【決壊・内水氾濫】台風での降水量と、多摩川の水位をデータで検証!

夏から秋に被害をもたらす、台風。
東京都民としては多摩川流域の水害が、大きな課題です。
過去の台風と水害の関係を、気象庁、国土交通省のデータで紐解いてみました。

過去の台風で考察する、多摩川の水害

意外と急峻な多摩川は、暴れ川?

睦橋から、多摩川
多摩川

山梨県を源流とする多摩川。東京の水瓶・奥多摩湖を経て、東京湾へ注ぎます。水資源であると同時に、時には水害をもたらし、人々を苦しめていました。

羽村市・武蔵阿蘇神社
武蔵阿蘇神社

たとえば、流域の羽村市の武蔵阿蘇神社。推古天皇9年(601年)に、水難を鎮めるため創建された、といいます。
遠い昔から、暴れ川だったのですね。

武蔵阿蘇神社については、上記をご覧ください。

多摩川・荒川・利根川・信濃川・常願寺川の、河口からの距離の勾配
川の勾配
出典:国土交通省Webサイト・多摩川水系流域及び河川の概要(PDF)を加工して作成

急峻な河川の多い日本ですが… その中でも、多摩川はかなりの急勾配です。
北アルプスから日本海へ一気に注ぐ常願寺川は、別格としても…
多摩川も2千メートル級の山を源流とし、130km強で、東京湾に注ぎ込みます。関東の川では、利根川や荒川より勾配がキツイ。つまり、山の上流で雨が降ると、一気に都市部へ流れ込みます。

タワーマンションが浸水した、2019年・台風16号を分析!

2019年10月に、関東へ上陸した台風19号。
武蔵小杉のタワーマンションが浸水、停電と断水が発生しました。
豪華なタワーマンションも、水害には弱いことが露呈しましたが…

台風19号で流された、御岳渓谷の橋
台風19号で流された、御岳渓谷の橋

上流の奥多摩・御岳エリアでも、橋が流されたり、林道が崩壊するなど、甚大な被害がありました。

2019年台風19号の経路
2019年台風19号の経路
出典:気象庁Webサイト

改めて経路図を見ると、東京を直撃。そういえば、鉄道も計画運休しました。
さて、この台風で多摩川の水位は、どのように変化したのでしょう?

2019年台風19号 降水量と多摩川の水位
2019年台風19号 降水量と多摩川の水位
気象庁国土交通省Webサイトよりデータ引用し、作成

上のグラフは、東京都心、及び、上流の町・青梅の降水量と、多摩川の水位を比較。
緑線は青梅の降水量、都心よりも雨が降りました。

水位は、中流の田園調布での値ですが…
10月12日0時〜翌13日0時までの24時間で、実に7.49mも水位が上昇。
7.49mって、2階建ての家よりの高いですよ。
そして、雨のピークが過ぎても、多摩川の水量は増え続けています

国土交通省・報告書の写真によれば、武蔵小杉駅周辺では10月12日・22時頃、すでに浸水が始まっています。
下水が処理しきれない、内水氾濫。たとえ、堤防が決壊しなくとも、水害は起こります。

2019年台風19号の勢力と多摩川の水位
2019年台風19号の勢力と多摩川の水位
気象庁国土交通省Webサイトよりデータ引用し、作成

台風の勢力(気圧)と、多摩川の推移を見てみましょう。
一概にはいえませんが、気圧が低いほど強い台風と言えます。

濃い青は、多摩川上流の青梅市・調布橋の水位。下流の田園調布に比べピークが早いのが分かります。
気圧を見ると、台風のピークは山を超えていますが… その後も、内水氾濫の被害が続きました。台風が通り過ぎても油断できないことが分かります。
下流域の方は、調布橋の水位を確認すると良いでしょう。

京浜河川事務所Webサイトの調布橋ライブカメラ映像、国土交通省の調布橋水位観測所付近の水位グラフで状況を確認出来ます。
調布橋の水位が上がっているならば、要注意です!

多摩川が決壊した、岸辺のアルバム台風を分析すると…

多摩川決壊時の航空写真
出典:国土交通省Webサイト

東京都・狛江市で多摩川が決壊した、1974年台風16号。「岸辺のアルバム」で描かれた、あの台風です。

1974年台風16号経路図
1974年台風16号経路図
出典:気象庁Webサイト

関東を直撃していないのにも関わらず、大きな被害。やはり台風は油断なりませんね。

降水量と、中流の石原(調布市・決壊地点から5kmほど上流)、上流の調布橋(青梅市)の水位です。
水位のデータに欠如があり、やや精度がありませんが、傾向は掴めると思います。

1974年台風16号 降水量と多摩川の水位
気象庁国土交通省Webサイトよりデータ引用し、作成

東京都心の雨のピークは、前日8月31日の夜。水位のピークは、上流・中流とも、雨のピークの半日後です。
狛江市の資料によれば、堤防が崩れ始めたのは、9月1日・14時。水位がほぼピークとなる直前です。

本堤防が決壊したのは、9月1日の21時45分。雨が小康状態となっても、油断出来ないのですね。

グラフで注目すべきは、水位の急激な上昇。
中流の石原での、8月31日16時の水位はマイナス61cm。翌日16時には、3.68mまで水位は上がりました。24時間で4.47m、たった1日で水が増えたのです。
上流の小河内ダムの貯水限界量が増えたため、放流を始めたのですね。
このような局面では、災害が発生するリスクが高いのでしょう。

上の動画は当時、決壊地点の近くに住んでいた方の証言です。

「9月1日は、雨がやんで曇っていました」

当たり前、といえば当たり前の結論となりますが…
改めてデータを当たると、異常に水位が増えている時は、雨がやんでも危険なのですね。
天気予報や気象庁のアナウンスで、耳がタコになりますが、素直に聴くのが吉です。

台風や集中豪雨は、上流の水位に注意!
雨がやんでも、油断禁物!

インフォメーション

お役立ちリンク

●気象庁
天気・防災情報の総本山。まずはこちらを…
https://www.jma.go.jp/

●国土交通省 川の防災情報
洪水予報等は国土交通省も参考に…
https://www.river.go.jp/

●ハザードマップポータルサイト
全国を網羅する、洪水、土砂災害、高潮、津波などのハザードマップ
https://disaportal.gsi.go.jp

●国土交通省 関東地方整備局 京浜河川事務所
多摩川を始め、関東の河川に関する情報
https://www.ktr.mlit.go.jp/

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