「奥多摩槍」とよばれる、奥多摩・天地山。
スリリングな岩場と、急登が続くマイナールートです。
4月上旬はイワウチワも咲く、花の名山。
天地山から鋸尾根を経て、奥多摩駅まで歩いてみました。
目次
川合玉堂も愛した、奥多摩の名山を登る
奥多摩駅から、海澤方面へ
「奥多摩槍」と呼ばれる、天地山。標高981mと決して高くはありませんが、その尖った山容はまさに槍のようです。青梅・御岳の日本画家・川合玉堂も
名に負える天地岳は人知らず 奥多摩槍といわば知らまく
と詠んだといいます。
春はイワウチワの咲き、花の名山といわれますが…
姿から察せられるように、急登の続く山で、多くの登山地図では破線。岩場もあり、バリエーションコースの扱いです。
今回は、奥多摩駅から天地山へ登り、鋸尾根を下ります。
起点はJR青梅線・奥多摩駅。都道184号線を東へ進みます。
しばらく、多摩川沿いを歩きます。
海沢大橋南・交差点で、右の道を直進。
交差点近くの海沢カタクリ山には、3月下旬〜4月上旬にかけてカタクリが咲きます。
訪れた際はカタクリは終盤、その代わり、ニリンソウ、ムラサキケマンなどが咲いていました。
「海沢大橋南」交差点から500mほど歩くと、五叉路に到着。川沿いの道を進みます。
200mほど進み、左折し橋を渡ります。橋上から、海沢の集落と本仁田山がよく見えます。
林道とも、登山道ともつかない道を歩きます。
途中、道が分かれる地点があります。左の道を進みます。分かりにくいのでご注意を。
新緑の中、緩やかな坂を登ります。
初々しい芽吹きに、癒やされます。
登山口に到着。特に道標はなく、地図とGPSで現在位置を確認すると良いでしょう。
天地山を経て、鋸山へ
のっけから、急登の登山道を登り、天地山を目指します。
ナガバノスミレサイシンでしょうか、白いスミレも咲く道。
広葉樹林越しに、奥多摩の山々も。
674mの「山ノ神」に到着。
この付近、ツツジが美しい!
新緑の映える広葉樹林。
道標こそありませんが、道は明瞭。要所にテープもあります。
「山ノ神」から少し下り、そこから天地山への急登が続きます。
急登を登り切ると、天地山山頂に到着。ここから先、鋸尾根まで平らな場所はありません。
昼食など、早めの休憩すると良いでしょう。
遠く、東京・埼玉境界の、酉谷山方面も望めます。
山頂には陶器のお地蔵様。中々可愛いですね。
天地山の下りは急斜面。このコース、一番の難所です。
フィックスロープはあるものの、慎重に下ります。
標高差50mほど下り、鋸尾根への登りとなります。
標高差150mほどの急登が続きます。
鋸尾根に到着しました。
天地山周辺の岩場には、イワウチワが自生しています。
文字通り、岩に根を張る植物です。
写真を撮る際は、滑落しないようご注意を。
御岳・奥多摩周辺の山は、他にもイワウチワの自生地があります。併せてご覧下さい。
鋸山から、奥多摩駅へ
奥多摩駅は、鋸尾根を右折し、北へ下りますが… せっかくなので、左折して鋸山へ登ります。
往復20分程度でしょうか、視界は効かないものの、ベンチのある山頂です。
鋸山で引き返し、奥多摩駅まで下ります。
標高1046.7mの「澤入」三等三角点を通過。古い地図などには「天地山三角点」と記載されることもありますが…
国土地理院のデータベースでは「澤入」が正式名称です。
随所でアセビの花が。
つかの間、緩やかな道となります。
しばらく進むと、六ツ石山方面の展望が広がる場所に到着。「鎖場」コースとの分岐ですが、一般コースを進みます。
一般コースとはいえ、ハシゴなど、スリリングな道。
鎖場も登場。川苔山・百尋ノ滝コースとならび、奥多摩では遭難の多いコースです。
天候の悪い日は避けた方が無難かと。
天狗様を祀る天聖神社・岩峰に到着。右が大天狗、左が小天狗です。
大天狗様は、鼻高々。
辺りはツツジが満開。
天聖神社から整備された道を、グングン下ります。
林道と交わり、登計峠に到着。
愛宕神社の参道を登り返します。
標高507mの愛宕神社に到着。町との標高差は約150m、意外とあります。
188段の石段を下ります。
昭和橋のたもとに到着。先ほど通った愛宕山が見えます。ここから、奥多摩駅までは5分程度。
始発駅からゆっくり座って帰路に就きます。
インフォメーション
マップ
JR青梅線・奥多摩駅 …〈30分〉 … 海沢大橋南交差点…〈50分〉… 登山口 …〈50分〉… 山ノ神 〈1時間〉… 天地山 …〈1時間〉… 鋸尾根分岐…〈15分〉 … 鋸山…〈1時間15分〉… 天聖神社奥宮 〈30分〉… 愛宕神社 〈25分〉… JR青梅線・奥多摩駅
ー計6時間35分ー
コースの状況など
- 天地山は中級者向けのバリエーションルート。地図・GPSを携帯したい。
- 道は比較的明瞭だが、道標はない。視界の悪い日は要注意。
- 天地山の下りは、一般ルートほど整備されていない下り。通行注意。
- トイレは、奥多摩駅横、氷川キャンプ場入口、奥多摩駅にある。
- コース上、水場はない。
- 奥多摩駅周辺には、コンビニはない。