億ションも珍しくない、東京のマンション事情。
新築の影響か、中古マンションの価格も上昇しています。
高価格となった今、郊外のマンションが注目され始めました。
目次
都心回帰から、郊外移住?東京のマンション事情
青梅の中古マンションが高くなった?
2024年1月、興味深い記事が発信されました。
不動産情報サイトを運営するLIFULLによると…
東京都において、5年前と比較して、中古マンションの価格が最も上昇したエリアは中央区の29.7%、次いで青梅市の27.5%、小平市27.3%となりました。他にも多摩市、八王子市、日野市といった、いわゆる郊外エリアも上位にランクインしています。
郊外への需要が上昇? LIFULL HOME’Sが一都三県における中古マンションの エリア別価格上昇率ランキングを発表 より引用
都心のマンションの高騰は話題になりますが、郊外のマンションも高くなっているとのこと。
中古マンションの高騰率では、中央区に次いで青梅が2位。意外な気もしますが…
西多摩の地域情報サイトとしては、もう少し掘り下げたいですね!
3年間の上昇率は、日野1位、青梅2位
下表は、中古マンションの価格・5年間の上昇率ランキング。
2024年と2019年の比較です。5年前というと、コロナ禍前ですね。
なお、ランキングは、都内の区市のみ、データのなかった武蔵村山市は除外しています。
自治体 | 5年上昇率 | (参考)3年上昇率 | トレンド | |
---|---|---|---|---|
1位 | 中央区 | 29.7% | 17.59%(10位) | ↘ |
2位 | 青梅市 | 27.5% | 24.45%(2位) | → |
3位 | 小平市 | 27.3% | 20.26%(5位) | ↘ |
4位 | 多摩市 | 26.9% | 15.36%(11位) | ↘ |
5位 | 八王子市 | 26.6% | 20.61%(4位) | ↗ |
6位 | 目黒区 | 25.8% | 9.66%(41位) | ↘ |
7位 | 墨田区 | 25.6% | 12.05%(26位) | ↘ |
8位 | 日野市 | 25.5% | 24.66%(1位) | ↗ |
9位 | 東村山市 | 25.4% | 12.72%(12位) | ↘ |
10位 | 荒川区 | 25.3% | 12.92%(19位) | ↘ |
11位 | 稲城市 | 25.30% | 19.40%(7位) | ↗ |
12位 | 江東区 | 25.30% | 13.42%(16位) | ↘ |
13位 | 台東区 | 25.20% | 12.18%(24位) | ↘ |
14位 | 清瀬市 | 24.90% | 9.46%(42位) | ↘ |
15位 | 文京区 | 24.50% | 12.36%(23位) | ↘ |
築年10年・専有面積70㎡の価格を算出 出典:LEFULLWEBサイト
ランキングを見ると… 15位のうち、都区内が7ヶ所、多摩地区が8ヶ所です。
コロナ禍中では「都心回帰」が話題となりましたが、5年経った今では多磨エリアのほうが高騰しています。
コロナ禍2年目・2021年との比較すると… 日野、八王子などが上昇、青梅も堅調です。
日野は、3年上昇率約25%。3,000万円の物件が、3,750万円となる高騰ぶりです!
3年間上昇率は、9位まで多摩地方の自治体で、近年、郊外指向がさらに強まりました。
郊外でも上昇率の低いエリアもある?
都内・中古マンション・3年上昇率を地図化すると…
色が濃くなるほど、上昇率が高くなります。
全体的には、西の自治体の方が、高い傾向ですが… たとえば、あきる野市の上昇率は3.5%程度で殆ど上がっていません。
様々な要因がありますが…
あきる野市の場合、2,022年に東京都内直通列車が全廃したのも、大きな要因かもしれません。
マンションの価格と、上昇率の関係をグラフ化すると…
面積あたりの価格と上昇率は、ほぼ無関係です。
「都心は高いから」郊外の安い物件が人気、ともいえない結果ですね。
単に安いというより、利便性や周辺環境も含め、お値頃なエリアが上がったのでしょうね。
「座って通勤」駅が人気?
上のグラフは、都内企業のテレワーク実施率。
コロナ5類移行後も40%近くの企業で、テレワークを実施しています。43%は週3回以上が、テレワーク勤務。なんだかんだ、テレワークも定着しました。
とはいえ、完全テレワークではなく、マンションの価格と通勤に便利なエリアが選ばれているのでしょうか?
自治体 | 自治体 | ||
---|---|---|---|
1位 | 日野市 | 11位 | 多摩市 |
2位 | 青梅市 | 12位 | 西東京市 |
3位 | 国分寺市 | 13位 | 千代田区 |
4位 | 八王子市 | 14位 | 福生市 |
5位 | 小平市 | 15位 | 国立市 |
6位 | 立川市 | 16位 | 江東区 |
7位 | 稲城市 | 17位 | 葛飾区 |
8位 | 東大和市 | 18位 | 北区 |
9位 | 府中市 | 19位 | 荒川区 |
10位 | 中央区 | 20位 | 東久留米市 |
改めて、マンション上昇率のランキングを見ると…
赤字は通勤時間、都心方面への始発列車が多い駅。日野市なら豊田駅、青梅市なら青梅駅、八王子は、京王八王子や高尾駅などです。
都心まで、「座って通勤」可能な自治体が、人気が高い傾向。
テレワークで週数回の通勤の場合、多少距離があっても、座って通える場所が良いのでしょうか? 例えば、中央線・快速の場合…
- 高尾→新宿 50分程度
- 国立→新宿 39分程度
通勤快速の始発駅・高尾と、国立駅では、所要時間は15分程度の違い。ならば、ラクラク通勤可能な駅が選ばれるのでしょう。
加えて、自然豊かな町へ住みたい人も多いのでは。
例えば青梅の場合、新宿までの所要時間は1時間10分程度です。座れるとはいえ、中々の時間が掛かります。
それでも、普段の生活に潤いがあるならば、通勤回数との兼ね合いで、移住する人も多いのでしょう。
青梅への移住については、上記をご覧下さい。地元民ならではの、エリアごとの特徴を解説していますよ!
賃貸は、中古マンションほど高騰していない
中古マンションの売買と比べ、賃貸マンションの上昇率は、緩やかです。
賃貸はどの地域も4%〜10%程度に収まっています。地域差は比較的少ないです。
日野・青梅など、中古マンションが3年間で24%以上高騰しているエリアでも、賃貸は8%程度と、比較的緩やかです。
2020年から2023年の消費物価指数7%程度。賃貸物件は、ほぼ物価と同じ程度の上昇でしょうか。
たいして、不動産の売買価格は大幅に上がっています。
賃貸収入を目当ての不動産購入は慎重に、という感じですね。