東京の、新型コロナワクチン接種状況は?統計情報から今後を予測!

2021年5月より開始された、高齢者向けの新型コロナ感染症のワクチン接種。
電話がつながりにくい、などの声も聞かれますが、現在、どのような状況なのでしょうか?
開始から約ひと月たった今の現状を、政府、東京都が公表しているデータから、考察してみました。

6月半ばで、ほぼ、高齢者には行き渡る?

都の、第7クルーレポート

東京都では、各区市町村への高齢者向けの新型コロナ感染症(COVID‑19)のワクチン割当量を、随時発表しています。
東京都新型コロナウイルスワクチン接種ポータルサイト

4月から、区市町村の要望で割り当てられ始めた、新型コロナウイルスワクチン。
5月31日現在では、第7回目(第7クルー)の割当量(PDF)まで発表れています。
6月7日から14日までの間に、厚生労働省から、コロナ感染症ワクチンの割当が、各区市町村でどの程度なのかが分かります。

このレポートによれば、第7クルーで、65歳以上の大多数へ、接種が可能なワクチン量を確保(2回接種換算)となりました。

各自治体の割当量は?

とはいえ、区市町村でかなりのバラツキも…
当サイトは西多摩地域の情報サイトですので、当該市町村のデータを見てみます。

都全体青梅あきる野羽村福生瑞穂日の出奥多摩檜原
4/54箱0箱0箱0箱0箱0箱0箱0箱0箱
4/1220箱0箱0箱0箱0箱0箱0箱0箱0箱
4/1920箱0箱0箱0箱0箱0箱0箱0箱0箱
4/26536箱6箱1箱3箱6箱3箱1箱1箱1箱
5/102,064箱10箱13箱10箱3箱4箱6箱2箱2箱
5/241,519箱12箱15箱5箱5箱9箱5箱1箱0箱
6/71,031箱10箱13箱0箱6箱1箱5箱1箱0箱
合計5,194箱38箱42箱18箱20箱17箱17箱5箱3箱
接種可能
人数
3,038,49022,23024,57010,53011,7009,9459,9452,9251,755
接種可能割合97%54%101%72%76%104%115%123%152%
各自治体への、ワクチンの割当数
接種可能人数は、1箱=195バイアル6人分・ひとり2回接種で計算
(2021年5月現在)

東京都が発表している、西多摩地域の自治体別・ワクチン割当数をもとに集計しました。
「接種可能割合」は、65歳以上の人の内、どのくらいの方が接種できるのかの数字。
人口統計がやや古い自治体(奥多摩町や檜原村など)もあるので、参考程度にみてください。

傾向としては、人口の少ない市町村では、100%を超えています。
つまり、6月中旬までに、割り当てられたワクチンで、高齢者枠がまかなえます。

青梅市の割当が少ないのが、目立ちますが…
割当数は、市町村が都に要望を出して、決められます。
都によれば、青梅市の希望数通りに割り当てている、とのことです。

ワクチンは、保存期間が2ヶ月。接種状況に応じて、市町村が都に要望を出します。
都の担当者いわく
「青梅市は、廃棄処分がないよう、かなり慎重なのでは」
との見解です。

ワクチンが割り当てられても、すぐに接種できない

しかし、ワクチンが割り当てられても、接種が出来るとは限りません
ワクチン接種での問題点は、会場が「密」になること。
ワクチンを接種したのち、15分程度会場で待機し、副反応が出ないか観察する必要があります。
接種そのものを迅速化しても、待機スペースが必要なのです。
つまり、医師の数はもちろん、スペースを増やさないと、接種人数をさほど多くできないのですね。

例えば、青梅市では、65歳3月中に接種券を発送しましたが…
会場の規模などの制約から、5月いっぱいは、ワクチン接種を75歳以上の方を優先する、などの対策を取っています。

政府や都としては、7月中を目処に、65歳以上の接種を終える計画
都としても、接種状況が遅い自治体には、支援策を講じるとのこと。
具体的には、場所の確保や、補助金の支援などです。
ワクチンそのもののは確保出来るので、オペレーションがスムーズになれば、接種は進みますが…

政府CIOポータル 新型コロナワクチンの接種状況より引用

こちらは、東京都の5月30日時点での、接種実績です。
1回目接種は、5月21日で全都民の1.42%、5月30日で3.43%。
直近10日間で約2%増、このペースだと、全都民が2回目接種するのに2年以上、掛かりますね。

高齢者(65歳以上)に限ると、ここ数日は1日あたり、3万5千人前後が接種。
東京都には、高齢者が312万人ほど、今のペースだと、2回目接種が終わるのに5ヶ月半ほど掛かる計算です。
東京の大規模接種センターが1日1万人、うち東京都民として5千人を上乗せしても、4ヶ月以上ですね。
この数字を見ると、青梅市などの自治体が、ワクチン要請に及び腰になるのが分かります。

おそらく、一般の医療機関にも接種の要請もするでしょうし、慣れればオペレーションもスムーズになるでしょうが…
また、接種を加速させないと、ワクチンの有効期限が過ぎ、廃棄せざるを得ません。
「公約」の7月いっぱいは、かなりオペレーションに工夫をしないと、達成できないでしょう。
まあ、政府や都も、他国でのワクチン接種のケーススタディを参考にして、施策を練るとは思いますが…

基礎疾患枠は、どうなる?

ワクチン接種の優先順位

厚生労働省によれば、ワクチン接種の優先順位は次の通り。

  1. 医療従事者等
  2. 65歳以上の高齢者 (1957年4月1日以前に生まれた方)
  3. 基礎疾患を有する者、高齢者施設等の従事者、60~64歳の方
  4. その他の方

憶測ですが、現在のペースならば、7月いっぱいに高齢者枠の1回目接種に目処が付けば、9月くらいから、次の優先順位の接種予約が始まるでしょう。

基礎疾患の方を、どう選ぶのか?

そこで疑問となるのは、基礎疾患を持つ方をどうのように選別するか、です。
というのも、区市町村では、基礎疾患を持っている方のデータベースなど、持ち合わせていないのですね。

また、たとえ、基礎疾患者の情報を持ち合わせていても、基礎疾患枠の接種券を発送するのは難しい、との意見も。
自分の病気を家族にも秘密にしている方も多く、プライバシーの侵害となりかねないからです。

都や市に問い合わせましたが、まだ具体的な方法は決まっていない、とのこと。
おそらく、やりようがない、のでしょうね、正直なところ。
いくつかの自治体の担当者の意見を聴き、最大公約数的にまとめると、このような形になりそうです。

  • 高齢者枠の次は、一般枠の全て方に接種券を発送
  • 基礎疾患があるかは、予約時に自己申告し、優先接種
  • 接種時に、何らかのヒアリングをする

また、「基礎疾患」の定義は結構幅広いのです。
糖尿病などはもちろん、循環器系や呼吸系の病気、高血圧の方も含まれます。
精神疾患や、睡眠時無呼吸症候群も含まれます。
それに肥満(BMI30以上)も、対象です。
BMI30って、身長170cmならば87kgくらいですよ、そんな人、ゴロゴロいますよね。

だから、もうこれは、事実上「一般枠」で進めるしかないでしょうね。
会社や国民健康保険の健康診断時に、ピックアップするような形なら、ある程度選別出来るでしょうが。
区市町村が接種を管理している現状、性善説で進めるしかなさそうです。

ワクチン接種について、色々考察しましたが…
ちょっと、滅入ってきますね。

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