天然記念物にして、絶滅句危惧種、日の出町のヒメザゼンソウ

日の出町・大久野地区に咲く、ヒメザゼンソウ。
ザゼンソウのいわばミニチュア版の、小さな花です。
ヒメザゼンソウは、関東では非常に珍しく貴重な植物。
6月が花の見頃です。

ヒメザゼンソウを探しに、日の出町へ

ヒメザゼンソウとは?

水芭蕉
水芭蕉
ザゼンソウ
普通のザゼンソウの花

ザゼンソウは、サトイモ科の植物。
いわば、尾瀬などに咲く水芭蕉の「親戚」といえます。
水芭蕉は清楚なイメージですが、ザゼンソウは、茶色の地味な花。
正直、人気は、いまひとつでしょうか?

ザゼンソウは、高さ20〜30cmと大きな花。
そのザゼンソウの小さい仲間が、今回紹介するヒメザゼンソウです。
大きさだけではなく、開花時期も違います。
ザゼンソウは初春、ヒメザゼンソウは6月くらいに開花します。

ヒメザゼンソウは、東京では非常に希少な植物です。
自生地は、日の出町・大久野地区以外、ほとんどありません。
(最近、青梅市の加治丘陵で再発見されましたが)
日の出町の天然記念物、また東京では 絶滅危惧Ⅰ類に指定され、絶滅の危機に瀕しています。

日の出町・大久野地区へ

羽生家の薬医門
日の出町・大久野地区の豪邸の蔵
蔵も立派!

ヒメザゼンソウの開花時期に合わせ、日の出町・大久野の自生地を訪ねてみました。
花を愛でる前に、ちょっと寄り道。

大久野には、ちょっとビックリするくらいの、名家があります。
林業が盛んなこの地、上質な卒塔婆(お墓などに立てる木の銘版)の生産で財をなした羽生(はぶ)家の豪邸です。
まるで、お寺みたいな立派な、薬医門と蔵。
これは、一見の価値があります!

羽生人形店
羽生人形店
日の出町、ヒメザゼンソウ自生地の看板
自生地の看板

ヒメザゼンソウは、私有地に自生しています。
所有者羽生人形店を営んでいる、羽生さんの土地です。
この辺りは「羽生さん」が、沢山いらっしゃるようですね。
ご主人は、親切で気さくな方。
自生地付近をうろついていたら、どこに咲いているか、案内してくださいました。

日の出町のヒメザゼンソウ

日の出町のヒメザゼンソウ
ヒメザゼンソウ

では、ヒメザゼンソウとご対面。
真ん中の丸い部分は「肉穂花序」と呼ばれる、しべのあるところ。
それを、茶色い「仏炎苞」というがくが変形したもので、囲っています。
ブーケなどに使われるカラーなども、同じ構造です。

日の出町のヒメザゼンソウ
1円玉と並べてみた

ヒメザゼンソウの「ヒメ」は、「姫」。
姫というだけあって、小さな花です。
1円玉の直径が2cm、花は高さ5cm程度ですかね。
余談ですが、この1円玉、昭和38年製で57年前の硬貨。
一体、何人の手に渡って、ヒメザゼンソウとのツーショットになったのかしら?

小さくて茶色い花だから、本当に目立ちません。
足元にあっても、気が付かない程。
踏んづけないよう注意しつつ、宝探しにように、探しましょう!

左の緑色の玉は、去年の果実。
これも目立たないですね。

地味で小さな花ですが、一度は目にしたいものです。
花の時期は、6月がベスト。
歴史ある町並みも楽しみつつ、散策するのも楽しいですよ!

インフォメーション

アクセス

JR五日市線・武蔵五日市駅より、徒歩35分。
または、武蔵五日市駅より、西東京バス「福生駅」行にて、「羽生」バス停下車4分

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