観光スポットが防災拠点に! 西多摩に「防災道の駅」を

全国に広がる「道の駅」。
近年、国土交通省では「防災道の駅」を推進しています。
観光スポットでありながら、地震・台風などの災害に備える「防災道の駅」。
東京にこそ欲しい「防災道の駅」について、考察しました。

東京の防災となる「防災道の駅」

道の駅の進化系「防災道の駅」

道の駅 八王子滝山
道の駅 八王子滝山

1990年代に登場した「道の駅」。一般道路での休憩所として、24時間利用可能な施設です。名産物を取りそえた売店やレストランも併設し、地域創生にも一役買っています。

道の駅 川場田園のブルーベリー畑
道の駅 川場田園のブルーベリー畑

「川場田園プラザ」のように、ブルーベリー狩りも楽しめる道の駅も。行くこと自体が、観光目的となる「道の駅」も出現しています。

東京は道の駅空白帯?

国内旅行回帰や、オートキャンプブームも追い風となり、全国には1,200ヶ所もの「道の駅」がオープン。(2023年3月現在)例えば、北海道には127ヶ所もの「道の駅」があります。犬も歩けば棒に当たる、というか、アクセルふかせば道の駅みたいな、感じです!

道の駅 八王子滝山
道の駅 八王子滝山

そんな人気の「道の駅」ですが…東京には「八王子滝山」の1ヶ所のみ。2007年にオープンするまで、東京は空白地でした。

道の駅 八王子滝山 多摩の名産品コーナー
道の駅 八王子滝山 多摩の名産品コーナー

自家用車普及率の低い東京、需要が少ないかと思いきや、全国でも有数の売上を誇る「道の駅」となりました。近場の実用的・観光スポットとして人気を博しています。

「防災道の駅」とは?

国土交通省では「道の駅」の更なるステップアップを画策。

国土交通省「道の駅」 第3ステージの概要
引用:国土交通省「道の駅」 第3ステージ

インバウンド対応、子育て応援の強化などと共に打ち出したのが「防災道の駅」です。
2021年に39駅を「防災道の駅」として選定しました。
災害時には、救援活動が可能な施設で、具体的には

  • 都道府県の広域的な防災計画に、位置づけられていること
  • 建物の耐震化、無停電化、通信や水の確保
  • 2,500㎡以上の駐車場
  • BCP(業務継続計画)が策定
  • ハザードエリアの場合は、適切な処置を施すこと

などが、選定の基準となっています。

国土交通省「防災道の駅」関東・甲信越地方の地図
引用:国土交通省「防災道の駅」として 39 駅を初めて選定しました!

東京から比較的近い「 防災道の駅やちよ」では、防災倉庫を備え、食料・生活必需品などを備蓄。防災トイレの導入も検討しています。
また移動可能な発電機、貯水タンク、防災井戸も導入予定です。

関東・甲信越には6ヶ所が「防災道の駅」となりましたが… 東京近郊、特に西部では、手薄なのが実情です。

西多摩は「防災道の駅」向きか?

西多摩・青梅市の多摩川
西多摩・青梅

八王子の成功を受け、他の自治体、特に西多摩では「道の駅」建設を模索しますが…
用地確保や費用面で難航しているのが現状です。

とはいえ、「防災道の駅」ならば、首都東京の広域的防災拠点となります。単なる観光拠点の枠を超えた施設として期待できます。
地盤も良く、都心からのアクセスも良い西多摩ですが…
既存の「防災道の駅」と比較します。

西多摩道の駅 八千代道の駅 みぶ
所在地東京都千葉県八千代市栃木県壬生町
近くの高速道路圏央道北関東自動車道
都庁からの所用時間
(高速道路使用)
50分〜1時間程度1時間1時間20分
都庁からの距離50〜60km57km116km
地盤の強さ
(表層地盤増幅率)
平地は
0.8〜1.4程度
2.081.39
地震の確率
(30年間で震度6以上)
平地は
0.1〜6%程度
26〜100%3〜6%
懸念事項場所によっては
立川断層の影響
利根川洪水浸水想定
0.5〜3,0m未満
特になし
近隣の防災関連施設横田飛行場
自衛隊入間基地
自衛隊習志野演習場自衛隊宇都宮駐屯地
近隣の大型病院市立青梅総合医療センター
(三次救急医療機関)
東京女子医科大学
八千代医療センター
(三次救急医療機関)
獨協医科大学病院
(三次救急医療機関)

都心からのアクセスは、西多摩と八千代は同程度です。壬生は少々遠いですね。
地盤の目安となる、表層地盤増幅率。
数値が小さいほど地盤が良きなります。場所にも寄りますが、西多摩が一番良さそうです。次いで壬生町、八千代はやや宜しくない結果となります。
地震の確率は、西多摩が良いものの、エリアによっては、立川断層のリスクがあります。八千代はハザードマップ上では、浸水の懸念があります。壬生は特に不安要素がありません。

横田飛行場のヘリコプター
横田飛行場

近隣の防災施設は、大型輸送機の離発着も可能な横田飛行場のある西多摩が良いでしょう。

また、入間基地には、首都直下型地震を想定した災害対処拠点と、自衛隊病院もあります。
都内の「防災道の駅」と補完すれば、強力な防災対策となるでしょう。

「防災道の駅」は2,500㎡以上の駐車場が必須。
約100台程度の車が駐車可能なスペースですが、さして広くないでしょう。郊外のスーパーやホームセンターなどは、1,000台規模の駐車場があり、極端にハードルが高くもありません。

観光スポットを兼ねた「防災道の駅」、西多摩エリアにオープンすると良いですね。

インフォメーション

参考文献

防災関係の記事