なんと50年ぶり、だそうです。
2021年、青梅に映画館がオープン。
それだけでも、ワクワクするのに…
有形文化財の建築物を、リノベーションした映画館です。
そこには、映画を愛する男の、物語がありました。
目次
猫の町、映画の町に、映画館を!
かつて、映画は娯楽の王様だった
![](https://i0.wp.com/ometsu.net/wp-content/uploads/2021/04/DSC7497-2021-04-3.jpg?resize=728%2C486&ssl=1)
青梅市・西分町に、2021年、映画館がオープン予定。
猫の街・青梅らしく、名前はシネマネコ。
5月2日にオープン予定でしたが、緊急事態宣言を受け、延期。
少々、出鼻をくじかれました。
かつて青梅は、繊維の町として栄えました。
養蚕農家も多く、屋根裏部屋で蚕を飼っていたほどです。
たとえば、吉川英治記念館も、元々は養蚕農家の民家。
蚕の天敵、ネズミを退治する猫は、青梅では重宝されていました。
戦後、昭和30年代は、寝具の生産が急増、女工さんで町は溢れ、活気が満ちていました。
映画館も、3館あったほど。
青梅に限らず、テレビが台頭するまでは、映画が娯楽の王様だったから。
そして、映画が生活の一部だったのでしょう。
映画館の映画といえば「ニュー・シネマ・パラダイス」。
舞台は、イタリア・シチリア島です。
敗戦国の町の中心に、皆に愛される映画館が。
1950年代前半が舞台、青梅が映画で栄えた時期の少し前と、さして変わりません。
昭和中頃の日本も、映画館はランドマーク的存在、だったのでしょう。
その後、繊維産業も衰退し、映画館も閉館。
時代の流れ、といえばそれまでですが、寂しさは拭えません。
有形文化財が、映画館になったワケ
![青梅市の有形文化財建築物の映画館・シネマネコ](https://i0.wp.com/ometsu.net/wp-content/uploads/2021/04/DSC7481-2021-04-1.jpg?resize=728%2C486&ssl=1)
青梅で、美味しい焼き鳥や餃子が評判の「火の鳥」を経営する、菊池康弘さん。
映画青年で、自らも役者を志した彼。
かつて映画の町に、銀幕の灯火をと、立ち上がりました。
「映画館を造ろうと、市内で場所探しをしたのですよ。で、町のタウンマネジャーに、ここを紹介されて」
タウンマネージャーとは、空洞化する市街地を活性化させる、コンサルタント。
空き物件とユーザーを、橋渡しする役割です。
なるほど、この建物なら、小さな映画館が収まる。
それに「お飾り」の文化財ではなく、映画館ならば気軽に入れるし、町の活性化にも繋がる。
ここを映画館にしよう、と心に決めました。
![青梅市の有形文化財建築物の映画館・シネマネコ](https://i0.wp.com/ometsu.net/wp-content/uploads/2021/04/DSC7524-2021-04-2.jpg?resize=728%2C486&ssl=1)
開館資金は、クラウドファンデイングも活用。(2021年4月30日まで募集)
「ニュー・シネマ・パラダイス」では、火事で全焼した映画館を、サッカーくじで富を成した男が再建しましたが…
菊池さんは、いたって手堅いようです?
リノベーションする物件は、昭和初期の建築物。
映画館の厳しい建築基準を満たす改修は、大変です。
![青梅市の有形文化財建築物の映画館・シネマネコの内装](https://i0.wp.com/ometsu.net/wp-content/uploads/2021/04/DSC7343-2021-04.jpg?resize=728%2C486&ssl=1)
「リノベーションするために、壁紙や漆喰を剥がしたのですよ。そうしたら、材木に何かマークがあるじゃないですか」
多分、大工さんか材木屋さんの屋号ではないか、と手掛けた建築家は、推測。
まさか、90年後の人間が発見するなんて、想像しなかったでしょう。
歴史ある建物には、ストーリーがあります。
![青梅市の有形文化財建築物の映画館・シネマネコのディスプレイケース](https://i0.wp.com/ometsu.net/wp-content/uploads/2021/04/DSC7331-2021-04.jpg?resize=728%2C486&ssl=1)
待合室には、寝かしたシェルフが…
「文化財だから、内装品も処分しないように、お達しがあったのですよ」
ならば、これをを生かし、ディスプレイケースに。
モノが良いので、オシャレですね。
こけら落としは、猫の恩返し
![青梅市の有形文化財建築物の映画館・シネマネコの内部](https://i0.wp.com/ometsu.net/wp-content/uploads/2021/04/DSC7426-2021-04.jpg?resize=728%2C486&ssl=1)
シネマネコは、63席のミニシアター。
青梅近郊の方をメインに、観光客なども取り込むプログラムを、目指します。
こけら落としは、スタジオ・ジブリの「猫の恩返し」。
(2021年6月4日〜6月17日上映)
これ以上のチョイスはない、と思われ。
なぜって、猫の映画館は、「日のあたる坂道」の上にあるんですよ。
ぜひ、自転車で駆けのぼって、観に行って。
菊池さんは、是が非でも、猫の恩返しをこけら落としと、したかったそうで。
でも、周りからは、ジブリは難しいのではと、諭されたりします。
「宮崎駿さんに、直談判の手紙を出しました」
菊池さんが、なまじ映画関係者だったら、ここまで大胆な事はしなかったでしょう。
でも、ピュアな気持ちって、通じるもの。
ジブリ側は快諾、めでたくこけら落としと、相成ります。
ジブリの作品が、こけら落としに使われるのは、おそらく初めて。
それどころか「猫の恩返し」のリバイバル上映も、ほぼ無いそうです。
また、2週間のサイクルで作品を、チェンジする予定。
ローマの休日の、新しい吹替版なども、上映します。
(2021年6月18日〜7月1日上映)
パブリック・ドメイン(著作権の切れた名画)も、どんどん上映して欲しいですね。
やっぱり、映画は、映画館で観たい
![](https://i0.wp.com/ometsu.net/wp-content/uploads/2021/04/DSC7433-2021-04-1.jpg?resize=728%2C486&ssl=1)
最新の映画館だけあり、投影機材は当然、DCP(デジタルシネマパッケージ)。
デジタルですが映画用の規格で、家庭用とはひと味違います。
プロジェクターはNEC NC1000cとのこと、小型映画館なので、2Kという判断なのでしょうか?
![青梅市の有形文化財建築物の映画館・シネマネコの映写室](https://i0.wp.com/ometsu.net/wp-content/uploads/2021/04/DSC7404-2021-04.jpg?resize=728%2C486&ssl=1)
映画館の映写室って、初めて入りましたが…
昔の、それこそニュー・シネマ・パラダイスのような鬱蒼とした部屋ではなく、クリーンルームみたいで、驚きました。
![青梅市の有形文化財建築物の映画館・シネマネコのドルビーサラウンド](https://i0.wp.com/ometsu.net/wp-content/uploads/2021/04/DSC7440-2021-04.jpg?resize=728%2C486&ssl=1)
音響は、7.1chまで対応のドルビーアトモス、スピーカーはJBL。
これは、映画館ならではの迫力とクオリティーでしょう。
![青梅市の有形文化財建築物の映画館・シネマネコの座席](https://i0.wp.com/ometsu.net/wp-content/uploads/2021/04/DSC7439-2021-04.jpg?resize=728%2C486&ssl=1)
座席数は63席です。
シートはゆったり目。
居心地良すぎて、うたた寝しそう?
シートは新潟県・新潟県十日町にあった「十日町シネマパラダイス」から譲り受けたもの。
やっぱり、青梅の「ニュー・シネマ・パラダイス」ですね。
![青梅市の有形文化財建築物の映画館・シネマネコの座席](https://i0.wp.com/ometsu.net/wp-content/uploads/2021/04/DSC7432-2021-04.jpg?resize=728%2C486&ssl=1)
座席には、やや大きめのドリンクホルダーも。
水分補給も、バッチリです。
こうして、中を拝見すると、あらためて、映画は映画館で観なくっちゃ!と思いますね。
スクリーンでなければ味わえない、感動もありますから。
カフェも併設
![青梅市の有形文化財建築物の映画館・シネマネコのカフェスペース](https://i0.wp.com/ometsu.net/wp-content/uploads/2021/04/DSC7455-2021-04.jpg?resize=728%2C486&ssl=1)
飲食店経営者がオーナーだけあり、併設のカフェも期待できます。
壁面には、大きな棚があり、ブックカフェ的な利用も。
![青梅市の有形文化財建築物の映画館・シネマネコのカフェスペース](https://i0.wp.com/ometsu.net/wp-content/uploads/2021/04/DSC7513-2021-04-3.jpg?resize=728%2C486&ssl=1)
昔の建物ですが、採光に優れた大きな窓。
![有形文化財](https://i0.wp.com/ometsu.net/wp-content/uploads/2021/04/DSC7462-2021-04-2.jpg?resize=728%2C486&ssl=1)
映画館内のカフェとしては、かなり本格ですね。一部のメニューはテイクアウトして、館内への持ち込みもOK。
なお、他の映画館と同じく、館外からの持ち込みはNGです。
カフェ情報の詳細は、こちらをご覧ください。
![青梅市の有形文化財建築物の映画館・シネマネコの洗面所](https://i0.wp.com/ometsu.net/wp-content/uploads/2021/04/DSC7346-2021-04.jpg?resize=728%2C486&ssl=1)
洗面所などのアメニティも、シックで落ち着いた雰囲気。
![青梅市の有形文化財建築物の映画館・シネマネコのバリアフリートイレ](https://i0.wp.com/ometsu.net/wp-content/uploads/2021/04/DSC7350-2021-04.jpg?resize=728%2C486&ssl=1)
歴史建築物ですが、バリアフリー対応のトイレがあるなど、配慮もあります。
プライスは?
小さな映画館だから、高いんじゃないの?と思いきや、良心プライスでした。
大体、封切り館と同じ料金設定ですね。
ネコデイがあるから、お得な日がたくさんありますね。
いっそ会員になって、いつでも1,000円も魅力です。
自社Webサイトより、ネット予約も導入。
上映日の3日前から購入出来ます。
青梅に50年ぶりの映画館、他にはない貴重な建築物。
新しい映画の楽園、青梅の、いや日本の、ニュー・シネマ・パラダイス、です。
このパラダイスを目指す旅も、良い休日になりそうです。
映画館の向かいに、国の文化財の石蔵をそのままレストランにした、繭蔵があります。
この付近は、良い建築物が多いエリア、映画だけではなく、散策すると良いですよ。
インフォメーション
アクセス・定休日・問い合わせ先
JR青梅線・東青梅駅より、徒歩11分
JR青梅線・青梅駅より、徒歩14分
駐車場… 提携駐車場を利用
●CINEMA NEKO(シネマネコ)
Webサイト… https://cinema-neko.com
住所… 東京都青梅市西分町3-123
電話… 0428-84-2636
営業時間… 9:00〜22:00
定休日… 毎週火曜日
(年会費2,000円・会員要提示)
(3歳以上の未就学児・3歳未満でも席を利用する際は1,000円)
(どちらかが50歳以上で、同一上映の場合)
(毎月1日に実施)
(女性のみ、毎週水曜日に実施)
(毎週金曜日に実施、年齢・性別問わず、同一上映の場合)
(毎月2,12,22日)
※料金は税込みです。