今どき、東京で「なごり雪」は降るのか? 「なごり雪」を訪ねる小旅

昭和の名曲「なごり雪」。
イルカのカバーが大ヒットした楽曲です。
3〜4月に降る「なごり雪」。現在の東京で降るのか、どこなら見られるのか?
気象庁の統計を元に検証してみました。

10数年に1度となった、東京の「なごり雪」

3〜4月に降る「なごり雪」とは?

伊勢正三が作詞・作曲の「なごり雪」。かぐや姫の楽曲として発表され、イルカがカバーし、大ヒットしました。
教科書に載るなど、昭和生まれならずとも、有名な曲でしょう。

メロディもさることながら、春先の駅を舞台にした歌詞が叙情的です。

汽車を待つ君の横で僕は
時計を気にしてる
季節はずれの雪が降ってる
「東京で見る雪はこれが最後ね」と
さみしそうに君はつぶやく

引用:伊勢正三 なごり雪

作詞者の伊勢正三さんによると、出身地の大分県・津久見駅をモチーフなのだとか。津久見駅の駅メロも「なごり雪」と、お墨付きですが…
とはいえ、歌詞を忠実に解釈すれば、「都内の駅」が舞台でしょう。

「なごり雪」とは、春先に降る湿った雪。東京ならば3〜4月に降る雪です。
でも、最近は滅多に降らないような気もしますが…
気象庁の統計をもとに、紐解いてみましょう。

2006年以降「なごり雪」が降ったのは1回だけ

気象庁Webサイトのデータから集計

上のグラフは、過去60年間(1964〜2023年)、東京都心で3〜4月に雪の降った日数。
「なごり雪」が発表された1970年代以前は、ほぼ毎年「なごり雪」が降っていました。
1970年代は、年平均2.6日「なごり雪」が降りました。当時は現実感のある歌詞だったことが、うかがえます。

以後、1980年代も毎年、1990年代もそれなりに降っていましたが…
2000年代以降、降る年が激減。特に2006年以後は、1日しか降っていません。

東京郊外ならば「なごり雪」は降るのか?

東京都心では、ほぼ絶滅した「なごり雪」ですが…
八王子や青梅など、都内郊外の都市では降るのでしょうか?

気象庁Webサイトのデータから集計

気象庁の観測では八王子、青梅などは降雪量の観測データは発表されておらず…
比較的、気象条件の近い埼玉県・秩父市(標高231m)のデータを、当たってみましょう。

都心と同じく、2000年代以降は「なごり雪」は激減しました。それでも、2年に1度は降る感じでしょうか。
2010年春には4回「なごり雪」が降り、多少はチャンスがありますね。
2019年は、4月10日に2cmの降雪がありました。
ちなみに、東京都心では1999年以降、4月の降雪はなし。やはり、違いは多大きいようです。

「なごり雪」の駅を探せ!

歌詞から推測する、なごり雪の駅

さて、「なごり雪」は、駅のホームでの別れ。この情景を今に残す「東京の駅」は、はたしてどこでしょうか?
21世紀の今「なごり雪」の降る、郊外駅となりますが…

汽車を待つ君の横で僕は
時計を気にしてる

引用:伊勢正三 なごり雪

「時計を気にする」ほどの列車本数。間違っても、東海道線や中央線快速などではありません。
少なくとも、列車の間隔は15分以上でしょうか? すると…

  • JR青梅線 青梅〜奥多摩間
  • JR五日市線
  • JR八高線

あたりが有力でしょう。
もっとも、三鷹、立川や八王子などで、特急を待つシチュエーションもあります。
別れの曲ですし、長距離列車の可能性も高いのですが、少々難があります…

君が去った ホームにのこり
落ちてはとける雪を見ていた

引用:伊勢正三 なごり雪

イマドキの特急停車駅は、ホームの先端まで屋根があり「落ちてはとける」雪は望めません。
そもそも、巨大な駅は「旅情感」に乏しいではありませんか。

モチーフとなった津久見駅は、1980年にモダンな駅舎となりましたが、作詞当時は木造。やはり、木造駅舎の駅が相応しいでしょう。
とはいうものの、令和の今、木造駅舎の駅は数えるほど。「いかにも木造駅舎」ならばこの4駅でしょうか?

青梅線・古里駅

ここからは、完全に好みになりますが…
古里駅は、割と最近建てられたログハウス風でモダン過ぎます。

青梅線・御嶽駅

御嶽駅も良いのですが… 神社をモチーフとして駅舎は、ちょっと個性が強すぎます。

青梅線・奥多摩駅

奥多摩駅も好ましいのですが、始発駅。「なごり雪」はホームに列車が、長時間停まるイメージとも違う。「つかの間の別れ」は、少々忙しいお別れでなければいけない?

21世紀の「なごり雪」駅は鳩ノ巣?

青梅線・鳩ノ巣駅

残るは鳩ノ巣駅ですが…

良い雰囲気ではありませんか! 標高も320m、なごり雪も降りそうですね。
でも、ちょっと田舎過ぎやしない?

時が行けば 幼ない君も
大人になると気づかないまま

引用:伊勢正三 なごり雪

歌詞の解釈にもよりますが…
「幼なじみが、学校を卒業し旅立つ」とも読み取れます。

そして、旅情のあるホーム。完璧ですね!しかも、ホームの端は屋根もなく、「落ちてはとける」雪も見えます。

「なごり雪」旅情を味わうならば、鳩ノ巣駅がベスト、週末にでも訪れて「なごり雪」ごっこを満喫してください。

せっかくなので、付近を散策しましょう。
駅周辺の棚沢の集落。昭和の面影を残す良い雰囲気ですね。

駅の裏手を少し登ると、集落が望めます。背後にそびえるのは城山(標高759m)、その奥には鋸山、御前山の山並みが続きます。写真は11月初旬ももの、雪の時期は、ムリをしないで下さい。

「君」を見送ったら、駅前のカフェ山鳩の美味しいハヤシライスで、心を癒やしてください。

鳩美さんの蕎麦も絶品。鳩ノ巣から新宿まで1時間45分ほど、失恋しても飯は食べるべきです。

インフォメーション

アクセス

●JR鳩ノ巣駅
JR中央線・青梅線にて、新宿から約1時間45分

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