GW開催・青梅大祭| 都内屈指、山車が練り歩く祭を楽しむ

ゴールデンウィークに開催する「青梅大祭」。
都内では貴重な大型の山車が、街に練り歩きます。
その歴史から、地元民ならではのお役立ち情報まで一挙公開!

都内屈指! 山車が大集結する、青梅大祭

震災と空襲で失われた、東京の山車

楊洲 周延,『江戸風俗十二ヶ月之内 六月山王祭』
楊洲 周延,『江戸風俗十二ヶ月之内 六月山王祭』
足立区立郷土博物館データベースより引用

長い平和が続いた江戸時代。元禄文化をはじめ、様々な芸術・文化が花開きました。
「町のお祭り」もそのひとつ。江戸の経済力を背景に、豪華な山車も登場します。

歌川貞重,『神田大明神御祭図』,古賀屋勝五郎
歌川貞重,『神田大明神御祭図』,古賀屋勝五郎
国立国会図書館デジタルコレクションより引用

江戸から明治へと祭りは引き継がれましたが… 関東大震災、太平洋戦争での空襲で、貴重な山車が失われました。

現在、都内で本格的な山車が登場するお祭りを、地図化すると…
その多くは「環八」の外側にあります。焼失をま逃れた江戸の文化は、郊外で受け継がれています。

都内の曳山祭は、山甲州街道沿いと西多摩に数多く現存。青梅を始め西多摩は、木材、石灰、繊維産業が栄えていました。江戸時代から昭和にかけて、それなりに豊かだったのでしょう。規模は小さいものの、山里でも行われています。

青梅大祭の歴史

JR青梅線・青梅駅にほど近い住吉神社。1369年に創建、大阪・住吉神社ゆかりの神社です。
神社周辺・5町の氏子たちが、山車を曳いたのが住吉例祭、後の青梅大祭のルーツとされます。

青梅・住吉神社と、青梅大祭の山車


明治時代は、現在と異なり、山車に人形が乗るスタイル。当時の写真から察するに、4階建くらい、高さ8mはありそうな大迫力です。
山車人形の中には、都心から譲り受けたものもあります。
森下町の人形は神田祭で曳かれたもの。平将門を祭る神田明神の人形が、将門ゆかりの青梅で曳かれたのが興味深いですね。

青梅の地名由来ともなった、平将門伝説の寺、金剛寺の紹介記事です。

栃木県・栃木市では、明治時代に山王祭で使われた人形山車を買い取り、その伝統が今も残ります。結果論ですが「文化の疎開」だった、といえます。
青梅では、1911年(明治44年)に電線が架線され、現在に近い屋台型となりました。

昭和初期には、青梅電気鉄道(青梅線の前身)が、祭りにあわせ、臨時列車を走らせた記録が残っています。遠方からの来訪客もいた、ということですが…
都心の方が、関東大震災で焼失した、山車の見物に来たのかもしれません。

戦後、市内12町の山車が参加する祭りに発展します。
この頃「青梅夜具地」と呼ばれた、ふとん生地の一大拠点。経済的にも豊かだったのでしょう。
「青梅大祭」と名を改め、今に至ります。

青梅大祭の概要

都内でも屈指の曳山祭、青梅大祭。例年、ゴールデンウィークの5月2・3日に開催します。

2024年青梅大祭
  • 5月2日 木曜日(宵宮祭)
    11:00〜20:00
  • 5月3日 金曜日(本祭り)
    9:00〜20:00

例年より終了時間が早いのでご注意を。特に初日は、交通規制も1時間早く解除となります。

お祭りは、青梅街道・JR青梅駅付近〜東青梅駅手前間が中心となります。地図上、青線の辺りです。
新宿から青梅へは、中央線快速で青梅線直通列車で、約1時間10分程度です。

青梅大祭攻略法

青梅大祭を、快適に楽しむには…

  • 来訪は鉄道が確実
    当日は交通規制もあり、周辺道路も渋滞。駐車場の確保も大変です。
  • 青梅駅は激混み、 東青梅駅から歩くと吉
    東青梅駅から青梅駅まで、屋台や居囃子(囃子の披露をする場所)が続きます。祭りを楽しみつつ散策するのが良いでしょう。
  • 十二町共演は早めに現地へ
    お祭りのハイライト、十二町共演は、例年、青梅駅前ロータリー・5月3日の午後3時くらいに開催。歩くのが大変なほど混みます。
    駅の改札口近くにも山車が並び、駅外に出るのも苦労するでしょう。見学するならば、早めに現地へ行くのがオススメです。
  • 夜は比較的空いている
    昼は混み合う青梅大祭ですが、夜は多少空きます。初日の夜ならば、屋台の売り切れも少ないでしょう。
    夜の青梅大祭については後述します。

迫力満点な青梅大祭

青梅大祭・山車の競い合い

青梅大祭の魅力は、何といっても、12基もの山車が行き交うこと。
各町の山車が鉢合わせすると…双方の囃子が競いあう「競り合い」が始まります。「ケンカ囃子」なども呼ばれますが、そこは祭礼、調和した重奏で盛り上がります。

青梅大祭・囃子保存会

お囃子保存会の披露も、楽しみのひとつです。

青梅大祭・山車の獅子舞

獅子舞も登場。

青梅は、獅子舞も広く伝承されている地域です。

青梅大祭の、住吉神社前の、山車

住吉神社前に山車。

青梅街道・青梅大祭

2日間で20万人とも呼ばれる観客で、道を歩くのも大変です。

青梅大祭の、山車

山車の屋根の人、信号にぶつかりそうです。

青梅大祭の、パトカー

メインの青梅街道は、車両通行止め。万一の暴走車に備え、パトカーが決死のバリケードしていました。

比較的空いている、5月2日の夜

青梅大祭の夜の、山車

昼間に比べれば、夜は空いています。山車も照明し、昼間より綺麗かも?

青梅大祭の夜の山車

囃子や太鼓もじっくり聴けます。

青梅大祭の夜の屋台

メイン会場の青梅街道はもちろん、脇道にも屋台が並びます。屋台を楽しむならば、売り切れも少ない、5月2日夜がオススメです。

インフォメーション

アクセス

JR青梅線・東青梅駅、または青梅駅が最寄り駅
※比較的、混雑の少ない、東青梅駅の利用がオススメです。

問い合わせ先

参考文献

  • 青梅の祭礼で大切にされてきた形式美
    村野公一 著/玉川堂・村野公一 発行
  • 江戸の祭り青梅の祭り
    墨江町囃子連 村野公一 著
    https://moose-murano.jp/kirakuya/edo_ome.pdf
  • 青梅・住吉祭礼昭和史
    石川博司 著/ともしび会 発行
  • 青梅住吉例祭
    齋藤愼一・文 櫻井保秋・写真/百水社 発行

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