日本の大きな社会課題の、少子高齢化。
東京都でも、年々、高齢化が進んでいます。
特に多摩地方では、高齢者率50%を超える自治体も。
東京の少子高齢化を、グラフで可視化しました。
目次
自治体で異なる、東京の少子高齢化問題
東京でも、少子高齢化?
少子高齢化が進み2045年には約2千万人の人口減少するといわれる日本。
東京も例外ではありません。
1985〜2023年の東京都の人口推移です。濃い緑は若年層、薄い緑は高齢者、赤い折れ線は、高齢者の割合となります。
2023年現在は、総人口はほぼ横ばいですが…
人口にしめる高齢者(65歳以上)の割合は約23%、4人に1人弱。1985年は約9%で、2.5倍ほどになりました。
寿命が伸びること自体は嬉しいですが… 年金や社会保険の負担も大きく、就労人口が減り国際競争力の低下が危ぶまれます。
内閣府の高齢化予測レポートをグラフ化。横軸が2022年、縦軸は2045年(予想)の高齢化率です。
いくつかの都道府県をピックアップすると…
- 東京 22.8%→30.7%
- 沖縄 23.5%→31.4%
- 愛知 25.6%→33.1%
- 神奈川 25.8%→35.2%
- 埼玉 27.4%→35.8%
- 大阪 27.7%→36.2%
- 北海道 32.8%→42.8%
- 秋田 38.6→50.1%
現在・未来とも、東京はマシとも言えますが… 2045年には31%が高齢者です。若い人が転入する東京で3人に1人程度が高齢者、これは結構驚きですね。
秋田県にいたっては、2022年に39%だった高齢化率は、なんと50%!2人に1人が高齢者、財政破綻しないか心配です。
地方では、沖縄が健闘。沖縄は出生率が全国1位です。
結婚年齢はさほど早くありませんが、第3子の割合が多い。つまり、ひとりの女性がたくさん出産しています。
他の都道府県に比べ、共同社会的な風土が良いのでしょうか?親戚でビーチパーティーしたりと、親密な人間関係。
「産んでもなんとかなる」的な空気は、見習う点が多いですね。
多摩地方が危機的? 東京の少子高齢化
東京都内でも、都区部と多摩では差があります。
上は、東京23区の人口分布と高齢化率の推移です。1985年の9%が、2023年には22%まで、高齢化率が上昇しました。
これも結構な増え方ですが…
多摩地方は、1985年は都区部とほぼ同じでしたが、2023年は29%まで、高齢化率が急上昇。23区に比べ、大幅に高齢者が増えています。
高齢化率のみをピックアップすると、2000年頃から差が開く結果に。
特にここ5年ほどは、都区内はほぼ横ばいですが、多摩は着実に高齢者が増えています。
いくつかの区をピックアップ。区によって結構、差があります。
旧公団住宅の多い北区は高め、反面、港区は18%とかなり低めです。
多摩地方に目を向けると… 総じて、西の自治体ほど、高齢化率が高くなります。
多摩市は、1985年・5%→ 2023年・30%と急上昇。ニュータウンの入居者が、高齢世代に突入したのでしょうか?
奥多摩町は、2023年でに52%。すでに「2045年の秋田県」が都内にあります。
ちなみに、2045年には62%程度まで上昇予定。現役世代・1人あたり、お年寄り2人を支える計算です。異次元の未来予想図ですね。
地図で可視化する、東京高齢化率
東京では30年(1993〜2023年)で、どのように高齢化が進んだのでしょうか?地図で可視化しましょう。
青の色が濃いほど、高齢化率の高いエリアです。
高齢化の波は、西の奥多摩町・檜原村から徐々に進みます。
1993年、すでに檜原村では27%、2023年の都内平均よりもやや高い結果に。
もっとも少ないのは多摩市の6.2%、現在では信じられない「若い街」でした。
2003年も奥多摩・檜原をのぞけば、さほど、高齢化していません。ただ、多摩地方には、増加の兆候が出始めました。この時点で、少子化対策をすべきでした。
2013年、都心部に比べ、多摩地方・城北の高齢化が少しずつ顕著に。
2023年になると、多摩地方の高齢化がひと目で分かりますね。
一番低い中央区は15.2%、もっとも高い檜原村は52.8%。3.5倍ほど違います。
いわゆる「多摩格差」でしょう。
少子高齢化でクローズアップされるのが消滅可能性都市。詳しくは上記記事をどうぞ。
高齢化率は、出生率と関係ない?
上のグラフは、東京・区市町村別(島しょ部を除く)の、高齢化率と合計特殊出生率です。
このふたつは、相関関係はありません。
高齢化率の高い檜原村の出生率は、意外と高め。でも、いかんせん若い人が少なく、出生率が高くとも人口は増えません。
「合計特殊出生率」とは、「15歳から49歳までの女性の、年齢別出生率の合計」。噛み砕いていえば、「ひとりの女性が子供を産む人数」です。
今現在の若年層が少ない限り、当面、人口は増えません。
ある自治体の転入を増えたとしても、日本全体の高齢化率は変わないでしょう。自治体間で、少ないパイを奪い合うだけ、です。(是非はともかく、移民政策は別にして)
少子高齢化問題の悩みどころは、即効性のある解決策が、ほぼないこと。地道に出産・子育て支援をコツコツするしかないのでしょう。
10数年は高齢化が進むのは仕方ないにせよ、「コツコツ」すれば、20年・30年後に多少なりとも花開く、息の長い話ですね。
ロールモデルは、「少し前の沖縄」でしょうか?
全国の7割強の所得でも「産んでもなんとかなる」という、空気感は強い。
出生率が3.14と全国1位の沖縄県・多良間村の平均所得は281万円(2022年)。どちかというと低い収入です。
収入の多寡とは別の「何か」がある。この辺り、もっと研究すべき課題でしょう。