青梅市・根ヶ布の虎柏神社。
源経基ゆかりの、歴史ある古社です。
丘陵の山中に鎮座し、近くには地図のない幻の池もあります。
駅から歩ける、手軽な歴史散策コースとしても魅力です。
目次
丘陵の古社・虎柏神社と、幻の池を訪ねる小旅
JR東青梅駅から、虎柏神社へ
今回は、JR青梅線・東青梅駅を起点に、虎柏神社まで散策します。
東青梅駅・南口に下車し、線路際の道を西へ向かい、最初の交差点を右折し、踏切を横断。
青梅街道を渡り、成木街道（都道28号）を北上します。
付近には赤丸ポストも。赤丸ポストといえば、小平が有名ですが… 青梅でも結構、見かけますよ。
成木街道を1.2kmほど歩くと、虎柏神社・参道入口に到着。
参道入口近くのバス停は「諏訪神社前」。
江戸時代は諏訪明神、諏訪宮といわれ、地元では今も「お諏訪様」と呼ぶ人がいます。
鳥居のある参道を往きます。
舗装された参道は緩やかな登り坂です。
参道を登り切れば、虎柏神社に到着します。
平安時代から戦国時代、時代と共に歩んだ虎柏神社
虎柏神社の創建時期は不詳ながら、崇神天皇の時代とされます。
平安時代・延長5年（927年）の「延喜式神名帳」にも記載。いわば、朝廷公認の由緒正しき神社です。
扁額も、神社名ではなく「延喜式内」。格式ある神社です。
虎柏神社は、武蔵国多摩郡八座のひとつ。青梅市内には、他に武蔵御嶽神社、高水三山・青渭神社も多摩郡八座です。
武蔵御嶽神社の詳細は武蔵御嶽神社と、子授け安産祈願の産安社、レンゲショウマの御岳山をどうぞ。
高水三山・青渭神社の詳細は上成木・表参道から登る、高水三山をどうぞ。
天慶3年（940年）には、源経基が虎柏神社に諏訪神社を勧請。
青梅といえば、地名の由来にもなった、平将門ゆかりの地です。
市内の金剛寺など、平将門と関わりの深い寺院もあります。
一方、源経基といえば…
平将門を密告したり、将門征伐に加わったりと、将門の宿敵。
源経基の諏訪神社・勧請は、将門が亡くなった年。武蔵国の勢力図が変わり、源経基なりに刷新したかったのでしょうか？
戦国時代には、付近を統治した勝沼城主・三田氏宗により再興されたと伝えられます。
勝沼城址は、東青梅駅近く。時間があれば、寄り道するのも良いでしょう。
詳細は東青梅・大塚山から、中世の城・勝沼城跡を散策をご覧下さい。
戦国時代末期の天正16年（1588年）に、浅野長政が再興。現在は、東京都指定史跡となりました。
社殿の前には狛犬様。苔むしています。
現在も例大祭が行われ、奉納相撲の土俵もあります。
例祭で神事が行われる「朝日の仮屋」。
「仮屋から幣束・神宝を本殿に納める神事」は貴重、都指定無形民俗文化財に指定されました。
高峯神社と、地図にない幻の池
虎柏神社境内から高峯神社への参道があります。
虎柏神社と同様、源経基が勧請したとされます。
丘陵の頂へと、参道は続きます。とはいえ、里との標高差は約45m、15階立てのマンション程度です。
山頂の高峯神社。石造りの小さな社殿です。
高峯神社から引き返し、虎柏神社・西側の尾根を北へ進みます。雑木林などもある、里山漫歩です。
御神木「平松」跡地の碑も。
「文政年間朽す」と記され、江戸時代後期まで鎮座為ていたのでしょうか？
この先にも道はありますが… 次第に荒れた道となり、この付近で引き返しましょう。
湿った林床には、キノコも生えています。
尾根道から、下を覗くと… なんと、地図にはない池があります！
沢の源流のやや平坦な場所。
浅いながらも水を湛えています。里山では珍しい規模の池です。
訪れたのは雨の直後。渇水期には、枯れてしまうのでしょうか？
地図にはない幻の池。ヘディンの「さまよえる湖」を思い出します！
なお、池へ下る明瞭な道はありません。無理せず、ご注意を。
虎柏神社へ戻り、東側の社務所前を通り、裏参道を下ります。
石段を下ると、車道に出ます。車道を左折して80mほど進み、路地を右折すると、天寧寺通りにに。
天寧寺通りを右折し、JR東青梅駅ヘ戻ります。
途中、平将門ゆかりの寺、天寧寺の前を通ります。時間が許せば、是非立ち寄りましょう。
インフォメーション
マップ
JR東青梅駅 …〈25分〉… 虎柏神社入口 …〈5分〉… 虎柏神社 …〈5分〉… 高峯神社 …
〈5分〉… 平松の跡 …〈30分〉… JR東青梅駅
ー計1時間10分ー
コースの状況など
- 虎柏神社までは、舗装道路。高峯神社、平松の跡は、歩きやすい靴が無難。
- 地図にない池へ下る明瞭な道はない。
- トイレは、JR東青梅駅前にある。
- 成木街道沿いにファミリーマートとセブン-イレブン、東青梅駅北口に、スーパーマルフジあり。
- 例年祭は、毎年8月26日〜28日に開催。
- バスを利用の場合は、東青梅駅・南口より、都営バス「成木循環」にて「諏訪神社前」で下車。
