2020年4月から、東京都で施行された「受動喫煙防止条例」。
一部を除いて、飲食店では禁煙となりました。
結局のところ、どの程度のお店が禁煙なのか、また喫煙可能なのか?
半年で120店舗ほど食べ歩いた実体験を元に、考察します。
目次
飲食店も分かっていない? 受動喫煙防止条例
受動喫煙禁止条例とは?
東京都では、2020年4月より、受動喫煙禁止条例が施行されました。
折しも、コロナウイルスの緊急事態宣言で、右往左往していた時期。
ひっそりと、条例が施行された感がありました。
受動喫煙禁止条例とは…
■ 敷地内禁煙|屋外に喫煙場所設置可
出典:東京都福祉保健局 条例の対象施設のポイント
学校・医療機関・児童福祉施設・行政機関・バス・タクシー・航空機 等
※ただし、幼稚園、保育所、小・中・高校は 屋外にも喫煙場所の設置を不可とします。
■ 屋内禁煙|禁煙または喫煙専用室・指定たばこ専用喫煙室設置
多数の者が利用する施設等 老人福祉施設、運動施設、ホテル、事務所、 船舶、鉄道、従業員のいる飲食店
※従業員のいない飲食店は、事業者が屋内禁煙か喫煙を選択します。
ざっくばらんに言えば、公共施設や学校、交通機関の室内は禁煙。
ホテルや体育館、そして飲食店は原則禁煙となりました。
ただし、飲食店の場合、例外的に喫煙可能店とすることが可能です。
その条件とは…
(1)2020年4月1日時点で既に営業していること。
出典:東京都福祉保健局 従業員がいない小規模飲食店(既存飲食特定施設)の特例
(2)施設内の客席部分の床面積が100平方メートル以下であること。
(3)個人経営もしくは中小企業(資本金の額又は出資の総額が5千万円以下)
(4)従業員がいない場合(同居親族のみを使用する場合は可)
この内、1〜3番までは、国が定めた健康増進法、4番は東京都独自の条例です。
ということで、都内では、家族経営の小さなお店以外、食事をしながらの喫煙は出来なくなりました。
(加熱式タバコは、専用室を設けることで、上記の基準以外の店でも可能)
余談ですが、1番の既存事業者の権利は、譲渡は不可能。
廃業するお店を買い取って喫煙可能店にする、みたいなのはハネられます。
まあ、売買されても困りますからね。
なので、喫煙可能店は減ることはあっても、増えることはありません。
飲食店の出入り口には、表示義務
飲食店は、出入り口に、禁煙・喫煙の種別を表示する義務があります。
マーク | 意味 |
---|---|
全面禁煙店 | |
喫煙可能店 ※20歳未満立ち入り禁止 | |
喫煙目的店 (シガーバーなど) ※20歳未満立ち入り禁止 | |
加熱式たばこ専用喫煙室 (加熱式たばこを吸いながら飲食ができる喫煙室の出入り口に表示) ※20歳未満立ち入り禁止 | |
飲食不可の喫煙専用室 (喫煙可能・飲食不可の専用室がある場合、その出入り口に表示) ※20歳未満立ち入り禁止 |
ざっと、こんな感じの表示が必要となります。
ちょっとややこしいですね(笑)
また、部分的に喫煙が可能なお店は、お店の出入り口に、その趣旨も表示する必要があります。
こんな表示ですね。
表示していない、もしくは間違った表示をしている飲食店もあります。
喫煙場所は、20歳未満は入店出来ない決まり。
それなのに、その表示のないお店もあります。
おそらく、経営者もよく解っていないのでしょう。
それと、マークが目立たない店も、数多くあります。
禁煙店かと思い入ったら、灰皿が置いてあり、よく見たら、目立たない場所にシールが、なんてことも。
特に、コロナ禍で、店の扉を開けっ放しにしていると、表示が隠れて見えなかったりする…
タバコの是非はともかく、嫌煙者にとっても、愛煙家にとっても不幸です。
喫煙可能店は、ほぼ絶滅か
さて、施行以来、飲食店の禁煙状況は、どうなったでしょうか?
筆者は、施行以来120店舗ほど、都内の飲食店へ出かけています。
何らかの形で、喫煙可能なのは、6店舗。
- 喫煙可能店… 3店
- 飲食不可の喫煙目的室設置の店… 2店
- 加熱式たばこ専用喫煙室設置の店… 1店
中には、キチンと表示していないところもあるけれど、灰皿の有無で判断。
120店の内6店舗、5%ですか。
都内限定だけど、嫌煙者にとっては、あと一歩で、喜びも悲しみも幾歳月、愛煙家にとっては地獄の沙汰。
当サイトはレストランやカフェが中心で、バーやスナックは掲載していないのもありますが…
喫煙可能店は、ほとんどありません。
個人経営の店でも、禁煙店が多いのはなぜ?
家族だけで経営しているお店でも、大半が禁煙店です。
いくつかの飲食店に、ヒアリングしたところ…
- 喫煙可能店だと、子供連れが入店出来ない。
- 繁忙期でも、アルバイトが雇えない
- 禁煙のほうが、店のイメージが良い
- 掃除がラク
- 喫煙者は長居する傾向があり、回転率が高くなる
- 条例以前から、禁煙店だった
コロナ禍での影響で、軒並み売り上げが減少した今。
禁煙にしたことで売り上げが下がったのかは、分かりかねる店が多いです。
東京都の成人喫煙率は18.3%(2016年)。
未成年も含めれば、喫煙者はせいぜい15%となり、禁煙店のほうが支持される時代なのでしょう。
禁煙店の増加で、喫煙率は下がるかも
禁煙の失敗って、飲み会の時が多いとのこと。
エビデンスは…
ふたたびタバコを吸ったシチュエーション
出典:ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社
禁煙成功者200人と禁煙失敗者200人に聞く、「禁煙成否の秘訣調査」
仕事でストレスを感じて→お酒を飲み→人が吸っているのを見て、失敗。
なるほど、飲み会で失敗するわけです。
飲食店が禁煙となると、禁煙成功率が上がるかも?
法律や条例の趣旨は受動喫煙の防止、すなわち、周りの人の健康を守るのが第一義です。
筆者は非喫煙者で、タバコの煙は苦手です。
4月以降、飲食店でタバコの被害に晒されたのは、2回。
昔は、こんなものではありませんでした。
やはり、条例の効果はてきめんです。
でも、特に恩恵を受けるのは、禁煙中の人かもしれません。
飲み会で、酒で自制心を失い、誘惑に負けて、みたいのが減りますから。
飲食店の禁煙化は、喫煙率も下がことも期待できますね。