東京西部の青梅市。都心へも通える距離ながら、自然豊かな街です。
市街地から山裾まで様々な地域があり、ライフスタイルによってエリア選びも変わります。
移住した体験を踏まえ、青梅の「移住事情」を考察します。
目次
エリアで異なる、青梅でのライフスタイル
「ほど良い田舎」の青梅市とは?
東京都・西部に位置する青梅市。
新宿から直通列車で1時間ながら、御岳山をはじめとする自然豊かな街です。
筆者は2020年、コロナ禍直前に東京区部から移住しました。
青梅へ移住して良かった事、悪かった事の記事も書きました。
移住して1年目の感想は…
- 普段の買い物は、意外と便利
- 住居費が格安
- 鉄道はほぼ座れ、本数も許容範囲内
- 飲食店は少ないが、総じて美味しい
- 行政サービスは、及第点
- 治安は良い
- 何より自然が近い
都心へのアクセスもそこそこ良く、自然豊かな街に住みたい。と思う方は、青梅への移住を検討すると良いでしょう。
とはいえ、エリアによって、ライフスタイルが異なるのも事実です。
移住から3年ほど経ち、コロナ禍も一段落。改めて「失敗しない移住」を考えてみます。
エリアでライフスタイルが違う青梅
東京では八王子に次いで広い面積の青梅市。
様々なエリアが混在しています。今回は、便宜的に5つのエリアに分けて考えてみます。
- JR小作・河辺・東青梅駅周辺
- JR青梅駅周辺(青梅宿周辺)
- 新興住宅地エリア
- 梅郷・宮ノ平・二俣尾周辺
- 里山エリア
次章からは、それぞれのエリアの特徴と、移住への成功ポイントを解説します。
青梅のエリア別・移住先ポイント
JR小作・河辺・東青梅駅周辺
JR青梅線の小作(おざく)、河辺(かべ)、東青梅駅から、徒歩圏内のエリアです。
このエリアは、スーパー・病院も充実し、とりあえず車が無くとも生活できます。
市役所・郵便局・税務署などもこのエリアに集中しています。
マンションや建て売り住宅の物件も豊富で、家探しが比較的容易。都区内と比べれば、居住費はざっくり半額程度でしょうか。
マンションならば、自治会などとの関わりも少なく、都会同様の生活です。
都心方面への通勤・通学する方は、東青梅・河辺駅周辺がオススメ。朝の通勤時間帯でも、ほぼ確実に座れる東京直通列車があります。
河辺駅前には、イオンを中核としたショッピングセンターが。なんと図書館・日帰り温泉施設も併設されています。東青梅駅前には、24時まで営業するスーパー・マルフジも。規模は小さいですが、便利なお店です。
都会的でありながら、近くに自然が豊富なのも魅力。
東青梅駅から徒歩12分程度の「青梅の森」は、里山の雑木林が広がります。
JR青梅駅周辺(青梅宿周辺)
JR青梅線・青梅駅周辺は、古くからの町並みが残るエリアです。
かつては町の中心部、古くからの商店街があります。昭和中期までは花街もあったくらい。
どちらかというと、下町気質な人が多いですね。
駅からも近く、車なしでも生活できるはずですが… 青梅駅周辺にはスーパーやドラッグストアがないのがネック。
八百屋や精肉店など、地元の個人商店も頑張っていますが、郊外への買い出しも必要でしょう。河辺・東青梅駅周辺と比べ、車がないと、かなり不便かと。
このエリアの魅力は、なんといっても、歴史と文化が息づいていること。5月の青梅大祭では山車が街に繰り出します。
関東大震災・空襲で焼失した江戸の文化が、東京最西端に残っているのです。
都心方面への通勤・通学は、始発駅ゆえ100%座れます。中古マンションも多く、車があれば快適な暮らしも可能でしょう。
なお、青梅駅前では再開発事業が行われています。商業・公益複合施設が、2026年3月末をめどにオープン予定。車なしでも、便利になるかも?
新興住宅地
建て売り住宅の多い、新興住宅地エリア。
主に青梅市東部の平野と、多摩川の河川段丘です。
「新興住宅地」ですが、特に東部は青梅街道からも近く、歴史もある地域。新興住宅地にありがちな殺風景なイメージではありません。
駅から少々離れたエリアで、それなりにバスは走っていますが… 日常生活に車がないと不便です。建て売り住宅は、4LDK・3千万円台で、2〜3台の駐車場のある物件が主流。庭が広い家も多く、ガーデニングも楽しめるかも。
スーパーはむしろ、市街地より大規模で充実しています。ホームセンターのカインズなどは、東京有数の面積で、迷子になるほど。ファミレス・百円ショップが多いのも、このエリアの特徴です。
多摩川沿いの河川段丘も新興住宅地があります。河原に面したマンションも多く、見晴らしはバツグン。ただし、急傾斜地ゆえ、中古マンションは管理のしっかりした物件がオススメです。
東部・多摩川流域とも、少し足を伸ばせば、里山があるのも魅力。家から歩けるハイキングコースもありますよ!
梅郷・宮ノ平・二俣尾周辺
多摩川沿いの、梅郷・宮ノ平・二俣尾エリア。
最寄り駅からの列車は、40分に1本程度と、かなり不便です。ほとんどの世帯が車を所有しています。
都心方面への通勤は、中々大変です。
車で東青梅・河辺に行って、そこから列車で通勤、というスタイルの人も多いです。最寄り駅まで車を使うならば、いっそ、本数の多い駅まで出た方が楽なのでしょう。
このエリアの魅力は、なんといっても豊かな自然。多摩川の渓谷美を身近に味わえます。
交通は不便ですが… そこは東京の業務核都市。地方の田舎へ移住するのに比べれば、低リスクでしょう。
日常生活ですが…
街道沿いには数kmごとに、コンビニがあります。梅郷に農協の直売所とスーパー、柚木町にホームセンターがあり、最低限の買い物は問題ありません。
生鮮食料品の購入は、生協やスーパーの宅配を利用するのが便利です。筆者の友人は、生協の宅配と電動アシスト自転車を駆使して、車なしで生活。案外、なんとかなるようです。
もっとも、このエリアだと、ご近所から新鮮な野菜や果物を貰う機会も多く、食生活は豊かでしょう。余談ですが、このエリアに限らず、青梅には農家の無人販売所が数多くあります。
このエリアは、意外と建て売り住宅も多いです。新興住宅地と比べて多少安いですが… べらぼうに格安でもありません。
車があれば、多少不便でも、より自然の豊かなエリアは人気があるのでしょうか。
里山エリア
便宜的に「里山エリア」としましたが… 対象の地域が広く、場所によって事情が異なります。
沢井・御岳など、多摩川沿いのエリアは、列車本数は少ないとはいえ、さほど駅も遠くありません。梅郷などと、さほど変わらない生活が出来るでしょう。
ただし、商店などは少なく、コンビニもほとんどありません。醤油が切れたら車で買いに行く、みたいな感じでしょうか。
成木・小曾木など、青梅市北部の山里は、駅からも遠く車は必須。高齢化率は5割を超えています。人口減少も他の地域より大きく、過疎化が懸念されるエリアです。
東京とはいえ、正真正銘の「山里」。移住するなら、地元の方の意見に、耳を傾けることも大切でしょう。長年培った経験は、価値があります。
また「里山エリア」への移住は、家探しが大変。不動産物件が非常に少ないのが実情です。また、エリアによっては、市街化調整区域もあり、そもそも家が建てられない場合も。
物件探しは、じっくり時間をかけるのが吉です。
ネガティブな話が続きましたが…
このエリアの魅力は、やはり自然が豊かなこと。子供をノビノビ育てたい、という方には良いかもしれません。
例えば、青梅市北部の成木小学校は、児童数64人(2023年5月)。小規模な特徴を活かした教育プログラムを実践しています。
また、市内の他の地域からも児童を受け入れる「小規模特別認定校制度」を導入。スクールバスも運行しています。
また、2023年から始まった青梅市移住支援金制度では、沢井・成木・小曾木地区で、支援金が加算。最大100万円の支援が受けられます。
インフォメーション
参考資料
●青梅市公共施設等総合管理計画
https://www.city.ome.tokyo.jp/soshiki/3/1805.html
●青梅市定住・移住ポータル
https://myome.jp
●青梅市立成木小学校
https://www.city.ome.tokyo.jp/school/nariki-e/