東京都唯一「日本の滝百選」に選ばれた、檜原村の払沢の滝(ほっさわのたき)。
厳寒期は、氷瀑の滝として知られています。
完全結氷は10数年に1度。どのような気象条件で結氷するのか、検証してみました。
目次
大寒波が必須? 払沢の滝の、完全結氷
結氷の度合いで七変化な、払沢の滝
東京都で、島部を除いて唯一の村、檜原村。
風光明媚な山村に、払沢の滝があります。
「日本の滝百選」にも選ばれた名瀑ですが、比較的行きやすいのも特徴。
新緑や紅葉の時期も良いですが、なんといっても冬の氷瀑が素晴らしい滝です。
結氷が進むと、どのようになるのでしょうか?
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まずは、結氷率10%。周りは凍っていますが、まだまだ「普通の滝」。でも、周囲の氷柱は見事です。
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40%になると、ぐっと氷瀑らしくなります。とはいえ、水の流れは、結構あります。
滝壺に張った氷は、昼間の暖かさで割れています。
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60%になると、上部はほぼ凍り、下部だけ滝が見える状態。充分、氷瀑として、見応えあります。
2023年は70%結氷しました。
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上の写真は、結氷率98%。ほんの少し結氷していませんが、100%とほぼ同じ?
壮観、そして、荘厳です。東京にいることを、忘れてしまいそう…
ちなみに、この写真を撮った翌日に、完全結氷しました。タッチの差で、観られなくて悔しい!
でも、完全結氷はもちろん良いけれど、それぞれ味があるな、と思います。
東京で気軽に氷爆が観られるなんて、素晴らしいことではありませんか!
払沢の滝のコースガイドです。アプローチ等、ご参考にしてください。
払沢の滝が、21世紀に完全結氷したのは、2年だけ
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払沢の滝ですが、完全結氷は滅多にありません。
2022年1月9日現在、21世紀に入り、完全結氷したのは2度だけ。
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上図は、檜原村観光協会発表の、年ごとの最大結氷率をグラフ化したもの。
21世紀に入って、100%結氷したのは、2006年・2018年の2度だけです。やはり、地球温暖化などの影響もあるのでしょうか?
完全結氷した際の日付近の、最低気温は?
どの程度、寒くなれば、完全結氷するのでしょうか?
2018年に完全結氷した日の、過去10日分の気温を、気象庁のWebサイトで調べてみました。
気象庁のデータでは檜原村での気温の記録がなく、比較的近い青梅市の気温データと、結氷率を重ねてみました。
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1月28日に完全結氷しましたが、3日ほど前から、猛烈な寒さですね。
ちなみに、前日1月27日は青梅で、観測史上、もっとも最低気温の低い日でした。
25日も史上4番目、26日は6番目に低く、猛烈に寒い日が続いています。
1週間前はまったく凍っていないのに、凄いスピードで結氷しています。
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同じく、払沢の滝に近い、小河内(奥多摩町)の気温も見てみましょう。
大体の傾向は青梅と同じですが、寒暖差は少ないですね。
意外ですが、結氷・過去3日の最低気温は、青梅より暖かい。
小河内の観測点は標高510m、青梅は標高190m。普通ならば、小河内のほうが寒い気がしますが…
冬は日によっては青梅の方が寒い(特に最低気温)ことも、あるのです。
小河内の観測点は奥多摩湖の畔、水温などに左右され、払沢の滝の参考としては、むしろ青梅のほうが良いかも。
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2006年1月8日に完全結氷した時の、気温も見てみましょう。
残念ながら、結氷率は公表されていませんが、過去10日の青梅市の気温です。
2018年ほど強烈ではありませんが、1月の最低気温が-2.3℃、平均気温が3.2℃の青梅としては、連日寒い日が続いています。
最低気温も低いのですが、平均気温もかなり低い。この時期として、3℃程度低く、これが、ほぼ10日間以上続いています。
これならば、払沢の滝で結氷が進むのも頷けます。
データを見る限り、平均気温が概ね、青梅で2℃以下の日が10日程度続くか、大寒波に3〜4日飲み込まれると、完全結氷する可能性が高いですね。
この条件は滅多になく、おそらく昔は頻繁に結氷していたのでしょうが、だんだん難しくなるでしょう。
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1977年〜2021年の、東京(大手町)、青梅、奥多摩の年間平均気温です。
ともに、40年で1〜2℃程度、年間平均気温が上昇しています。特に青梅は都市化が進んだのか、気温の上昇幅が大きいです。
奥多摩の山間部も例外ではなく、1℃ほど上昇。
今後は、払沢の滝・完全結氷も、ますます少なくなりそうです。
インフォメーション
アクセス
JR五日市線・五日市駅より、西東京バス「数馬(払沢の滝経由)」「藤倉」行にて「払沢の滝入口」下車
駐車場… あり
ハイキングマップ
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払沢の滝バス停… 徒歩15分 …払沢の滝… 徒歩15分 …払沢の滝バス停
ー計30分ー
コースの状況など
- 特に危険な箇所はないが、冬場は路面凍結に注意!
- 冬場は寒いので、暖かい服装で
- ほぼ平坦な道の、ラクラクハイキング
- 子供連れでも大丈夫!
- 駐車場近くにトイレ有り
- 滝の手前に休憩所有り
問い合わせ先
●檜原村
https://www.vill.hinohara.tokyo.jp/
●檜原村観光協会
https://hinohara-kankou.jp/