ガイドブックに載らない青梅・長渕の里山歩きと、大荷田・東京里山アート展

青梅市の南部、長渕・友田の周辺。
まだまだ、雑木林の里山が残る、知られざる山里です。
ふたつの峠で山里を結ぶ森を、歩いてみました。
折しも、山里では野外アート展も開催され、自然と芸術の秋を満喫しました。

雑木林の紅葉と、野外アートの里山の旅 

東青梅駅から、下奥多摩橋を経て、鹿島玉川神社へ

青梅・長渕の里山を歩く旅。
JR青梅線・東青梅駅を起点に、ふたつの小さな峠を超え、小作駅まで歩きます。

青梅市・下奥多摩橋からの展望
下奥多摩橋からの展望

東青梅の駅から南へ下り、多摩川に架かる下奥多摩橋を渡ります。

青梅市・下奥多摩橋から、大岳山
下奥多摩橋から、大岳山

澄んだ秋の日ならば、大岳山から御岳山が一望!

青梅市・長渕の鹿島玉川神社
鹿島玉川神社

橋を渡ると程なく、吉野街道(国道411号線)。
吉野街道を渡り、さらに南へ歩くと、鹿島玉川神社。

創建は10世紀と、千年以上の歴史があります。
茨城の鹿島神宮に勧請し、江戸時代には玉川上水建設にあたり、玉川大明神を祀りました。
児童公園もある、小さくどこか微笑ましい境内ですが、由緒ある神社なのです!

映画看板と、名もなき峠道

青梅市・長渕の久保看板店
調布東通りの、映画看板屋さん

神社から、調布東通りを東へ進みます。
左手に、久保看板店が…
日本最後の映画看板師といわれた、故・久保板観氏の工房です。

青梅駅の映画看板、鉄道員

今は安全のため、大半が撤去されてしまいましたが、青梅宿や青梅駅に展示されている「映画看板」の作者です。

道は徐々に、東から南へ進路を変えます。
秋は、サザンカの咲く小路。
かの小学校唱歌を、思わず口ずさみます。

青梅・長渕の峠道の入り口
峠道の入り口

山裾の住宅街を抜けると、右手に森へ入る細い道があります。
ここが、峠道の入り口です。

青梅。長渕の峠道
長渕の峠道

この道は、国土地理院の地図はもちろん、GoogleMapにも一応載っています。
でも、ハイキングのガイドブックには、まず載っていないでしょう。

青梅・長渕の峠道の森

道は明瞭です。
それなりに人が通っているし、手入れもされているのでしょう。
ハイキングの人はまれでしょうが、林業の方などが使っているのかな?

緩やかな道がやや傾斜となると、峠に到着。
看板も何もないから、地形で判断しているだけですが…

青梅・長渕の峠道

峠から、南へ下ります。
程なく、多摩リハビリテーション病院の駐車場裏を通り、林道に出ます。

多摩リハビリテーション病院
多摩リハビリテーション病院

多摩リハビリテーション病院前の、林道を左へ進みます。
ちなみに、室内プールもある大きな病院です。
山中にあるのが、不思議な感じ?

青梅・長渕の柿

道は、大荷田川に沿って緩やかに下ります。
小春日和の日には、道沿いの柿も熟し、美味そうです。

青梅・長渕の林道のシトロエン

車一台、やっとこ通れる林道 。
旧式のシトロエンが、トコトコ通り抜けます。
フランスの田舎道に似合う車は、日本の山里にも馴染むのかな?

大荷田・東京里山アート展

道をノンビリ歩くと、何やら野外アートが点在し始めました…
「大荷田・東京里山野外アート」展です。

原田光代・わたしのもり

地元の「大荷田の自然を守る会」が、毎年秋に、主催しています。
実は、開催していることを知らずに、たまたま通りがかったのですが…
今年で4回目と、実績のあるアート展です。

伊藤のりこ・土星家族

今回は、11/7(土)〜11/28(土)の開催。
土・日曜日は、お休み処もオープンします。
訪れた日は、自家製のお赤飯や、手作りケーキ、キウイフルーツやみかんの即売。
ケーキは150円で、中々美味しかったですよ。
近くで蕎麦の栽培を行い、生蕎麦の販売も予定しているとか。(11/23 10:00〜)

かとうかずみ・川ト森ノうた

食べ物の感想が、先になりましたが(笑)
屋外展示の美術といえば、箱根彫刻の森や美ヶ原、最近、人気の瀬戸内海・直島などが有名ですが…
ここは、「屋外」ではなく「野外」なのですよね。

鈴木斉・シリーズ・ヒラキヒミ ~MANIGURUMI Ⅲ~

整備された庭ではなく、里山の「野外」に展示する、エキサイティングな試みです。
映画看板の街・青梅というのも何かの縁?
映画看板も、一種の野外アートですから。

大荷田・東京里山野外アート 2020

長渕から、里山を歩き、小作駅へ

長渕・満地峠登山口
登山口

野外アート展から、更に東へ。
右側の山へ入る道が何本かありますが…
登山口の横に、沢が流れている道が、森もキレイでオススメです。

青梅・長渕の森

落ち葉を踏みしめて、登ります。
この辺の山は、「登山」というほど登りませんが…
かといって、ビシッと整備された遊歩道でもないから、ナメてはいけません。
人も少なく、また仕事道もあり、意外と迷いやすい…
地図は必須です。
GPSを使った、圏外でも使えるアプリなどがあると、より安全です。

青梅・長渕の森

雑木林の道を歩きます。
新緑、紅葉、冬枯れと、いつ来ても美しい森です。
この付近は、ハイカーはほとんどいませんが、マウンテンバイクの人がいます。
最近のライダーはマナーが良く、すれ違う時は大抵停まってくれますが、こちらも気をつけましょう。

青梅・長渕丘陵の標識
稜線の標識

15分も歩くと、稜線へ。
青梅市とあきる野市の、境界です。
左の「満地峠」方面に、進みます。

青梅・長渕丘陵の稜線
稜線の道

稜線には、柵が続きます。
この付近は、警察庁の敷地。
山中に弾薬を造る工場が、あるのです。
まるで、秘密基地みたい。
厳重な柵があるのも、頷けます。

警察庁秋川工場の、警察犬に注意、の看板

警備のため、警察犬を放っている?
警察犬とマムシに注意、ですか。
どっちに噛まれるのが、マシなのか(笑)
そういえば、警察犬ってマムシに噛まれないのかな、とか思いつつ、満地峠方面へ歩きます。

青梅・満地峠付近の道

道は左に折れ、警察庁の柵ともオサラバ。
森の道を、しばらく歩きます。

青梅市・満地峠付近の指導標

満地峠付近は、道が入り組んでいます。
幸い、指導標も増え、それに従います。

青梅市・満地峠付近の指導標

浅間岳へ向かう道と別れ、多摩川橋・小作駅方面へ向かいます。

満地峠〜小作駅間の登山道

森の中の、緩やかな道を下ります。

下り切ると、滝山街道(国道411号線)へ出ます。
左に曲がり、「友田」交差点を右折し、吉野街道の多摩川橋へ。

青梅市・多摩川橋からの展望
多摩川橋からの展望

多摩川橋から左手に、友田水管橋と圏央道・多摩川橋が見えます。
水管橋は、人間も渡れるので、遠回りになるけれど、こちらを通っても面白いです。
秋の休日、圏央道でも渋滞しているみたい。
朝に渡った、下奥多摩橋から下流へ2km程度なのに…
随分、都会に近づいたな、とも思えます。

橋を渡り、美味しい蕎麦屋さん「河邊」の前を通り、「小作坂下」の交差点へ。
せっかくなので「小作緑地公園」を通り、河辺駅へ向かいます。

小作緑化公園の林

多摩川近くの、傾斜地を活かした公園。
雑木林をのキレイな公園を登れば、小作駅まで僅かです。

インフォメーション

ハイキングマップ

電⼦地形図(国⼟地理院)を加⼯して作成

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ー計3時間40分ー

コースの状況など

  • 高低差も少なく危険ではないが、道迷いに注意。
  • 仕事道に迷い込まないように。
  • 下りは、やや滑りやすい箇所あり。

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