街と山の古刹を巡る、あきる野・武蔵五日市七福神

あきる野市の郊外・山里に点在する、武蔵五日市七福神。
毎年、正月には御開帳も行われます。
徒歩で約3時間と、七福神巡りとしてはロングコースですが、のどかな里を歩く楽しいコースです。

里山の寺に佇む、七福神を訪ねる小旅

武蔵五日市七福神とは?

東京西部のあきる野市。秋川渓谷の清流も美しい、奥多摩の山々に囲まれた町です。
五日市七福神は、その山間を、縫うように巡ります。
都市部よりもロングコースですが、自然豊かな道を歩く七福神巡りは、新鮮で充実感があります。

あきる野市、五日市七福神の、大悲願寺

2022年の御開帳は、1月1日〜3日・9時〜16時。
七福神の御朱印は、公式記念色紙(300円)を購入の上、1月31日まで、各寺200円で捺して頂けます。色紙も各寺で販売しています。

三が日の御開帳は魅力ですが、休業する飲食店が多いのが難点。
美味い店の多いあきる野グルメも楽しむのなら、三が日を外したほうが良いですね。

武蔵五日市駅から、正光寺へ

あきる野市、五日市七福神コースの、武蔵五日市駅
JR武蔵五日市駅

起点は、JR五日市線・武蔵五日市駅。
駅前から伸びる、五日市街道(都道7号)を南東へ往きます。
途中、旧五日市街道へ道を取り、正光寺へ向かいます。

あきる野市、五日市七福神コースの、正光寺
正光寺

三叉路を右に曲がると、正光寺。

あきる野市、五日市七福神コースの、正光寺・本堂
正光寺・本堂

嘉元3年(1305年)の創建とされ、江戸幕府の資料にも載る前、由緒正しき古刹です。

あきる野市、五日市七福神コースの、正光寺・弁財天堂
弁財天堂

弁財天を祀る、正光寺、山門横のお堂でお参りをします。

あきる野市、五日市七福神コースの、正光寺・弁財天
正光寺・弁財天

少々小さな弁財天様ですが、優雅で美しい像です。

正光寺から、大悲願寺へ

正光寺から、大悲願寺を目指します。
五日市街道を渡り、旧五日市街道を歩きます。

あきる野市、五日市七福神コースの、道標

300mほど歩くと「大悲願寺」方面の道標。左折すると、急坂の道となります。

あきる野市、五日市七福神コースの、踏切

坂道を登り切ると、踏切。なんか、いい雰囲気ですが、狭い道の割に車の往来も多いので、注意しましょう。

あきる野市、五日市七福神コースの、踏切と五日市線の列車

踏切を渡り、右へ曲がると大悲願寺まであとわずか。

あきる野市、五日市七福神コースの、大悲願寺・山門
大悲願寺・山門

大悲願寺は、鎌倉時代初期の創建、真言宗のお寺です。
境内には、四国八十八ヶ所巡りを模した「お砂踏み」も。気軽にお遍路さんを体験できます。

また、秋には白萩も咲くお寺として有名です。詳しくはこちらを。

鎌倉時代創建のお寺らしく、歴史を偲ばせる境内。

あきる野市、五日市七福神コースの、大悲願寺・本堂
大悲願寺・本堂

ゆっくり見学したい気分ですが、まだまだ先は長いから、徒歩ならば、時間配分を忘れずに。

あきる野市、五日市七福神コースの、大悲願寺・大黒天
大悲願寺の大黒天

大悲願寺の七福神は、大黒天様。弘化3年(1846年)作とのことで、威風堂々とした立派な像です。

大悲願寺から、下町地蔵堂を経て、玉林寺、番場地蔵堂へ

大悲願寺から、踏切をへ戻り、武蔵五日市駅方面へ。都道を通っても行けますが、坂道を下る途中で、右に分かれる道を歩くと、交通量も少なく良いでしょう。
1.2kmほど歩くと、左手に初後亭。本格手打ちうどんのお店です。

初後亭の少し先で、秋川街道(都道31号)を左折、ほどなくJR武蔵五日市駅前に出ます。
次の下町地蔵は、そのまま西へ進みます。
駅前から、500mほど歩くと、恵比寿天を祀る下町地蔵堂です。

あきる野市、五日市七福神コースの、下町地蔵堂
下町地蔵堂

下町地蔵堂は、製麺店・寿美屋の一角。敷地には、ちょっと格調高い蕎麦店、寿庵忠左衛門もあります。

次の参拝地・玉林寺は、都道33号(檜原街道)を更に西へ進みます。
「上町」交差点の少し先で左折、急な坂道を下り、三叉路を右折すると、玉林寺です。

あきる野市、五日市七福神コースの、玉林寺・山門
玉林寺・山門

仁王像のある山門をくぐり、境内へ。

あきる野市、五日市七福神コースの、玉林寺・本堂
玉林寺・本堂

右手に本堂、左手は庭園です。

あきる野市、五日市七福神コースの、玉林寺・枯山水庭園
玉林寺の枯山水庭園

小さいながらも、立派な枯山水の庭園があります。山里で、思いかけず、枯山水と出会う贅沢。

あきる野市、五日市七福神コースの、玉林寺・枯山水庭園の池の氷

冬だと、庭の池も氷が張ります。

あきる野市、五日市七福神コースの、玉林寺・福禄寿堂
福禄寿堂

福禄寿を祀るお堂は、山門近くにあります。
筆者が、お堂を眺めていると住職さんが

「ご覧になりますか」と、特別公開。

あきる野市、五日市七福神コースの、玉林寺・福禄寿
玉林寺の福禄寿

子孫繁栄、金運、長寿と、ご利益満載の福神様。気さくな住職さんのおかげで、拝めました。

あきる野市、五日市七福神コースの、玉林寺と里山の山並み
玉林寺と、あきる野の里山

次の、番場地蔵堂は、目と鼻の先。

あきる野市、五日市七福神コースの、番場地蔵堂
番場地蔵堂

いったん、檜原街道に出るか、玉林寺裏手の墓地からも直接、上がれます。

あきる野市、五日市七福神コースの、番場地蔵堂・毘沙門天様
毘沙門天様

お堂で御朱印できない場合は、玉林寺で捺して頂けます。玉林寺を先に回る方は、お寺で確認すると良いでしょう。

あきる野市、五日市七福神コースの、番場地蔵堂の冬桜

番場地蔵堂近くには寒桜も咲き、冬の寒い中、ちょっぴり癒やされます。

番場地蔵堂から、光厳寺へ

番場地蔵堂から光厳寺は、檜原街道を西へ向かいます。

あきる野市、五日市七福神コースの、沢戸橋
沢戸橋

小中野交差点で、本郷通りに左折し、沢戸橋を渡ります。

あきる野市、五日市七福神コースの、野崎酒造
野崎酒造

道は右に大きくカーブし、蔵造りが立派な野崎酒造さんの前へ。昔ながらの製法で造られた日本酒の、直営販売所もあります。開いていたら、是非どうぞ。

あきる野市、五日市七福神コースの、戸倉しろやまテラス
戸倉しろやまテラス

野崎酒造のすぐ先を左折し、100m少々進み、三叉路を左折。この付近は要所に道標があり、それに従います。
廃校跡の「戸倉しろやまテラス」を回り込むように上ると、光厳寺に到着します。

あきる野市、五日市七福神コースの、光厳寺・山門
光厳寺・山門

かなりの急坂を登り切ると、光厳寺に到着。

あきる野市、五日市七福神コースの、光厳寺・本堂
光厳寺・本堂

樹齢400年を超える山桜で有名ですが、冬の静けさもまた素晴らしい古刹です。

あきる野市、五日市七福神コースの、光厳寺からの山並みと鐘撞堂

川沿いの集落から標高50mほど高いお寺、境内からは、山々も望まれます。

あきる野市、五日市七福神コースの、光厳寺・布袋尊
光厳寺・布袋尊

光厳寺の布袋尊像は石像で、山門の近くにあります。ふっくらとした、優しげな神様。
無病息災のご利益もありますが、メタボ解消には向かないかも?

光厳寺から、徳雲院へ

駅から歩きはじめ、そろそろ疲れも出る頃ですが、後ひとつでコンプリート。徳雲院へ向かいます。
来た道を下り、三叉路を左折し、三島神社方面へ下ります。

あきる野市、五日市七福神コースの、街の展望

晴れれば展望の効くコース、下り道と相成って、気持ちよく歩けます。もっとも、北斜面の林道、凍結時は注意が必要でしょう。

檜原街道まで下り、交番近くの「戸倉新道」交差点の横断歩道を渡ります。「戸倉キャンプ場」方面の標識に従い、星竹橋を渡ります。

あきる野市、五日市七福神コースの、星竹橋
星竹橋

「星竹」という、なんともロマンチックな名の集落を歩きます。

あきる野市、五日市七福神コースの、秋川渓谷

コバルトブルーの秋川が、眼下に。

あきる野市、五日市七福神コースの、林道

渓谷沿いの道は、緩やかにアップダウンを繰り返します。

あきる野市、五日市七福神コースの、都道201号線

しばらく歩き、都道201号線を右折します。

あきる野市、五日市七福神コースの、徳雲院

左手に最後の参拝地、徳雲院が見えます。川沿いのお寺、冬場は早くも、陽が陰ります。

あきる野市、五日市七福神コースの、徳雲院・本堂
徳雲院

寺へと続くスロープを下り、境内へ。
徳雲院は戦国時代の創建とされ、歴史ある禅寺です。

あきる野市、五日市七福神コースの、徳雲院の梅
春の徳雲院

春は、梅の花咲く、華やかなお寺ですが、冬の静けさも良いですね。

寺の裏手の川は、ホタルも住んでいます。

徳雲院の七福神は寿老人、境内南側にお堂があります。

あきる野市、五日市七福神コースの、徳雲院・寿老人堂
寿老人堂
あきる野市、五日市七福神コースの、徳雲院・寿老人
徳雲院・寿老人像

小ぶりながらも優しげな、寿老人像です。

あきる野市、五日市七福神コースの、徳雲院・「喝」の石

境内に「喝」と刻まれた、石があります。
徳雲院十二世・加藤耕山氏の書で、亡くなった日に書いたのだとか。
95歳ですが、なんと勢いのある字でしょうか。

禅での「喝」は、引導の際に用いられます。
引導とは、すなわち、穏やかに仏のもとへ導くための事。ご自身が、世を去ることを悟ったのでしょうか。
寿老人は、長寿を授けてくれる七福神。徳雲院に相応しい、福神と言えますね。

帰路は、徒歩10分少々の十里木バス停から、武蔵五日市駅に戻ります。昼間から夕方にかけては、1時間に2〜3本です。

瀬音の湯

近くの日帰り温泉・瀬音の湯に寄るのも良いでしょう。年末年始も営業しています。

インフォメーション

マップ

JR五日市線・武蔵五日市駅  …〈15分〉… 正光寺 …〈15分〉…大悲願寺 …〈35分〉… 下町地蔵堂 …〈15分〉… 玉林寺 …〈5分〉… 番場地蔵堂 …〈40分〉… 光厳寺 …〈55分〉… 徳雲院 …〈15分〉… 十里木バス停
ー計3時間15分ー

十里木バス停・瀬音の湯からの帰路は、西東京バスにて、JR五日市線・武蔵五日市駅へ

問い合わせ先

●五日市七福神
Webサイト… http://www.kitchen-sion.com/mi7_b/
電話… 042-596-0904(正光寺)
御開帳… 1月1日〜3日まで、9:00〜16:00
御朱印… 1月1日〜31日まで、9:00〜16:00

●あきる野市観光協会
webサイト… https://www.akirunokanko.com
電話… 042-596-0514

●瀬音の湯
Webサイト… http://www.seotonoyu.jp
営業時間… 10:00~21:00(受付20:00まで)
休館日… 3月、6月、9月、12月の第2水曜日
住所… 東京都あきる野市乙津565
電話… 042-595-2614

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