小学校に「会社」を作り商品開発…
青梅市立霞台小学校では、実践的な起業家教育を実施しています。
地元・青梅をPRする商品を児童が企画・開発。
地元名門企業のホットマンと連携し、実際にタオルを販売します。
目次
小学生がプレゼンする、金融・経済リテラシー教育
小学校に、疑似株式会社？
東京都・青梅市の、青梅市立霞台小学校。都心から西へ約50km、まだまだ自然が豊かなエリアです。
都区内の学校と比べ、ふたまわりは広い校庭。
青梅の子供はよく走るのか、総じて足腰が強いです。車社会だから、大人になるとダメダメですが。
校内にはビオトープも。輪廻転生を学ぶ、小さな池です。
同校では、保護者などが出資して疑似株式会社「霞カンパニー」を設立。
起業家教育として、児童が企画した商品を販売します。
前年度は、児童がデザインして、市内の老舗タオルメーカー・ホットマンに発注。
2022年度に販売したタオル。梅と山でデザインされたオリジナル商品です。
ホットマンは、明治元年創業の、高級タオルメーカー。吸水性抜群の「1秒タオル」は一度使ったら手放せない逸品です。
収益は、学校図書購入などに充てます。
疑似株式会社ですが、利益の20%を市に寄付。また出資者には、配当金をつけて還元します。
リアリティのある金融・経済リテラシー教育ですね！
学校の図書館の本棚。SDGsなどに並び、税金や物価関連の本がズラリと並びます。財政・市場経済の仕組みを、本気で教えているのですね。
霞カンパニーの取り組みは「第15回キャリア教育優良教育委員会、学校及びＰＴＡ団体等文部科学大臣表彰」を受賞。全国から注目されます。
小学生社長、表る
霞カンパニーの「社員」は、5年生の児童です。
霞台小学校Webサイトの「校長ブログ」を拝読すると… 数ヶ月前から、準備しています。
ちなみに校長先生のブログは、登校日はほぼ毎日更新、学校生活をこまめに報告。忙しい中、これだけ更新する熱意は凄い！
社長・副社長も児童。プライバシー保護のため「ニコニコマーク」ですが、ご容赦を。
「自分が社長になったらどうするか」と所信表明演説？をして、多数決で決定しました。
名刺もあります。確かに、外部の人と仕事をするのだから、名刺は必要ですね。名刺の受け渡しもちゃんとしていて、ビックリ！
今年度も、2月に開催される「青梅マラソン」会場などで、タオルを販売する予定です。
それに先立ち、外部の人を招き「商品評価会」を開催しました。
小学生の、企画プレゼン！
「商品評価会」では、5年生児童・12のグループが、タオルの企画・デザインを、プレゼンテーション（発表）。その中から、採用案を決定します。
商品開発の最終目標は、「青梅を世界にPR」。
それを具現化するために、各グループがデザインのコンセプトを発表します。
デザインやコンセプトなどを「採点」し、商品化。実社会さながらのコンペディション（競争）です。
青梅は梅の産地。多摩川の清流や、御岳山も有名です。「市鳥」のウグイスなどもモチーフとなります。
300名ものアンケートなど市場調査をして、どのようなデザインが好まれるかも検討。コンサルティング会社ばりの仕事ぶりです。
昔「映画の町」だった青梅。カチンコ風のデザインです。
デザイン訴求のポイントを、箇条書きで分かりやすく説明。プレゼン上手ですね！
イマドキの小学生は、パソコンでプレゼンしちゃいます。先生に習ったの？と聴いたところ…
「自分たちで覚えました」
説明写真がエフェクトしたりと、魅せるプレゼンです。
プレゼンテーションも上手ですが…
最終的には、イラストは刺繍で表現。あまり細かい模様は難しく、それに配慮したデザインを心がけたグループも。目配りできるデキる人ですね！
疑似会社を通しての、金融・経済リテラシー教育を行う、青梅市立霞台小学校。
ともすると、｢知識偏重｣｢暗記型教育｣に陥りがちな日本の教育ですが… 実社会をシミュレーションする試みは、とても斬新です。
なにより、子供たちが生き生きしていました。自分で考え行動することで、良い未来がつかめれば良いですね。
青梅市役所でのタオル展示会
企画したタオルは、2024年2月9日・市役所正面玄関を皮切りに児童が販売。
以下、2024年の販売スケジュールです。
| 販売場所 | 販売時間 |
|---|---|
| 青梅マラソン会場 市役所駐車場テントブース | 2024年2月18日（日）9:00〜12:00頃 |
| 青梅マラソン会場 総合体育館テントブース | 2024年2月18日（日）8:30〜14:00頃 |
| 伊勢丹立川店 2階エントランス | 2024年2月23日（金）10:00〜12:00頃 |
| 学校窓口 | 2024年2月26日（月）在庫があった場合のみ |
吸水性の良さをアピール。ホットマン「1秒タオル」は、水をよく吸い、他のタオルよりすぐ沈む様子がよく分かります。
ゲストタオル（税込1,000円）を購入。タオルは数種類の色から選べます。
タオルのほか、「限定商品」のリーフレット付き。タオルに込められた気持ちが、綴られています。
児童が企画したオリジナルデザインの刺繍。「市の鳥」ウグイスや多摩川、梅の花などをモチーフとしたデザインです。もちろん正真正銘「1秒タオル」、性能はメーカーの折り紙付きです。
インフォメーション
関連WEBサイト
●青梅市立霞台小学校
https://www.city.ome.tokyo.jp/school/kasumidai-e/
●文部科学省 第15回 キャリア教育優良教育委員会，学校及びPTA団体等文部科学大臣表彰
https://www.mext.go.jp/content/20221216-mxt_jidou01-000016999_02.pdf
