子支社
https://www.jreast.co.jp/press/2022/hachioji/20221216_hc01.pdf