東京と埼玉の境界の山、棒ノ折山。
埼玉県側の白沢は、滝が連続する、比較的梅雨でも涼しい登山コースです。
下りは東京都へ道を選べば、都県をまたぐ山旅となります。
清涼を求めて、梅雨の合間に出かけてみました。
目次
清流の山道を歩く、棒ノ折山
飯能・名栗湖から、清流の道を歩く
いくつかの登山ルートのある、棒ノ折山。
その中でも人気のあるルートは、埼玉県・飯能市の名栗湖畔から登る、白谷沢ルートです。
今回は、白谷沢から登り、東京・奥多摩の百軒茶屋へ下ります。
飯能駅からのバスに乗り、「河又名栗湖入口」で下車。
有間ダムの堤防を歩き、川沿いの道を歩くと、登山口です。
登山口には、小さな駐車場もあります。
ピストン登山ならば、自家用車でアクセスする際、使えますね。
ただ、狭いので、休日などはすぐに埋まるでしょう。
歩き始めて間もなく、藤懸の滝が現れます。
昔は、滝の近くまで簡単に下れましたが、台風で谷が荒れたのか、降りるのがちょっと危ない感じ。
無理をせず、横から眺めることにします。
落差10mですが、中々豪快な音がします。
沢沿いの道を、歩きます。
小さな滝が、連続しています。
梅雨時でも、涼しげなのが良いですね。
梅雨らしく、路傍にはヤマアジサイも花咲かせています。
苔も瑞々しく、綺麗。
梅雨時の沢沿いならでは、の光景です。
岩の合間を登ると、天狗滝に到着。
三段ほどある、雅な滝です。
周りの岩苔との対比が美しいです。
天狗滝の横の道を登ると、ゴルジェが現れます。
「ゴルジェ」はフランス語で「喉」という意味。
両側が岸壁の地形を、表します。
ゴルジェの沢を、歩きます。
コンディションによっては、滑りやすいので、慎重に。
この辺り、木々の葉も鮮やかで美しい!
ゴルジェを登り切ると、今度は鎖場となります。
鎖を使わずとも登れますが、やっぱり安心ですね。
鎖場から、白孔雀の滝を経て、急登を登ると林道に出ます。
ベンチもあり、ひと休憩出来ます。
コアジサイ咲く尾根を経て、棒ノ折山頂へ
林道を横切り、急登が続きます。
途中、台風で崩れたのか、迂回路もありましす(2020年6月現在)
やがて、道は緩やかとなり、岩茸石に到着します。
岩茸石から尾根道を歩き、ゴンジリ峠を目指します。
尾根道には、いたる所にコアジサイが咲き乱れます。
コアジサイは、白いのや、薄紫色のも。
町のアジサイも美しいですが、山のアジサイも格別です。
尾根の進行方向左側は杉林、右側は広葉樹林。
緑萌ゆる木々の中を、歩きます。
急登が続くせいか、尾根なのにベンチなぞあります。
休む口実には、うってつけ?
尾根を登りつめると、ゴンジリ峠。
ここから、稜線を歩き、棒ノ折山頂を目指します。
この稜線は、東京と埼玉の境界。
ゴンジリ峠から、標高差80m弱、もう一息で山頂です。
森の中から、空が覗けば、そこは頂上の一角です!
標高969m、棒ノ折山頂へ着きました!
この日は展望が効きませんでしたが…
埼玉側が開けて、晴れていれば、日光や筑波山の山も望まれます。
山頂には、立派な東屋が。
境界にあるこの種の施設って、どっちの都県が負担しているの?
山頂には、ニガナの花も咲いていました。
花言葉は「質素」。
何か、もっちょっと華を持たせても、良いんじゃない…
ワサビ棚田を経て、百間茶屋へ下山
東京側の百軒茶屋へ、下山します。
道標に従って、進みます。
下り始めから、杉林の急坂を下ります。
杉林は、単調ですが、ここにも、コアジサイが咲いています。
ぐんぐん下ると、やがて沢に出ます。
沢には柵があり、ワサビを栽培しています。
ワサビ棚を縫うように、小さな滝が流れ落ちています。
下流へ進むにつれ、ワサビ棚田も広くなってきます。
それにしても、こんな山奥でも栽培しているのですね。
ワサビが安くならない理由、解りました。
何度か橋を渡り、百軒茶屋を目指します。
延々、ワサビ棚が続きます。
下山したら、ワサビで蕎麦を食べたくなります(笑)
余談ですが…
東京って、実はワサビの名産地なのですよ!
ワサビは栽培法によって、「水ワサビ」「畑ワサビ」に分類されます。
水ワサビは水を張ったワサビ棚で栽培し、畑ワサビは文字通り、畑で栽培します。
ちなみに、チューブのワサビは、その殆どが、畑ワサビの葉や茎を使用している、とのこと。
おろして使う本ワサビは、ほとんどが水ワサビです。
東京は、水ワサビの生産地として、長野、静岡に次いで3番目。
ちょっと意外ですが、これって凄いですよね。
もっとも2位の静岡の、十分の一くらいの生産量ですが…
規模の大きなワサビ棚田が現れれば、間もなく林道に出ます。
林道を左に進むと、百軒茶屋。
清東橋バス停まで、あと僅かです。
バス停から、西東京バスにて、JR青梅線・川井駅に向かい、帰宅します。
埼玉県側から登り、東京都側に下る山旅。
都県を超えて、ちょっぴり満足感を得られます。
沢沿いの道は、比較的涼しいのも良いですね。
梅雨の時期、オススメの登山コースです!
4月の棒ノ折山は、ハナネコノメも咲きます。また、青梅・成木へ下るルートも楽しいコースです。
インフォメーション
アクセス
西武池袋線・飯能駅より、国際興業バス「湯の沢」「名郷」「名栗車庫」行きにて「河又名栗湖入口」バス停下車、徒歩30分で、白谷沢登山口
駐車場… 有り
登山地図
河又名栗湖入口バス停 …〈30分〉 … 白谷沢登山口 …〈30分〉… 藤懸の滝 …〈40分〉… 林道 …
〈20分〉… 岩茸石 …〈40分〉… ゴンジリ峠 …〈30分〉… 棒ノ折山 …〈1時間10分〉… 百軒茶屋 …〈10分〉… 清東橋バス停
ー計4時間30分ー
コースの状況など
- 登りは沢沿いの道。比較的、よく整備されているが、雨で増水するリスクが高い。
- 北斜面の白谷沢は、冬場は凍結しやすく、初心者は入山しないほうが良い。
- 熱中症対策を。水の携帯は必須、帽子、サングラスなども。
- 棒ノ折頂上付近は、携帯電話が通じる場合が多い(NTTドコモ)。
- 埼玉側へ下る際は、白谷沢よりも尾根道を下る方が安全。