連日の猛暑日が続く、東京の夏。
「昔は涼しかった」と言うも、どの程度違うのでしょうか?
酷暑は、気温だけが要因なのか、データーを元に紐解いてみます。
不快指数で紐解く、東京の暑い夏
地球温暖化が原因? 日本の夏は暑くなったのか
猛暑日が当たり前となった日本の夏。
昔に比べ、気温はどのように変化しているのでしょうか?

上のグラフは、過去124年の日本の年平均気温のグラフ。年によって気温の変動はありますが、長期的にみると、100年あたり摂氏1.3度の割合で上昇しています。
1.3度なんて、大したことない?
いえいえ、宮崎と東京の年平均気温の差は0.8度。1.3度の違いはかなりな差です。
地球温暖化は確実に進み、ボディブローのように、じわじわと影響が出始めます。

NOAA Climate.gov, public domain, via Wikimedia Commons
地球温暖化・最大の要因とされる、大気中の二酸化炭素。上のグラフは、アメリカ海洋大気庁による、過去80万年の大気中の二酸化炭素濃度です。
過去80万年間は一定幅に収まるも、ここ100年で急上昇。人類の活動の影響をモロに受けています。
また、現在の気候は、比較的温暖な間氷期といわれ、あと3~5万年続くと予想。温暖化は進むこととなりそうです。
東京の夏は、どのくらい暑くなったのか?
話が大上段となりましたが…
地球温暖化で、東京の夏は、どの程度暑くなったのでしょうか?

気象庁の観測データをもとに、東京8月の平均気温をグラフ化。長期的にみると、40年で1度程度上昇しています。

日最高気温・最低気温の平均を見ると… 両方とも上昇するも、最高気温のほうが、やや上昇率が高い結果に。日中の暑さがひときわ厳しくなりました。

上のグラフは、全国での熱中症で救急搬送数です。2010年代に急上昇。まさに「命の危険性」が高まる暑さでしょう。

東京・8月の猛暑日(最高気温35度以上の日)の日数をグラフ化すると…
年によって変動はありますが、長期的には確実に増えています。

東京・8月の熱帯夜(最低気温25度以下の日)の日数は…
意外にもトレンドライン(傾向線)は、減少しています。なんだか肌感覚と違いますね…
8月の猛暑日 | 8月の熱帯夜 | |
---|---|---|
1970年代 | 13日 | 108日 |
1980年代 | 3日 | 126日 |
1990年代 | 21日 | 152日 |
2000年代 | 20日 | 145日 |
2010年代 | 43日 | 178日 |
気象庁Webサイトのデータを元にグラフ化
もっとも、10年単位の合計で比較すると…
2000年代こそ減りましたが、熱帯夜は2010年代に急増。
猛暑日にいたっては、2000年代・20日→2010年代・43日と、2倍以上となりました。
この結果を見る限り、2010年代から急激に暑くなったと言えます。
東京の夏は、亜熱帯の不快指数

気温だけではありません。
東京では湿度も上がっています。8月の平均相対湿度をグラフ化すると、40年で約3%ほど上昇。
暑いだけではなく、確実に蒸し暑くなっています。高温多湿な太平洋高気圧が強まっているのでしょうか?
ならば、不快指数も上昇する筈です。不快指数とは…
不快指数は、「日中の蒸し暑さ」を表し、数字が大きいほど蒸し暑く不快であると言えます。「70未満・70~74・75~79・80~84・85以上」の5レベルで、80以上はほとんどの人が不快に感じる暑さです。
引用:日本気象協会

平均気温・平均湿度をもとに、不快指数の傾向をグラフ化しました。
40年で2.5%ほど上がっています。なるほど、蒸し暑いわけです。
あくまで平均なので、日中はもっと不快な可能性が大きいでしょう。

鹿児島県・奄美大島の不快指数と比べてみましょう。
トレンドラインで推測すると、50年前の奄美大島と、ほぼ同じ不快指数。
奄美大島といえば、マングローブ林もある亜熱帯性気候の島です。
東京の夏はもはや、亜熱帯性気候に限りなく近い!

上のグラフは、日本全国での「1時間降水量80mm以上」の発生回数。
いわゆる、ゲリラ豪雨の目安です。数十年単位では、明らかに増えています。
ゲリラ豪雨のすべてが、亜熱帯的スコールではないでしょうが… 多くなったことは否めません。
不快指数、ゲリラ豪雨の回数… 着実に亜熱帯化する日本と東京。
防暑・防災対策も、亜熱帯基準で考える時代なのでしょう。
東京で、シエスタが広まる日も近いかも? とか、呑気な話ではありませんね…