青梅・梅郷の下山八幡神社から、日の出山へ。
平安時代の創建した古社を参拝し、古道を往きます。
マイナーながら整備された道を辿り、センブリ咲く花の名山へ。
つるつる温泉へ下山、新規運行の青梅行バスを使えば、マイカー登山も可能です。
目次
下山八幡神社を起点に、クラシックルートからの日の出山
日向和田駅から、下山八幡神社へ
東京近郊の日の出山。人気の日帰りハイキングコースです。
登山道は複数ありますが…
今回は、青梅・梅郷の下山八幡神社から登ります。
列車でアプローチの場合、JR青梅線・日向和田駅で下車。梅の時期以外、「ホリデー快速」は停車しないのでご注意を。
マイカー登山の場合は、下山八幡神社・徒歩3分の、無料の市営「梅郷4丁目駐車場」が便利。
なお、「観梅市民まつりの日」等のイベント時は、利用出来ない場合もあります。
2024年10月より、つるつる温泉〜青梅駅間にバスが運行し、周遊登山も可能です!
駅前の青梅街道(国道411号)を200mほど西へ進み、左折。多摩川に架かる神代橋を渡ります。
橋から500mほど進み、梅郷4丁目交差点を右折。吉野街道(都道45号)を北西へ。
街道沿いにはスーパーやファミリーマートもあり、登山前の買い出しも便利です。
ファミリーマートから少し西へ歩くと、下山八幡神社の鳥居が現れます。
下山八幡神社は、平安時代後期・1041年に創建。なんと、鶴岡八幡宮より古い!
戦国時代末期・1591年に徳川家康より拝領。下村(現在の梅郷地区)の鎮守となります。
正面の拝殿は、神明造り。1901年に再建されました。
神社の見どころは、なんといっても本殿。
宝暦5年(1755)の再建で、市有形文化財。東京では珍しい、三間社流造です。
「流造」は、屋根が前側へ伸びた様式。小さな社殿ではよく見かけますが…
前面が三間(4本の柱のある様式)ある、大きな社殿では貴重です。
社殿の左には稲荷社。
巻物を咥えています。一般的には、仏教での秘法が記された巻物とされ、神仏習合の名残とされます。
下山八幡神社から、金比羅神社へ
稲荷社・南のやや目立たない所が、登山口です。
登山口から少し進むと、右手に飯縄神社の鳥居。山頂に飯綱権現が祀られています。
下山八幡神社の「下山」はこの山を指します。
この道は、ガイドブックでは、ほとんど紹介されませんが…
よく整備された、歩きやすい道です。
つづら折りを登り、尾根道へ。
青梅・二俣尾方面の展望。「土木遺産」に指定された、奥多摩橋も望めます。
明るい草原には、コウヤボウキの花々。
それにしても、整備された道が続きます。林業や送電線整備の方が通るのでしょうか?
この道は、いわばクラシックルート。明治43年・1910年の地図にも、記載されています。
馬頭観音の跡地もあり、地元では、昔から利用されていた道でしょうか?
途中、こんもりした岩なども。近くに、名跡の説明板があるも、文字がかすれて見えませんでした。
吉野梅郷からの道と合流。ここからは、歩く人も多いメジャールートとなります。
合流点から200mほど進むと、金比羅神社の鳥居が現れます。
金比羅神社から、日の出山へ
鳥居から少し登ると、金比羅神社に到着。断崖絶壁の上に建つ神社です。
養蚕の盛んな土地柄、産土神として崇敬されてきました。
ネズミの被害が大きい養蚕。昔は、猫の焼き物が奉納されたとか。
「猫の町」として売り出し中の青梅ですが… 単なる観光施策ではなく、猫を大切にする文化がありました!
神社からの展望。東方面に開け、青梅市街地、更には埼玉や東京都心方面が望めます。
視界が効けば、西武ドームやスカイツリーも見えます。
神社から尾根道を西へ進みます。ピークをパスする巻き道も多く、最小限のアップダウンで効率が良い!
三室山を巻けば、梅野木峠に到着。車道を横断し、西へ進みます。
足元には落ち葉も。虫食いが良い感じです。
まるで柱状節理のような岩も現れます。
高峰を巻き、更に進むと、日の出山への登り道に。標高差150mほど、やや急登を登り詰めます。
森林帯を抜ければ、まもなく、標高902mの日の出山頂です。東屋やベンチもあり、お昼ご飯を食べるのも良いでしょう。
日の出山から平井川源流を経て、つるつる温泉へ
山頂からは、都心方面の大パノラマ。
西には、武蔵御嶽神社と、御岳山・奥の院も望めます。
展望を楽しんだら、下山しましょう。いくつかルートはありますが、今回は平井川源流を経て、つるつる温泉へ下ります。
山頂から、ほんの少し西へ下ると、東雲山荘。耐震基準の関係で、現在は休止中です。
山荘前には、バイオ式トイレもあります。
山荘の前を左折し、つるつる温泉方面へ。
付近には、名残のアキノキリンソウ。
10月も終わりに近づくと、少し秋の装いに。
ヤクシソウの花も美しい。
名残惜しのアザミも。
秋の日の出山といえば、センブリの花。そこかしこに咲き乱れます。
ただし、白く小さな花で、気が付かずに通り過ぎることも…
漢方薬として知られるセンブリですが…
リンドウ科の年越草で、秋に種子がこぼれ落ち発芽。そのまま越冬し、翌年に秋に開花して枯れます。なんとも儚い秋の花です。
昔は珍しい花ではありませんが… 都区部では絶滅、西多摩地方では、絶滅危惧II類に指定されています。
頂上から約800m、標高差で約150mほど下ると、新道と旧道の分岐点に到着。どちらも、つるつる温泉へ下れます。
旧道は尾根伝いに下るコース。新道は、平井川の源流を通り、沢沿いの林道を歩きます。
今回は、新道コースを下ります。
分岐点から350mほど進むと、平井川の源流。あきる野市・東部で多摩川と合流し、東京湾に注ぎます。
この水量の沢が、大河になると思うと、感無量。
まさに、ミネラルウォーターで美味いですが… 飲水は自己責任でどうぞ。
源流部からは、舗装された林道に。やや林道歩きが長いためか、旧道と比べ、歩く人もまばらです。
マムシグサの実。ちょっと美味しそうですが、毒草です。過去には、中学生が食べて入院する事件も。
道端の森の、木の根。
沢音を聴きつつ、ノンビリ歩きます。
旧道と合流し、ここからは都道184号線となります。都道といっても、集落までは実質、林道ですが…
平井川に架かる橋には、鉄製のオブジェ。ハイカーに大人気なオブジェです。
ここから850mほど下ると、バスの通る三叉路に到着。
三叉路を左折し、つるつる温泉へ。
道路には、日の出町のマンホールは、いつもニコニコお日さまマーク。何気に可愛いです!
「つるつる温泉」は、町営の日帰り温泉施設。トマトで有名な日の出町らしく、館内の食堂では、トマト風味のうどんも楽しめます。
2024年10月から土曜・休日は、西東京バスJR青梅駅行きが運行開始。
青梅駅からは、東京・新宿まで直通列車もあり、断然便利です。グリーン車も連結し、疲れた時は重宝します。
マイカー登山の場合は、途中の「稲荷神社前」バス停で下車します。
都営バス「吉野」行に乗り換え、「梅郷」バス停で下車すれば、目の前が「梅郷4丁目駐車場」です。
なお、稲荷神社から駐車場まで約1km、歩いても15分程度。ノンビリ、梅の里を散策するのも良いですね。付近にはカタクリ自生地も点在、春は可憐な花が愛でられます。
2024年夏、青梅・梅郷にオープンした、グッドシェッド。注文を受けてから揚げるドーナッツが美味。夕方17時までの営業で、山登りの帰りにも立ち寄るのも良いでしょう!
インフォメーション
マップ
JR青梅線・日向和田駅 …〈30分〉… 下山八幡神社…〈1時間20分〉 … 金比羅神社…〈1時間〉… 梅野木峠 …〈1時間〉… 日の出山 …〈40分〉… 平井川源流 …〈1時間10分〉… つるつる温泉
ー計5時間40分ー
コースの状況など
- 下山八幡神社〜金比羅神社は、整備の行き届いた道だが、歩く人は少ない
- 平井川源流を通る新道の下りは、林道歩きが長い
- コンビニは、下山八幡神社近くにファミリーマート、付近にはスーパー、ドラッグストアも
- トイレは、日向和田駅前、日の出山山頂直下、つるつる温泉にある