青梅・永山丘陵|西国三十三ヶ所と、御嶽菅笠の山々を巡る旅

JR青梅駅からほど近い、永山丘陵。
丘陵には「西国三十三所観世音霊場」が祀られています。
併せて、江戸時代の道中記・御嶽菅笠に描かれた山々も巡りました。

知る人ぞ知る、永山丘陵の霊場と神々の山

西国三十三ヶ所とは

日本最古の観音巡礼といわれる、西国三十三ヶ所。
奈良・長谷寺の徳道上人が三十三の観音霊場を開いたのが起源とされ、1300年の歴史ある巡礼路です。

大和・長谷寺の紅葉
奈良・長谷寺

和歌山・大阪・兵庫・京都・奈良・滋賀・岐阜の2府5県、約1,000kmの巡礼路ですが…
遠方で廻るのが大変、という事もあり、各地に「写し」が点在。
青梅・永山丘陵にも「西国三十三所観世音霊場」の巡礼路があります。

青梅。金剛寺
青梅・金剛寺

明治時代、青梅・金剛寺の住職が西国三十三ヶ所を巡礼。
その後、青梅・永山丘陵に、西国三十三所観世音霊場を創設しました。

「青梅」の名の由来ともなった金剛寺の詳細は山号は「青梅山」、青梅由来の寺・金剛寺の、将門誓いの梅をどうぞ。

JR青梅駅から、梅岩寺へ

青梅図書館前踏切

青梅・西国三十三所巡りの起点は、梅岩寺。
JR青梅線・青梅駅から七兵衛通りを西に進み、三叉路を右折、踏切を渡ります。

青梅・七兵衛地蔵尊

青梅図書館の東を進むと、裏宿七兵衛地蔵尊が。
江戸時代中期の泥棒さんですが、悪徳商人から盗み、貧しき者に分けたといわれます。俊足と知られ、青梅マラソンの走者も参拝に訪れます。

青梅・七兵衛地蔵尊近くの裏道

図書館を回り込むように西へ。この付近、中々風情があります。

青梅。八幡神社

七兵衛地蔵尊から100mほど進むと、右手に八幡神社。

青梅・西国三十三ヶ所・33番

神社右手・山の斜面には、西国三十三所巡り33番・華厳寺。
いわば、最後の巡礼場所ですが、33番付近は道も荒れ、下から見上げる参拝となります。

青梅・梅岩寺の桜
春の梅岩寺

八幡神社から西へ進むと、梅岩寺に到着。

枝垂れ桜で有名な真言宗の寺院です。詳しくは圧倒的!しだれ桜満開の、青梅・梅岩寺をどうぞ。

青梅・西国三十三ヶ所の碑

梅岩寺境内の南側の道に「西国三十三所観世音霊場」の碑があります。

青梅・西国三十三ヶ所・1番
1番

碑の右上には、西国三十三所1番の石碑。見落としそうですが、巡礼の出発点なので、要確認です!
1番は和歌山・那智の青岸渡寺。世界遺産に指定された、熊野三山のひとつです。

梅岩寺から秋葉神社へ

青梅・西国三十三ヶ所・入口

梅岩寺西側・奥に、西国三十三所観世音霊場の入口があります。

青梅・西国三十三ヶ所・2番
2番

早速、2番が現れます。本家は和歌山の紀三井寺(きみいでら)。大津の三井寺(みいでら)と名は似ていますが、直接の関係はありません。

青梅・西国三十三ヶ所、3・4・5・6番

3番から6番と巡礼を進めます。本家では和歌山〜大阪から6番で奈良への巡礼です。

青梅・西国三十三ヶ所・7番
7番

7番は奈良は明日香の岡寺。天智天皇ゆかりのお寺です。

青梅・西国三十三ヶ所、巡礼路

鬱蒼とした道を進みます。

青梅・西国三十三ヶ所・8番
8番

8番は長谷寺。西国三十三ヶ所の礎を築いた、徳道上人が開山したお寺です。

青梅・西国三十三ヶ所・9・10・11・12番

9番から12番を巡礼。

青梅・西国三十三ヶ所・13番
13番

13番は、大津・石山寺。琵琶湖から流れる瀬田川畔の古刹です。

青梅・西国三十三ヶ所・14番
14番

14番は、大津の三井寺(みいでら)。
かつては、比叡山と犬猿の仲の寺でした。
織田信長が比叡山を焼き討ちにした際、三井寺に本陣を構えます。敵の敵は味方、みたいな感じでしょうか?

青梅・西国三十三ヶ所・秋葉神社鳥居

秋葉神社の鳥居が現れます。

御嶽菅笠に描かれた、秋葉山

青梅といえば、御岳山、御岳山といえば、武蔵御嶽神社ですが…
江戸時代、御岳山に鎮座する武蔵御嶽神社への参拝が盛んとなります。
農村での信仰の厚い神社、関東一円からの参拝してといわれます。

御嶽菅笠・青梅宿
出典:武蔵國多摩群御嶽山道中記 御嶽菅笠
(武蔵御嶽神社 刊行)

「御嶽菅笠」は江戸後期の御嶽神社への参詣ガイド。青梅街道をたどり、御岳山までの道のりを案内しています。
青梅宿近辺の絵を見ると…
住吉社、金比羅、山王、秋葉山、愛宕山と5つの山が描かれています。
今回の西国三十三ヶ所巡礼では、この山々も寄り道してみます。

青梅・西国三十三ヶ所・秋葉神社拝殿
秋葉神社

御嶽菅笠の「秋葉山」は、この秋葉神社付近。

青梅・西国三十三ヶ所・秋葉神社本殿

拝殿の後ろには本殿もあります。

青梅・西国三十三ヶ所・秋葉神社の巴の家紋

屋根には巴の家紋。戦国時代、この付近を統治した三田氏の家紋ですが、果たして関連はあるのか?

青梅・西国三十三ヶ所・15番
15番

15番は秋葉神社・本殿の裏側。大きな碑ですが、見落としそうです…
本家では、滋賀県から京都へと移り、京都・東山の今熊野観音寺です。

青梅・西国三十三ヶ所・16番
16番

16番は、京都の清水寺。修学旅行定番の、超メジャーな寺院も巡礼します!

青梅・西国三十三ヶ所、17・18・19・20番

17番から20番へ。永山ハイキングコースの尾根も近くなってきました。

青梅・西国三十三ヶ所・21番
21番

21番、穴太寺。京都・亀岡の寺で、嵯峨野の西側に位置します。

青梅・西国三十三ヶ所・22番
22番

22番、総持寺。京都から大阪へ巡礼します。
この先を少し進むと、永山ハイキングコースですが… ハイキングコースを造る際、碑を移動したのか、順番がおかしくなります。

青梅・西国三十三ヶ所・23番
23番

ハイキングコースとの合流付近に23番です。
大阪・箕面の勝尾寺で、ご本尊は十一面観音(文化庁)
青梅での碑には石像も鎮座、デフォルメしてますが、中々忠実です。

青梅・西国三十三ヶ所・24番
24番

碑に記された「摂津国」「本尊十一面…」から推測すると… 24番、大阪府・宝塚の中山寺でしょうか。
中山寺の開基は聖徳太子、推古天皇の時代のお寺ですね!

青梅・西国三十三ヶ所・26番
不明(右)・26番(左)

26番は、23番の少し南にありますが… その隣は、殆ど手がかりがありません。
確証はありませんが、消去法で25番?または、26番の片割れかもしれませんね。

青梅・西国三十三ヶ所・27・28番
27番(右)・28番(左)

27番、28番も、23番の南に祀られています。
28番は、天橋立にほど近い、成走寺。
百人一首では

大江山 いく野の道の 遠ければ まだふみもみず 天の橋立

とも詠まれ、昔の人にとっては遠い地なのでしょう。思えば遠くへ来たもんだ。

ナゾの愛宕山へ

西国三十三ヶ所巡りの途中ですが… 御嶽菅笠に描かれた「愛宕山」へ寄り道しましょう。
23番から、永山ハイキングコースを西へ進みます。

青梅・永山丘陵、叢雨橋

百人一首・寂蓮法師の歌が由来の、叢雨(むらさめ)橋を渡ります。

村雨(むらさめ)の 露もまだひぬ 槇(まき)の葉に
霧立ちのぼる 秋の夕暮れ


冬場の青梅は、総じて乾燥注意報が発令され、霧はなしですが。

永山ハイキングコース・森下分岐

ハイキングコースを西へ進み、宗教施設の近くから、「森下町」方面へ下ります。

永山ハイキングコース・森下分岐道

落ち葉を踏みしめ、南へ。

青梅・永山丘陵、愛宕神社跡分岐

100mほど下り、つづら折りから、右の道へ進路を取ります。

青梅・永山丘陵、愛宕神社跡への道

まずまず明瞭な道を進むと…

青梅・永山丘陵、愛宕神社跡

狭いながらも平坦地が現れます。

青梅・永山丘陵、愛宕神社跡分岐の、石碑

愛宕神社跡、つまり御嶽菅笠に描かれた「愛宕山」です!

青梅・永山丘陵、愛宕神社跡分岐の石段跡

御嶽菅笠では、直線の参道が描かれていますが… なんと石段の跡らしきモノもあります!

西国三十三ヶ所巡礼路から、山王へ

青梅・永山丘陵、第2休憩所近くのベンチ

愛宕神社跡から、永山ハイキングコースへ戻ります。
西国三十三ヶ所・23番付近まで戻り、尾根を歩くと第二休憩所に到着。

青梅・西国三十三ヶ所・29番分岐

第二休憩所の東に、西国三十三ヶ所・29番があります。
ここを南へ下ります。

青梅・西国三十三ヶ所・29番
29番

29番、京都府舞鶴の松尾寺。馬頭観音を本尊としたお寺です。
競馬関係者も参拝すると云われます。競馬の必勝祈願にも良いかも?

青梅・西国三十三ヶ所・巡礼路の下り道

杉林を下りますが… 下り始めはやや道が不明瞭、山慣れしていない人は経験者と歩くと良いでしょう。

青梅・西国三十三ヶ所・巡礼路の看板

昔はハイキングコースだったのでしょうか?古い看板もあります。

青梅・西国三十三ヶ所・巡礼路1967年地図
国土地理院・地形図より引用・加工

1967年の地図を見ると… 三十三ヶ所巡礼路らしき道も、記載されています。

青梅・西国三十三ヶ所・巡礼路の下り道

やがて緩やかになり、道も分かりやすくなります。

青梅・西国三十三ヶ所・30番
30番

30番、宝厳寺。琵琶湖・竹生島のお寺です。船で参拝する、旅情ある古刹。

青梅・西国三十三ヶ所・31番
31番

31番、長命寺。滋賀県近江八幡市のお寺です。
聖徳太子ゆかりの寺で、安土城築城の際、織田信長が参詣しました。
意外ですが、信長は無神論者でもなかったのかと。

青梅・西国三十三ヶ所・巡礼路近くの四国八十八ヶ所の碑

31番の南には、なぜか四国八十八ヶ所の碑が。三十三ヶ所と併せ、ご利益が倍増するかも?

青梅・西国三十三ヶ所・巡礼路分岐

八十八ヶ所碑から少し戻り、東へ下る道を進みます。

青梅・西国三十三ヶ所・32番
32番

32番、滋賀県近江八幡・観音正寺。33番はすでに参拝、コンプリートしました!

33番へ下る道は不明瞭なので…
山腹を東へ進み、山王方面へ向かいます。倒木などもあり、ちょっとスリリング。

青梅・永山丘陵、弓道場近くのハイキングコース

弓道場からのハイキングコースと合流。ハイキングコースを登ります。

青梅・永山丘陵、山王分岐

少し進むと左手に、岩が見えます。一旦、ハイキングコースから離れ、岩を目標に進みます。

青梅・永山丘陵、山王

この岩が、御嶽菅笠に描かれた「山王」です。

青梅・永山丘陵、山王石碑

「日吉之大神(ひよしのおおかみ)」との銘。
日吉といえば、比叡山延暦寺の地主神、典型的な神仏習合でしょうか。

青梅・永山丘陵、三王大神

近くには「三王大神」の祠も。

青梅・永山丘陵、山王頂上

ハイキングコースに戻り、登ります。途中、左手に山王のテッペンが見えます。
まるで、御嶽菅笠のデフォルメされた、尖った山みたいです!

山王から金刀比羅神社、住吉神社へ

青梅・永山丘陵ハイキングコースからの、金刀比羅神社

登りつめると、永山ハイキングコースに出ます。左折してしばらく歩くと、金刀比羅神社に到着。

青梅・永山丘陵、金刀比羅神社

御嶽菅笠にも描かれた、金刀比羅神社。近年、有志によって、社殿の修復が行われました。

青梅・永山丘陵、金刀比羅神社の妙見大権現

社殿裏手には「妙見大権現」。北斗七星を神格化した信仰です。亀に乗った妙見様が祀られています。

青梅・永山丘陵ハイキングコースのカモシカ

神社から永山グラウンドへ下ります。この付近、カモシカとよく出会いますよ!

青梅・永山丘陵の穴守稲荷大明神
穴守稲荷大明神

グラウンドを横切り、穴守稲荷大明神方面へ下ります。

青梅石近くの跨線橋

車道を右折し、JR青梅線の跨線橋を渡ります。

青梅・住吉神社、裏参道
住吉神社・裏参道

跨線橋を渡り、左折すると、住吉神社の裏参道に到着。

青梅・住吉神社
住吉神社

御嶽菅笠にも描かれた、住吉神社。南北朝時代に創建された、歴史ある古社です。

青梅・住吉神社の本殿

拝殿後ろの社殿も見事。

都内では貴重となった青梅大祭は、元々は住吉神社の例祭です。迫力ある山車は一見の価値があります。

これで、御嶽菅笠の山もコンプリート。
江戸時代の御嶽道中、宿に泊まり荷物を預けて、菅笠片手に参拝したのでしょう。
住吉神社の女坂には猫アートも展示。見学するのも良いでしょう。
住吉神社から、JR青梅駅は徒歩6分程度。宿場町の風情を楽しみつつ、駅へ戻ります。

※取材協力:NPO法人 青梅まちづくりネットワーク

インフォメーション

マップ

合計距離: 3878 m
Download file: ome-33point.gpx

JR青梅駅… 5分 …梅岩寺… 15分 …秋葉神社… 15分 …23番… 30分 …愛宕神社跡… 35分 …29番… 20分 …山王… 20分 …金刀比羅神社… 20分 …住吉神社… 10分 …JR青梅駅
ー計2時間50分ー

コースの状況など

  • 一部、不明瞭な道、地図に記載されていない道あり。経験者の同行が吉。
  • 足元のしっかりした靴が必要。
  • 秋〜初春の藪の少ない時期がオススメ。
  • トイレは、JR青梅駅前、永山グラウンドにある。
  • 青梅駅付近に、コンビニ、弁当店、パン店あり。

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