青梅市の郊外、静かに佇む、天台宗・報恩寺。
平安時代創建の境内には、春には桜やツツジが彩ります。
見晴らしの良い、七福神巡りの小径も魅力の古刹です。
目次
平安時代創建の古刹・報恩寺へ、花と歴史を訪ねる
最澄の亡くなった年の創建?千二百年の歴史を誇る寺
青梅市・今寺の報恩寺。霞川近くの高台に佇む、古刹です。
山門の前には、仁王尊。お寺を守護する金剛神です。
境内・本堂右に、見事な枝垂れ桜が咲き誇ります。
四方に枝を拡げる様は、雅な趣き。
報恩寺は、青梅市内唯一無の天台宗の寺院。境内には、天台宗を開いた、最澄像が祀られます。
「一隅を照らす。これすなわち国宝なり」の碑も。最澄の教えですね。
延暦寺の僧、亮海によって、西暦822年開創とされます。
「泣くよウグイス平安京」の20数年後、平安時代初期です。
実は822年は、最澄が亡くなった年でもあります。比叡山・延暦寺の創建からわずか18年後、この寺の歴史が、うかがえます。
都内では歴史ある目黒・圓融寺も平安時代前期の853年・創建ですが、報恩寺はそれよりも古い。もしかすると、都内最古の天台宗の寺院かもしれません。
同時代の空海(弘法大師)と比べ、やや地味な最澄ですが…
空海が、真言宗の教義を完成させたのと比べ、最澄は道半ばでこの世を去ります。そのため、後継者が育ちました。
その後、比叡山で修行した僧侶は、浄土宗、浄土真宗、日蓮宗、臨済宗、曹洞宗などを開祖。文化庁の統計では、合計すると、現在、宗徒が三千万人以上です。派生した新興宗教も含めれば、もっと多いかと。
結果的に、日本の仏教界に大きな足跡を残しました。
枯山水と、桃山時代の地蔵堂
境内には、小さいながらも、枯山水の庭が。
桜が散る敷石もまた、美しい。
地蔵堂は、桃山時代の建立。
まだ、青梅街道も開通していない時代ですが、随分立派な建物です。青梅市の有形文化財に指定されていますが、都や国の文化財となっても、おかしくないのでは?
七福神巡りの小径
本堂の裏手から、七福神巡りの参道があります。
この参道もまた、桜が見事です。
高台の境内からは、澄んだ空気の日には、富士山も見えます。春は霞やすいので、滅多に見えませんが…
ツツジも見事です。遠く、奥多摩の山々が望まれます。
参道の枝垂れ桜も見事。
ソメイヨシノを追うように、八重桜も咲き始めます。
西からの斜光線に染まり、午後の太陽に輝く桜。
モミジも芽吹きます。
霞川沿いの公園に咲く、ソメイヨシノ。根本は眼下ですが、大きく眼の前に枝を広げ、迫力があります。
歴史ある古刹にも関わらず、知る人も少ない報恩寺。春の訪れを、最澄ゆかりの静かな境内で堪能できます。
七福神の礼拝も楽しめ、お正月に訪れるのも良いでしょう。
また、青梅には、桜の美しい神社仏閣も多いです。ハシゴするのも楽しいでしょう。
ちょっと郊外のお寺にも、良い桜が咲きます。
多摩川沿いの公園、釜の淵公園も桜の名所です!
インフォメーション
アクセス
JR青梅線・河辺駅北口より、西武バス「入間市駅」行にて「今寺榎」バス停下車、徒歩4分
または、JR河辺駅より、徒歩35分
●藤橋山正覚院 報恩寺
住所… 東京都青梅市今寺1-540
電話… 0428-31-4026