JR全線の普通列車乗り放題の「青春18きっぷ」。
長距離旅行が格安で楽しめる切符ですが、近場の移動も意外とお得。
東京都内の御岳・奥多摩観光など、日帰り旅行でも威力を発揮します。
お得な利用方法を、一挙公開!
実は日帰り旅行もお得な、青春18きっぷ
青春18きっぷとは?

JR全線の普通列車が乗り放題の「青春18きっぷ」。
春・夏・冬休み時期に発売される、期間限定のフリーパス切符です。
主な特徴は…
- 全国のJR線・普通列車が、1人・1回あたり2,410円で1日乗り放題。
- 価格は12,050円。
- 有効期間内に5回利用できる。連続した日でなくとも良い。
- 同じ行程ならば、グループ利用も可能。
- 特急・新幹線は、原則・利用不可。乗る場合は別途、乗車券が必要。
- グリーン券を購入すれば、普通列車・自由席グリーン車も乗車可。
- 有効期限は
- 春:3月1日~4月10日
- 夏:7月20日~9月10日
- 冬:12月10日~1月10日
- 「青春18きっぷ」の名称ながら、誰でも購入・利用可能。子供も同額。
- みどりの窓口、指定席券売機などで購入。クレジットカードでの支払いもOK。
利用できる列車は、JR全線の普通列車。快速や、特快なども乗れます。
特急券を買っても、特急や新幹線は乗れません、ご注意を。

ウィキメディア・コモンズ経由で引用・加工
1枚の切符に、5ヶ所、乗車印を押す欄があります。利用する場合、駅や車掌さんに押してもらいいます。
1人ならば、5日間利用可能。連続した日でも良いし、有効期間内ならば、飛び飛びでも可能です。なお、使い切らなければムダになります。
グループ旅行でも使えます。「5人✕1日乗り放題」という使い方も、「2人✕1日・1人✕3日」みたいな変則的な利用も可能。要は、5回分使えるわけです。
2024年冬より、「青春18きっぷ」の仕様が大きく変わりました。
上記記載の仕様は、旧タイプのモノです。ご注意ください。
連続する5日、または3日での使用に変更し、奥多摩等の日帰り用としては、大変使いづらくなりました。
かつては、貧乏旅行の定番だった、青春18きっぷ

「青春18きっぷ」は1980年代、国鉄時代に発売開始。
夏休みなど学生の長期休暇は、普通列車の乗車率が低下、それを有効利用する企画切符でした。普通列車限定とはいえ「全線乗り放題」のインパクトは強く、40年以上続く人気の商品へ。おそらく、当時の国鉄も、ここまで成功するとは、思っていなかったでしょう。
ローカル線に乗ると、リタイヤ世代の利用者が多いことに気が付きます。
「本当の青春」だった時から、数十年の愛用者。息の長いロングセラーなのですね。
発売当時は、長距離鈍行列車も多い時代。山陰本線には、門司5:22発・福知山23:51着などという、九州から京都府まで丸1日かけて走る列車もありました。
また、夜行の普通列車もそれなり走り、今よりも実用的でした。
青春18きっぷは、長距離移動が苦手?
その後、地方路線の普通列車も激減、夜行も廃止。実質的に、青春18きっぷの実用価値は低下しました。また、格安の高速バスが台頭し、お株が奪われた感もあります。
例えば、東京〜大阪間の移動で比べると…
- 青春18きっぷ(早朝列車)
2,410円・8時間53分(東京5:20発・大阪14:13着) - グランドリーム15号(JR高速夜行バス・3列シート)
4,500~8,000円・8時間31分(東京22:40発・大阪7:11着) - 新幹線(のぞみ203号)
14,720円・2時間27分(東京7:00発〜新大阪9:27着)
安さならば「青春18きっぷ」ですが、5回の乗り換えが必要。9時間近く近距離列車のシートで移動するのも、結構大変です。
また、旅行会社系の格安高速バスならば、時期によっては2,200円程度。青春18きっぷより安いバスも運行しています。
地方路線を中心に、普通列車も激減。1日数本しかないローカル線なのに、乗り継ぎが悪いことも多いです。特急を中心にダイヤを組んでいるのか、青春18きっぷだと苦労します。
どちらかというと、青春18きっぷは、鉄道旅行自体を楽しむ切符。予約なしで、途中下車などしつつ、気ままに楽しむ旅、にうってつけですが… 「移動手段」としては中々微妙な立ち位置です。
日帰り旅行で威力を発揮する、青春18きっぷ

長距離移動が苦手な、青春18きっぷですが… 実は、日帰り旅行ならば、威力を発揮します!
1日・2,410円で乗り放題だから、片道1,205円以上の区間の往復ならば、お得です。
当サイトは西多摩の情報サイト。青梅・奥多摩など、都内の代表的・日帰り観光スポットが目白押しです。はたして、青春18きっぷを使う価値はあるのでしょうか?
新緑・紅葉も美しく、夏も爽やかな奥多摩湖。湖畔にはハイキングコースも整備されています。
夏でもヒンヤリ涼しい、日原鍾乳洞も見逃せないスポットです。
東京・最西端の奥多摩への運賃で比較しましょう。
例えばICカード乗車券と比べると…
- 東京〜奥多摩
往復2,550円 140円お得 - 大宮〜奥多摩
往復2,550円 140円お得 - 横浜〜奥多摩
往復2,902円 492円お得 - 千葉〜奥多摩
片道・3760円 1,350円お得
なんと、東京駅から奥多摩駅へ往復だけで、元が取れます!
都内の移動でも、青春18きっぷを使う価値があり、横浜、千葉など他県の方ならば、もっとお得です。
とはいえ、往復で140円程度のお得度だと、利便性を考えると、微妙といえば微妙。
青春18きっぷが威力を発揮するのは、途中下車を繰り返す場合です。
例えば、都区内に住む方が…
- 往路:東京〜奥多摩
復路:白丸駅で観光、新宿駅で買い物で途中下車
計 2,739円(1,275円+146円+1,110円+208円)
観光地を2ヶ所めぐり、帰りに新宿あたりでショッピングするパターンですが… 329円ほどお得で、コーヒー代の足しとなる金額。5人グループならば、1,645円とバカにできませんね。
観光地を数ヶ所回るならば、どんどんお得になります。普通列車のみとはいえ、無理のない日帰り旅行ならば、かなり実用的です。そして、何と言っても、気まぐれな旅が楽しめます。
今回、想定した白丸は、隠れた観光スポット。途中下車する価値があります。また、白丸駅は、東京都内で一番、乗降客数の少ない駅といわれ、いわば「秘境駅」です。
観光地も良いですが…立川の巨大なイケアなど、都区内では体験できないショッピングを楽しむ、なんて使い方も悪くありません。
夏休みならば、帰り際、高円寺の阿波踊り、阿佐ヶ谷の七夕まつりなどを冷やかすのも良いですね。時間に余裕のある、近場の観光ならではの楽しみ方です。
東京の端っこ在住なら、使い道は色々
青梅・あきる野など、西多摩在住なら、さらに活用できる青春18きっぷ。
何せ、東京の端っこ、都区内に出るだけでも、それなりに運賃がかさみます。
さら足を伸ばす日帰り旅行、お得度もアップします。
たとえば、ICカード乗車券と比べると…
- 青梅〜鎌倉
往復2,902円 492円お得 - 青梅〜熱海
往復3,960円 1,550円お得 - 青梅〜宇都宮
往復4,620円 2,210円お得 - 青梅〜勝浦
往復6,160円 3,750円お得 - 青梅〜成田空港
往復4,620円 2,210円お得
鎌倉へ往復するだけでも、結構お得です。
海を求めて、熱海や勝浦へ出かけるならば、青春18きっぷの威力発揮。
普段なら躊躇する、宇都宮で餃子グルメ旅なんかも、お手頃ですね!
旅行だけでなく、親戚や知人を訪ねる時も、青春18きっぷを検討すると良いでしょう。成田空港へのお出迎えなどでもお得です。
ちなみにディズニーリゾート(舞浜)や羽田空港は、普通乗車券の方がお得です。
家族旅行では、損する可能性も
日帰りでもお得となる、青春18きっぷですが…家族旅行では罠があります。
青春18きっぷは、大人も子供も同額。かなり遠距離でないと損します。

JR東日本Webサイトより引用
JR東日本では、土・日曜日・祝日、夏休み等の期間に利用できる「のんびりホリデーSuicaパス」を発売。東京近郊の普通列車が乗り放題となります。
有効期間は1日、大人 2,670円・小児 1,330円。
通年の休日に利用でき、子供でもお得に乗れます。
Suicaに書き込んで使うので、Suicaが必須。モバイルSuicaでも利用でき、スマホから直接購入できて便利です。なお、定期券利用中のSuicaなどでは利用できません。
青春18きっぷよりやや割高で、「東京〜奥多摩間」では普通乗車券のほうがお得な結果に。行き先によって利用すべきか、要検討です。総じて、フリーエリアの端から端まで往復すると、かなりお得です。
フリーパスのエリア外では、Suicaの残高から自動精算されて便利。
エリア外へ行く際は別途料金と、ややお得感が薄れますが…例えば、青梅→宇都宮へ行く場合、エリア端の自治医大〜宇都宮間往復で、別途660円必要ですが、それでもかなりお得です。
東京モノレールやりんかい線も使えますが…. 青梅からの往復の場合、羽田空港・お台場などは、普通乗車券のほうがお得です。JRも微妙な価格設定をしていますね。