東京都瑞穂町・北部は、かつて埼玉県・元狭山村でした。村を分割しての、都県境合併です。
町では、村役場を再現した「元狭山ふるさと思い出館」を開館。
レトロな木造建築を訪ねて、歴史に思いを馳せました。
ふたつに分かれた村をめぐる小旅
かつて埼玉だった東京北部の集落
東京都北西部の、西多摩郡・瑞穂町。シクラメンの栽培で有名な町です。
近年はカタクリ自生地も人気。町の南部には、横田飛行場もあります。
町内には牧場も。フレッシュなミルクで造ったジェラートは大人気です!
瑞穂町の北部はかつて埼玉県・元狭山村でした。
1958年に元狭山村を南北に分割し、瑞穂町と合併。元狭山村は、南は東京都、北は埼玉県となりました。
元々、瑞穂町と繋がりの強かった、元狭山村。1953年8月に「町村合併促進法」が制定し、合併の機運が高まります。
都のが行政サービスが良かった、というのも大きいでしょう。
1954年に瑞穂町・元狭山村で合併の合意がなされ、埼玉県に嘆願するも…
埼玉県は合併に反対。他の地域も、五月雨式に東京への編入が進むのを、恐れたのでしょう。
当時、瑞穂町では横田基地拡張問題が発生。どのような計画だったのか、合併前と現在の地図を見比べると…
横田基地北部に滑走路を延長。大型機の離発着も可能な空港を計画しました。
余談ですが、西を走る八高線も迂回し、経路が変更されました。
町は土地を提供する代わりに、国に合併を要求します。中々の策士です!
国防・外交上の理由もあり、国が調整。1958年に、瑞穂町・元狭山村は合併しました。
埼玉のメンツもあったのでしょうか。おおよそ、都道179号より北は埼玉に残留し、武蔵町(現・入間市)と合併します。
片や東京、片や埼玉と分割された村。村民同士のシコリも残ったといいます。
村立元狭山小学校は、瑞穂町立瑞穂第三小学校となりましたが…
町の人によれば、現在も入間市の一部地域から、越境入学が可能。今も地元に配慮しているのでしょうか?
村役場を再現した、元狭山ふるさと思い出館
1991年、地域図書室としてに開館した「元狭山ふるさと思い出館」。元狭山村役場を再現したクラシックな外観です。
木造2階建て。レプリカとはいえ、築30年以上で貫禄があります。
現在の役場などと比べると、随分小さな建物。何人くらいの職員さんは勤めていたのでしょう?
瓦葺きの玄関。
裏側には、非常階段も。
玄関・上部。「元狭山村」の村章でしょうか?
郵便受けも、レトロ。
屋根上にも、立派な「元」のマークがあります。
現在も1階は、図書室として利用されています。また、元狭山村合併の年表も展示。
合併前の地図で確認すると…
昔の村役場は、「ふるさと思い出館」の北側にありました。元狭山小学校(現 瑞穂町立瑞穂第三小学校)の隣で、現在の学校に敷地内と思われます。
付近には町の保存林も。今も雑木林の残る、長閑な雰囲気です。
地域の図書室ということもあり、町では積極的にアピールしていませんが…
戦前の木造建築の良さを味わえる建物、付近の散策と併せ、楽しむと良いでしょう。
インフォメーション
マップ
JR八高線・箱根ヶ崎駅東口より瑞穂町コミュニティバス「元狭山コース「元狭山・長岡コース」にて「農協前」下車・徒歩2分
●元狭山ふるさと思い出館
開館時間… 火〜土曜日 13:00〜17:00 日曜日 9:00〜12:00
休館日… 月曜日・第三金曜日・祝日・年末年始・特別整理期間
入館料… 無料
住所… 東京都西多摩郡瑞穂町大字二本木710番地
電話… 042-556-3233